【相撲】3年ぶりの金沢大会進出ならず… 第95回東日本学生相撲選手権大会

 

 6月5日、両国国技館で第95回東日本学生相撲選手権大会が行われた。午前の団体戦Bクラストーナメントでは、まず2回戦で東大に5−0で快勝。続く準決勝は法大相手に接戦を繰り広げるも2−3で惜敗し、午後のAクラスには5年連続の3位での進出となった。迎えたAクラスでは、東農大、拓殖大、日大の3校と対戦したが、いずれも0勝5敗で12位。強豪校との実力差をまざまざと見せつけられ、3年ぶりの金沢大会進出はならなかった。

 

Aクラスでは白星を挙げることは叶わなかった

Aクラスでは白星を挙げることはかなわなかった

 

2016年6月5日(日)

第95回東日本学生相撲選手権大会@両国国技館

 

参加選手

 

先鋒 平野哠大(商3・慶應義塾)

 

二陣 谷口孝(経4・慶應義塾)

 

中堅 胡華興(薬1・慶應義塾)

 

副将 長谷川大起(総1・木造)

 

大将 藪本健太(政4・慶應義塾)

 

交替 樋口貴仁 (環4・明大中野)

 

交替 時田王右(環3・愛工大名電)

 

団体戦

 

Bクラストーナメント2回戦vs東大

 

○平野  上手投げ

 

○谷口  下手投げ

 

○樋口  はたき込み

 

○長谷川  押し出し

 

○藪本  寄り切り

 

豪快な下手投げを見せた谷口

豪快な下手投げを見せた谷口

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今大会は今年入部した1年生を含めた新体制で臨む最初の公式戦であり、7月に行われる全日本大学選抜金沢大会への切符をかけた重要な試合である。まず午前中の団体戦Bクラストーナメントは、シードによりBクラストーナメント2回戦からの登場。最初の対戦校は昨年と同様東大。ここはシードの力を見せつけてあっさりと全勝し、良い流れでスタートをきった。

 

 

準決勝vs法大

 

●平野  下手投げ

 

●時田  突き出し

 

●樋口  寄り切り

 

○長谷川  引き落とし

 

○藪本  寄り切り

 

低い姿勢から相手の懐に潜り込む藪本

低い姿勢から相手の懐に潜り込む藪本

 

 Bクラスシードの法大との対戦は、2回戦とは打って変わり、実力が均衡した相手との手に汗握る熱戦となった。まず先鋒平野は四つに組み合い、一進一退の攻防を繰り広げたものの、下手で上手く転がされて黒星。時田も体格で上回る相手に必死に食らいついていったが最後は上体を何度も突っ張られ、突き出しで土俵を割った。樋口は土俵際に追い込まれながら一度は体勢を入れ替えたが、最後は相手の圧力に寄り切られた。ここまで3試合、善戦は見せながらも白星はもぎ取れず、この時点で決勝進出は絶たれた。だが、1年で副将の座を射止めた期待の星長谷川が強烈な張り手を見舞い、最後は引き落としで完勝を収めると、藪本が低い立ち合いから、体勢を大きく崩されながらも持ち直して寄り切って、終わってみれば2-3と僅差。それだけに、十分勝てる試合を落としてしまったという悔しさも残る結果となった。

 

 

Bクラスでは3位に入り、表彰を受けた

Bクラスでは3位に入り、表彰を受けた

 

 

Aクラス予選

1回戦vs東農大

 

●平野  押し出し

 

●時田  寄り切り

 

●樋口  送り倒し

 

●長谷川  下手出し投げ

 

●藪本  突き落とし

 

 Aクラス初戦の相手は、昨年の個人戦優勝者を輩出している強豪校、東農大との対戦。立ち合いと駆け引き両方で上回られ5戦全敗と、力の差を見せつけられる結果に。

 

2回戦vs拓大

 

●平野  押し倒し

 

●時田  叩き込み

 

●樋口  押し出し

 

●長谷川  押し出し

 

●藪本  極め出し

 

 

 続く2回戦。拓大選手のパワーの前に、なすすべなく5戦全敗で敗れてしまった。特に長谷川の取り組みでは、体格では上回っていた相手に対して左手を極める優位な状況であったにも関わらず、体勢を持っていかれた末押し出しで敗れた。力だけではなく、最後の詰めの部分の粘り強さという面でも課題の見つかった取り組みだった。

 

3回戦vs日大

 

●平野  寄り切り

 

●時田  押し出し

 

●樋口  押し出し

 

●長谷川  押し出し

 

●藪本  突き出し

 

 最後の対戦校は昨年の団体戦優勝校の日大。圧倒的格上の相手に対しどれだけ捨て身の相撲を取れるかが焦点となったが、結果は手も足も出ず完敗。今年もBクラスの上位は維持できたものの、Aクラスの壁が厚く、全敗という結果に終わった。しかし、ここで得られた課題に取り組み、次の体重別では更に奮起してくれることを期待したい。

 

個人戦

A組1回戦

 

●藪本 はたき込み 大塚(法大)

 

B組1回戦

 

●平野 寄り切り 志村(法大)

 

●谷口 押し出し 川村(明大)

 

C組1回戦

 

●時田 押し出し 小山(早大)

 

D組2回戦

 

●長谷川 突き落とし 田中(中大)

 

強烈な張り手を見舞う長谷川

強烈な張り手を見舞う長谷川

 日体大が団体戦の優勝を飾ったところで、戦いの舞台は個人戦に移る。先陣を切ったのは藪本。相手の強い押しに対し土俵際で粘りを見せたものの、最後ははたき込まれて敗退。続く平野は懐に潜り込まれ、自分の持ち味を出せないまま寄り切りで黒星。同じく谷口も立ち合いで浮き上がる形となり、時田は果敢なぶつかりこそ見せたものの、パワーで上回る相手選手に跳ね返され、押し出しで敗れてしまった。ここまで出場した4選手全員が1回戦敗退。なんとか一矢報いたい慶大の初勝利はルーキー長谷川に託された。2回戦からの登場となった長谷川。一度仕切り直しになった後、相手に強烈な左を張られて体勢を崩すもそこは粘って耐えたが、最後は突き落としで敗れた。この敗戦で慶大は個人戦も5戦全敗と、不甲斐ない結果に終わってしまった。「団体戦でフルパワーを使いきってしまった」(松田監督)と、強豪校との連戦が見えないところで、選手達の体力、集中力を奪っていたというマイナス要素もあったものの、それは対戦校とて同じこと。試合後、「相手の動きを待ってしまう」(松田監督)「立ち合いが半端になってしまった」(谷口)と語ったように、全体として格上の相手に対して一泡吹かせてやろうという攻めの相撲がまだまだ取れていなかった。次の体重別で好成績を残すためには、積極的に攻めに行く相撲を徹底し、更には「筋肉をつけて、身体を機能的に動かせるような身体作り」(樋口)で底上げを図っていく必要があると言えるだろう。

 

記事:新井賀南子・江島健生

 

以下、コメント

 

松田剛監督

 

 (今大会の団体戦の結果についてどう捉えているか)やっぱりまだ3位なのかと思いました。2部の中でももう少し通用するかなと。更に上とも僅差だとは思うんですよね。結果的に法政とも2-3と僅差だったので、優勝も近かったと思うだけに、もう少し欲張る気持ちを持ってくれるといいなと思います。(Bクラスではそれぞれが自分の持ち味を発揮できていたように見えた)そうですね。出せましたよね。でも我々はBでやることではなくて、Aでやって次の金沢大会に行くというのが一つの目標なので、それがここ3年間果たせていないのは残念です。強力な1年生がいるわけですから、彼がいても勝てなかったというのは残念ですね。(Aクラストーナメントについては)Aクラスも何個かは取れる試合もあったと思うんですよね。ただ、やっぱりAクラスだなと思うのは、相手の攻めが我々よりも先だったんですよね。我々はいい形になっても、そこからすぐ自分たちから動けなかった。それが敗因ですよね。相手より先に動くということができていれば、勝てた試合もあるんじゃないかとは思いますね。そこは課題ですね。(Aクラス相手だと最初の立ち合いで圧倒される取り組みが多かった)そうですね。圧倒されずにいい形に持っていける場合もあるんですけれど、そこで早く動けない。相手の動きを待ってしまうのがいけないんだと思いますね。先手を打っていって早い攻めに転じていけない、そういうところが駄目なんだと感じます。(個人戦も5人とも初戦敗退という結果に終わった)団体戦でフルパワーを使いきってしまったと思うんですよね。やっぱり団体戦に重点を置くので。とはいっても個人でも全然やり合えて上位に行ける子たちに育て上げていると思っているので、今回は不甲斐ない結果でしたね。(今後の課題は)今後の稽古では自分の形になろうがならまいが先に攻めるということをね、普段の稽古からそういうことを意識してやっていこうと思います。(次は体重別)体重別はそういう意味で更に差が無いわけですから、意識して他の部活動であるとか、大学に行って作戦を考えて体重別に合わせた稽古をやっていきたいと思います。(そこではどういったトレーニングを)体重別というのは独特なので、何試合もやることによる体力面であるとか、あとは技術ですね。レスリングや柔道をしたりということをやっているので今年もやってみたいですね。(樋口選手や平野選手も体重を上げると言っていたがそういう選手が多いのか)そうですね。でも今年は人数も多く余裕もあるので、自分が無理な体重で出なくてもいいよ、というのは今後言ってみようと思います。無理にやって身体が動かなくなってもね、自分にあった体重でいいよと。増やせばいいというわけじゃないので。

 

樋口貴仁主将(政4・明大中野)

 

 (団体戦Bクラスでは法大にこそ負けてしまったが3位に入った。このクラスではメンバーそれぞれが自分の持ち味を出せたのでは)出せましたね。先鋒で平野が負けてしまったんですけれどかなり良い相撲を取って、時田も時田で食らいついていけて、僕は良くなかったんですけど、長谷川もちゃんと技を仕掛けて、藪本も自分の低さを生かした相撲を取っていたので。まあ後ろ2人は勝ったので、前3人かなと。そこがちょっと厳しかったかなと思います。(対照的にクラスでは立ち合いで圧倒される取組が全体として多かった)相変わらず去年も1点も取れなくて、かなり悔しいんですけど、そこは差があると認めざるをえないところですね。そこを今後どうカバーしていくかというのが、大きな課題だと思います。(団体戦の結果をどう捉えているか)悔しいですよね。Bクラスの上位でいうと、法大、駒大、早大、そしてウチが入ると思うんですけど、その中でウチが一段階力が劣るということが今回改めてわかったところなので、Bクラスの上位と、Aクラスの下位の中でどうやって上位に食い込んでいけるかが今後の課題です。(具体的に上位校とどういった面で差を付けられていると感じるか)これは昔から言われていることなんですけど、体格ですかね。体格といっても、ただ10㌔20㌔太ればいいという訳じゃなくて、筋肉をつけて、身体を機能的に動かせるような身体作りが必要かなと思います。(今日は肩にテーピングを巻いていたがケガによる取組の影響はあったか)無いといえば嘘になりますけど、土俵に上がればケガをしてるしていないというのは関係ないので、取ってる間に痛みを感じるわけはではなくて、取り終わった直後にはやっぱり感じますけど。そこはしっかり治して、全力を出し切れるようにしたいと思います。ウチの大学でも他の大学でもみんな少なからずケガをしているので、そこはハンデとは考えていないです。(次の体重別に向けて意気込みを)各個人階級を上げる人もいるので、例えば平野は今100㌔ぐらいなんですけど、115㌔級に出ると言ってるので、私も100㌔級で出るのでここから増量していきたいと思います。

 

谷口孝(経4・慶應義塾)

 

 (今大会の団体戦の結果についてどう捉えているか)目標にしていたのはAクラス11位以上に入って、金沢大会に出場することだったんですけど、それが達成できなかったというのはちょっと残念ですし、まだまだ練習が必要だなと思いました。Aクラス11位に入るために、Bクラス1位2位になれるとそれが近づくという話だったんですけど、それもBクラスも3位だったので、まだ足りてなかったのかなとは思います。Bクラスでもっと上位になっていかないとAクラスでは通用しないのかなと。(先程樋口選手もBクラス上位とAクラス下位の間でも大きく差があると言っていたが)そこは大きく開きがありますね。2つ法大から取れたんですけど、今は相手が格上だと思って挑戦してちょっと通用しているぐらいだと思うので、もっと身体を大きくしてBクラス上位と見た目から互角ぐらいという形にまで持っていかないと、現状差があるAクラス下位と戦うというのは難しいと思います。(それは試合に臨む心構えという面でも変えていく必要があるということか)まあ、心構えはお互い同じようなものだと思います。流石にAクラス上位になると職業みたいなものですから、またそこはちょっと違うとは思いますけれども。法大が今回Aクラスに昇格したんですけど、2-3でやれているので、もう少しなんですよね。なにかが少し足りていないのかなと思います。(今回勝利を収めた東大戦の取り組みを振り返って)立ち合いが半端になってしまったのが全部なんですけど、相手を弱い相手だと思って最初叩こうと思ったんですよ。でも、前に出て負けると、前に出たからしょうがないってなるんですけど、叩いて負けるというのは一番最悪なんですよ。だから、前にでようかな、でも叩こうかなと言っているうちに一番半端な形になってしまって、意地もありますし、ぶつかりの強さの差もありなんとか勝ったんですけど、そのあと個人戦に負けたのも立ち合いが半端だったからなので、立ち合いを集中してしっかりした立ち合いができるように、磨いていきたいと思います。立ち合いで自分の形になれれば、もう少し通用すると思うので、団体戦の東大戦に関しては、勝ったとはいえ、半端な立ち合いで自分の相撲ではない相撲で勝ったので、反省点は多い一番だったと思います。(次は体重別)自分は115㌔級に出ます。敵も強いですけど、びびらずに立ち合いをしっかりやって、前に出る相撲を取っていきたいと思います。

 

 

長谷川大起(総1・木造)

 (大会前の体の調子は)試合の前の段階では体は動いていた方だと思います。(いきなりの副将という大役だったが)相撲自体はずっとやっていたので落ち着いてはいましたが、それが勝ちに繋がらなかったというのが弱い所だと。やっぱり、大将まで繋げてもっと勝利を取りにいかなければと思います。(Bクラスではしっかりと役割を果たしていたが)Aクラスでも、1点2点もぎ取れるように稽古をしていかなければいけませんね。(AクラスとBクラスの差は感じたか)感じます。力量というよりも覚悟や気持ちの部分で、本当に命を懸けてやっているように見えますね。(Aクラスでも惜しい戦いがあったが)体力的な部分もありますし、やっぱり最後の最後での「勝ちたい」という気持ちが相手の方が強かったんだと思います。(個人戦での相手の印象は)1部のレギュラーの方なので、強敵だとは思っていました。敗戦はしたんですけど、力の差はそんなに感じませんでした。(次に繋がる戦いだったか)そうですね。1年生なので、もっと元気の良い相撲を取って、先輩たちと一つでも上に行けるように頑張っていきたいと思います。(次の体重別に向けて)次は個人戦なので、課題として見つかった立ち会いの鋭さや勝負強さを、この1ヶ月でもっと身に付けたいと思います。(個人戦での目標は)全国大会を目標に頑張っていきます。

薮本健太(政4・慶應義塾)

 (大会前の体の調子は)けがをしがちだったので、太ももが紫色になっていたり指や首にも色々とけがをしたりしていたんですけど、一応出来る限りのケアはしてきました。思った以上に体が動いてくれたので、良かったです。(Bクラスではしっかりと大将の役目を果たしていた)たまたま相手が引いてくれたので、そこをちょっと押し出しただけでしたが、取れるものは取れたので良かったと思います。(体の大きい選手との取り組みが多かったが)作戦というのは特に無かったんですけど、土俵上でも自分のやってきたことをしっかり貫くことが出来たのかなと思います。(Aクラスとの差は)Bクラスでは、自分の体勢になれれば勝てることはあるんですが、Aクラスだと体勢ができても力でねじ伏せられてしまう場面があったので、そこが違いだと思います。(今後の課題は)まずは4年生全員がけがをしないこと。あとは体重を増やすこと。今回は下級生が全体的に成長しきれていないと感じるところがあったので、そこが課題だと思います。1部では負けて元々という気持ちはあったんですが、そこからいかに「勝てるぞ」と自信を持っていけるかが重要ですね。(個人戦では1回戦で敗退となってしまったが)1部の戦いの中で肘を痛めてしまって。それで自分の中で気持ちが切れてしまった部分はありました。練習では結構勝っていた相手だったのですが、回しを取るのにこだわりすぎて、そこで相手に動かれて負けてしまいました。(次の体重別に向けて)2、3年と続けて全国まで進んでいるので、まずは全国大会への切符は絶対に取ること。あと85㌔級でメダルを取ることを目標に頑張っていきたいです。

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