【卓球】強敵相手に勝利狙うも、男女共に完敗/第73回早慶卓球定期戦

雄叫びを上げる久道。この日慶大唯一の白星を挙げた

雄叫びをあげる久道。この日慶大唯一の白星を挙げた

第73回を迎えた早慶卓球定期戦。男子団体は7単2複、女子団体は5単2複の形式で行われた。相対する早大は関東大学リーグ1部の強豪だが、昨年男子はゲームスコア4-5と善戦。難敵をあと一歩のところまで追いつめただけに、今年は「何としても勝つ」(古谷男子監督)という意気込みで臨んだ。しかし結果は、1-8の大敗。久道涼太(総2)が挙げた1勝に留まり、悔しい一戦となった。一方の女子。序盤は力の差からか苦戦を強いられたが、S4の緑川千喜(商3)がセットオールの熱戦を見せるなど、随所で見せ場を作った。最後は主将の山口愛(経4)が意地の一勝を狙ったが、あえなく敗戦。昨年の定期戦と同様に、早大相手から勝利を挙げることは出来なかった。

 

6月19日(日)第73回早慶卓球定期戦@早稲田大学卓球場

 

(男子)

 

男子団体(7単2複)・結果一覧

W1

●工藤豪(理3・慶應)・伊藤慈倫(商3・武田)1(-5,8,-6,-3)3○上村・平野

W2

●大野哲郎(環4・高田)・三田村凌(政3・慶應)0(-8,-8,-6)3○竹岡・硴塚

S1

●増田雄一(環3・茨城高専)0(-5,-7,-8)3○高田

S2

○久道涼太(総2・浦和南)3(5,-9,8,5)1●坂内

S3

●工藤1(-8,-5,10,-6)3○泉

S4

●荒木孝純(理4・長田)0(-7,-12,-8)3○硴塚

S5

●伊藤1(-8,-7,7,-4)3○平野

S6

●三田村0(-8,-6,-9)3○竹岡

S7

●大野0(-9,-4,-1)3○上村

合計

慶大1-8早大

 

 男子の先陣を切ったのは、工藤・伊藤のダブルス。幸先良いスタートでチームに勢いを付けたいところだったが、要所でのミスが響き流れをつかめない。回転数の多いループドライブを効果的に織り交ぜ、第3セットを奪ったが、反撃はここまで。慶大男子の初戦は黒星スタートとなった。

 

 

W1で登場した工藤・伊藤ペア

W1で登場した工藤・伊藤ペア

 続くW2、S1は共に苦しい試合展開となり、セットを奪えなかった。W2で登場した大野・三田村のペアはチキータ(手首の反動を生かし、球に強い回転を加える打法)を用いるなどレシーブでの打開を図り、S1の増田はオールフォア攻撃で相手のブロックを打ち抜く場面もあった。それぞれ持ち味を出したが、セット奪取には至らなかった。

 

 

 序盤から立て続けに3連敗を喫し、嫌なムードを振り払いたい慶大は、S2にカット主戦型(ボールに強烈な下回転を掛け、相手のミスを誘う戦法)の久道を送り出す。「(格上相手に)向かっていこうと思ったら、全然緊張しなかった」という久道は、序盤から良い動きで相手の強打を拾い続け、第1セットを奪った。相手が久道のボールに慣れ始めた第2セットこそ落としてしまったが、第3セット以降はカットだけでなく、ロビング、ドライブなどのボールを織り交ぜ、相手を幻惑させた。最後まで粘り強く戦った久道は、第3、4セットを奪取し、見事勝利を収めた。これで慶大はこの試合チーム初勝利を挙げた。

力強いドライブを放つ大野主将

力強いドライブを放つ大野主将

 

 久道の勝利で波に乗りたい慶大。しかしS3の工藤は、第1、2セットを落とし苦しい展開を強いられる。粘り強いラリーで第3セットを手にしたが、勝利は挙げられなかった。S4で登場した荒木、S5の伊藤はそれぞれ相手選手の強打を止め切れず、自らのペースで試合を運ぶことが出来なかった。久道の勝利後、3試合立て続けに敗戦を喫した慶大は、ゲームスコアを1-6とされ、一気に劣勢に立たされてしまった。

 

 

 意地を見せたい慶大は、S6に主戦の三田村、S7に主将の大野を送る。共に随所で好プレーを披露し、会場を沸かせたが、相手をスコアで上回ることは出来なかった。最終的には、1-8の完敗。今後に向けて大きく課題が残る一戦となった。

 

 大敗に終わった今季の早慶定期戦。昨年は善戦を見せただけに、この結果は「予想外」(古谷男子監督)なものとなってしまった。苦戦の要因として主将の大野が挙げたのは、「レシーブがうまくいかなかった」こと。サーブの回転を見極められなかったことでレシーブが甘くなり、その後のラリーで優位に立てなかった。古谷男子監督は、そういったレシーブ面での強化も含め、「勝つための技術を集中的に練習させたい」と語った。今後はインカレ、秋季リーグ戦などの大会が控えている。この苦い経験を糧にして、慶大男子卓球部が躍進を見せてくれることを期待したい。

 

(女子)

 

女子団体(5単2複)・結果一覧

W1

●野村優貴(理2・大垣北)・竹﨑優妃(商1・土佐)0(-9,-3,-9)3○田中・鳥屋

W2

●山口愛(経4・慶應湘南藤沢)・緑川千喜(商3・須坂)1(-9,-5,6,-11)3○金子・鎌田

S1

●野村0(-8,-8,-6)3○阿部

S2

●緑川2(5,-7,-8,9,-3)3○徳永

S3

●塩越阿沙(総3・青森南)0(-4,-9,-5)3○加藤

S4

●岡田裕美子(文3・雙葉)0(-4,-8,-4)3○佐藤

S5

●山口0(-7,-7,-9)3○田中

合計

慶大0-7早大

 

 W1として登場したのは、野村・竹﨑の若手コンビだ。巧みな連携で長いラリーに持ち込む場面も見られたが、セットを奪うことは出来なかった。「コミュニケーションを多くして臨んだ」というW2の山口・緑川は、多彩なサーブから流れをつくり第3セットこそ奪ったが、1-3で敗れた。続くS1の野村は、粘り強いブロックで相手の強打を凌ぐなど健闘したが、ストレート負けを喫してしまった。

 

 

得点を挙げガッツポーズを見せる緑川

得点を挙げガッツポーズを見せる緑川

流れを変えたい慶大。S2として登場した緑川は、「最初から向かっていこうという気持ちで」と積極的な姿勢で早めに仕掛けていき、次々とポイントを奪っていく。相手を圧倒し、11-5で第1セットを取った。ドライブのミスが響き第2、3セットを落とした緑川だが、息を吹き返し第4セットを奪取。試合はフルセットへと持ち込まれた。しかし最終セットはミスが頻発し、惜しくも敗れた。勝利まであと一歩だっただけに緑川は悔しさをにじませたが、熱戦を繰り広げ会場を沸かせた。

 

 しかしその後は、強敵・早大の前に苦戦を強いられてしまう。S3の塩越は相手の強打に苦しみ、S4の岡田はカット主戦型の対応に手を焼いた。それぞれセットを奪うことは出来ず、スコアは0-6となった。

 

 S7で登場した山口は、「自分のプレーが出来たときもあった」と強打で得点を奪う場面もあったが、最後は0-3で敗れた。昨年の定期戦と同様に、早大相手から勝利を挙げることは出来なかった。

S5で登場した山口主将

S5で登場した山口主将

 

 強敵相手になんとか食らいつき、念願の勝利を挙げたい慶大だったが、今年も白星を手にすることは叶わなかった。その中でも、川西女子監督が「チームを引っ張る中心選手の一人」と期待を寄せる緑川がフルセットゲームの接戦に持ち込むなど、随所で粘りを見せた。1セットを奪った選手も数多く、「プレーや技術の面では(早大に)追いついてきている」と山口主将も手応えを口にした。勝利こそ挙げられなかったこの定期戦だが、今後に控える重要な大会に向けて、早大としのぎを削った経験が必ず活きてくるはずだ。

 

(記事・小沢光市)

 

 

監督・選手コメント

 

 古谷修一男子監督

 (早慶戦への意気込みは)昨年、男子はあと一本で勝利、という所まで迫っていたので、今年は何としても勝つというつもりで臨みました。(実際には1勝に留まってしまった)予想外に苦戦でした。もう少し競ると思っていました。最低でも3ポイントは取れると。ですが、早稲田が全部(の試合で)勝つという意気込みで臨んできたので、慶應の方がその気迫に押されてしまった面があると思います。(久道選手が唯一の勝利を挙げた)彼は今年度からレギュラーになった選手なのですが、公式戦に出るたびにプレーが良くなっていまして、段々と自分の持ち味が出せるようになっていました。今後、まだ2年生ですから、チームのポイントゲッターとして、これからの活躍を凄く期待しています。(チームの今後に向けて)これから団体の大きな大会は、インカレと秋のリーグ戦があります。特に秋のリーグ戦では必ず2部に昇格しなければなりません。そこに向けてあまり時間がないので、勝てる卓球、勝つための卓球をするにはどうすれば良いのかをもう一回考え直して、勝つための技術を集中的に練習させたいと思います。

 

川西康太女子監督

(早慶戦にどのような意気込みで臨んだか)相手は関東学生一部のトップ校なので、胸を借りるつもりで、でも勝ちにはこだわって、一本一本を大事にしようというつもりで臨みました。(試合を振り返って)結果は一本も取れなかったのですが、随所に良いプレーも出て、秋のリーグ戦に向けて非常に良い経験になったと思います。(課題や改善点は)相手の方が、サーブレシーブの細かい所まで徹底されていました。また、勝負どころ、ここで一本欲しいという所で良いサーブ、良い展開を持っていて、そういった部分は慶應の学生も見習って欲しいと思いました。(女子では緑川選手が良い試合を見せた)彼女は今3年生で、来年最上級生になってチームを引っ張る中心選手の一人なので、この調子を維持して、チームを盛り上げて欲しいと思います(今後に向けて)春のリーグ戦ではとても悔しい結果だったので、インカレだったり秋のリーグ戦に向けてしっかりとした準備をして、今度こそ勝利を掴み取りたいと思っています。

 

大野哲郎男子主将(環4)

 (早慶戦を振り返って)去年の早慶戦は結構接戦の末負けてしまったので、今回は勝ちにいきたかったのですが、こういう結果になってしまったことはとても悔しいです。ただ、相手との実力の差を見せつけられたことで課題が見えてきたと思うので、そういった意味では意味のある試合だったと思います。(チーム全体としての課題は)今日の試合ではレシーブがうまくいかなかった場面が多かったと思います。相手によって球の回転が違うので、それをしっかり見極める力とその回転にあったレシーブを的確にすることの大切さを再認識して、レシーブの強化をしていきたいと思います。(個人のプレーを振り返って)個人的には今日のプレーは全然よくなかったです。チーム全体の雰囲気づくりのためにも自分がいいプレーをすることが大事になってくると思うので、今まで以上に自覚をもって練習に臨みたいと思います。

 

山口愛女子主将(経4)

(今日の試合を振り返って)0-7で負けてしまったが、1セット取れたり、セットオールまでいったりとプレーや技術の面では追いついてきていると思います。これから1点でも多く取れるように頑張ります。(ご自身のプレーを振り返ると)ラストの試合で出してもらいましたが、0-3で負けてしまいました。相手の方が経験もあって、押されてしまった部分もありましたが、自分のプレーができたときもあったと思います。またこれからの試合に活かせる経験になればいいと思います。(今後に向けて)最後の秋のリーグ戦、女子はまた2部に復帰するということがチームの目標なので、これから3ヶ月早稲田の練習に参加したりしながら対外試合での結果も残して、3部で優勝して2部に戻れるようにチーム一丸となって頑張りたいと思います。

 

久道涼太(総2)

 (どのような意気込みで試合に臨んだか)同レベルの相手とやるときは緊張して動けなくなるんですが、慶應は3部で早稲田は1部と格上なので、向かって行こうとしたら緊張しなくなって、最初から足が動く状態で行けたのが勝ちにつながったと思います。(勝利した試合を振り返って)基本はカットに一番自信を持っています。下回転も強くかけられるようになっていて、今日の相手は強い人でしたが、自分の下回転が効いていたと思います。試合が進むにつれて相手が慣れてくるので、そこで攻めていこうと考えました。戦術を転換すれば相手もわからなくなってまた点につながる、そういったスタイルでやっています。(チーム全体を振り返ると)去年は男子が4-5のフルセットでデュースまでいって負けて、当時の4年生が主力としてそこまで競っていました。代が変わっても自分たちはできるというところをOBの方たちに見せるためにも、そして去年の雪辱を晴らすためにも絶対早稲田に勝とうと思っていましたが、早稲田の壁は厚かったです。まだまだ練習不足だと思いました。(今後に向けて)慶應としては負けてしまいましたが、僕自身は勝つことができて自分のプレースタイルにも自信がつきました。これからどんどん練習して、次の3部リーグでは全勝、入れ替え戦にも勝って、2部に絶対戻ります。次の早慶戦は今回で相手のビデオも取れたので、対策を練りに練って今年の雪辱を晴らそうと思います。

 

緑川千喜(商3)

 (早慶戦を振り返って)早稲田の選手はみんな強くて実績もあって自分よりも格上なんですけど、その分楽しんで思い切って自分の力を出そうと思いました。(ダブルスを振り返って)組んだ山口主将が4年生で最後の早慶戦だったので、悔いの残さないように自分たちが練習してきたことを出すためにコミュニケーションを多くとって臨みました。(シングルスを振り返って)相手がとても強い選手だったのですが、最初から臆するのではなく向かっていこうという気持ちで臨みました。(攻めの姿勢が目立ったが今後勝ちに繋げるには)攻めの姿勢で自分の形で攻めているときはすごくいいんですけど、逆に相手のプレーの型にはまってしまったとき、自分のしたいことができなくなってしまったときに、どう凌いでいけるかっていう我慢の部分と、確実に決めきれる決定力が必要かなと思います。

 

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