力を出し切れず予選敗退で終わった全関東学生弓道選手権大会から一週間。前週に続き今年の大きな大会の一つである第28回全国大学弓道選抜大会が6月25日、26日に明治神宮中央道場で開催された。全関東に比べ課題の改善は見られたものの、またも力及ばず予選敗退という結果に終わった。良い面でも悪い面でも今回の大会で得たものは多く、この悔しさを胸に8月のインカレに向けて再スタートをきる。
第28回全国大学弓道選抜大会
6月25日(土)、26日(日)@全日本弓道連盟中央道場
ポジション | 選手名 | 予選 |
大前(おおまえ) | 湯浅汐里(環2・東洋英和女学院) | 2 |
中 | 岡本茉莉子(経2・フェリス女学院) | 3 |
落(おち) | 陣内友莉(総4・西武学園文理) | 2 |
合計 |
| 7 |
※1回の試合で4本矢を放つ。女子団体は3人で構成され、計12本のうち上位16チームが翌日行われる決勝トーナメント戦へ勝ち進む。
祭りのような雰囲気の全関東とは打って変わって、観客も近く静かな雰囲気の中行われた全国選抜大会。大学の大会では唯一の、全日本弓道連盟主催の大会だ。明治神宮の境内にある道場で、応援の掛け声も禁止され緊張感漂う中、関東の強豪校のみならず全国各地のリーグを代表する大学が集まり頂点を目指す。
全関東大会予選敗退の結果を受け不安が残るものの、東京都リーグⅠ部校として難なく予選を突破したいところ。1本目岡本が中てたが前後二人は的中とならず、全関東と同じ流れで初矢を迎えた。ここで2本目は全員的中。的中を取り戻し、流れを掴んだかのように見えたが、三本目はまさかの的中なし。ここで焦ることなく最後まで粘りを見せ4本目全員的中となったものの、3本目の的中が響き12射7中で惜しくも予選敗退という結果に終わった。
「やってきたことが着実に出来つつあるなという手ごたえは感じた」。試合を振り返り越後監督はこう語る。全関東と比べても、2本目4本目の連続的中はチームの中りに大きな変化を与えた。たった1週間でのこの成長は、今後のチームの進化に大きく期待できるだろう。陣内主将が「他の強豪との違いは押手の強さと本番の強さ」と分析したように、大学から始めた選手は他校に比べ経験値は劣るものの、まだまだ伸びしろがあるという面で前向きに捉えることができる。次なる戦いは8月に東京で行われるインカレ。ここで全国優勝すれば王座決定戦出場を果たすことができる。人は失敗から学ぶと言うように、この結果も王座優勝のためと思えばひとつの通過点にすぎない。全ては王座を勝ち取るために。夏、進化を遂げた女子弓術部を見るのが楽しみだ。
(記事:國分萌々子)
監督・選手コメント
越後雅之監督
今回の試合を振り返り、今までやってきたことが着実に出来つつあるなという手ごたえは感じた。ただし、予選を通過していないという悔しさは充分ある。次回に向けてもう一回頑張り直さなければいけない。全関東の時には、基本が不十分なまま試合に出てそれがきちんと出来きれずに抜いてしまった、雰囲気にも呑まれてしまったというのがあったので、今回はそれをつぶしてきたつもりだった。結果が7中ではあったもののそれぞれの選手が素晴らしい射ができ良い矢も出てきたが、それが4本のうち2本や3本しか出ていないという点でまだまだ努力不足であった。この一週間は基本のやり直しを中心に練習し、試合のペースをきちんと考えて引くように意識もした。自分のペースを自分で作ってひければいいものの、全関東の時には自分のペースでひけなかったので、今回は自分の引くペースを守って自分の射をきちんとやりきろうという練習を続けてきた。連抜けは、うちの弱いところ。弓の試合は団体戦とはいえ個人競技の延長なので、人の中りを気にせずにきちんとひき切らなければならないのだが、今回2本目が全員中っていたように、自分のペースを守ってくれば流れができてくるかと思ったところで抜いて連抜けに繋がってしまう。まだまだ自分に集中しきれていない部分があり、これは自分の集中力を高めることで改善できると思う。また、三人の役割、大前は中てる、などのペースを全体としてレベルアップしていかなければならない。今後に向けて、まずは基本ができていないところをつぶす、また、試合も練習もすべて試合と同じようにひくということを心がけて練習し、試合に臨めるようにしたい。
陣内友莉(総4)
先週の全関東では悔しいという気持ちがでないくらい呆気なかったが、全関東が終わってから選抜に向けての1週間でもう1回やるべきことは何なのかということをメンバー同士で話し合い、取り組んだ。できた矢もあればできなかった矢もあり、できたことがあったのはすごく良かったが、できないところが大きく、予選敗退という結果には悔しさが残る。練習や立練習では中っていても、試合では中っていないことの原因はそれぞれの懸念点や気をつけたいところをなあなあにしながら的に中てていたことなので、詰めが甘くならないようにそれぞれが意識して行い、言い合って取り組んできた。今のチームは中り始めたら連中していくチームなので、連抜けの多さは個人の問題の方が大きいと思う。全関東の時の方が全然自分の射ができずに終わってしまったのが強かった。今日も緊張感はあったが、自分たちで集中してやりたいことをやり、それができなかったという印象。今までは一緒に引いている人たちや先輩と引くことが多く、この人たちを勝たせてあげたいという気持ちが強かったが、主将になった今は全員で頑張ろうと試合に臨んでいる。もっと自分が中てて後ろでドンと構えてあげれば前の人がノビノビ引けると思うが、まだ自分の力不足という面があるので、夏シーズンやリーグに向けて実力を付けていきたい。他の強豪との違いは押手の強さと本番の強さ。他校には高校時代からインターハイなどの大舞台の経験値があるが、慶大には足りていない。全関東や今日も大学から弓道を始めた選手が出ているのでハンデはあると思う。押手の強さと経験値はどうしても劣ってしまうが、春シーズンですごく成長している。初めてだからこそ怖がらずなんでも挑戦できるところが大きいので、前向きに捉えている。三人立で結果が出なかった部分をインカレで出し、リーグで優勝して王座に出るという目標に向けて今後の試合を使っていきたい。
岡本茉莉子(経2)
先週あった全関東の団体戦よりは自分の射で引けたような感じがしたが、その分もっと詰めていけば抜いてしまった3本目も詰められたかと思うので悔しい。1週間しか時間がなかったが、全関東で団体戦を受けてから個人戦を引き、緊張に耐えうる射に少しずつ近づけられた。全関東の個人戦で引けていた射をベースにしつつ、もっと詰めていくにはどうすればいいかを考えて1週間を過ごした。初心者で弓道を始めて試合経験が少なく、その中で武道館や明治神宮といった大きい会場でいつもと違った雰囲気で引くという機会はなかなかなかったので緊張していた。初心者である分、射技的には未熟な部分が多かったので少しずつ成長しているように思う。試合経験を積んだことで試合の中でどのように引いてどのように中てていくかというのは少しずつ掴めている。全関東、選抜と悔しい結果が続いているので、普段の練習から的の星に詰める意識を持って練習することで全日本、リーグと高的中を安定して出せるように頑張っていきたい。