現在リーグ戦では首位と勝ち点7差の5位につける慶大。今季の主軸選手たちは、昨年からスタメン出場し続けていることが特徴として挙げられる。豊富な試合経験というアドバンテージを活かし、強固な守りからリズムをつくり、正確にパスをつなぎ攻撃を組み立てていきたい。
攻撃の主軸、FWの山本哲平(政4・國學院久我山高)は昨年のリーグ戦で東京中日スポーツ賞を受賞した選手であり、今年もリーグ5得点を記録。決定力だけでなく、正確なポストプレーからの決定機演出も魅力だ。中盤の要、MF宮地元貴主将(総4・東京ヴェルディユース)はFW、CBなど様々なポジションで試合出場を続けてきた。持前の気迫のこもったプレーを今日も見せてほしい。第7節からはゲームキャプテンを務めるDF井上大(総4・國學院久我山高)も注目すべき選手の一人。正確なディフェンスと前線への良質なパス供給でチームを盛りたてる。
選手からチームに視点を向けよう。今季のフォーメーションは中盤がサイドに開いた4-4-2を採用し、前線でのプレッシングを戦術の要としている。試合でも最前列の選手が激しくチェイスしプレッシャーを与え、相手が隙を見せればボールを奪い攻撃に転じる。選手たちが常に口にする、守備からリズムを作るというテーマの通り、前線からの献身的なプレス、最終ラインでの大胆なスライディングによるボール奪取が慶大の持ち味だ。堅守速攻を信条とする慶大のサッカーにおいて、サイドが素早く駆け上がり、中央へクロスを入れる攻撃は大きな武器となっている。関東サッカーリーグ戦でも存分に発揮され、第4節の桐蔭大戦では、右サイドから手塚朋克(環3・静岡学園高)が上げたクロスボールに加瀬澤力(総4・清水東高)がヘッドで合わせゴールに押し込むシーンや、第7節の順大戦でも手塚のクロスボールを山本が中央に落とし、田中健太(法3・横浜F・マリノスユース)が強烈なシュートを放ち得点するといったシーンが見られた。
今季はすでに早大と2回戦い1勝1敗と、ほぼ互角。今季初対戦となったリーグ第9節では、GK上田朝都(総1・横浜F・マリノスユース)のファインセーブと田中の2得点で試合を優位に進め、終盤になっても前線からのプレッシングを止めることなく、全選手が献身的な働きをし続けることで1年半振りの早大戦勝利を飾った。しかし先日行われたアミノバイタルカップ2回戦では、課題のセットプレーから2度の失点をしてしまい敗戦という結果に終わり、総理大臣杯出場の望みも絶たれてしまった。今回は是が非でも早大に勝ち、先日の敗戦のリベンジをしたい。両校が死力を尽くして戦う早慶サッカー定期戦という最高の舞台で、お互いの意地をぶつけあう素晴らしい試合が繰り広げられることだろう。宿敵早大に打ち勝つために、若き血を夜空に響かせるために、荒鷲イレブンは一丸となって戦う。
(記事 中村駿作)