インカレ本戦は大会6日目。準決勝が行われた。昨年の男子シングルスで決勝進出を逃した上杉海斗(環3・清風高)はリベンジを狙うも、早大の小林に敗れて準決勝敗退となった。しかし、今大会で大きな成長を見せている逸﨑凱人(環2・大阪産業大付属高)・畠山成冴(環2・湘南工科大付属高)組が男子ダブルスで決勝進出。タイトル獲得に王手を掛けた。
2016/8/19 @岐阜メモリアルセンター
◇男子シングルスSF
● | 上杉海斗 | 0{6(3)-7,0-6}2 | 小林(早大) |
昨年のインカレで準決勝敗退となった上杉は、リベンジを果たすべく早大の小林との戦いに臨んだ。ファーストセットは力のある両者によるキープが続く。だが、上杉は先にブレークを許してしまう。第5ゲーム、0-30にされた後に40-30とキープしかけたが小林の深く入るショットに苦しみ、ブレークされてしまった。それでも第8ゲームでは上杉が得意のフォアで攻め込み、ブレークバック。その後は再び、両者キープが続きタイブレークへ。タイブレークでも拮抗した展開が続いたが3-3で迎えた第7ゲーム、長いラリーで崩されボレーでポイントを奪われると一気に畳み掛けられてファーストセットを落としてしまう。続くセカンドセットでも、一度小林に傾いた流れを引き戻すことはできなかった。第2ゲームでブレークを許すとそのまま1ゲームも取ることができずにゲームセット。上杉は決勝に進むことはできなかった。
◇男子ダブルスSF
○ | 逸﨑凱人・畠山成冴組 | 2{7-6(3),6-1}0 | 齋藤・高村組(早大) |
優勝を目指し早大の齋藤・高村組と顔を合わせた逸﨑・畠山組はこの日も強かった。ファーストセット、両組全く譲らずにすべてのゲームをキープし、タイブレークにと突入した。すると逸﨑・畠山組が勝負強さを見せ始める。畠山のボレーや逸﨑のリターンが早大ペアを翻ろう。3-3の状況からは4ポイント連取でファーストセットを奪う。セカンドセットになるとさらに畳み掛けた。第1ゲームこそキープされたものの、第2ゲームではラブゲームでキープ。第3ゲームは0-40の状況からこの試合初のブレークを奪い、一気に流れを引き寄せる。その後も多彩な攻めで齋藤・高村組を寄せ付けなかった逸﨑・畠山組は1ゲームも奪われることなく6-1で完勝。悲願のインカレ王者獲得の切符を手にした。
(取材・記事 森本凜太郎)
◆試合後コメント
坂井利彰監督
(今大会のチームとしての手応え)
男子ダブルスは決勝に残っていますけど、すごく手応えを感じていますね。まず、予選で負けずにインカレ本戦に出場する選手が例年より多かったと思います。それは我々が目指していたことなので、それをみんなが意識して今までインカレになっていなかった人がインカレになることができました。大会序盤では結構な高い勝率で勝ち上がることができたから、層の厚さが出てきたという意味では収穫の大きい大会だなと思っています。そして、チャンピオンを出すという点に関して、今日は上杉と西田がシングルスで負けてしまいましたが、テニスの内容は負けた選手も含めて良かったと思っています。例えば押野だったらファースト取って4-1リードだったり、西田だったらファースト取って3-0リードから挽回されてもファイナルで勝ったり、またベスト4に入って早大の林と対戦するという経験ができました。上杉も負けてしまったが、サーフェスが彼にとってやりにくかったということとゲームのやり方を変えていけば十分勝てたと思っています。負けた試合の中にも、改善していけばリーグ戦で結果が逆になるんじゃないかと感じたので内容についても手応えを感じています。
(決勝に残った逸崎・畠山組への評価は)
彼らは二年生で一年生から出ているし、このチームのポイントゲッターになってくれている。団体戦で去年結構活躍が目立ったんですけど、今年は個人戦も春関でも二人ともシングルスを頑張った。今回は早めに負けてしまった部分はありますけど、タイトルを取ろうという気持ちが昨日の試合くらいからすごく出ているからものすごくいいんじゃないですかね。(リーグ戦でのポイントと意気込み)
ポイントはダブルスとシングルスの下位だと思います。今回、インカレ選手をたくさん出せたので、オーダーの選択肢が増えたことが大きいです。あとは、みんなの底上げというか下級生の頑張りが大きいので、上級生は責任感を持って引っ張って欲しいし、下級生はフレッシュな気持ちでやることがカギになると思います。僕がすごく大きいなと思っているのは、メンバー以外の部員が勝負に対して敏感になっていることです。現在70人近く部員がいて、勝負所を見極めようということをチームみんなで話していて、リードした場面でどうしっかり取るかという問題意識がチーム全体にある。そこの解決策が見えてきているのかなと。前は、なんで勝てないんだろうというのがあったんですけど、なんでではなくてここをこうすれば勝てるという風にメンバー以外の人も感じられるようになってきています。勝ち方というか方程式のようなものがみんなの中でイメージができていると思うんです。それをリーグ戦で発揮することがカギだと思うし、みんなには意識して欲しいです。
原荘太郎コーチ
(今大会ここまでを振り返って)
まず今回は予選に多くの選手が出場して、特に下級生の選手の結果や内容がよかったことが収穫です。本戦に1、2回戦でもリーグ戦での対戦が予想される選手たちを甲斐(直登)、野田(哲平)、本玉(圭)、中村(進之介)といった今まで団体戦で控えメンバーだった選手が、気持ちの伝わる試合を見せてくれたと感じています。後半は、チャンピオンを懸けた試合が行われて、残っているのは男子ダブルス1本だけですけど、それぞれが収穫や課題が出てきたので、しっかりとリーグ戦に臨みたいなと思っています。
(リーグ戦でのキーポイントは)春の早慶戦でもそうでしたが、今年は下級生が多いので爆発力があると思うのでそこをいかに引き出すか。逸﨑(凱人)・畠山(成冴)なんかは、去年は早慶戦でフルセットやタイブレークで敗れることが多くて、そうしたあと1ゲーム、1ポイントで泣いた選手がその経験を1年生に伝えていくことで、「経験」という差を埋めてくれると思っています。
(明日の決勝で期待する点は)すごく競る試合になると思うので、勝負どころで彼らがどんなプレーをできるか、幾度となく悔しい思いをしてきたと思うので力を出し切ってほしいと思います。
上杉海斗(環3・清風高)
(シングルスでは二年連続で決勝進出を逃したが、今の気持ちは)
素直に悔しい気持ちがあります。昨日も今日からが勝負と言って、去年のリベンジということでもあったんですが、負けてしまって悔しいです。でも、負けは負けなのでそこを受け入れて、次頑張ります。
(ファーストセットはタイブレーク。粘り強く戦えていた印象だが)
我慢するところは我慢するということをできているときはあったんですけど、きついときに我慢しきれなかったところが多くありました。それでファーストセットを落として、セカンドセットはそのまま相手を楽にさせてしまったかなと思います。
(リーグ戦のカギなる点と意気込みを教えてください)
団体戦はダブルスがカギになるかなと思います。そこで上位の僕たちが1としてしっかり取ってくることが大事になると思います。自分自身としては、絶対に自分が1番で出るので、慶應の1として団体戦では全勝して、早大とやるときには多分小林(雅哉)とやるので、リベンジしてリーグ一位をとって王座も勢いに乗れればいいかなと思います。
逸﨑凱人(環2・大阪産業大付属高)・畠山成冴(環2・湘南工科大付属高)
(試合を振り返って)
逸﨑:準決勝で最初は緊張していたんですけど、自分たちがしっかり声を出して一番盛り上がっているペアだと見せつけるくらい声を出すことを意識してやったら、すごくいいプレーができたので良かったです。
畠山:ファーストはシーソーゲームで、タイブレークまでもつれたんですけど、最後は自分たちが強気で攻めたりとか、足を動かして勢いよくねじ込んだりすることができたのが、ファーストセットをしっかり取ることができた要因だと思っていて、セカンドも決めきるところだったり相手をつぶしきるところまで2人でコミュニケーションを取ってできたので良かったと思います。
(第1セットのシーソーゲームと第2の6-1では何が変わったか)
逸﨑:第1セットはブレークできるポイントは結構あったんですけど、そこで相手のいいプレーとか自分たちのミスで最後にはタイブレークに行っちゃったっていう感じでした。第2セットはそこが1ポイントで取り切れて、自分たちの集中力を1つ上げることで、簡単なスコアで抑えることができたと思います。
畠山:セカンドセットで、相手が気持ち的に落ち込んでいるのが見えたので、より1つギアを上げて、強気で行くことができたのがセカンドで6-1になった原因かなと思います。
(インカレ決勝進出となったが自信を深める手応えになっているのでは)
逸﨑:今は自分たちがいいプレーをしてけっこういい勝ち上がりをしていると思うので、決勝に来ていることを自信にして、明日の試合とか王座までしっかり頑張っていきたいと思います。
畠山:去年から逸﨑とは団体でも個人でも組んでいるんですけど、しっかり実力を出して決勝まで来たと思うので、明日が最終日なのでもう1回やることをやれば勝てると思うので、しっかりと試合に入っていきたいと思います。