前節、待望の後期初勝利を挙げた慶大。連勝を飾るべく難敵・専大との一戦に臨んだが、早々にセットプレーから失点してしまう。しかし徐々に相手を押し込み始めると、前半終了間際に近藤貫太(総1・愛媛FC)のクロスから相手のオウンゴールで試合を振り出しに。後半、降り続く大雨でピッチのいたるところに水たまりができ、選手は思うようにプレーできない。62分には左サイドを破られ勝ち越しを許すが、そのわずか4分後に豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)がFKを打点の高いヘディングで叩き込み再び同点。その後慶大に再三逆転のチャンスが訪れるが、3点目を奪うには至らず。連勝とはならなかった。
第90回関東大学サッカーリーグ戦 第15節
2016/09/24(土)11:30KO@茨城県立カシマサッカースタジアム
慶應義塾大学2-2専修大学
【得点者(アシスト者)】
〔慶〕45+2分 オウンゴール、66分 豊川功治(井上大)
〔専〕14分 中杉雄貴(氣田亮真)、62分 下田悠哉(佐藤遵樹)
◇慶大出場選手
GK上田朝都(総1・横浜F・マリノスユース) |
DF佐藤海徳(政1・桐光学園高) |
DF望月大知(環4・静岡学園高) |
DF豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18) |
DF井上大(総4・國學院久我山高) |
MF近藤貫太(総1・愛媛FC) |
MF宮地元貴 (総4・東京ヴェルディユース) |
MF手塚朋克(環3・静岡学園高)→80分 溝渕雄志(環4・流通経済大学付属柏高) |
MF松木駿之介(総2・青森山田高) |
FW渡辺夏彦(総3・國學院久我山高)→56分 田中健太(法3・横浜F・マリノスユース) |
FW池田豊史貴(総3・浅野高)→ 46分 山本哲平(政4・國學院久我山高) |
前節、第3節以来の完封勝利で慶大は待望の後期初勝利を挙げた。難敵・専大を下して勢いを加速させたいところだ。慶大は手塚朋克(環3・静岡学園高)が右サイドハーフに復帰。そのポジションを務めていた近藤を「思い切って」(須田監督)ダブルボランチの一角に配置した。その類まれなセンスで、攻守のバランスにおける「攻」の部分をけん引することが求められる。
立ち上がりまず圧力をかけてきたのは専大。両サイドからドリブルで慶大守備陣を切り裂こうとする。慶大も7分に中盤で宮地元貴 (総4・東京ヴェルディユース)が相手からボールを奪うと前線の渡辺夏彦(総3・國學院久我山高)へ。左サイドでボールを持った渡辺は池田豊史貴(総3・浅野高)を狙うがうまく合わず。開始10分は試合開始直前に降り始めた雨の影響からかどっちつかずの展開に。しかし14分、相手に続けてCKを与えると3本目の左CKをニアサイドで合わせられ先制を許す。ここから雨はさらに強くなっていった。すぐに追いつきたい慶大は18分、近藤が右サイドの手塚にスルーパス。受けた手塚が切り込んでシュートを放つも相手GKに弾かれる。そのこぼれ球を拾った松木から最後は近藤がミドルシュートを放つも、これは相手GKの正面を突いてしまう。引いて守る専大のカウンター攻撃に手を焼く場面が見られるも、近藤や手塚を中心に徐々に相手を押し込んでいく。27分にも手塚が右サイドを突破すると最後はクロスに逆サイドで待っていた松木駿之介(総2・青森山田高)が直接合わせるがこれも枠を捉えず。このまま1点ビハインドで前半を終えるかと思われたアディショナルタイム2分、近藤の芸術的なクロスに松木が飛び込むとこれが相手のオウンゴールとなり、慶大が前半ラストプレーで試合を振り出しに戻した。
ハーフタイム中、ピッチは土砂降りに見舞われる。後半開始時にはピッチのいたるところに水たまりができていた。そんな中、池田に代わって送り出されたのはエース・山本哲平(政4・國學院久我山高)。一気にたたみかけたい。しかしボールが止まってしまう最悪のピッチコンディションゆえ、慶大のみならず専大もまともにパスすることすらままならない。
パスで崩すサッカーが無理と判断するや否や、慶大ベンチは渡辺に代えて田中健太(法3・横浜F・マリノスユース)を投入。ロングボール主体の割り切ったサッカーで打開を図る。しかし次の1点は専大に生まれてしまう。62分、再三狙われていた左サイドから早いクロスを入れられると最後はニアで合わせられ再び追いかける展開に。直後の66分、慶大は右サイドでFKを獲得。井上大(総4・國學院久我山高)がゴール前に蹴り込むと、打点の高いヘディングで豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)が叩き込みすぐさま同点に追いついた。逆転ゴールへ、慶大応援席からの大きな声援がカシマに鳴り響く。78分、83分と近藤、山本がミドルシュートを放つが枠を捉えられず。試合終了間際にはゴール前に上がってきた宮地が強烈なシュートを放ったが相手GKが好セーブ。そのまま勝ち越しゴールを奪うには至らず引き分けで試合終了。連勝とはならなかった。
攻撃面では、ロングボール主体のサッカーに切り替えざるを得なかったことを考慮すれば、次節に向けて仕切り直しといったところか。一方の守備面では、セットプレーの対応とサイド攻撃の対応という課題を再び露呈する結果となってしまった。次節の対戦相手である駒大にも前期の対戦でセットプレーから2失点を喫している。須田監督が「失点が多すぎる」と苦言を呈した守備面をもう一度見つめ直し、勝利で再び勢いを取り戻したい。
(記事 小林将平)
試合後コメント
須田芳正監督
(今日の試合を振り返って)やっぱり2失点というのが問題ですね。2失点取られちゃうとなかなか勝てないと思う。3点取るのは大変だし。まず我々は失点が多すぎると思います。もちろん2回先行されて追いついたというのは評価できるんだけれども、もうちょっと安定して戦わないとおそらく勝ち点は積み上げていけないと思いますね。 全体としてはちょっとふわっという感じですね、みんな一生懸命やっているんだけどチームとして締まりがないんで、ああいうセットプレーだったり、もう3回連続だからちょっとそこのところは集中しないと。身長だけではないけど、こっちの方が大きいわけだし。そういうところの失点というのはこういうゲームになっちゃうかなと思いますね。(近藤選手をボランチで起用した狙いは)チームとしてボランチのところがここ3試合課題で、バランスの悪さとそこからのパスがあまりにも・・・。基本的には守備というところをベースに置いているんでダブルボランチは守備的な選手を置いているんだけれども、だからと言ってもう守備だけってなっちゃうと相手にそれこそ押される場面が増えてあまりにこちらがボールを持って攻撃するという形が作れないんで。ちょっと前から貫太がこれからもう一歩レベルアップするには前のポジションではそんなすごいスピードもないし活きるのはボランチかなと思っていたんで、ちょっと思い切って練習は2,3日しかやってなかったんだけれども本番で使ってみようかなということで。良いプレーをしたんじゃないかなと思いますね、あそこからボールを持てるしボールも収まるし、そうすると全体的な押上げで、まあこういうグラウンドになっちゃったんでね、彼の良さが後半は出なかったんだけれども、良くやったんじゃないかなと思います。(ピッチコンディションの影響で当初のプラン通りいかなかったと思うが割り切った戦い方ができていたのでは)もう割り切ってね、ああいう状況になって水たまりもできている状況だったんで相手陣内でやるというのも鉄則だし、どれだけペナの中にその中でもボールが入る人が入るというところがポイントだったんで。だからちょっと交代した田中健太がそういった状況の中でもゲームの入り方が悪かったかな。2失点目も彼が前で頑張ってくれればあの失点は無かったと思うし、そういった意味ではもうちょっと状況にあったプレーとか入り方とか、途中から入る選手は特にね、そういったプレーはもうちょっとサッカーを勉強しなきゃいけないんじゃないかなと思いますね。(勝ち切れなかったという印象の方が強いか)まあ失点が多いのとあとはやっぱり勝ち切れない、そういう部分かな。
宮地元貴主将(総4・東京ヴェルディユース)
(今日の試合を振り返って)やっぱり自分たちが失点をしないというサッカーをする中で先制されて追いついた中でまた取られてというのは、最終的に2点取れて追いつけましたけどチームとしては良い試合ではなかったかなと。最低限の結果ですけど、良い試合ではなかったかなと思いますね。(セットプレーからの失点とサイドからの失点という今季目立つ形での失点になってしまったがどう対処していこうと考えているか)練習から人に強く行くというところは言っているんですけど、自分含め全体的にチームとしてそれが足りてないから失点しているんだと思いますし、セットプレーの守備のところではただゾーンにいるだけじゃなくてボールに行くというところだったり、サイドからの失点のところは人に強く行く、アプローチを早く寄せるというところを、もう一回そういう基本的なところから練習から詰めていきたいと思います。(途中から完全にボールが止まってしまうような悪いピッチコンディションだったが割り切って戦えていたのでは)結構今週ずっと悪天候の中での練習も多かったんで、実際にグラウンドもそういう状態で練習していたんである程度みんなでイメージはできていたと思うんですけど、チャンスも多かった分そこで決めきらないといけなかったですね。(宮地選手をはじめ4年生がかなり闘っていたが)もうそこはベースの部分だし、前節は4年生が中心になって引っ張れたからチームも勝てたと思うんですけど、闘えているというのはベースでそこから失点を減らさないといけないし結果にこだわっていかないといけないし、闘えていて良い試合だったけど勝てなかったというのは自分たちが目指すサッカーではないので。1試合1試合もっと結果にこだわってやっていかないといけないと思います。(次の試合に向けて意気込みを)次の相手が駒大ということで、前期は自分たちが優位に進めていた中で引き分けという形になってしまったので、後期こそは必ず勝つためにもう一回自分たちの課題と向き合ってこの1週間取り組んでいきたいと思います。
上田朝都(総1・横浜F・マリノスユース)
(今日の試合を振り返って)チームとしては勝ちたいという思いで戦って引き分けだったので、残念でした。ピッチが悪い状況のわりには上手く順応してできたんじゃないかなと思います。(ピッチが悪い中、どういう声かけや指示を意識したか)つなごうとしてボールが止まっちゃって引っかかるというのは嫌だったので、はっきりプレーするようにという声は後ろから出していました。あとは、何があるかわからないのでチャレンジ&カバーの意識を持たせるようにはしました。(2失点とも違う形ながら、ニアで合わされたものだったが振り返って)一つ目のセットプレーは3回くらいCKが続いて、やられてしまったのはもったいないと思います。あの後にポジションを変えたので、やられる前に変えられれば良かったと思います。二つ目はクロスボールでした。ニアはこっち側も一番決めたい場所なので、マークをしっかり付かせるなり、クロスに行かせるなりというのは意識しないと、ああいう失点が多いので直していかなければいけないと思います。(次節に向けて)今は上も下も結構つまっている状況なので、食らいついていくという意味でも下から逃げるという意味でも、勝って勝ち点を積み重ねていきたいです。
豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)
(得点を振り返って)ああいうピッチ、天気だったので、セットプレーがカギになることは(宮地)元貴や望月を含めて思っていました。直前の失点は自分が絡んでいて、何とか取り返したいと思っていたので、良いボールが来たので入ってよかったと思います。(早々に点を取られたがゲームプランは)しっかりと0で前半をやり切って、チャンスをモノにして勝つというのがチームとしてやっていることだったので、前期から課題として取り組んできたセットプレーでやられてしまったのでプランは崩れてしまったと思います。でも前半終了間際に前線の選手が頑張って追い付いてくれたのは良かったと思います。(失点について)自分の背後からくる選手を確認するのが遅れてしまって、自分の裏を取られてしまったので、ポジショニングについて反省しています。(ピッチコンディションについて)後半に入ったときはもう水がたまっていた状態だったので、無理にパスをつながないではっきりとプレーしてセカンドを狙うということを円陣で確認しました。(次節に向けて)向こうのサッカーは徹底して大きい選手に蹴ってくるサッカーなので、競り合いのところは自分も望月も宮地も得意としているところなので、そこを負けないということをテーマに掲げて今週1週間しっかりと準備して、失点0にできるようにやっていきたいと思います。
近藤貫太(総1・愛媛FC)
(今日の試合を振り返って)勝ち点3を取れなかった。そういうことでした。(ピッチが悪かったがどのようなことを考えてプレーしたか)後半は見ての通りあのような状況だったので、はっきりとしたプレーを心がけました。(ボランチとしての出場だったがこの試合の自身の役割は)自分のところでリズムを作ることと、攻撃のスタートは自分のところからだと思っていたので、そこが自分の役割だと思っていました。(次節へ向けて)自分たちがやることは変わらないので、スタッフや仲間を信じてやってきたいと思います。
佐藤海徳(政1・桐光学園高)
(今日の試合を振り返って)チャンスは多かったのですが、2失点というのが勝てなかった大きな要因だと思います。自分はディフェンスという中で、もっと注意深く90分間やることができれば無失点でいけることができたと思います。 (ピッチが悪い中でどのようなことを考えてプレーしたか)変にボール持ったりして、自分がプレーできないとなると、相手に寄せられて押し込まれると思ったので、相手の裏にボールを蹴ることをはっきりとやろうと思いました。(復帰した溝渕選手と自身とを比べて)ミゾくん(溝渕)の方が機動力があります。そこよりも僕はポジショニングを大事にして、相手よりも先にボールに触るとか、先に動くということをもっと90分間を通してやっていければいいと思います。(次節に向けて)次節も試合に出るために練習から頑張っていかなければならないし、相手は駒沢大学なのでどんな試合展開になるかわからないのですが、とりあえず無失点で勝てるように頑張りたいです。