【野球】力の差見せつけられた伝説の一戦 明治神宮外苑創建90年記念奉納試合

11月5日(土)明治神宮外苑創建90年記念奉納試合

慶大ユニを着るつば九郎

慶大ユニを着るつば九郎

明治神宮外苑は大正15年10月22日に創建され、本年で90年目の年を迎えた。その節目の時に、10年ぶりとなる東京六大学野球連盟所属選抜選手と東京ヤクルトスワローズ選手の試合が開催。先発・星(明大)が好投するも、続く投手がヤクルトの選手達に連打を浴びプロの洗礼を受けた六大学。未来のNPB選手とベテランスワローズ選手のドリームマッチに多くの観客が神宮球場へと詰め掛けた。

 

ヤクルト

12

15

六大学

ヤクルト:石山、○原、岩橋、平井、村中―中村、西田

六大学:星、小島、●澤田、竹内、柳、三木、田村、加藤―小藤、郡司

 

◆六大学出場選手

 

ポジション

選手名(学年・出身高校)

[4]

吉田大成(明大4・佼成学園)

 

小林満平(法大2・中京大中京)

[8]

下雅意拓哉(東大4・甲陽学院)

 

H5

沓掛祥和(商4・慶應義塾)

[9]

佐藤拓也(立大4・浦和学院)

 

田中和基(立大4・西南学院)

    [3]

山本瑛大(商4・South Torrance)

 

         78

佐藤竜彦(立大4・國學院久我山)

 

田口耕蔵(東大3・西大和学園)

[6]

石井一成(早大4・作新学院)

[D]

中山翔太(法大2・履正社)

[7]

大西千洋(法大2・阪南大)

 

H3

柴田圭輝(法大4・東邦)

[2]

小藤翼(早大1・日大三)

 

郡司裕也(環1・仙台育英)

[5]

渡辺佳明(明大2・横浜)

 

H7

岩見雅紀(総3・比叡山)

 
この日の選抜メンバー集合写真

この日の選抜メンバー集合写真

それまでの寒空と打って変わって小春日和となった土曜日。雲ひとつない満員の神宮球場で明治神宮外苑の創建90周年を記念する奉納試合が行われた。国歌斉唱にさだまさし、始球式に青木宣親(現・MLB)と豪華ゲストを迎え入れ試合は始まった。六大学先発はヤクルトからドラフト2位指名を受けた星知弥(明大)。数ヶ月後にはチームメイトとなる相手にドラフト2位の名を恥じぬ上々の立ち上がりを見せる。先頭の法大出身で今季プロ入り初となったグランドスラムを放った西浦をスライダーで三振に打ち取る。ランナーを1人許したものの味方の好守もあり、打者3人で初回を終える。2回はファン注目のヤクルトの強打者、山田との対戦から始まった。自慢のストレートで山田から三振を奪うとスタンドは大きく沸き、続くバッターも凡打に終わり三者凡退で要所を締めた。

試合前にハイタッチを交わす山本瑛と加藤拓

試合前にハイタッチを交わす山本瑛と加藤拓

好投する星に反して攻撃面では初回、ヤクルト先発の石山を前に六大学はランナーを1人も出すことができない。続く2回では、その回先頭の慶大誇るスラッガー、山本瑛大(商4)がセンター前で出塁。今春にリーグ戦デビューを果たし、秋には3本塁打を放った2年生、中山翔太(法大)がフェンス直撃の痛烈な2塁打で1死二、三塁のチャンスを作ったが、続く打者が続けて三振。好機をものにすることができなかった。

試合が動いたのは4回。オリックスから8位指名を受けた立大・澤田圭佑がマウンドへ。先頭こそは中飛に打ち取ったものの、2番上田が右前安打で出塁すると続く打者が連打を放つ。1死一、三塁で迎えた山田に先制打を打たれる。その後もヤクルト打線は鎮まることなく3失点。そこで迎えたのが、10年前の奉納試合では法大の代表として本塁打を放った大引。奉納試合の主役は自分だと言わんばかりの大きな弧を描いた打球はポール際ぎりぎりでスタンドへ入りこの日唯一のスリーランとなった。その裏、ヤクルトはルーキーの原が継投へ。六大学の攻撃は、2死走者なしで打席に入った中山がこの回にも中堅手を超える大きな当たりで一気に二塁まで向かう。続くバッターは法大・大西千洋に代わり同じく法大の柴田圭輝。柴田の打球はバットを折りながらも三遊間を抜けるレフトへのタイムリーヒットとなり、この試合唯一の得点となった。

ヒットを放った山本瑛

ヒットを放った山本瑛

6回には今年の大学ナンバーワン投手と言われた柳裕也(明大)がマウンドへ。中日ドラフト1位指名を受けた柳は未来の対戦相手を前に先頭打者を四球で出すと、5回に代打で出場した沓掛祥和(商4)のエラーで1点を奪われる。その後、六大学の攻撃は単打こそあるものの得点には繋がらない。試合は8回にまた動きを見せる。ピッチャーは西武から6位指名を受けた田村伊知郎(立大)。ヤクルトの先頭川端が安打で出塁すると、続く山田に四球を与えてしまう。その後打線は繋がり、この回も4失点という痛手を受けた。

未来のライバルに闘志を燃やす加藤拓

未来のライバルに闘志を燃やす加藤拓

迎えた最終回、マウンドには広島1位指名の慶大の絶対的エース加藤拓也(政4)が向かった。先頭の渡辺に特大の三塁打を打たれると、1死三塁で迎えた年下の奥村にも同じく三塁打を放たれる。早々に1点を失ったが、その後は持ち直し凡打に抑える。11点差を背負ったその裏、2死から中山、柴田の連続打でチャンスメイクするもののラストバッターの郡司裕也(環1)が三振に打ち取られ試合終了。1−12と六大学選抜はプロの洗礼を浴びた。今日のこの経験は、これからプロ野球界に挑戦する者もそうじゃない者にとっても貴重な経験となっただろう。プロ野球選手との力の差を、身を以て感じた彼らが来年からの野球界でどんな活躍を見せてくれるのか期待だ。10年後の創建100周年となる奉納試合で、今神宮で活躍している六大学選手らをまた観られることを待ち望んでいる。今日をもって4年生は引退。今日出た下級生の目には来年からの活躍が映っているように見えた。来年の東京六大学野球も大いに盛り上がるに違いない。

最後の慶大ユニとなった沓掛

最後の慶大ユニとなった沓掛

記事:千綿加華

 

◆打撃成績

 

 

[4]

吉田

一ゴロ

 

二ゴロ

 

中安

 

 

 

 

小林

 

 

 

 

 

 

 

二ゴロ

 

[8]

下雅意

空三振

 

右安

 

 

 

 

 

 

H5

沓掛

 

 

 

 

中飛

 

 

空三振

 

[9]

佐藤拓

一直

 

見三振

 

二ゴロ

 

 

空三振

 

田中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[3]

山本

 

中安

 

投ゴロ

 

 

 

 

 

78

佐藤竜

 

 

 

 

 

一ゴロ

 

 

 

田口

 

 

 

 

 

 

 

 

三ゴロ

[6]

石井

 

中飛

 

中飛

 

右安

 

 

左飛

[D]

中山

 

左中2

 

左中2

 

三併殺打

 

 

二安

[7]

大西

 

空三振

 

 

 

 

 

 

 

H3

柴田

 

 

 

左安①

 

 

一ゴロ

 

右安

[2]

小藤

 

空三振

 

二ゴロ

 

 

 

 

 

郡司

 

 

 

 

 

 

遊ゴロ

 

見三振

[5]

渡辺

 

 

空三振

 

 

 

 

 

 

H7

岩見

 

 

 

 

一邪飛

 

三ゴロ

 

 

 

◆投手成績

 

投球回数

打者数

球数

安打

三振

四死球

失点

自責

星(明4)

18

小島(早2)

14

澤田(立4)

01/3

25

竹内(早4)

12/3

29

柳(明4)

19

三木(東4)

12

田村(立4)

30

加藤(政4)

23

  • 監督・選手コメント

加藤拓也(政4)

今日は基本的にはストレート主体でいこうと思っていた。試合前から9回に投げるということは伝えられていたので、それに合わせて準備した。プロの応援は、六大学とはまた違う雰囲気だった。来年以降戦う上で、相手(ヤクルト)の雰囲気や応援の雰囲気なども感じられた。ストライクゾーンで勝負していけたことは良かった。いろんな選手がいる中で、みんなと楽しんでやれた。澤田投手(立大)や竹内投手(早大)などとも多く会話できた。先頭バッターに粘られていたときは、ヒットでもいいから早く前に飛んでほしいなと思っていた。ある程度自分の球を投げることができれば、ボコボコに打たれることはないし、通用するとは思っている。まずは一シーズン戦っていく中で、万全の体調で臨むことが重要だと思うので、そういう部分をしっかりとしていきたい。比較的自由に自主性を任せられてやらせてもらったので、そういった部分で成長できた4年間だった。最後にリーグ戦とは違った形で慶應のユニホームを着られたことはとてもありがたい。

 

山本瑛大(商4)

あれだけ人が入って試合するのは2年春の早慶戦以来だと思う。意外と緊張せず自分のプレーができたと思う。(ヒットは)初球から振っていくしかないと思って真っ直ぐがきたので振った。オランダやオールスターから他大学の選手との連携プレーはやっている。みんな仲が良いし、慣れていたので問題なかった。他大学の選手の中では中山君(法大)とかは初めてで、バッティングの話とかできて楽しかった。今日で選手として最後だが、こんなすごい舞台に立たせていただいて感謝の気持ち。最後満足がいくバッティングができてよかった。僕の最後の代では優勝ができなかったので来年再来年、それからも頑張ってほしい。

 

沓掛祥和(商4)

全然良いところを見せられなかった。プロ野球選手のすごさを肌で感じた。オーラが全然違った。高校、大学と7年間慶應の野球部としてやってきて最後自分らしいプレーができないのが逆に僕らしいのかなと思う。高校時代も最後全然打てなくて守れなくて終わって、大学でも同じだったからこれから社会人に行ったら次こそは有終の美を飾れるように頑張りたい。できれば社会人の後もプロ野球に挑戦したいが、社会人を頑張るのが先。慶應大学は他の大学よりも選手がイキイキと自由にできる場所。今日の六大学選抜で改めて感じた。いい意味で自分勝手にやらせてもらえて大久保監督には感謝している。慶應の伝統は良いなと改めて感じた。慶應義塾に感謝を伝えたい。

 

岩見雅紀(総3)

今日はすごい試合だったと思う。打てなくて残念だった。他の野手との連携は問題なくできたが、1回少しミスしてしまった。ヤクルトの選手たちは、やはりプロで、みんなすごかった。六大学のメンバーとは、何回も顔を合わせている人たちばかりなので、とても楽しく、試合自体は楽しめたと思う。今季は離脱もあったので、来季は離脱しないように、本当にチームの中心になっていかないといけないと思うので、頑張りたいと思う。

 

郡司裕也(環1)

今日はオールスターのような気分で楽しんだ。(プロの投手と対戦してみて)秋吉さんは、まず打てないなと思った。(柳投手の球を受けてみて)すごく楽しかった。試合が作れるピッチャーで、やはりプロに行く選手だなと思う。(将来はプロに)まだまだ。もっともっと練習してそのレベルにいけるようにしたい。(ベンチでは誰と話を)全然声をかけられなかった。周りがほとんど4年生だったので。1年生は僕と小藤しかいなくて。(どんな話をしましたか)これから4年間一緒に戦っていくライバルなので今日は取りあえず仲良くなりました(笑)初めてしゃべった。(印象は)穏やかな感じでいいやつ。

 

山木優佑(政4)

4年間慶大野球部で仕事ができて感無量。早慶戦で勝てたことが僕の仲で最高の思い出。最後は涙が止まらなかった。今日もこうやってヤクルトさんと試合ができて、運営という立場で携われて、素晴らしい場所で4年間の最後を迎えられた、というのが感想。今までの4年間、苦しいことも楽しいこともこの神宮球場という舞台を目指してやってきたところはあるので、今日これでそれも終わりを迎えるということには色々と感慨深いものがある。まあ、来年以降も神宮球場には遊びに来ようと思う。僕にとって故郷みたいな感じです(笑)応援指導部、ファンの皆様、そして、野球部の同期、先輩後輩、大久保監督、林助監督、コーチの方々、全員のおかげでこの4年間僕がマネージャーとして最後までやり遂げられたと思う。皆さんに感謝したい。ありがとうございます。

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