中田幸太郎主将(経4)が率いる第127期慶大端艇部のスローガン、「日本最速」。早慶レガッタ5連覇という華々しいスタートを飾ったが、その後は最速と語るには厳しいシーズンとなった。10月に開催された全日本大学選手権大会では、男子エイトは4位。メダルすら奪えなかった。しかし、それから1ヶ月。さらに漕ぎの技術を徹底的に鍛え上げてきた。集大成の漕ぎを見せるべく、着手したのが「強い姿勢で漕ぐこと」(中田)。日本最速へのラストチャンス。火蓋は今ここに切られた。
【M8+】使用艇:FCXXV
C:小原孝明(政4)
S:田中将賢(法4)
7:高田直人(総3)
6:笹岡裕之(政3)
5:中田幸太郎(経4)
4:新井勇大(経1)
3:内田優志(政3)
2:寺坂僚太(経3)
B:北原敬梧(法3)
| 500m | 1000m | 1500m | 2000m | 着順 | 結果 |
予選B組 | 1:27.45 | 2:59.32 | 4:32.14 | 6:07.94 | 1着 | 準決へ |
準決B組 | 1:31.35 | 3:05.61 | 4:42.35 | 6:19.79 | 4着 | 順位決定へ |
決勝 | 1:26.29 | 2:58.01 | 4:33.21 | 6:06.48 | 1着 | 5位入賞 |
大会初日の予選から風が強く吹き抜け、波乱を予感させた。しかし、圧倒的な練習量を誇る慶大端艇部。レースプラン通りの圧巻の漕ぎを見せ、1着でフィニッシュ。2010年以来の準決勝へ進出を決めた。この結果により、大会2日目に行われる敗者復活戦が免除された。よって、1レース分体力の消耗を抑える事が出来る。しかし、コックスの小原孝明(政4)には「インカレで敗者復活戦にまわった経験から、敗者復活戦上がりのクルーがどれだけ成長してくるかということは僕らが一番分かっている」と僅かな油断も無かった。そして大会3日目、大一番の準決勝がスタート。このレースを2位以内でフィニッシュすると、日本最速を決める舞台である決勝に進出できる。しかし以前からの課題であるスタートで出遅れる。「後手にまわったレース」(中田)だった。スタートで出遅れた差を最後まで詰められず、準決勝ではまさかの4着となった。
しかし、まだ大会は終わっていない。5位から8位までを決定する順位決定戦にまわった慶大。中田をはじめ小原、田中将賢(法4)ら4年生にとってこれがラストレースとなる。「準決勝のレース後にスタートで出るために、技術の部分をもう一度全員で見直そうと提案した」(高田直人・総3)。4年生に最高の結果を残してあげたい。3年生クルー達は誰よりもそう思っていた。そして全員が諦めることなくタイム1位を狙っていった。ついに号砲が鳴る。会心のスタートがきまった。「最初の1000mで死んでもいいと思った」(中田)。その後も他艇を全く寄せ付けない圧巻の漕ぎで、準決勝では先行された中部電力を下し、1着でフィニッシュ。5位入賞となった。コックスの小原は「4年間で最高のレース」と喜びを爆発させた。
順位決定戦を寺坂僚太(経3)は「慶大の殻を突き破る事が出来た」レースだったと振り返る。「準決勝まで進むとクルーも格上で、自分達は経験もまだ浅い。インカレでも決勝に行くことで満足していたから戦えなかった。相手のミスを待っていても勝てないので、自分達の攻めに行く姿勢が大事だと感じた」(小原)。全日本選手権の最終日まで漕ぐ事ができる男子エイトクルーは僅かに8。日本最速のクルーを決める本大会の最終日という大舞台で感じた、確かな手応え。本大会で培われた経験は間違いなく財産となる。慶大端艇部は「勝利の経験値が少ないので勝ち慣れていかないといけない」(北原敬梧・法3)。順位決定戦を1着でフィニッシュしたことは日本最速を目指す慶大端艇部にとっての最初の一歩となったことは間違いない。大舞台でも練習通り、そしてレースでは120%の力を出し切ること。それが日本最速になる為に必要なのだと部員全員が身に染みて感じたことだろう。
本大会をもって4年生は引退となる。男子エイトの4年生クルーは3名。一見少ないが、存在感はとてつもなく大きい。「4年生がいなくなったらどうなるのか想像出来ない」と高田。「4年生に引っ張ってもらえて、本当に感謝の一言」と笹岡。特に慶大端艇部を一手にまとめてきた中田主将の存在感は格別だ。男子エイトクルーだけでなく、全てのクルーが尊敬し、憧れる存在だ。「慶大端艇部を代表する選手」(北原)。「中田さんに全幅の信頼を寄せている」(高田)。「私生活もボートも全て完璧」(笹岡)と賛辞を挙げればキリがない。しかし、そんな中田も自分以外のクルーのことまで考えるようになったのはつい最近だという。「大学に入って年を重ねるにつれて、自分が上手くなるのは当たり前で、それをどうやって周りに伝えていくか考えるようになった」と自身で振り返った。圧倒的なボートに対する知識と経験。それに加えて後輩思いな主将。後輩の意見も良いものは取り入れる。部員にとって近い存在である事が中田の魅力の1つだ。一方、4年生は後輩に対して、「僕らを踏み台にして欲しい」(小原)、「128期のやり方で日本最速を勝ち取ってもらいたい」(中田)とエールを送った。
第128期主将には「神のような存在」と中田主将を語る内田優志(政3)が就任した。慶應志木高時代から中田の背中を追い続けてきた内田は、これからの1年を「チーム力全体を上げていきたい」と語る。慶大端艇部はもはや、大会の決勝に進出することが目標ではない。あくまで日本最速。決勝の舞台をどのクルーよりも早く駆け抜けることだ。さらに、それは対校エイトだけではない。全クルーが決勝に進出し、先頭を駆け抜けることこそが、第128期なりの、日本最速へのアプローチとなる。
(記事・高橋廉太朗)
以下、選手コメント
中田幸太郎(経4)
(予選の漕ぎは)しっかりと自分たちのやりたい事を決めて、アップからレースまでやり遂げようと思っていて、それが体現できたのがとても良かった。でもまだタイム的に慶大よりも良いクルーがいるので、準決勝では詰めたいと思います。
(やりたい事、というのは)主に漕ぎのことで、しっかりと強い姿勢で漕ぐことです。自分たちが強く漕げるところだけを最大限漕ぐことを意識していました。大体いつもアップでは重心が上がってきて肩や腕に力が入ってしまって、レースで出来なかったり、アップでは出来ていたのにレースで出来なかったりと苦労していました。それを予選でもずっと意識していて、良い方向に向かったのかなと思います。全員でこの意識を共有出来たことが良かったと思います。
(インカレから全日本まで意識したことは)インカレから考えていることは変わってないです。強い姿勢で漕ぐことの精度を高めることを意識してやっていました。脚、体幹でオールを引いてきて全員で漕ぎきることにフォーカスしてやっていました。
(慶應志木高、大学で主将を務めてきましたが、ボート人生を振り返ると)正直志木高のときは何も考えていなくて、チームのことも考えていませんでした。自分が上手くなって、エルゴを出せばいいと思っていましたが、大学に入って年を重ねるにつれて自分が上手くなるのは当たり前で、それをまわりにいかに伝えていくのかというのを考えるようになりました。エイトでは漕手8人の意識が共通していないと前には進まないので、まずは小さいクルー単位から自分のボートの考え方を伝えていって、それをさらに他のクルーや部全体に伝えていくというのが大切だなと思ってきました。主将になる前は自分だけで完結してしまっていたのですが、4年になって早慶戦、インカレを経て変わってきました。それが広がっていって全日本で発揮できれば良いなと思います。それがエイトだけでなく慶應全体で出れば良いなと思います。
(主将を経験出来て良かったですか?)そんな大変ではなく、楽しかったです。みんなが色々やってくれたので。
(印象に残るのは)今年の早慶戦ですかね。最高学年になって初めての大きな試合で、クルーの体調が良くないといった色々なことがありました。でも、最高学年はそんなことを言い訳に出来ないので、それ込みで勝ちにいかないといけなかったところは苦労しました。でも、1つ1つ積み重ねていく感じがとても楽しかったです。前の主将もその前の主将もこんな感じで勝ちを考えていたのかなというのがはっきり分かりました。下の学年だった頃は先を見据えていないというか、その日その日の練習を頑張ってやり切るというのを考えていましたが、クルー全体のことを考えて試合までにこうなっていたいから、それから逆算して今はこういう練習をしようと考えるようになって勉強になりました。
(残すところあと2試合になりました)あんまり実感はないです。とりあえず決勝Aにいって、そこからは自分たちの一番早い艇速を出せれば良いなと思います。
(準決勝と順位決定戦を振り返って)正直何も出来なくて、後手にまわったなというレースでした。でも、準決勝のレース後に最後のレースはこうしていこうとみんなで決めて、それが発揮出来たのが順位決定戦だったのかなと思います。最後のレースが1着でフィニッシュできたのは本当に良かったなと思います。
(準決勝から特に意識を変えたことは)最初の300〜500mで他艇に離されてしまうことが多かったので、最初の6本でもっとキレを出そうと考えていました。少し荒々しくてももっとオールにぶら下がることをエルゴで確認していました。それから夜と朝に乗艇し、確認したらアップの時には形になっていて、それを形に出来て良かったです。そこの意識を一番変えました。準決勝のレース後はみんな本当に悔しかったと思うし、僕も決勝Aに行けなくなって本当に悔しかった。でも、準決勝から次のレースに向けての切り替えが全員早くて、そこが良かったと思います。クルーの精神的な成長よりも漕ぎの技術の部分で何かを1人ひとりが掴んだというところが大きいのかなと思います。それは僕が引退した来年にも繋がっていくと思います。
(最後のレースは笑顔で終えました)もちろん最後は全クルーの中でタイム1位を狙いにいったのですが、大きく意識的に変えていったところもありました。最初の500〜1000mで疲れ果てて死んでもいいと思っていて、ある程度はその狙い通りでした。
(悔いはない)まだまだ僕のボート人生的には漕ぎたいというのがありますが、後輩がこれからもっと盛り上げてくれるだろうなと思えたので悔いはないかなと思います。
(後輩にメッセージ)128期の目指し方で日本最速を目指して欲しいなと思います。すごくいい代だから絶対出来ると思うし、僕らの代で良いなと思ったことは引き続きやってもらって、良くないなと思ったらどんどん変えていって欲しいし、128期のやり方で日本最速を勝ち取ってもらいたいです。
(最終レースが一番印象に残るレースになりましたか)なりました!!
小原孝明(政4)
(全日本への意気込み)長かった合宿所生活も終わりなので、今までやってきたことを出し尽くして後輩に繋げていきたいです。対校エイトには4年生が3人乗っていますが、もう悔いはないよねって言い合えるような大会にしたいです。
(そのような4年生の想いは共有していますか?)僕ら4年生はシャイな人が多くて直接話すことはしていませんが、全員思いは一緒なのかなと思います。特に対校エイトの3人は夏からずっと同じ船に乗っているのでお互いが自分も出し切って、あいつも出し切ってくれているという信頼関係は築いているかなと思います。
(予選を振り返ると)コンディションが難しかったです。風が吹いたり吹かなかったりしていたのですが、前日、前々日も似たようなコンディションだったので、こういう時にはここを気を付けようというところは全員で共有できました。目線だったり、オールを1枚しっかり入れたりする細かい技術のところも2000m通じて確認できました。個人的に心配だったのは、ハードな練習をこなす上で2000mを出し切れるかということです。6000mパドルといった練習を重ねていて、2000mを漕ぎ終わったあとでもまだ漕げる感じがしていたので、2000mで出し切る事にフォーカスした練習もしていました。レースではスタートで出られたとしても僕らの強みは後半の伸びだということはクルー全員が理解していることなので、落ち着いて対処出来たことも1位の要因かなと思います。東レ滋賀に実際出られましたが、レース前にも1000mでこれくらいの差なら後半挽回出来るという話をしていたので、慌てなかったです。
(予選1位だったことで敗者復活戦はないですが、1日レースが開くことに関しては)インカレの時、僕たちは敗者復活戦にまわりました。でもその敗者復活戦のレースで大きく成長することが出来ました。予選レース後のクルーミーティングでもその話になって、自分たちに敗者復活戦がない分、他のクルーはそこで成長してくるから、自分たちも気を引き締めて準決勝、決勝の為に何が出来るか一人一人考えていこうという話をしました。インカレで敗者復活戦にまわった経験から、敗者復活上がりのクルーがどれだけ成長出来るかは僕らが一番分かっているので、1レースないという油断は全くないです。
(準決勝、決勝への意気込み)あと2レースは嫌でも漕がなければならないので、まずは準決勝のレースに集中していきたいです。準決勝をしっかり漕げばその分結果もついてくると思います。レースが終わった後はどんな結果でも4年間頑張ってきて良かったなと思えるといいなと思います。
(準決勝を振り返って)前日は試合が無かったのですが、夜や朝の練習で良いパフォーマンスが出ていました。ノーワークとかUTとか試合と直接関係あるのか分からないですが、ここ最近で比べても良い漕ぎが出来ていました。準決勝、決勝と強豪を相手にレースをしますが、良い戦いが出来ると思っていました。しかし、レースコンディションやスタート前のハプニングで少しリズムを崩してしまいました。カメラを付けたり、船台に艇を付けたりするところでみんなが浮き足立ってしまったところを、僕が落ち着かせないといけないのに、それが出来なかったところは僕の責任だなと思います。社会人の強さも分かっていましたし、これまでの慶大の課題である前半から出し切るところがやはり課題なので、順位決定戦のレースではいかに最初の1000mで出し切れるかが勝負です。体力的にはどこのクルーにも負けていないと思っているので、順位決定戦に全てをつなげていきたいです。
(最初の500mで出られることは予想内ではある?)はい。そこは慶大の弱みでもあるのでしっかりついていかなければならないと同時に、他の社会人クルーの巧みなところでもあるので、僕らはいかにそこに食いついていくかが重要なので、まだまだそこは甘いなと感じました。また、風が思ったよりも強くて、漕ぎにキレが出なかったというところもあります。リズムが上手く出せずに前半で生まれた差が最後まで残ってしまったという感じです。500mで出なければならないと監督も仰っているので500mで先頭を取れるようなレースをしていきたいです。
(準決勝の雰囲気は)やはり、社会人でも強豪ですし、大学ではインカレ覇者の明大、そして日大といったように、社会人も学生も本当にレベルの高いところになってきます。予選ではここだけには勝とうと思っていたところ、準決勝までいくとどのクルーも格上で自分たちは経験もまだ浅いです。インカレの時も決勝慣れしていなくて、決勝に行くことで満足していたら戦えないです。勝って当たり前のクルーを相手にチャレンジャーである僕たちがどこまで行けるのかというところで頑張っていきたいです。相手のミスを待っていても勝てないので、自分たちの攻めに行く姿勢が大事です。
(中部電力や明治安田生命といったところもタイムを上げてきました)予選、敗者復活戦では後半はオールが抜けていたり、リズムに乗れていなかったりしていたようです。技術では劣っていても体力では勝っているだろうと思っていたら、やっぱり準決勝では後半も伸びてきました。やはり最初に出ておかないと難しいなと思いました。
(やはり明大は速いですね)そうですね。同じ大学生なので悔しいです。昨年のインカレからほとんど全てのレースでやり合ってきて早いなといつも感じます。最後の直接対決のレースでも勝てず悔しいです。
(順位決定戦は1位で終わりたいですね)そうですね。監督にも最初の1000mで死んでもいいと言われています。慶大はスロースターターで僕も最初の500mで先頭だった記憶も無いですね。強いクルーはそういったところを上手くやってきます。
(残すところあと1レースです)準決勝のようなレースではまだ終われないというのがあるので、順位決定戦では500m、1000mで出し切っていればそれでいいと思っています。出し切って、出し切って、最後はヘロヘロでもゴールをそうやって駆け抜けられれば良いかなと思います。
(順位決定戦を振り返って)今までで一番良いレースが出来ました。今まで慶大の課題として前半に出られない、というところがありました。ハードな練習を重ねていても前半であまりスピードを出せなくて、後半は大体良いというレースが続いていました。他の船と比べても第3、4クォーターの伸びが良いのは分かっていました。でも、第1クォーターで離されてしまうと、なかなか追いつけないことが多かったです。しかし、監督に準決勝の後、5位でも6位でも同じだから500m、1000mで死んでこいと言われました。最初に出し切って、後半ヘロヘロになってもいいから最初に賭けてこいと言われたので、それでクルー全員の意識も統一されたと思います。全員、最初の1000mで居なくなるからと言っていてそれが体現できたレースでした。自分たちのやりたかったことが最初に出来て、後半の体力面ではどこのクルーにも負けない自信があるので、最初に出せたことが良かったです。最後のレースが一番良いレースでした。
(4年間振り返ると)長かったです。僕自身、大学からボートを始めたのですが色々ありました。高校時代はバスケをしていて、体育会に入ったのも身体を動かしたかったということだったのですが、コックスを始めました。コックスは身体を動かさないので、動かしたいなと思うことも最初は多かったですが、漕手が勝った時や負けた時の瞬間を一番良い席で見られるという事が魅力でした。悔しがった様子や、デッドヒートを勝ち切った時などを分かち合える。漕手が必死で漕いでくれるお陰で僕も良い思いをさせてもらいました。コックスというポジションをやっていて良かったなと感じるようになりました。順位決定戦のレースも本当にいい経験になりました。
(日本最速というスローガンについて)全日本の結果を見てもまだまだ日大や明大と差がありますし、順位決定戦の前から監督は最初に出ろと言っていました。中田は順位決定戦で1位になるのはもちろん、決勝のどのクルーよりも良いタイムを出そうという目標を立てていました。結果的にはまだタイム差がありますが、個人的には良いレースと思っています。なぜなら今までは最初に先頭になるレースが出来ていなかったですが、なぜスタートが出られないのか、何が足りないのかを考え抜いて前日に考え方を変えて、当日に生かせたからです。この結果をボトムにしてようやく日大、明大やNTT東日本などといった強豪と同じスタートラインに立てたのかなと思います。中田をはじめ、田中や僕たちが3年生以下に対してそこそこのことは出来たのかなと思います。127期では日本最速を達成できなかったですが、順位決定戦のレースを糧にして最初に出し切った上で後半どのように漕いでいくのかといったところを128期以降慶大全体で考えていけるようなレースだったのではないかなと思います。個人的には来年以降やってくれると思います。
(下級生に伝えたいこと)僕らを踏み台にして欲しい。最初の1000mで出し尽くすこともそうですし、僕らと同じ失敗をして欲しくないと思います。126期が引退するときに後悔したことを聞いていて、やり残したこと、やって後悔したことを生かして練習していました。同じことを後悔し続けていたら成長出来ないと思うので、僕らと同じ失敗をして欲しくないと思います。さらに言えばインカレや全日本で表彰台に立って欲しいですね。127期より上の128期を作って欲しいです。
(小原さんのこれから)ボート部で4年間、OB、後輩から支えてもらっていたので、3年生を中心に後輩へ教えられることは教えて、早慶レガッタに向けて何をすべきか6連覇に向けてどうしていくかどうやったら勝てるのか、隅田川の攻略だとかを伝えていきたいと考えています。社会人になったら127期で連携を取りつつ、中学生のジュニアローイングなどにも行けたら良いなと思います。
田中将賢(法4)
(順位決定戦に向けてのモチベーションは)決勝の舞台で戦うことは叶わなかったですが、じゃあ自分たちが出来ることは何か、と考えた時に、決勝と順位決定戦を合わせた8艇の中でタイム1位を狙っていこうということになりました。そのために課題を克服しなければならなかったので、スタートから全力を出し尽くしていこうとみんなで団結しました。
(順位決定戦を振り返ると)僕は慶應義塾高時代から7年間ボートを続けましたが、その中で一番の覚悟を持って最初の500mを突っ込む事ができたので、1位を取れたのは大きい事だと思います。
(現役ラストレースは意識しましたか)どうやったら少しでも速くなれるかという事だけを考えて、他のことは何も考えずにシンプルにそれだけを追求してレースに臨みました。
内田優志(政3)
(大会を振り返ると)準決勝での失敗を反省して、それを乗り越えようと順位決定戦に挑みました。良いレースが出来ました。
(中田主将とは)僕が入部した時から神のような存在でずっと後ろで漕ぐ事が楽しみでした。特に印象に残っているのが、志木高時代のインハイ予選です。インハイに出場出来ずに、そこで中田さんにメダルを取らせてあげたいと思って大学でもボートを続けました。でも、インカレでもメダルが取れず、全日本でも決勝に出場出来なかったので後悔の思いはあります。しかし、本当に最後のレースは楽しかったですし、良い思い出が出来て、感謝しています。
(4年生に対して)4年間ありがとうございましたという感謝の気持ちと、絶対に僕たちの代で優勝するので、応援お願いしますということです。
(今年度、慶大端艇部は飛躍の年となりましたが、これからの1年をどうしていきたいか)今はどうしても対校エイトが強いチームになっていますが、全日本でも最終日に残ったのは対校エイトと舵手付きペアの2艇だけなので、もっとチーム力全体を上げていきたいと思います。
北原敬梧(法3)
(大会振り返って)本当に速いクルーはやっぱりスタートから早くて、最初の1000mで試合を決めてくるなと。それは分かっていたのですがなかなか体現出来なかったです。準決勝レース後にスタートの意識を変えようということになり、前から全体重を乗せていけばよりスピードに乗れるのではないかと考えました。順位決定戦ではそれを体現でき、最初の300〜500mで戦えるようになったなと思いました。
(準決勝から順位決定戦への切り替えについては)順位決定戦は、4年生との最後のレースだったし、今までずっと出来なかったスタートの300mで果てる位にスピードを出す、というところを絶対にやってやるとみんなが意識できたところが大きいと思います。緊張よりも、エクストラステージみたいな感じでリラックス出来ました。クルーの雰囲気も良くて、そういった要因で自分たちの120%の力をスタートで出せたのかなと思います。
(4年生について)僕は長い間対校エイトに乗ってきましたが、そこにはずっと中田さんや田中さんが乗っていて、これからは自分達が最高学年の対校エイトになるという想像は出来ないです。僕の中では中田さんが乗る船が対校エイトみたいになっていて、それだけ慶大端艇部を代表する選手だなと感じます。
(中田主将はどういう存在だった)結構近くのポジションで漕ぐことが多かったという印象で、水中の深いところでオールをいれるところの安定感とかは、見ていて、自分は全然出来てないなといつも痛感させられていました。まぁ憧れ、ですね。中田さんが常に船の真ん中にいて僕らを引っ張ってくれていたからインカレから全日本にかけてさらに艇速を上げることが出来たと思います。頼れる先輩だなと心底思える人です。
(最高学年としてどういうシーズンにしていくのか)目標はインカレの総合優勝です。全日本を見ていても、仙台大とか日大、明大はセカンドクルー、サードクルーも強くて、そういったチームがファーストクルーも強いなと感じたので、チーム力を全体的に上げていこうとみんなで話しています。1人ひとりがリーダーのようになって、優勝までいきたいです。とりあえず早慶戦があるので、そこは絶対に負けられないのでしっかりと勝ちたい。でもそこで終わらず、その後の大会も全日本まで全て勝つくらいの気持ちで臨みたいです。慶大はどうしても勝利の経験値が少ないので勝ち慣れていないのかなと。僕も後輩だったときは慶大の勝利はあまり見てこなかった。だからこそ逆に早慶戦はみんな自信を持っているところもあるので、128期は隅田川でもボートコースでも勝てるチームにしていきたいと思います。慶應の端艇部の為に勝ちたいです。
(ニュージーランド留学では何を学びたい)ニュージーランドは国際的にも強豪国で、そんな選手がいるチームがどういった練習をしているのか。それは水上だけでなく陸上も。でも、一番学びたいのは、どういう姿勢で練習に向き合っているのかというところです。
(部内競争については)今はトップとボトムの成績が離れてしまっていて、クルーもある程度は固定されつつあります。でもそれは練習のシステム上ある程度は仕方なくて、上手い人と乗っている方が吸収出来ることも多いです。あとは部内競争もあまりないので、その2点は僕たちの代で解決していけたらいいなと思います。
(後輩は)2年生はもう少ししっかりして欲しいかな。1年生には、実は対校エイトに乗ることはそんなに難しいことではなくて、どこにでもチャンスは転がっていることをわかって欲しい。そのチャンスを自分で見つけるなり、拾うなり頑張って欲しいなと思います。ボートという競技は停滞しやすい環境で、毎日同じような練習をしているので、そこを能動的に練習できる選手とそうでない選手で大きく差が開いてしまう。自分に足りていない部分と真剣に向き合っていけば上の艇に行けると思います。色々なことで悩んで、考えて、考えることをやめない現役生活にして欲しいなと思います。
(同期については)同期は全員全日本に出場していて、それは良いことだと思う。128期の1人として、自分たちの代で上位クルーを独占したいと思っています。
(新井さんといった1年生もいますが)新井は半端ない。対校エイトには1年生は新井しか乗ってないけど、雰囲気作りに一役買ってくれているし、すごい選手だなと思います。スケールが大き過ぎてよく分からないですけどね。主力になる選手だね、間違いなく。慶大端艇部が常勝軍団になることが一番嬉しいし、なれると思うので頑張っていきたいです。僕たちの代で勝つのが当たり前のチームにしていきたいです。
高田直人(総3)
(大会を振り返って)インカレとは違って企業も出てくる大会ということで自分達がどこまで行けるのかというビジョンが見えてなかったのですが、順位決定戦では1着でフィニッシュして全体5位という成績で終えて、自分達は社会人にも通用するのだなと確認できて良かったです。
(インカレと全日本は違う)ここ最近は大学のレベルが上がってきていて、全日本の決勝にも日大と明大が2位と3位をとりました。毎年は決勝Aには日大しかいなくて、企業が表彰台にいました。自分も企業と同じ組になったら上にいくのは諦めていました。でも、今年は大学が2つもいて大学と企業の差は縮まってきていると思います。
(4年生の存在は)試合が近づくにつれて大きいなと感じることが出来て、自分が乗っている対校エイト以外の先輩方の存在も大きくて、この人達がいなくなってしまったら雰囲気がガラリと変わってしまうなぁとか思いました。対校エイトには9人中3人しか4年生は乗っていないのですが、いなくなったらどうなるのか想像出来ないくらい大きな存在です。
(中田主将は)中田さんは1年生から4年生までずっと対校エイトで戦ってきた人なので経験もありますし、知識も豊富ですし、何と言っても一言の重みが違います。中田さんに全幅の信頼を寄せているからこそ、僕は中田さんの前で漕ぎきることが出来ました。毎回毎回中田さんの漕ぎの技術や、クルーへの声のかけ方を吸収しようと思っているのですが、1年生の時からプレッシャーを感じながら対校エイトに乗ってきて、そこで培われた経験は簡単に盗めるものではないと思います。
(これからのシーズンは)対校エイトの9分の6が4年生ではなく、さらに3年生は全員が全日本に出場することが出来て、幸運にも非常に恵まれた代だと思っています。4年生が抜けた穴は非常に大きいですが、僕たち3年生なら4年生を超えていけると思っています。
(順位決定戦は1着でフィニッシュ出来ました)本当にこれは嬉しくて、準決勝で自分達が目指していた日本最速は達成出来なくなってしまいました。でも、監督やコーチが本当に大事なのは明日だと言ってくれました。よくあるのがもう優勝出来ないからといって緩んだ気持ちで順位決定戦に臨んでしまうということなのですが、僕たちは気を引き締めて、順位どうこうよりも自分たちの弱点である最初の500mで攻めていこうと考えました。僕が準決勝のレース後に提案をしたのですが、スタートで出るために出力だけでなく、技術の部分をもう一度全員で見直そうと言いました。それがレースで上手く決まりました。自分たちの課題を克服し、レースで発揮できて、1位という結果に繋がったことが自信になる。これが最後に出来て本当に良かったです。
(これからの目標)慶大は人数が多く、それが強さに繋がると思います。それぞれの選手のレベルを上げて、インカレや全日本といった大きな大会で総合優勝も出来ると思います。全クルーが決勝Aに出場してポイントを獲得し、慶應って対校エイトだけじゃなくて全クルーの質が高いことを多くの人に知らしめたいなと思います。
寺坂僚太(経3)
(大会を振り返って)3レースの中で大きく成長することが出来たなと思います。予選は自分たちの持つ力のほぼ100%を発揮できた試合でした。でも、そのままではダメだということを突きつけられた準決勝。自分たちの持っている力の120%で臨まなければならない事が分かって、慶大の殻を突き破ることが出来た順位決定戦だったなと。そう意味で成長出来たなと思います。
(順位決定戦を笑顔でフィニッシュしました)順位決定戦の前にエイトはやはり頭を最初から取らないといけないなという話になり、最初からアグレッシブにいこうという意識になりました。やりたい事が出来た上に、1位でフィニッシュ出来たので本当に良かったです。
(対校エイトの4年生は)3年生以下が多いクルーではありましたが、4年生がいたからこそ僕たちは自由に漕ぐ事が出来たので、縁の下の力持ちのような存在でした。4年生がいたからこそ自由に出来ました。
(中田主将は)やはり大事なところは決めてくれますし、それでいて下の意見も採用してくれるので、頼りになる存在でした。
(来シーズンは)チーム全体で勝ちを取りに行くというか、チーム慶應端艇部というものが大事だと思っているのでそれを大事にしていきたいと思います。
笹岡裕之(政3)
(大会を振り返って)私たちが目標にしていた日本最速には届かなくて悔しい思いはあるが、一つのクルーとしてまとまって成長できたことが大きな収穫です。4年生の引退を少しでも華やかにできたと思います。
(今大会で成長できたところ)僕たちはインカレではタートで苦戦して、最後に上げていくということがあって、最後までできていなかったが、最後の最後で話し合いを重ねてやろうと決めてできたので、そういうところで1番成長できた。
(中田主将はどういう存在)誰もが憧れる、誰もが尊敬する、頼れる主将で、私生活もボートもすべて完璧で、私たちが誇れる主将です。
(4年生に伝えたいこと)僕たち3年生は4年生に支えてもらって、頼りない代だったかもしれないが、4年生に引っ張ってもらえて、本当に「感謝」の一言です。
(これから1年をどうしていきたいか)僕らは4年生に良い姿勢を見せてもらえたので、それを踏まえつつそれを超えて、日本最速を僕らの代で実現させるために頑張りたいと思います。
新井勇大(経1)
(決勝Bに向かうにあたってのモチベーションはどういう風に作ったのか)中田先輩が、A決勝も含めて、タイム1位を狙っていこうって話をしてくださって、そこで新たな目標ができて、まだ日本最速を目指せるなって。
(レースを振り返って)きつかったです。昨日の反省を生かして、インカレの決勝でも同じことをしたのですが、スタート500メートルで出て、1000メートルも出るっていうのを今日やって、昨日そこを集中的に練習したので、今日はレースプラン通りだった。
(今回で4年生が引退しますが、影響は)小原さん、中田さん、田中さんが抜けてしまうのはすごく大きいけれど、来年僕は2年生だから、先輩たちの足を引っ張らずに、むしろぼくがこの部を引っ張っていけるようにしたい。
(現3年の代は層が厚いように感じるがどう思うか)僕個人的には、来年の3年生もまた抜けてしまうから、そうなると再来年戦うのが苦しくなるから、今年は同期130期がたくさん対校エイトに乗って欲しい。
(来シーズンの個人的な目標は)早慶戦6連覇をあくまで通過点としてインカレ、全日本優勝。全日本の決勝に向けて、まだまだNTT、日大、明大とは差があるからそこをずっと冬練の間意識していきたいと思います。