【フィギュアスケート】主将、惜しまれながらも引退・・・鈴木姉妹は大健闘!日本学生氷上競技選手権大会③

dsc_3736第89回日本学生氷上競技選手権大会(通称:インカレ)が北海道・苫小牧にて開催され、フィギュア部門最終の8日は、男女Aクラス・フリースケーティングの競技が行われた。4年生のなかには今大会で引退を迎える選手もおり、慶大主将の小曽根もついにラストの演技となった。また鈴木姉妹は、ショートプログラムから気持ちを切り替え、会心の演技を披露。3名とも笑顔でこのインカレを終えた。

第89回 日本学生氷上競技選手権大会 フィギュア部門

1月8日 @沼ノ端スケートセンター

クラス

選手名

学部学年

SP

FS

順位

団体順位

男子Aクラス

小曽根孝浩

環4

53.93点

82.78点

136.71点

20位

 

 

女子Aクラス

 

鈴木美桜

法3

38.97点

93.94点

132.91点

10位

5位

鈴木星佳

総1

37.79点

74.02点

111.81点

18位

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リンクを熱くした小曽根の最後の演技

ついに引退の日を迎えた小曽根孝浩(環4)。慶大主将の最後の演技に、部員はもちろん、長年切磋琢磨してきた全国のライバルたちもリンクサイドに集まり、声援を送った。前日のショートでは、3つのジャンプすべて着氷し、最高学年の意地を感じさせる渾身のステップで会場を沸かせた。そして迎えた最後の舞台、フリーの曲は『医龍』。小曽根の繊細さと力強さを、最大限に魅せるプログラムだ。冒頭の3回転サルコウを決め、その後のジャンプもこらえていたものもあったがすべて着氷。最後は課題にしていた2回転アクセルも成功させ、跳び切った。ステップでは大きな手拍子が起こり、大いに盛り上がりを見せた。演技後は、客席に深く一礼し、リンクサイドの仲間たちには手を振って応えた。

 小曽根が最後に語ったのは、スケートへの愛。目標にしていた全日本選手権への道が絶たれたときは、これ以上ないほどに悔しい思いをしたという。それでもスケートができることに感謝の気持ちを持ち続け、また主将としても最後まで部員への声かけに努めた。引退は惜しまれるが、スケートの素晴らしさを体現してくれた小曽根主将の演技に、後輩部員もそれぞれの目標へと奮い立ったに違いない。

 

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晴れたような美桜スマイルに会場も沸いた

 続いて女子フリースケーティングが行われ、鈴木美桜(法3)、鈴木星佳(総1)がともに第1グループに登場した。女子は36人中上位24人のみがフリー進出という、男子以上に厳しい出場権争いがあった。昨年8位入賞を果たした鈴木美は、ショートで3回転‐3回転を取り入れようと試みたが、練習の時点で感覚をつかめず。直前に3回転‐2回転に変更したが、焦りもあったか2つ目のジャンプはシングルになってしまった。ジャンプのミスが響き、結果は21位。しかし、鈴木美はフリーで挽回することだけを考えていた。気持ちを切り替えて臨んだ結果、ほぼノーミスで会心の演技。やっと美桜スマイルが見られた。こだわりぬいた『シンデレラ』を、完璧の出来に持ってこられたことは、彼女も「自信」になったという。今回入賞には届かなかったが、確実に実力はついてきた。引退の年を前に、まだまだ「挑戦したい」「ジャンプを増やして攻めていきたい」という。これからは主将としてチームを率いることになる鈴木美。彼女の強い向上心は、個人としても、チームとしても、必ず良い流れをつくり出すだろう。

 

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軽やかにステップを刻む鈴木星

鈴木星は、初めてのインカレで存在感をアピールした。「進出はできないと思っていた」というが、23位でフリー進出に滑り込んだ。挑戦する気持ちで臨んだフリーは、最後のアクセルジャンプこそ抜けてしまったが、大きなミスはなくまとめあげた。曲にのせ軽やかなステップで見せ場もつくった。結果、フリーのみの順位は17位で、総合18位にまで順位を上げた。大学1年目、大学がスケート生活の集大成でもあり、「スケートへの考え方や気持ちも変わった」という。今大会では、スタミナや表現力の面で、来季への課題も確認できた。鈴木星にとっては、充実の1年であったに違いない。

 

(記事:須佐奈月、写真:森田悠資)

 

◆以下、選手コメント

 

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主将として、部員へ欠かさず声かけをする小曽根

小曽根孝浩(環4)

(最後の演技を終えて)やり切ったと思うし、楽しく滑れました。結果も気にしてはいなかったので、この舞台で滑れたことが本当に良かったという思いだけです。(主将としても今日が最後の日になりましたが、部員皆で挑んだインカレをどのように見ていましたか)結果は気にしなくていいので、一つ一つしっかりこなせば、あとは楽しんで、と皆を送り出したので、それを皆やってくれていたので満足しています。ただこれを先につなげていって欲しいなと。皆にとってはこれも通過点なので、皆もっと上にいけると思うし、そのために自分が土台になれればと思っていました。(次期主将の鈴木美桜選手に向けてアドバイスを送るとしたら)個人競技だけど、個人のためのスポーツではなくて、団体で動く難しさもあるので。ただその難しさの分強みに変わると思うので、もっと良くしていって欲しいなと思います。前を見て頑張ってと言いたいです。(いま感謝の言葉を誰に言いたいですか)ずっと教えてきてくれた先生と、支援し続けてくれた親と、あとは部活の皆、応援してくださっている皆さん、もちろんライバル選手も、みんながいてこそ楽しく滑ることが出来ているので、ここまで来れたことに色んな人に感謝したいと思いました。(最後に、学生スケート生活を振り返って)スケートが死ぬほど好きって、素直に皆に言っていましたけど、マジで楽しかったです。人生が変わったスポーツでした。スケートをやっていなければ、この大学にも入れなかったし。大学には違うスポーツでもすごい選手がたくさんいて、自分の知らない世界でも尊敬できる人たちに出会えたっていうことも、スポーツをやっていたからだし、皆に巡り会えて良かったなと思っています。誰かを想ってプログラムを作ったり、自分の気持ちを表現できるスポーツっていうのは、フィギュアスケートだけなんじゃないかなと。最高のスポーツに巡り合うことができたと思います。また趣味でやるときは、今度は自分で頑張って夢を目指したいです!

 

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演技後にはガッツポーズも見せた鈴木美

鈴木美桜(法3)

(フリーはノーミスと言える演技でした)ショートを通過して今日滑れるということで、フリーは思い切りやろうと思いました。今出来ることはしっかり出せるだろうと思っていたので、今日だけ見れば、自分のベストは出せたかなと思います。(インカレを通してつかんだもの、課題は)ショートはだめでしたが、フリーは出し切れたので、自信につながりました。課題はやはりショートプログラムで、ただフリーも思わずガッツポーズしてしまいましたが、後に続く選手の演技を見て、まだまだだなと思ったし、あと1年しかありませんが、最後まで挑戦して、跳べるジャンプも増やして、どんどん攻めていきたいと思いました。(今回のインカレの印象は)まず、四年生の引退が控えて、今大会で引退という選手も多くて。小さい頃から一緒にやってきた先輩たちが引退していく姿を見ていて、本当に演技を見る前から涙が出てしまったのですが、自分も同じように、来年は今までのスケート人生の全てを出し切って引退できればいいなと思うし、やっぱり四年生はすごいなと思いました。(小曽根主将は引退となりますが、どう引き継いでいきたいですか)こうして一緒に試合に出て、時には喝入れてくれる人がひとりいなくなってしまうことは、本当に寂しいです。私の心の支え的な存在でもありました。ただ後輩たちもとても頑張っていて、そんな姿を見て自分も勇気をもらっていた部分もあったので、今度は自分が主将として、引っ張っていかなきゃいけないんだなと思うのとともに、小曽根主将の演技を見て、私も最後は惜しまれるような演技ができたらなと思いました。(シーズンラストの国体に向けて)今シーズン最後の試合になりますが、まだショートとフリーきちんと試合で揃えられていないので、しっかり締めて終わりたいですし、国体はペアで出るところがまた他の試合と違うので、今年も早大の松嶋選手と一緒に頑張ります。(目標は)去年以上の成績を残したいと思います!

 

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鈴木星佳のフリー『Charlie Chaplin』は最後の披露となった

鈴木星佳(総1)

(今日の演技を振り返って)自分の出来ることはやれたかなと思います。少しミスはありましたが、自分の今出せる力は出し切れました。(ジャンプやステップはいかがでしたか)最初のジャンプで抜けたのが悔しいです。トリプルサルコウは得点源なので悔しいし、アクセルも決めなきゃいけないなと思いました。これからは成功率を上げなければいけないと思ったのですが、自分の今出せる力はこれくらいだったのだなと受け止めようと思います。(一番滑走でしたが)6分間練習後の体が動いたまま、本番に臨めるので一番滑走は好きです。(フリーの見どころとしてあげていた『スマイル』は表現できましたか)笑顔で『スマイル』のいいところを伝えられたと思うんですけど、体力不足だったかなと感じて、もう少し最後まで強いスケーティングで『スマイル』の感情を表現できればよかったと思います。でも笑顔で演技できたのでそこはよかったです。(初のインカレを戦ってみていかがでしたか)すごくいい経験になりました。今の自分の出来ることをやろうと決めて、それはできたのですが、それではまだまだだなと痛感したので、それも含めていい経験でした。そして来年またこの舞台に戻ってきたいなと思いました。(大学1年生のシーズンを振り返って)環境がガラリと変わって、大学に入って全員で戦う試合が増えて、スケートに対する気持ちも変わった部分がありました。大学生になって自分にも引退が近づいていると感じて、今日の演技でも先輩方が納得のいく演技をして終わっていたのですが、そういう演技が出来るようにあと3年間やりたいという気持ちが強くなりました。残り3年間あるので引退するときにスケートをやってきて良かったと思えるように、毎年努力していきたいと思える1年でした。(今後に向けて)ジャンプが全く決まらなくて、その成功率を上げることが目標です。またスピンは今季良くなりました。来季はフリーの曲を変えるので、一から表現力を磨いていきたいと思います。

 

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インカレを戦い抜いたチーム慶應


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