5月21日(日)に日吉陸上競技場で行われる第25回早慶ラクロス定期戦。昨年はラスト1分での劇的な勝利で、会場を大いに盛り上げてくれた。毎回接戦となるこの早慶戦だが、今年はどんな熱いプレーを見せてくれるのだろうか。ケイスポではより早慶戦を楽しむため、選手たちから今シーズンのチームや早慶戦の見どころなどについてうかがった記事を5回にわたって掲載していく。
第1弾は3年目の松平悠希(経3・慶應義塾)、井熊優(経3・慶應義塾)、佐々木拓実(商2・桐光学園)、浅岡大地(文2・慶應義塾)の4選手による座談会だ。自身が一人のプレーヤーでありながらも上級生として後輩を導く立場の難しさや、下級生だった頃からの変化について語ってくれた。
「浅岡と一緒に楽しい練習ができるように心掛けています」(井熊)
――他己紹介をお願いします
松平→井熊:性格は賑やかな人(笑)。泥臭いプレイヤー。ゴーリーでボールの接触にも負けないガッツがあると思います。
井熊→浅岡:3回留年しても心が折れない(笑)。1年の頃Aチームに入っていて、去年は下降気味。反骨心がモットーらしいです。
浅岡→佐々木:僕と同じ留年生。元ラグビー部なので体格が良くて、ラクロス向きの選手だと思います。熱いときは熱く、楽しむときは楽しむっていうオンとオフの切り替えが出来ている印象です。それがプレー面でも出ています。
佐々木→松平:体格が大きいわけではないし、速い選手でもないと思いますが、早稲田が一番対策してくるMDだと思います。とにかくラクロスIQが高くて賢い。一緒にやっていて刺激を受けることが多いです。
――プレーした場所は皆さん同じではないですが、昨年はどんなシーズンでしたか
松平:Aチームは全体的に仲が良かったです。下級生でものびのびプレーできてやりやすかったです。そういうチームが結果を残すんだなって感じました。運営・戦術は上級生に任せていたので自分のやりたいことを自由にできました。
井熊:去年はなんとしてもベンチに入りたかったですけど、入ったり入らなかったりで試合にもほとんど出られなかったです。もっとこうしておけば良かったな、ということが多い悔しいシーズンでした。
浅岡:井熊が言ったように1年の頃はリーグ戦でベンチ入りさせてもらっていて、その時の主将に「来年はお前が引っ張れよ」と言われたのに、去年は最後の全日(全日本選手権)でベンチ入りするまでAチームにいられませんでした。そういう意味では波乱の一年、高低差のある一年だったと思います。BチームとしてBリーグで日本一になれたので、目指しているところはもっと高いけど一歩手前の壁は超えられたかなと思います。今年につながる一年だったと思います。
佐々木:去年を振り返ると、飛躍の年だったと思います。去年のシーズン初めはDチームにいて、そこからひとつずつ上がっていって、トップには行けませんでしたがBまだ上がることができました。今シーズンの初めにAに上げてもらえたので今年が一番成長する年になると思います。去年はスタンドから見ていただけなので、リーグ戦や早慶戦は別のチームの試合を見ているような感覚でした。今年になってようやくAチームの雰囲気、温度に近づけたように感じます。
――春の六大学戦を振り返っていかがでしたか
松平:結果的に全勝できましたが内容的に良いわけではなかったです。今回の結果を生かせるかは自分たちのこれからの練習次第だと思います。六大学戦で各チームの調子がわかったし、試合慣れもできました。
井熊:それぞれの試合で目標スコアを決めていましたが、東大戦以外は達成できなかったので求めていた完璧とは言えませんでした。学生相手にとられる点は社会人にはとられるので、決めた目標に対してもっとシビアにやっていきたいです。
浅岡:ATというポジションは点にしか絡まないのに絡めない試合があったので、リーグ戦ではそのような試合をなくしたいです。ATが全員不調で点が決まらないっていう状況を作らないためにも、そういう反省点が出て良かったと思います。
佐々木:僕が感じたことは、DFとしての仲間からの信頼感がまだ薄くて、歯車として機能するためにはもっと成長しないといけないと感じました。個人的には出場機会が多くてよかったです。
「僕みたいな選手が成長できればチームにとって刺激になるし与える影響も大きいと思います」(佐々木)
――個人的には3年になり、後輩が増えました。部での立ち位置など変わった部分はありますか
松平:戦術を考える立場になって、ほかの選手のことも気に掛けないとならなくなったので、自分のことだけに集中しづらくなりました。自分が上手くいかないときでも周りの手助けをしなくてはならないので、難しいです。
井熊:松平と違って自分のプレーに集中させてもらっています。さっき賑やかと紹介してもらったように、浅岡と一緒に楽しい練習ができるように心掛けています。練習に参加できずリハビリしている選手に声を掛けるなどして、トレーニングの時に声を出して雰囲気良くやれるようにしています。
浅岡:ATとしてもっとオフェンスに関われるようになりたいです。井熊と僕はムードメーカーとして楽しい雰囲気を作れるよう心掛けています。ATの性というか目立ちたがりなので、後輩が増えると燃えます(笑)
佐々木:まだプレーで引っ張っていけるようなレベルじゃないですが、後輩とは近いレベルでコミュニケーションが取れていると思います。戦術はあまり考えずのびのびとプレーさせてもらっています。3年になって部活のことをよく考えるようになりました。部活を運営していくうえで、自分たちの代でどんな問題が起こるか考えたりもしています。来年も一緒にプレーする後輩にもっと目を向けていきたいです。
井熊:3年になってから下からの押上が大事だと思うようになって、質のいい練習を後輩にもしてもらいたいと思うようになりました。Dチームのゴーリーがいないので、僕はそこに顔を出して後輩と触れ合ったりしています。
佐々木:先輩に教えてもらったことを後輩に還元しなきゃと思うようになりました。
――佐々木選手は初めてのトップチーム入りですが、選ばれたときはどんな気持ちでしたか
佐々木:僕はバランスがいい選手ではないし、むしろあまり僕みたいな選手はいないと思います。だからトップチームに選んでもらえた意図がわかるので、死にもの狂いで頑張りたいです。勘違いかもしれないですけど、僕みたいな選手が成長できればチームにとって刺激になるし与える影響も大きいと思います。
-今シーズンのスローガン“DRIVE!”について。皆さん気に入っていますか
浅岡:気にいってはいますが、僕はラテン語で“負けざる者たち”って意味の“インビクタス”良いと思っていました。
佐々木:結構好きです。ブーンって感じで勢いがあるし、わかりやすいです。日本一へDRIVE!って意味でもとても良いと思います。
――今シーズンの目標をお聞かせください
松平:個人としてはリーグ戦のベスト12に入りたいです。慶應は9番が絶対的エースの番号なので、歴代の先輩方に負けないような活躍をしたいです。
井熊:慶應のゴーリーといえば杉本(健・経3)って思われていると思うんですけど、「慶應に俺がいる」っていうことを周りに示していきたいです。
浅岡:塾高時代から、彼のアップを手伝っている僕としても井熊には頑張ってほしいです。高校1年でラクロス部に入った時から、日本一を取りたいと思っていました。去年は出られなくて悔しかったので、今年は自分が出て点を決めてFARCONSに勝ちたいです。他校の試合とかに行った時に「慶應の90番だ」って言われて対策されるような選手になりたいと思っています。
佐々木:とにかく試合に出て、チームに必要な人間になりたいです。そのためにはまず試合に出て貢献できるように頑張ります。今年経験を積めれば、来年の僕らの代にもつながると思うので、全日本の試合に出場することが目標です。
「学生主体でチーム作りができるところがほかの部活とは違うと思います」(松平)
――学年ごとにカラーがあると思いますが、今年の3年はどのような学年だと思いますか
一同:仲が良いです。
浅岡:仲は良いんだけどまだ色は薄い感じです。一つ上の代はまとまりはないんですけど、能力が高くて色が濃いと思います。
佐々木:僕はもっと主張したほうがいいと思う時もあります。
井熊:僕は結構変なこと言うんですけど、みんなももっと我を通したほうがいいと思います。
松平:いい代かって言われるか、悪い代って言われるかはこれからの自分たち次第だと思います。
井熊:先輩が少ないのでチャンスが多い代だと思います。ですがカラーはまだなくて、下書きって感じです。
――3年になりキャンパスが三田へ移りましたが、移動が多いなかで学業の両立はできていると思いますか
松平:僕は部活をやっているほうが、限られた時間を有効に使おうとするので勉強にも集中できます。
佐々木:体力、時間が限られている中うまくやれている人は多いと思います。僕はあまりできていないです(笑)
井熊:なんとかなります(笑)
浅岡:学校行って暇な時間をバイトに充てるとか、家で過ごすとかは苦手です。外に出て運動しないとムズムズします。三田は大学院生とかもいて、勉強しなきゃっていう雰囲気を感じますね。
――仲のいい部員を教えてください
浅岡:ATだけじゃなくてMDもDFもみんな仲いいです。僕が特に仲がいいのは23番の高橋脩人(経3)。自主練とかプライベートでもよく会います。塾高で同じの小笠原圭充(商3)とも仲いいです。
佐々木:松平とはよく遊びます。練習後に車でどっか行ったりしています。ここにいる奴らには思ったことを言えます。
――オフの日の過ごし方は
松平:オフはほとんど寝てます。
佐々木:オフは週に一回くらいしかないですが、よく練習後に飯食いにいったりしています。
浅岡:二郎系に行くことが多いです。
――慶應には様々な部活がありますが、特にラクロスの面白さはどこに感じていますか
松平:学生主体でチーム作りができるところがほかの部活とは違うと思います。自分たちでできるところがおもしろいです。
佐々木:大人なら簡単に解決できることを、学生だけで運営とかを必死にみんなで話し合って試行錯誤するところが他の部活にはなくて、面白いと思います。そっちに集中して練習に身が入らなかったりすることもあるので、大人がいたらなって思うことはあります。スポーツとしては目指すところが高いところも魅力的だと思います。
浅岡:いろいろありますが、単純にラクロスはかっこいいと思います。
井熊:全力のシュートを止めるのが気持ちいいです。
「慶應としてやっぱり早稲田には負けられないです」(浅岡)
――昨今の早慶戦は劇的な勝利でした。あの試合を改めて振り返っていかがですか
一同:去年は丸山翔平の活躍に尽きますね。
浅岡:やっぱ早稲田強いなって感じます。特に早慶戦だと手強いです。
松平:お客さんの数も違うし、とにかく楽しかったです。
――リーグ戦でも対戦することのある早大ですが、他大に比べて特別なライバル意識はありますか
浅岡:慶應としてやっぱり早稲田には負けられないです。
佐々木:早慶戦で勝つことでラクロスをみんなに知ってもらえるので、頑張りたいです。
――松平選手は昨年の早慶戦で得点を決めました。今年もやってやろうという気持ちはありますか
松平:去年は主力ではないけど点を決めれて、名前を知ってもらえるきっかけになってよかったです。今年はコンスタントに点を取っていきたいです。
――早慶戦では自分のここを見てくれ!ということを教えてください
松平:浅岡とかは派手なシュートで盛り上がったりしますが、僕のプレーはあまり気づいてもらえないです。
浅岡:彼のプレーはラクロスをやっている人じゃないとわからないプレーが多いですね。ビハインドでパスを出したりノールックでパスを出したり。
佐々木:難しいからあんまり見なくていいです(笑)
井熊:僕はゴーリーなので、スコアを取られないようにしたいです。あとは、得点につなげられるような守備を目指していきたいです。
松平:井熊はゾーンに入ると「そこ取れるんだ」ってところを取ってくれます。
浅岡:会場を沸かせられるようなプレーをしたいです。
佐々木:出れたときに、会場を沸かせられるようなファールギリギリの激しいプレーをしたいです。
――応援してくれる皆さまへ
佐々木:3年が結構伸びてきているので、3年の活躍を見てほしいです。白熱した試合になると思うので観客の皆さんも一緒に盛り上がってほしいです。
浅岡:ラクロスを見に来て、実際にその面白さを肌で感じてほしいです。
松平:足を運んで見に来てくださると嬉しいです。
――ありがとうございました!
(取材・内田貴啓/写真・下川薫)
第25回早慶ラクロス定期戦
5月21日(日)@日吉陸上競技場
〇タイムテーブル〇
9:05 開会宣言
9:30〜10:10 男子高戦
10:30~11:10 女子高戦
11:30~11:50 開会式
12:30~13:40 女子大学戦
14:10~15:50 男子大学戦
16:05~16:30 閉会式