対談の第一弾を飾るのは仲宗根健太主将(総4)と栗原大介副将(総4)。2人は高校時代には神奈川代表で国体優勝も果たし、日本一を経験している。今季はチームの中心としてプレー、精神の両面で引っ張ることの求められる。そんな2人にチームについて、就任の経緯、昔の思い出など様々なことを話していただいた。
*この取材は4月7日に行いました。
今年は「競争社会」
――昨季を振り返ると
仲宗根 去年は最終戦のメンバーが22人中17人が4年生だったことが表しているように、4年生が中心でしたね。その4年生たちは僕たちが1年生として入った時からチームを引っ張る存在で、その集大成という意味でも“4年生のチーム”という感じでした。個人的にはあまり試合に出られなかったんですけど、年々落ちているというイメージは無かったので前向きにやっていました。
栗原 仲宗根が言っていた通り4年生中心でしたね。練習中も試合中も4年生が先頭に立ってやっていて、どこに対しても見劣りするメンツではなくて、勝てる形があったので勝てる道筋があって負ける気はしませんでした。結局大学選手権2回戦で負けてしまったんですけど、そこで終わるチームでは無かったと思います。その気持ちを晴らす意味でも今年頑張っていきたいと思います。
栗原 対抗戦ではBks展開ラグビーで勝って、大学選手権ではFwdでやられて何もできなくて、Fwdとしては屈辱的な負け方だったので、そういった面では悔いが残っています。これから、Fwdとして意識して戦っていかなければいけない、ということを自覚させられた試合でもありました。
――昨季は10年ぶり早慶戦勝利やJr.選手権初優勝など戦績もあげましたが、チームとして最大の収穫は
仲宗根 ずっと負け続けていた早稲田に勝ったというのは一番の収穫ですね。あとは慶應のボールを動かすラグビーがはっきりした年でもあったと思います。
栗原 早慶戦に関して言うと、僕たちが入ってから負け、引き分け、勝ちなんですけど、OBが言うような早稲田のイメージはなくて、強いけど勝てる相手で遠い存在ではないですね。去年の勝利も嬉しかったんですけど今年も勝たなければ僕たちは意味が無いので、去年の勝利をバネに今年も勝てるようにしたいです。
――個人として成長した点は
仲宗根 去年だけじゃないんですけど僕は慶應入る前からパスがへたくそで...慶應はボールを展開するチームなので、僕が言うのも何なんですけど大分上手くなったんじゃないかと思います(笑)
栗原 今年が見えてくるんじゃないかと。
一同 (笑)
栗原 僕自身は県立高校の出身で県内でもベスト16か8くらいのチームから来て、慶應入ってからは毎日が勉強でしたね。2年生で出始めた時も対抗戦のレベルを知る、という勉強でした。去年も前の年に見えなかった所がさらに見えてきました、対抗戦の戦い方だったり。そこで初めてみんなと同じスタートラインに立ったと思っているので、何が伸びたというよりはイメージ的には全体的に底上げされた感じですね。経験値もスキルも場の雰囲気を感じる能力も引っ張る能力とかもです。全部今までの僕には無かったことなので、試合に出ていて伸びた所は沢山あると思います。
――レギュラーの選手が多く卒業されて、今の実力を客観的にみると
栗原 現段階では落ちるとは思います。けど、そこを埋める意味でも田中真一さんや野澤さんが、フィットネスフィジカルで勝てるようになる為の練習を組んでくれています。野澤さん自身は大学界を引っ張っていくプレイヤーでしたし、そういうレベルのスキルも教えてもらえるので、現段階では劣りますけど、これからどんどんレベルアップしていけるような環境は整っていると思います。
仲宗根 今はバラバラでやっているので、まだ何も見えてないというのはあるんですけど、周りのチームも4年生主体のチームが多かったと思いますし、そんなに悲観的にならずにいたいですね。試合まであと一カ月くらいありますし、厳しい練習をして強くなった時にどのくらいできるかは楽しみですね。僕たちの代なので。
栗原 春はチャレンジの繰り返しだと思います。メンバーにしても作戦にしても。
――去年から変わった練習は
栗原 基本的に練習中にコンタクトプレーがすごく多いです。去年までの林さんの練習ではフルコンタクトの練習はほとんどなくてダミーとかスーツを着たりとかだったんですけど、体と体を当てる練習ばっかりです。怪我人が出てはいるんですけど、そういうのには慣れておかないと帝京とかと戦う時にせめぎ合いで勝てないので。
仲宗根 あとはウエイトトレーニングが変わりましたね。今まではストレングスコーチの方があまり来ていない状態だったんですけど、新しい太田さんという方はすごく熱心にほとんど毎日来ていただいています。ウエイトはきついんですけど...
栗原 ウエイトもフィットネスもずっと付いていますね。「ウォアーーー」みたいな感じで(笑)
仲宗根 すごく厳しいんですけど、本当に感謝ですね。
――最上級生になって意識の変化は生まれましたか
仲宗根 そこはもちろんでますね。4年生全員が持っていると思うんですけど、今まで偉大な4年生がいて引っ張ってもらっていたとこがあったんですけど、僕たちが4年生になったら「まず姿勢で引っ張ろう」という話しは出ました。4年生になってどうですか?
栗原 うーん...僕はずっと村田さん(環卒)と練習とかでやり合いながらやってきながら、ラインアウトのコールとかは任せていたんですけど今年はそういうのがなくなりましたね。Fwd的にも小澤さん(総卒)とかが一気にいなくなって最初は戸惑ったんですけど、やっぱり自分がやらなければいけないとは思いました。春オフの時のミーティングのイメージと実際は違うので引っ張るのは難しいんですけど、一歩踏ん張ってやっていかなければいけないと思います。
――4年生全体はどんな学年だと思いますか
仲宗根 どういう学年だろうね?去年はキャラクターが濃い感じの4年生でしたね。竹本さん(環卒)、増田さん(環卒)とかいろいろな人がいて、みんなでまとまっているような。今年の4年生は...協調性があるような感じがします。ちょっと違うな、なんか良い言い方ない?
栗原 なんだろうね。
仲宗根 去年とは全然違うよね。
栗原 うーん...上手く説明してよ、主将!(笑)
仲宗根 いや、僕は本当に喋るのは上手くないので(笑)喋るのは栗原なんで(笑)
一同 (笑)
仲宗根 賢いのかな?
栗原 賢くはあるね。
仲宗根 去年はちょっと馬鹿っぽいところもあったよね...良い意味でですよ!良い意味で!!
栗原 これ、載るからね(笑)
仲宗根 馬鹿になるのはすごく大事で、竹本さんも練習でありえないプレーのタックルとかするんですよ。そういう人が多かったのかなと思います。
栗原 僕らの代は割と生真面目な人が多いですね。練習中でもルールを守るのを最優先したりとか、熱くなって「ワーー」って行っちゃうような人はあまりいないですね。割と冷静な、スマートな代です(笑)
仲宗根 こんなので良いのかな?
栗原 一個上が馬鹿で自分たちがスマートとか(笑)
仲宗根 良い意味でですよ!言い方がダメだったな。
――ムードメーカー的な存在は
仲宗根 誰だろう。去年だったら村田さん?
栗原 全員が全員って感じしない?
仲宗根 たしかに。今年も楽しいやつらはいっぱいいるんですけどね。
栗原 ウチらは...クマール(=柴田クマールサンディープ・総4)?
仲宗根 そうだね。クマールだ。
栗原 他にも岩淵(法4)とか口上手い奴らとかもいます(笑)おちゃらけている中心にはクマールがいます。
栗原「仲宗根は厳しくできる、引っ張っていける」
仲宗根「栗原は本当に信頼している」
――2人が主将、副将に就任された経緯は
栗原 最初は主将候補を自薦他薦で出したんですけど、自薦できる人じゃないと主将はできない、となって立候補したのがこの2人でした。それで話しあってですね。
仲宗根 そこで1人1人思っていることを全部言って。
栗原 ソネに対して思っていることを全部言って、僕に対して思っていることを全部言って、その後に「~~という理由で誰を推します」という形になって、最終的に全会一致でソネを推すことになりました。
仲宗根 そうだね。
栗原 主将には人望の厚い仲宗根がなって、僕は副将決める時に手を挙げて「やります!」って言って(笑)副将の時もみんな誰がいいか言って、僕になりました。
――今までの主将などの経験は
栗原 仲宗根は多いです。桐蔭で主将やって、高校代表副将、U20副将、国体主将...すげーな!
仲宗根 国体で日本一になっていますからね。
栗原 日本一の主将じゃん!そりゃ負けますね(笑)僕は湘南高校での主将...だけです(笑)見劣りしますね、やっぱり。
仲宗根 大学の主将は高校までの主将とは全然違くて、高校までは与えられてやっている感じですね。大学は考えてやらなければいけないので。とんでもないこと言ったら、とんでもない方向行ってしまいますし、責任がありますね。今までのやってきた経験からというものは少ないと思います。
――プレッシャーはありますか
仲宗根 栗原とか信頼できる4年生がたくさんいるので、プレッシャーはありますけど、そんなに考えすぎずに色んな人の話を聞きつつ、自分をしっかり持ってやっていきたいと思います。
――次に新体制について伺います。新チームが始まってからの雰囲気はどうですか
栗原 今はまだ部内マッチをまだやっていなくて、シニア、ジュニア、コルツとかぐちゃぐちゃでやっています。その分、前にシニアだった人から教えてもらえるスキルとかもありますし、主力だった人が抜けた分ジュニアだった人とかは上にいくチャンスでもあるので、まだまだ足りないとは思うんですけどガツガツしているのかなと。競争社会の意味合いが去年よりも強い気がします。仲宗根 監督、コーチが変わって練習方法もけっこう変わって去年と比べて厳しい練習なんですけど、栗原は言ったように上を目指してガツガツという気持ちがあるからこそみんな前向きにやっていると思います。
仲宗根 去年僕らはシニアっていう一番上のグレードでやっていて、今は去年ジュニアだったりコルツでやっていた選手と一緒に練習してきて「こいつこんなプレーするんだ」という選手は多くいますね。名前挙げるのはどうなんだろう?部内マッチをまだやっていないので、まだその選手が上にいけるかも分かりませんし...
栗原 まあ、いいんじゃない?言っても。
仲宗根 クリは誰?
栗原 俺は三谷(総2)。育成中だから(笑)
仲宗根 2年生のPRの選手です。
栗原 去年はコルツとかでやっていて、今年はそこのぬるい環境から抜けださせるようにしようと。練習でもずっとペア組んでやっています。
仲宗根 僕は茂木(理3)ですね。タックルも良いですし、練習の意識も高くて良い選手だと思います。見えていなかった選手です...見えてなかったっていうのは上から目線ぽいかな(笑)。でも本当に「こんなプレーするんだ」という驚きは多いです。良い選手だと思います。
――お互いにこういう主将であって欲しい、こういう副将であって欲しい要望はありますか
栗原 全然ないです。仲宗根は厳しくできる、引っ張っていける能力があるので。そういう意味で仲宗根を推したので...僕からの要望なんて言っちゃダメです(笑)もう、全て揃っているので!
仲宗根 あとでこっそり聞いておきます(笑)
――仲宗根さんから栗原さんへはありますか
仲宗根 栗原は本当に信頼しているというか、プレーでも引っ張ってくれる存在なので、僕も何もないです(笑)頭も良いですし。僕に無いものを持っていますからね。栗原 2人で埋め合わせる感じでいきたいと思います(笑)
――理想の主将像や副将像は
仲宗根 誰のような、というのは無いんですけど、僕が1年生の時や2年生の時、桐蔭時代に後輩として主将を見てきたのは、みなさん真摯な姿勢でやられていたので、そういうところは自分も実践していきたいと思います。栗原 僕は、お高くとまらないということですね。副将って近寄りがたい存在になりがちだと思うんですけど、自分から近づいていってコミュニケーションとっていきたいです。部員が160人くらいになると思うんですけど、主将副将がお高い存在にいるとチームはまとまらないと思うので、僕は出来る限り多くコミュニケーションをとってチームを輪にできるようにしたいですね。副将というよりは1人の4年生として、という感覚が大きいです。
――竹本前主将や小澤前副将からは何か声は
栗原 小澤さんからは「お前の好きなようにやればいいよ」と。ちゃんとやっているだろうし、「好きなようにやれよ」って言われたので「分かりました!」って言いました。
仲宗根 僕もですね。一緒にご飯食べに行ったんですけど、「お前らのやりたいようにやればいいよ」って言われました。
――田中監督とは幹部としてどんな話をしましたか
栗原 まずは、去年までやってきた展開ラグビーをしたい、というのを多く伝えましたね。やっぱりFwdで負けたのでFwdの強化に目が行きがちなんですけど、展開ラグビーができなくなったら本末転倒なので、そういうところを重要視しながらFwd強化につなげていきたい、とは最初のミーティングからコミュニケーションをとってきました。仲宗根 そうだね。田中さんも「お前らがやりたいようにやればいいよ」と言ってくださるので、本当に学生主体というか。「思ったことがあったら全部言ってくれ」という感じで、本当に信頼できる人です。最初はどういう人かな、と思ったんですけど、ずっとグラウンドにいますし、真摯で信頼できる人ですね。
栗原 話しかけやすい人ですね。マットさん(林雅人前監督)のプレミア感に比べたら(笑)どんな部員でも「真一さん!」みたいな感じで話しかけやすい感じです。
――下の学年について伺います。3年生はどんな学年だと思いますか
仲宗根 3年生は...どんな学年だろうね?
栗原 学年単位ではあんまり見たことがないからね。
仲宗根 3年生は去年まで試合に出ている選手があまりいなかったんですけど、努力している選手が多いなというイメージですね。
栗原 確かに。2年生は実力主義社会、みたいな感じは受けています。
仲宗根 強い奴がブイブイ言わせる感じです。
――花園で仲宗根さんの母校・桐蔭学園は優勝しましたが
仲宗根 そうですね。(慶大に進学する選手は)まだ続けるか分からない状態なんですけど、1人は入りたいと言っています。彼らとは僕は高校で被っていないので、どういう1年生かは分からないですね。僕がいた頃の桐蔭とは雰囲気とか監督がちょっと変わった感じがしていて、何というか...明るいですね。楽しくやっている感じがします。
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