【バスケ】2011開幕特集・佐々木 三男HC~Part1~

慶大バスケ部の躍進は佐々木HCと共にある。そう言っても過言ではないくらい佐々木HC就任以降の慶大の成績は目を見張るものがある。豊富な経験と独自の理論に基づいた細やかな指導で選手を育てるその腕は確かであり、数々のプレイヤーを育て上げてきた。そんな慶大を率いる指揮官に今年の慶大事情や様々なお話を伺った。

―昨シーズンを振り返って

昨シーズンは学生の怪我や調整不足が原因で十分な体制で全ての試合が出来なかったというのがあります。万全の状態で臨んだのは早慶戦だけでしたね。そういう意味では非常に悔いの残るシーズンだったかなと思います。

―今シーズンに繋がることはありましたか

2月20日から練習が始まって、震災で約2週間活動休止になって、また再びチーム作りをしてるんですけど、去年から引き継いで良いものというのはないですよ。最大の課題である去年の4年生3人が抜けた所をどうするか、というのが現在1つも埋まっていない状態です。ポイントガードが育って欲しいというのがあったし、酒井君(環卒)みたいに身体を張ってくれる人、岩下君(総卒)みたいにある意味リバウンドを専門でやってくれるような人も育って欲しかったです。特にリバウンドというのを大きな課題として取り組んでいるんですけど、3つとも埋まり切れていないです。

昨年の主力3人が抜ける今年の慶大

―その穴埋めが今年のチームには大きな課題ということですか

もうそのことに尽きますね。それが上手くいけば去年と同じような成績が取れるとは思ってはいますけど、なかなか難しいかな、特に春は。

―それを埋めるために、練習の質や量に変化というのはありますか

インカレの決勝というのを代表的な反省材料として、映像を基に色んな分析をやりました。その結果として、1つはシステム上の徹底がなされていなかったということ。もう1つ大事なのは、青学との試合で、個々の体力やジャンプ力で劣っている部分があったということです。そういう意味で基礎体力を上げないといけないということで、今それを一生懸命やっている所です。さっきの3つのポイントもやらないといけないんだけど、それより先に体力的な負けがあった所を補っている所です。練習量に関しては増えていません。節電してほしいという学校からの通達もあるので、練習の量は全く抑えられていないです。なので、今までの練習は全て中途半端な所で終わってしまっていますね。

―今シーズンの目指すバスケットというのを詳しく教えてください

今シーズンは柱がないので、もう1回ディフェンスをやり直して、システムも少し手入れを入れてという風に思っています。とりあえずはディフェンス面の強化をしたいと思ってやってるんだけど、あんまり上手くいってないですね(笑)。

―岩下選手が抜けたことでインサイドが課題となりますが

インサイドが弱くなった分をシステムでカバーしようと思っていて、以前女子を教えていて国際大会の時なんかに使ったプリンストンシステムを少し導入して身長差をカバーするというのはやるつもりです。ディフェンスに関しては、オールコートでダブルチームを掛けながらという、動きの激しいディフェンスというのもやらないといけないと思っていますし、3-2でのマッチアップゾーンも今取り組んでいる最中です。それらも岩下が抜けた穴を埋める1つの策かなと思って、今練習してます。

―佐々木HCは常々、慶大は4年生が大事という風におっしゃっていたのですが、今年の4年生の雰囲気というのはどうですか

これはあんまり言いたくないんだけど、やっぱり去年までの影響が残っています。というのは、やっぱり4年生になると色々な面で責任が生じるので、練習で目一杯頑張らないといけないんですよ。でもそれは3年生の頃からやっていないと、実は出来ないことなんです。今金子(環4)が負傷しているのはまさにその典型で、4年になって副将になって、ハッスルしなきゃいけないということで積極的にやった結果が、膝にきてる。3年の時も頑張っていないということではなかったんだけども、そういう意味では今4年生はバラバラですね。人数が多い分何回もミーティングを重ねて、そういう風に今までとは違う責任を果たそうと頑張ってはくれてるんだけど、結果としては自分の身体が壊れる人、それからチャンスを与えてしばらく戦力として練習をしたんだけどそれを乗り越えられない人。まあ時間が短いからかわいそうではあるんだけど。でもチームが出来ないとトーナメントを戦えないので、その部分は夏に回してということになっています。だから今4年生は家治(環4)が孤軍奮闘という感じです。この前、金子と2人呼んで話しをしたんだけど、チームリーダーとフロアリーダーは家治でいいんだけど、時にはフロアリーダーは他の人がやらないといけない。というのも、今家治が目一杯頑張っていて、もしかしたら壊れるかもしれないという所まで来てます。彼が壊れちゃうとチームが形をなさなくなってしまうので、心配はしてるんですけど。なので、4年生以外の人にも声をかけて、フロアリーダーとかそういうことをそろそろやらないとだめだなということは感じています。うちは4年生が頼りではあるんだけど、生き残っているのは家治だけですね。だから非常に不安です。

3年生となりチームのために更なる成長が望まれる桂(政3)

―新3年生はどうですか

それも問題でね、今頑張らないと来年のこの時期に壊れちゃうんですよ。だからそれぐらい期待もするし頑張ってももらわないといけないです。3年生っていうのはある意味気楽にやれる時期なのね。だけど、すぐ来年には自分達がやらないといけないので、本人達が危機感を持って頑張っておかないと、来年もまた同じようなことを繰り返すんじゃないかと危惧してます。3年は人数が少ないので、心配はしてるけど、その中で誰か1人でもこのシーズン中、レギュラーとしてその座をガッチリと守ってくれれば、2年生が頑張ってるだけに、来年は今年よりは面白いチームになると思ってます。

―3年生の1年生の頃からの成長というのはどうですか

素材的には桂(政3)に何とか頑張ってもらわないといけないと思っています。ただ、なかなかこちらの思った通りにはなってくれませんね。こちらの使い方が不安定というか、決めきれないというのもあるんだけど。今年あたりはペイント内で身体を張るようなことをやってもらえれば、相当チームとしてはしっかりするとは思います。

若きビッグマン本橋(環2)の成長がチームを救うのか

―2年生については

蛯名(法2)も中島(環2)も本橋(環2)も矢嶋(総2)も、特に蛯名なんかは精神的にも非常に強いものがあって頑張っているので、そういう意味でいうと、今の2年生が3年生になった時、もう1度本気でインカレを狙っていけるチームになるような気がしてますし、少し背は小さいんですけどそういう素養はあります。本橋に関しては、時々ものすごい集中力を発揮するんですよ。なので、使っていけばその集中力を持続できる時間が長くなるんじゃないかと思ってます。中島は、プレースタイルとしては、田上(環卒)を目指してやれという風に言っていて、今年はまだ不安定だけど、インカレぐらいからそういう感じになるんじゃないかと思ってます。そういう風に、2年生はそれぞれに特徴があるので、それが上手く発揮されるようになれば期待は大きいですね。

―新入生については

新入生はね、とりあえず使えるのは3人かな。塾高から来た権田君(政1)と、洛南から来た伊藤君(環1)、あとは世田谷学園から来た吉川君(環1)。それで、これも家治には言ってあるんだけど、もうどうしようもなくなったら、伊藤を1番として使うつもりです。練習でも結構良いプレーをしてるから。それぐらい今のチームにとって、この3人は上手くはまっていきそうですね。というかそうなってくれないとチームとしては相当弱いかなと思ってます。当初は期待してなかったんだけどね。権田はシュートが上手いので、戦える身体になれば使えるなとは思ってたんだけど、伊藤君と吉川君についても、今のチーム状態であれば十分スターターとして行かせてもいいぐらいです。でも、家治にも言ったんだけど、まだスターターとしては使わないつもり。使うと他がだめになっちゃうので。まあしばらくはそのまま行かせようかなと思ってます。体格的には良くはないけど、素材としてはうちにとって良い方です。

Part2に続く

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