―今のチームの競争意識や練習に取り組む意識というのはどうですか
2年生なんかは結構人数が多いので、例えば、平石(環2)にしても長命(経2)にしてもよく頑張ってるんですよ。でも、じゃあ1番が今不安定だからといって、平石がそこに果敢にチャレンジするかと言われれば、まだそこまでいっていない。それから長命が3番で家治を引きずり降ろすかと言えば、まだそこまでいっていない。なので、競争という面から言うと、それほど激しいわけではないですね。練習での意識は非常に高いです。僕はいつも練習では自分の持てる力を出していけという風に言っているんですけど、8割方がそれをやろうとしてますよ。
―今シーズンのキーマンやメンバーの構想などがあれば教えてください
キーマンは家治なんだけど、その家治をサポートするのは、蛯名であり中島です。僕は試合をやる中でチーム内に不動の3人がいないと試合は出来ないと思っていて、そういう意味で言うと、家治、蛯名、中島がキーになるんじゃないか思います。あと、これは当初から学生にも言ってるんだけど、1部リーグに留まりたいというのでやるんであれば、それは出来るよと。2部に落ちるのを阻止するためのチーム作りは。でもそんなことのために毎年やってるわけではない。高い理想を持って、とにかく優勝を目指すという風に言ってあるので。家治はもちろん、それが少し分かりかけてるのが蛯名。だからキーマンはその3人かな。
―今シーズンのトーナメント、リーグ戦、インカレという3つの大会の展望を教えてください
まずトーナメントは、準々決勝の大東にどれだけ戦えるかが鍵かな。そこをクリアすれば、リーグ戦も去年みたいに選手が欠けたりしなければ、普通に戦えると思いますけどね。インカレは当然優勝を狙ってやりますよ。去年の青学との試合の分析に基づいて、一歩のダッシュ力とかジャンプ力というのを強化してるので、それがある程度の目処が立てば、インカレも戦えると思ってます。相当高い壁だけどね。だけど、僕は全部優勝を狙ってます。
―これまで佐々木HCが育ててきた選手達が、今JBLやbjリーグで活躍してますが、彼らをどう見ていますか
この前大祐(総卒・現日立サンロッカーズ)が「新人王取りました。」っていう報告をしてきて、本人もすごく喜んでたけど、そういう意味でいうと、学生の時に比べると大人になったなと思って喜んでます。ちゃんと報告が出来るようになったので(笑)。それから、石田(環卒)がbjリーグにコミッショナーの勧めもあって、チャレンジするみたいだけど、そういう風にバスケットを続ける人が出て来てるのは、慶應の卒業生にはない一面でいいかなと思ってますけどね。
―竹内公輔選手(総卒・現アイシンシーホース)については
公輔はナショナルチームの要だからね。譲次(東海大卒で公輔選手の双子の弟・現日立サンロッカーズ)と違って今みたいな活躍が出来てるのは、慶應に来たからだと思ってくれてるとは思ってます。というのは、色んな下手な奴らと一緒に練習をやって、自分の優れてるのはここだからここを練習しよう、というのが相当分かったと思うんですよね。高校の時は優秀な人達のなかでやってて、譲次と比べるとちょっと下に見られていたんだけど、慶應の場合は徹底的に試合も使うし、リバウンドをしっかり取れと言ってたのも今に繋がってて。これも他の所に行ってたら譲次と同じようになってるんじゃないかと思うけどね。まあそういう大きな柱があるから今でも通用してるんじゃないかなと思います。
―最後に、佐々木HCは慶應に来てもう長いですが、ここまで慶應というチームは伝統を残しつつどう変化していますか、またこれからどう変化していくとお考えですか。
多分他大学みたいに、スポーツで入試に対して有利な条件を出す、ということは今後も出来ないと思うんですよね。でも、慶應という学校自体に憧れて、なおかつバスケットもしたいという人が増えてきたので、試合にもある程度勝ててきているというのがあると思います。色んな高校からチャレンジしてもらって、もっといいチームになって欲しいと思ってます。もう1つ、慶應の体育会は、きちんと専属のコーチが付けば、どのチームも関東では1部に入れると思ってます。なんでこの練習をやるのかということを説明すれば、そこに向かってチャレンジする賢い子達なので、しっかりと方向付けをしてあげればどこの部も活躍出来ると思うんですよね。バスケット部は今たまたま私が指導しているけども、これからもちゃんと専属のコーチを付けて、慶應でバスケットも勉強もどっちもやりたいという子がまだまだ出てくると思うので、それを伝統として、チームが前進していってくれればいいなと思ってます。そしてどの部もその努力をしてほしいと思ってます。実はね、来年受験したいという子がもう10人ぐらい出て来てるんですよ。それは去年インカレを頑張ったというのもあるだろうし、ああやって青学に果敢にチャレンジしたことを周りの高校生が評価して、自分も慶應でやってみたいと思ってくれたからなので、そういうことが伝統として形を成していけばいいかなと思ってます。
特集取材・写真 筬島茂久 梶ヶ野翔太 岡田洋介
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