【野球】コラム“ヒーローインタビュー”⑧ Vたぐり寄せる値千金のサヨナラ打! 渡部遼人

勝ち点4を決めるサヨナラ打を放った

5月21日(月)東京六大学春季リーグ戦 明大3回戦

 

明大

1X

打球がセンター前へ抜け、サヨナラのランナーがホームイン。一塁ベースを回ったヒーローにチームメイトが駆け寄る。歓喜の輪の中心でもみくちゃにされたのは、サヨナラ打を放った渡部遼人(環1・桐光学園)だった。

リーグ優勝に向け、大きな岐路となった明大3回戦。試合は3点ビハインドから慶大が粘って追いつき、4-4で9回裏の慶大の攻撃を迎えた。2死二、三塁と一打サヨナラの場面で、前の回から代走で出場の渡部が打席に入る。対する明大のピッチャーは、前日3安打完封負けを喫した伊勢。「真っ直ぐに絞って思い切り」。好投手からヒットを放つため、渡部はヤマを張った。すると、狙いは最高の結果となった。やや高めに浮いてきた真っ直ぐをセンターへ弾き返し、サヨナラのランナーが生還。自身のリーグ戦初ヒットは、野球人生で初めてのサヨナラ打であるとともに、チームを優勝に大きく近づける価値ある一打となった。

初ヒットが大仕事となった

若林将平(環1・履正社)や福井章吾(環1・大阪桐蔭)といったビッグネームのルーキーやその他の実力ある上級生をも押さえて、ベンチ入りを果たしている渡部。主に代走や守備固めとしての出場が多いが、少ない機会の中で結果を出すために意識していることは「準備」をすることだという。試合の前から相手ピッチャーのタイミングや癖を自分なりに見抜くようにするなど、いつ来るか分からない出場に備えている。この日も代走からの試合出場。サヨナラの回は6番から始まる攻撃で、1番に入っていた渡部は5番目に打順が回ってきた。「回の初めから(サヨナラの場面)を想定していた」というように、気持ちの「準備」をした上で打席に向かった。凡退すれば延長戦突入という緊迫した場面。「準備」が生み出した気持ちの余裕が、ルーキーらしい思い切りのよいスイングを可能にさせた。

整列後、再び歓喜の輪の中心となった

身長170㌢、体重65㌔と小柄なルーキーの渡部だが、その姿からはすでに「KEIO」の一員としての自覚が大きく感じられた。「慶應に入ったからには、(早稲田に)2勝することが使命。それに貢献できるように、また準備をしていきたい」。試合を決めた小さな彗星は、もうすでに早慶戦に備えている。

(記事:重川航太朗)

 

☆インタビュー

――今の気持ちは

嬉しいです。

 

――打席に入る前はどのような気持ちでしたか

絶対に回ってくると思って、回の初めから準備していたので、準備の結果で出たヒットだったと思います。

 

――自分で決める自信はありましたか

回の初めから想定はしていたので、とにかく思い切り振るしかないと思って、打って抜けてくれたので、良かったです。

 

――伊勢投手の印象は

いいピッチャーで真っ直ぐに自信を持っているので、真っ直ぐを投げくるだろうと思って、一つに絞っていたので思い切り振れました。

 

――監督や他の選手からはどういった声をかけられましたか

たぶん打たないと思われていたので、「よく打った」とみんなに声をかけてもらいました。みんなに声をかけてもらったので、誰が誰だか分からなかったです。

 

――センター前に抜けた瞬間は

サヨナラを打ったことが無かったので、ヒットを打って「あ、サヨナラだ」という感じでした。そしたら、ベンチからみんなが迎えに来てくれて、すごく気持ちが良かったです。

 

――今季3打席で初ヒットとなりましたが、少ない打席の中で意識していることは

球数を多く投げさせることは意識しています。決めにいくところは、思い切り良くいかないとダメだし、監督からもそういうふうに言われているので、それを実行しています。

 

――途中出場での機会が多いですが、どういったことを意識していますか

準備をすることが結果につながると思うので、代走と守備で出させてもらうことが多いので、試合の前日よりも前から準備はしっかりしています。

 

――具体的にはどういった準備を

相手のピッチャーをよく見て、自分なりに癖を見抜くことだったり、タイミングだったりを次の試合に向けての期間で準備しています。

 

――今日の伊勢投手に関しても同様ですか

バッティングに関しては正直全くしていませんでした。ただ、何かに絞ることで可能性が広がってくると思って、真っ直ぐに絞って思い切り振りました。

 

――ルーキーとして試合に出ることに対して意識していることは

1年なので、とにかく全力でプレーをすることと、同じくベンチに入っている橋本と正木とかと一緒に前日の夜も練習していますし、1年なりにできることをやって、先輩方の足を引っ張らないように意識しています。

 

――ルーキーでかつ、途中から出る難しさは

リーグ戦前の練習試合から途中から出させてもらう形は経験してきたので、リーグ戦だからといって焦ることなく、やるべきことを淡々とやっています。

 

――早慶戦に向けて

早稲田に勝つというのを先輩方も目標にしていますし、慶應に入ったからには2勝することが使命だと思っているので、それに貢献できるように、また準備をしていきたいと思います。

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