初戦を白星で飾り、好スタートを切った慶大。第2節は今季、2部リーグに戻ってきた日本体育大学が相手となった。第一試合から拳が激しく交わり互いに一歩も譲らぬ試合となったが、ライトフライ級古山皓介(環2・新潟江南)とバンタム級井上慈元(総3・広陵)が勝ち点を獲得。しかし、ライト級以降3Rまで持ち込む粘り強い選手の姿が見られたが、惜しくも判定で及ばず。結果2-5でリーグ戦2連勝とはならなかった。
2018年5月26日(土)
第71回関東大学ボクシングリーグ戦 vs日本体育大@後楽園ホール
階級 | 勝敗 | 慶大選手名 |
| 相手選手名 |
LF | ○ | 古山皓介(環2・新潟江南) | 3-2(29-28,27-30,30-27,30-27,28-29) | 石澤勇生
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F | ● | 桑満隆生(文2・慶應) | 0-5(27-30,27-30,27–30,27-30,28-29) | 根井鷹也
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B | ○ | 井上慈元(総3・広陵) | 4-1(30-27,29-28,27-30,29-28,29-28) | 近藤豪紀
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L | ● | 松木健太(総1・鎌倉学園) | ABD1R0’50
| 堀尾裕司
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LW | ● | 森瑞季(経4・福島成蹊) | 0-5(28-29,28-29,27-30,27-30,27-30) | 牛田翔也
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W | ● | 武智琉馬(環1・新田) | 0-5(28-29,27-30,27-30,27-30,27-30) | 仕入拳汰
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M | ● | 林麟太郎(経4・慶應) | 2-3(29-28,27-30,29-28,27-30,28-29) | 小森勇典
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初戦明大戦で白星を得た慶大が第2節で対戦したのは、今季2部リーグに復活した日本体育大学。今回の試合の結果が最終的なリーグ戦結果に大きく影響することが考えられたため、ウェルター級を除く6階級で前回と同様のメンバーが出場した。
まず、第一試合のライトフライ級に登場したのは、古山皓介(環2・新潟江南)。ゴングが鳴った瞬間から激しく拳が交わり、白熱した試合が展開される。「1Rでポイントを取りに行く」と意識した古山は、相手の振り下ろすようなフックをうまくかわし、距離を掴みながら進めていく。2Rでは素早くボディに入れ込むと相手の動きを先読み、右ストレートを放ち相手のダメージを誘う場面が増えるが、お互いに一歩も譲らぬ展開となる。そして最終ラウンド、相手を見切った古山は、ワンツーのリズムを一気に加速させ、相手を上回り、3-2の判定勝利となった。
第二試合のフライ級には、桑満隆生(文2・慶應)が登場した。1R、勢いのある左ストレートを幾度も放ち、試合の流れを作り始めたところで有効打を放ち、50秒で早速相手をダウンさせる。しかしその後相手が盛り返し、右フックを受けた桑満は鼻を負傷してしまう。つづく2Rでは、立て直しをはかってきた相手に流血をかばいながら応戦する形をとるようになってしまい、ペースにのまれた桑満は、右フックを食らい、ダウンを取られてしまった。しかし3Rまで粘り強く挑み続け、判定まで持ち込んだが、結果0-5で惜しくも敗戦を喫した。
第三試合には、バンタム級の井上慈元(総3・広陵)が登場。身長差のある選手を相手に1R開始直後から攻めの姿勢を全面に出して、右フックを炸裂。熱気を感じさせる。しかし変わって2Rは、「細かく行けという指示で冷静になれた」と振り返るように落ち着きを見せ、狙い通りにボディへの攻めを成功させると、流れをモノにしていく。その流れを維持した3Rは、井上が試合の主導権を握り、相手の体力を徐々に奪っていくと、判定で見事勝利し、慶大が一歩リードした。
日体大との点差を広げたい第四試合のライト級には、前節の後楽園デビューで初勝利を飾った松木健太(総1・鎌倉学園)が再び登場。しかし、相手のリズムの速いワンツーに応戦しきれず1R開始わずか40秒でダウンを取られてしまう。すぐに立ち直った松木だったが、直後にセコンドからタオルを投げられ、試合は終了。コーナーの柱に思いをぶつけてしまうほど、悔しい結果となってしまった。
続く第五試合のライトウェルター級には、主将森瑞季(経4・福島成蹊)が登場。熱のこもった重い拳を大きく振るうが、相手も手数で応戦。激しい打ち合いが繰り広げられる。近距離でタイミングを狙って一気にボディやアッパーで突き放すボクシングスタイルに持ち込んだ森だったが、1R1分50秒でその裏をかかれ、左フックをもらい、ダウンとなってしまう。その後立ち直った森は、2Rで近距離のフックを積極的に重ねパワーで反撃していく。そして3R、スタミナを維持し続けるが、決め手を作れぬまま試合終了。「1Rでのダウンがポイント的に悔しかった」と試合を振り返った。
日体大のリーチとなり、慶大にとって後がなくなった第六試合のウェルター級に登場したのは、武智琉馬(環1・新田)だ。リングを大きく使い軽いフットワークの武智は、長いリーチで勢いのあるストレートを放ち、相手に印象付ける。しかし2Rに入ると、動きを見切られたように拳を交わされる場面が増え、思うように試合を展開できない。つづく3Rでは、距離を縮めて気持ちを全面に押し出したスタイルに変更するが、残り35秒のところで強烈なフックをもらいダウンを取られる。最終的に立ち直り、試合をやりきるが、判定で0-5となり、残念ながら敗北。同時にここで、慶大の敗北が決まってしまった。
そして最終試合のミドル級には、林麟太郎(経4・慶應)が登場。身長差がある相手に対し、林は体を上下に動かしながらフックとボディを使い分け、相手を翻弄していく。2Rでは、ジャブで相手の動きを固めてストレートを放つ場面も見られ、試合の流れを引き寄せ、優勢に試合を進めつつあった。しかし3Rに入ると、相手が盛り返しをみせ、打てば打たれる互角の試合が繰り広げられる。絶え間ないワンツーで徐々に体力を奪われるなか、試合を終えるまで力を振り絞った。しかし決め手に欠け、惜しくも判定負け。結果慶大は2-5となり、リーグ戦2連勝はならなかった。
今回は相手のパワーある手数の多さに応戦する場面が多かった慶大。思うように自分なりのボクシングを展開できず、「あと一歩届かずといった試合が多く見られた」と森主将は振り返る。対応するから仕掛ける側へ、3分3ラウンドという短い時間のなかで主導権を握るには、小さなきっかけも見逃してはならないだろう。次節の相手は法政大。昨年は0-7と悔しい結果となってはいるが、1年間の練習を経て着実に力をつけている慶大にも勝機はある。攻めのボクシングで勝機を掴む姿を見られることを楽しみにしたい。
(記事:佐野ちあき 写真:津田侑奈)
以下選手コメント
森瑞季(経4・福島成蹊)
(今日の自身の試合を振り返って)勝たなくてはいけないところで、負けてしまったというのは主将として情けないなと思います。今まで自分より体の大きい選手と対戦することが多かったので、自分から追いかけ回して当てにいくというスタイルでした。今日は自分より少し小柄で腕っ節のいい選手と対戦して、どうなるんだろうなとは思ってはいたんですけど、1Rでダウンを取られちゃってそこから少しポイント的にも悔しいところでした。(全体としての試合を振り返って)今年の僕たちにとって目標にしていた相手でもあったので、あと一歩届かずという試合もいくつかあったのが惜しかったです。でも選手たちの頑張りが見えた試合だったと思います。(今後も強豪校との試合が続いていきますが)監督にこれからについて聞いてみないとわからないですが、最善を尽くすことがベストだと思います。しっかり取るべきところで、ポイントを取れるように頑張っていきます。
古山皓介(環2・新潟江南)
(今日の自身の試合を振り返って)落ち着いて試合に臨むことができました。(相手の印象は)相手は勢い、パンチ力があって、前に出てくることもあり、下がりながら試合をすることに多少のやりづらさはありました。(序盤から積極的に激しくパンチを打ちにいっていましたが今日のゲームプランは)普段の試合で1Rに手数を出さずに取られてしまうことがあったので、1Rを取りに行くという意識で試合に臨んだことが今日の結果につながったのだと思います。(次回の法政大学戦への意気込みを)まだ次の試合に出るかは分かりませんが、出場するとなれば、しっかり準備と対策をして試合に臨めたらなと思います。
井上慈元(総3・広陵)
(今日の試合を振り返って)勝ててめちゃくちゃ安心していますが、チームが勝てなかったので、チームを勝たせるという役割は果たせなかったです。今後どうしていくか、練習でアドバイスできることはアドバイスするし、そこから改善していこうと思います。(勝因は何だと思いますか)左の攻撃とボディで着実にポイントを取れたかなと思います。(元々のプランは)単発にならず、3つ4つ攻撃を当てていくということだったんですけど、熱くなってしまってできなかったので、今後改善していきたいです。(1Rは互角な印象があったが、2Rからは主導権を握っているように見えました)1Rは緊張していて、監督から「細かく行け」と指示があったので一度冷静になって、2Rから細かくパンチを当てることができました。(相手校は手数が多かったように見えました)1発目の攻撃は避けて、そこからカウンターを狙うというのを意識していたので、そこで上手くパンチを当てられたので良かったです。(次回の法大戦に向けて)法大は強いですが、一生懸命自分のできることをやって頑張りたいと思います。