【野球】 見せよ六の王者のプライド 苫小牧駒澤大戦展望

全国の舞台に帰ってきた慶大野球部。春の全日本大学野球選手権に出場するのは4年ぶりとなる。前回は初戦で敗北を喫しただけに、今回はそう簡単には負けられない。目指すのはただ一つ「日本一」。その頂へ向け、まずは初戦で対戦する苫小牧駒澤大学の戦力分析を行っていく。

東京六大学連盟代表の慶大。そんな大学野球の中心である陸の王者に相対するのは北の大地、北海道学生野球連盟代表の苫小牧駒澤大学だ。リーグ戦を9勝1敗(5大学と2試合ずつの勝率制)で勝ち上がり創部2度目の優勝を果たすと、4年ぶりの神宮球場でついに初勝利を掴んだ。

部員わずか42人というチームの中心にいるのが伊藤大海(2年・駒大苫小牧)だ。高校時代には甲子園で勝利を挙げるなど活躍し、駒澤大学に入学する。しかし、1年で退部し、故郷に帰ってきた。規則により1年間出場は出来なかったが、今年から復帰すると、最速154㌔という快速球を中心にエースとして活躍。52イニングで97奪三振、9イニングあたりの奪三振率は驚異の16.8を誇る。全日本初戦の日本文理大戦では初回からこの日の最速151㌔をたたき出せば、スライダーで見逃し三振を奪うなど剛柔組み合わせたピッチングを展開。124球のうち直球は80球。変化球はカウント球のスライダーを中心に直球の半分ほどの比率で投げ込んだ。先制こそ許したが、9回を投げ切って10奪三振被安打5与四球1で2失点。前評判にたがわぬ投球で神宮にその名を刻んだ。

2枚目の先発投手は岡田周斗(2年・旭川龍谷)または岡本凛典(3年・札幌大谷)が予想される。両投手とも力強い直球を持っており、ストレートに振り負けないことが必要になる。前日登板した伊藤が登板する可能性ももちろん考慮しなければならない。最終節の旭川大戦では6回コールドの試合を完封した翌日に9回完封を果たしている。おそらく中継ぎ待機が既定路線と思われるが、伊藤が登板すれば打ち崩すのは至難の業。なんとしてでも序盤から主導権を握っておかなければいけないだろう。この大会は指名打者制度が適用されるだけに、DHで出場する選手が新打線のカギを握ると言っても過言ではない。

DHとしての起用が濃厚な若林

伊藤を筆頭に力強い直球を武器にする投手が多い印象を受けるだけに、ストレートを念頭に置いた攻めになるだろう。この日も伊藤が喫した失点は甘い直球を長打にされた2失点だった。甘い球を仕留め損なわないことが重要になるだろう。

 

一方相手打者を見てみると、初戦では上位から下位まで万遍なくヒットを積み重ねた。特に9番の二口(3年・駒大苫小牧)が2安打2打点と活躍を見せた。リーグ戦でも下位打線のバッターは3割以上の打率を残し、上位を見てみると本塁打を複数放っている打者もいる。相手の乱れもあるとはいえ、選んだ四球も7つ。慶大同様に「打線」としての力がある厄介な相手と言えるだろう。慶大を引っ張ってきた投手陣には、四球から乱れないことが大事になる。層の厚さは全国にも通用するレベルだからこそ、最低限の仕事をしっかり果たして繋いでいければ普段と同じ結果が得られるだろう。

初戦の先発はやはりエース髙橋亮だろう

一発勝負の全日本。やはり大事になるのは先制点だ。リーグ戦で先制したのはわずか3試合で、最後は7試合連続で先制点を許してしまった。後半戦は野手陣が苦しんだことも大きな要因だ。チーム一丸で勝利を掴み取るために、今こそ野手の力を発揮したい。

 

昨秋は投打ともにいいところなしで終わった全国の舞台。今度こそ“六の王者”としてのプライドを今一度見せつけたい。

 

(記事・尾崎崚登)

 

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