6月14日(木) 全日本大学野球選手権大会 準々決勝 VS東日本国際大
苫小牧駒澤大を5回コールドで下した慶大は、南東北野球連盟代表・東日本国際大と対戦した。試合は、初回から郡司裕也(環3・仙台育英)、内田蓮(総4・三重)の適時打で3点を先制。一方、先発の菊地恭志郎(政4・慶應志木)は5回まで無失点に抑える好投を見せる。さらに打線は5回に嶋田翔(環2・樹徳)のスリーラン、8回に打者一巡の猛攻で4得点を奪い2戦連続のコールド勝利を収めた。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 計 |
慶大 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 4 | 10 |
東国大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 2 |
※大会規定により8回8点差コールド
慶大バッテリー:○菊地、髙橋佑、石井―郡司
東国大バッテリー:●船迫、佐々木、高木―浅賀
慶大本塁打:嶋田3ラン(5回)
◆慶大出場選手
| ポジション | 選手名(学部学年・出身高校) |
1 | [7] | 河合大樹(総4・関西学院) |
2 | [8] | 渡部遼人(環1・桐光学園) |
3 | [9] | 柳町達(商3・慶應) |
4 | [2] | 郡司裕也(環3・仙台育英) |
5 | [D] | 若林将平(環1・履正社) |
| HD | 橋本典之(環1・出雲) |
| HD | 植田清太(総4・慶應) |
6 | [5] | 内田蓮(総4・三重) |
7 | [4] | 小原和樹(環3・盛岡三) |
8 | [3] | 嶋田翔(環2・樹徳) |
9 | [6] | 瀬戸西純(政2・慶應) |
P |
| 菊地恭志郎(政4・慶應志木) |
|
| 髙橋佑樹(環3・川越東) |
|
| 石井雄也(商3・慶應志木) |
圧倒的な打力で2回戦を悠々突破した慶大。対戦相手の東日本国際大は、2人のサイドスローを擁しており、この両投手を攻略できるかが勝負の鍵となるだろう。ベスト4進出を懸け、若き血が神宮で躍動した。
この日も慶大の先攻でプレイボール。まずは先制したい打線は初回からエンジン全開。渡部遼人(環1・桐光学園)が四球で出塁すると、続く柳町達(商3・慶應)も相手二塁手が捕球にもたついている間に一塁を駆け抜け1死一、二塁のチャンスを演出。ここで打席には、”リーグ戦MVP”の郡司。フルカウントから低めの変化球を上手く拾う技ありの適時打で、幸先良く1点を先制した。続く嶋田は三振に倒れたが、内田がライトフェンス直撃の三塁打を放ち、さらに2点を追加する。大きな援護点をもらった先発の菊地。落差のあるフォークを武器に5回まで毎回奪三振を記録。2回、3回と得点圏に走者を背負ったものの、落ち着いた投球で後続をしっかりと断ち切った。
打線は5回。2死から内田、小原和樹(環3・盛岡三)の連続安打で一、三塁のチャンスを作ると、打席には明大3回戦以来安打を放っていない嶋田。2球目の甘く入ったスライダーを完璧に捉えると、打球は一直線にレフトスタンドへ。久しぶりの安打は、チームの勝利をグッと近づける3点本塁打となった。6回からは、セットアッパーの髙橋佑樹(環3・川越東)がマウンドへ。しかし、バッテリーミスなども重なり2死二塁のピンチを招くと、続く打者の打球が詰まりながらもレフト線に落ち、不運な形で1点を返されてしまう。さらにピンチが続いたが、ここはなんとか踏ん張った髙橋佑。7回になると完全に立ち直り、三者凡退に抑えた。
すると打線は8回、再び追加点のチャンスを得る。瀬戸西純(政2・慶應)、河合大樹(総4・関西学院)、渡部が連続安打で1死満塁とすると、柳町の押し出し死球、郡司のレフト前安打など打者一巡の猛攻で一挙4点を追加した。これでスコアは10―1。裏の守備を抑えれば、8回コールド勝ちが成立する。8回裏のマウンドには、守護神・石井雄也(商3・慶應志木)。リーグ戦では安定した投球を見せていた石井だが、安打や死球が絡み満塁のピンチを作ると、レフト前へ安打を運ばれ1点を返される。なおも満塁のピンチが続いたが、最後は空振り三振に切って取りなんとかコールド勝ちを収めた。
結果を見れば打線が爆発しての大勝だが、7回、8回にミスから得点を許したシーンは、詰めが甘いと言わざるを得ない。ここまでは、トーナメントも序盤ということもあり、力の差で押し切る展開で試合を運べているが、今後さらなる強敵と対峙したときに、今回のような小さなミスから突破口を開かれ兼ねない。大会一の投手力と噂されていた東洋大が、2回戦でコールド負けを喫したように、何が起こるか分からないのが全日本大学学生選手権大会という大舞台だ。次はいよいよ準決勝。気を引き締めて、ミスなくしっかりと戦ってほしい。
(記事:内田貴啓 写真:尾崎崚登)
◆打撃成績
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| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
[7] | 河合 | 左飛 | 左安 |
| 投ゴロ |
| 空三振 |
| 右安 |
[8] | 渡部 | 四球 | 二ゴロ |
| 中安 |
| 三ゴロ |
| 左安 |
[9] | 柳町 | 二失 | 四球 |
| 左飛 |
| 空三振 |
| 死球① |
[2] | 郡司 | 右安① | 空三振 |
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| 右飛 |
| 四球 | 左安② |
[D] | 若林 | 空三振 |
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HD | 橋本典 |
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| 右安 |
| 三邪飛 |
| 二ゴロ |
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HD | 植田清 |
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| 一ゴロ |
[5] | 内田 | 右3② |
| 一犠 |
| 中安 |
| 一ゴロ | 二失 |
[4] | 小原 | 中飛 |
| 中飛 |
| 中安 |
| 三ゴロ | 遊ゴロ |
[3] | 嶋田 |
| 空三振 | 遊ゴロ |
| 左本③ |
|
| 中飛 |
[6] | 瀬戸西 |
| 中安 |
| 一ゴロ | 空三振 |
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| 投安 |
◆投手成績
| 投球回数 | 打者数 | 球数 | 安打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責 |
○菊地 | 5 | 19 | 80 | 2 | 8 | 2 | 0 | 0 |
髙橋佑 | 2 | 9 | 44 | 3 | 1 | 0 | 1 | 0 |
石井 | 1 | 7 | 33 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 |
◆監督・選手コメント
大久保秀昭監督
――今日の試合を振り返って
先制点を初回にいい感じで3点を取れて、優位に試合を進められたと思います。ただ、菊地がランナーを出しながら苦労した部分がありました。なかなかリズムがもう一つという感じでした。
――2人の中継ぎが登板しましたが
早慶戦以来の登板なので、可もなく不可もなくいいことも悪いこともあったので、もう一回調整してもらって、また戦えるようにしたいです。
――打線は2桁得点をあげました
個々がしっかり頑張ってくれて、状態が悪い選手も状態を上げているので、なんとかいい戦いができるかなという感じです。
――嶋田選手にホームランが出ましたが
不調でも我慢して使っていた部分もあるので、これからも頑張ってほしいです。
――相手の印象は
二枚看板のうちの1人だったのでした。何も知らない投手と対戦するのは大変なので、野手がよく頑張ってくれてると思います。
――サイドスローが2人いたので、そこを重点的に対策したか
対策も時間がないので、イメージだけしっかり持てるようにしました。
――ベスト4に進出したことに関して
一応二つ勝っただけなので、あと2つ勝ってチームの目標である日本一を達成できるようにしたいです。
――次の試合の意気込みは
ベストな準備をしてベストな試合をすることです。
河合大樹主将(総4・関西学院)
――今日の試合を振り返って
初回から打線が繋がっていい形で得点が出来たので、リーグ戦で最後調子を落としていた内田とか嶋田とかが打ってくれて、それが一番大きいかなと思います。
――2試合連続で大量得点で失点は少なくという試合を展開しました
リーグ戦同様、失点はしっかり抑えていくというところと、打線の中では9人全員で投手を崩していくというのを全日本選手権では出来ていると思います。
――ご自身も昨日4安打、今日2安打と好調に見えます
たまたまヒットコースに飛んだりというのもありますし、リーグ戦通じて自分が打てる球だけを手を出してるという感じでやってるので、それが出来てるからだと思います。
――4回にはセーフティーバントを試みる場面もありましたが積極的な攻撃を意識していますか
1番に置かれているのも塁に出るためであったり、攻撃に勢いをつけるためだと思うので、なんとか塁に出るために自分がやれることをやるだけと考えています。
――あと2つ勝てば念願の日本一です。意気込みをお願いします
一戦一戦勝ちを取りに行くこともそうですし、まだまだやってはいけないミスは出ているので、日本一を取るためにもそのようなミスを無くして、完璧に勝てるような試合を出来るようにしたいです。
内田蓮副将(総4・三重)
――今日の試合を振り返って
相手が2試合連続で完封している中で、なんとか野手が点を取ってあげて、投手を援護するれば、なんとか勝てる試合になると思い、試合に臨みました。結果的に10点を取り、投手陣が2点に抑えたので、そこは非常に大きいと思います。
――バッティングの調子は
リーグ戦からチャンスで1本が出れないというところがありました。昨日と今日でチャンスで一本が出ているので、非常に大きいと思います。
――第1打席ではどういうことを意識しましたか
とにかくゾーンを上げて、ランナーを返そうと意識しました。追い込まれていたので、なんとか食いついてやろという気持ちでした。
――打った感触は
一瞬ホームランだと思いました。
――ここまでの戦いぶりを振り返って
打線に関しては出来過ぎだと思います。次の対戦相手はコールドで勝てるような相手ではないと思います。もう一回引き締めて、ロースコアで勝てるようにしていきたいです。
――次の試合の意気込みを
とにかく僕らも挑戦していく気持ちを持って、日本一になれるようにしたいです。
菊地恭志郎(政4・慶應志木)
――今日の試合を振り返って
チームとしてトーナメントで勝ったというのは良かったですけど、個人としてはあまり内容の良い投球では無かったかなと思います。
――今日の調子は
決して良くは無かったです。自分のミスでピンチを広げて、自作自演じゃないですけどそういう形になってしまったり。コントロールが定まらなかったのと真っ直ぐにキレが無かったですし、全般的にあまり自分の納得いく投球ができなかったなと思います。
――その中で5回無失点8奪三振にまとめました
自分自身この前の早慶戦で悔しい思いをしました。ホームランを打たれてそこから崩れてしまいました。やはり1つのミスでどんどん後に引きずってやっていったらこの前の早慶戦みたいになってしまうので、1つの四球を出そうが冒頭を出そうが自分の中でリセットしてまた次のバッターへと投げていけたことが0点で抑えられた要因だったと思います。
――普段戦わない相手でやりづらさはありましたか
特に無かったですけど、昨日もデータで郡司と研究しましたので。
――特別気にかけたことはありますか
ちゃんと郡司との配球で外なら外、内なら内でちゃんと投げミスをしないように、甘く入って打たれることがないようにコントロールは意識して投げていきました。
――最後に次の登板に向けて
僕たちは明後日も試合なので、どういう形で登板するかわからないですけど、今日みたいに勝てばいいので次はどんなに内容が悪かったとしてもどんな形でも勝てるように死に物狂いで勝っていきたいと思います。
郡司裕也(環3・仙台育英)
――試合を振り返って
初回に先制して、試合を有利な流れで進められたのが良かったかなと思います。
――昨日はノーヒットでしたが、今日は2本のタイムリーが出ました
なんとか先制点を自分のバットで取りたいなと思っていたので、ちょうどその場面が来て打てて良かったなと思います。
――先発の菊地投手のピッチングはいかがでしたか
状態はあまり良くなかったんですけど、縦の変化を主体にランナーを出しながらも粘ってくれたなと思います。
――変化球がショートバウンドになるような球が多かったですが、相手も振ってくれました
そうですね。やっぱり初見だとなかなか打ちづらいと思うんで、ワンバウンドでも振ってくれるなと、後は僕が止めるだけだと思ってリードしました。
――リリーフ陣はそれぞれ失点がありましたが
帰ってそこは反省して、また次良いピッチングをしてもらえればいいかなと思います。
――次の相手は東北福祉大です
今までよりは確実にレベルが上がると思うんで、前の試合も見ながらしっかり対策したいと思います。
嶋田翔(環2・樹徳)
――今日の試合を振り返って
昨日は不調でチームに迷惑をかけていた部分があったので、なんとか今日は1本出してチームを楽しようと思っていました。その結果ホームランになったので良かったと思います。
――昨日から変えた点は
僕の中で練習しないとダメだなとずっと思っていました。考えるよりはバットを振るほうがいいなと思っていたので、昨日練習をして、今日はいい感じで試合に入れたと思います。
――ホームランの打席を振り返って
初球のスライダーを空振りしてしまって、次も絶対同じ球が来るだろうなと思っていました。そのスライダーを上手く捉えられたと思います。
――相手はサイドスローの投手でしたが
まっすぐも結構力があって、いいスライダーを投げていたので、どちらかに絞らないと打てないなとわかっていました。結果的にスライダーを打ててよかったと思います。
――初めての全国の舞台ですが
昨日の全国デビューで3三振してしまいました。でも、これ以上悪い結果はないと思ったので、今日は開き直って試合をすることができてよかったと思います。
――ベスト4に進出しました
やっぱりチームで日本一を掲げている以上六大学の代表として日本一を取らないといけないと思っているので、頑張って日本一をとりたいと思います。
――準決勝に向けて
次しっかり勝って決勝も勝てるように頑張りたいと思います。
瀬戸西純(政2・慶應)
--全日本での戦いが始まりましたが、臨む心境は
チーム目標の日本一を達成するために、みんな必死にやっていて、その日本一を掴むチャンスが目の前にあるということで、それを逃す手は無いと思うので、良い意識でモチベーション高くやれていると思います。
--昨日は大量得点の口火を切る先頭でのヒットを放ちましたが
チャンスメイクをいつも心掛けているので、チャンスを作れて良かったと思います。
--今日の試合を振り返って
先制点を取れて、途中で追加点を取れて、失点したのですが、最小失点に抑えてまた追加点という理想の試合展開ができたと思います。
--まず2回のヒットを振り返って
球数を稼ごうと思っていたんですけど、甘く入ってきたボールだったので、思い切って打ったら、ちょっと打ち損じましたが、いいところに落ちました。
--8回には昨日に続きチャンスメイクしましたが
あれは相手の守備の隙というか、乱れをついた良いセーフティバントだったと思います。
--これでベスト4です
あと2個なんですけど、ここから相手がどんどん強くなると思うので、この2試合での大量得点は気にせず、全く意識せず、気持ちを入れ直してやろうと思います。
--明後日の準決勝に向けて意気込みを
この2試合ほどうまくいくとは全然思っていないので、このチームの強みであり、真骨頂である接戦をものにするというゲームをイメージして、明日しっかり準備して、戦いたいと思います。