【弓道男子】2回戦敗退、1本差に泣く悔しい結果に 第48回全関東学生弓道選手権大会

 

新体制となり初の大きな大会が幕を開けた

 

6月16日17日、この時期にしては肌寒い外の気温とは打って変わって、日本武道館では関東の大学選手が集まり熱い戦いが繰り広げられた。第48回全関東学生弓道選手権大会、慶大は昨年までの主力の四年生が抜け、新チームで挑む初の大きな大会となった。今年こそ“Ⅰ部復帰”へ、まずは昨年の2回戦敗退のリベンジを果たすべく戦いが幕を開けた。予選は高的中とは言えずとも難なく突破、続く決勝トーナメント1回戦では22中を記録し相手チームに大差をつけ勝ち進んだ。しかし決勝トーナメント2回戦にて昨年と同じ法政大に1本差で敗退、1本の重みを思い知らされる悔しい結果となった。

 

48回全関東学生弓道選手権大会

 

 

 

616()17()@日本武道館

 

 

ポジション

選手名

予選

1回戦

2回戦

大前(おおまえ)

本郷一輝(法3・慶應湘南藤沢)

二的(にてき)

松本道弥(法2・城北学園)

三的(さんてき)

小林研一郎(政3・慶應義塾)

四的

岡戸康浩(商3・海陽中等教育)

落(おち)前(まえ)

山下健太(商4・慶應義塾)

落(おち)

平井遼太郎(総4・早稲田)

合計

 

16

22

20

対戦校

 

 

東京理科大

法政大

 

 

11

21

※1回の試合で各選手4本矢を放つ。男子団体は6人で構成され、予選では計24本のうち上位24チームが決勝トーナメント戦へ勝ち進む。

トーナメントは2チームが同時に矢を放ち始め、計24本のうち的に中(あた)った本数の多いチームが勝ち進む。

 

 

普段の静かな道場とは違い、各大学の大声援の中での独特な雰囲気の中で行われる今大会。アリーナ会場で多方向から飛び交う矢声の中でいかに集中力を保てるかが重要になってくる。東京都学生リーグと関東学生リーグに所属する約80校の大学が日本武道館に集まり、関東一の座を争うべく熱戦が繰り広げられた。

 

毎年今大会の次の週に全日本弓道連盟中央道場にて行われる全国大学弓道選抜大会にて、ここ2年で優勝、準優勝という功績を残してきた慶大弓術部男子。一方でこの全関東学生弓道選手権大会では十分に力を発揮することができていないのが現状だ。「この試合に向けて、早稲田戦敗戦のあと練習をかなり一生懸命してきました」と鈴木監督が語るように、今大会でいかに普段通りの実力を発揮できるかは慶大にとって大きな課題であった。また、今回の試合で選抜された選手6人のうち3人が今大会初出場、今大会の独特な雰囲気に呑まれずそれぞれが自身の力を出し切れるかというのも勝ち進むためのカギであった。

 

息の合った体配で行射を進める

 

 初日に行われた予選。高的中を出すためには初矢から中てていくことが重要となってくるが、なかなか思い通りにはいかなかった。中二人の小林(政3・慶應義塾)、岡戸(商3・海陽中等教育)が初矢から連続で2本を抜き序盤から緊張が走る。それでも何とか他がカバーをしたが的中は16中。決して良いとは言い難い的中であったが、15位タイで予選を突破し決勝トーナメントへと駒を進めた。

 

 

決勝トーナメント1回戦の相手は、慶大と同じく予選16中の東京理科大。予選の反省から気持ちを切り替えさらに緊張感をもって射位に進む。すると予選で前の一手が入らず苦しんだ小林・岡戸の二人が初矢から詰め、そのまま皆中をみせた。大前の本郷(法3・慶應湘南藤沢)と落前の山下(商4・慶應義塾)も安定して皆中、慶大が流れを完全につかんだまま合計的中22中と相手チームの倍の的中で大差をつけ快勝した。

 

大前本郷は今大会皆中で大前の役目を果たした

 

 

 トーナメント2回戦は翌日朝から行われた。相手は因縁の法政大、予選は22中で2位と決して油断は許されない。前日の1回戦の良い流れを継続したいところであったが、いきなり二的松本(法2・城北学園)の初矢が的枠をかすめるも外れてしまう。続く小林の初矢も的中ならず、初矢から連抜けが目立った。予選と似た流れで前の一手を終え雲行きが怪しくなったが、何とか持ちこたえ、後の一手は全員が詰めた。結果合計は20中。しかし最後の粘りは敵わず、対する法政大学の的中は1本多い計21中。1本差で敗れ、悔しながら2回戦敗退、ベスト16という結果で彼らの戦いは幕を閉じた。

 

 

今大会初出場ながら落で安定感を見せた平井(総4・早稲田)

 

 

 今大会、またも2回戦敗退という結果で惜しくも更に上のステージを見ることはできなかった。決して上位の大学と大きな力の差があるわけではない、しかし鈴木監督も語るように、初矢の的中率や連抜けなど、勝ち進むために改善しなければならない課題はまだまだ残されていた。持った力を存分に発揮するためにはこれらの課題の改善が必要不可欠、それは選手全員が実感したことだろう。

しかし反省点ばかりではない。本郷が「アリーナ経験のない選手が中てられたのは良かった」と振り返るように、今大会出場した選手全員が1回は皆中を出した。決して実力が足りていないわけではないのだ。いかにその射を繰り返せるか、今大会でそれぞれが見つけた課題を改善することが日本一へ近づくための大きな一歩になるだろう。

次は近年優勝、準優勝と好成績を残す全国大学弓道選抜大会。強豪校に勝ち続け頂上に立つことはそう簡単ではない、それは優勝、準優勝を経験している彼らこそ十分承知であろう。日本一への道のりはまだ始まったばかり、頂点を目指す彼らの更なる飛躍に期待したい。

 

 

 

個人戦は入賞者なしに終わる

 

選手名

二次予選

松本道弥(法2・城北学園)

〇〇×

岡戸康浩(商3・海陽中等教育)

〇×

山下健太(商4・慶應義塾)

○○○ ×

※射詰…サドンデス形式で各選手順番に矢を放っていく試合形式。3本目までは尺二(36cm)の的、4本目以降は八寸(24cm)の的を使用する。順位決定は同じ的を狙い、中心に近い順に順位を決定する遠近競射が行われた。

 

八寸的まで進んだ山下

 

 団体戦後には個人戦二次予選が行われた。6月10日に行われた一次予選の結果、山下、岡戸、松本の3人が二次予選出場となった。射詰形式での戦いは山下が3本を詰め4本目から八寸的での勝負に挑むも、惜しくも矢は的から外れ、残念ながら入賞者なしという結果に終わった。

 

 

(記事:國分 萌々子)

 

 

監督・選手コメント

 

 

鈴木清久監督

 

―――二回戦敗退に終わりましたが、今回の大会を振り返って

 

この試合に向けて、早稲田戦敗戦のあと練習をかなり一生懸命してきました。特に分析を選手それぞれ個人が行ってそれをコーチが受け止めるということを集中してやった結果、かなり高的中は出せるようになったと思います。昨日は22中、今日は20中というところですね、結果は伴わなかったですが、確実にチームの力は上がってきていると感じました。

 

 

―――昨年と同様、2回戦で法政大学に敗戦という結果になりました。敗因は

 

法政大学などあのような強い大学相手に初矢から抜いてしまう、連抜けをしてしまうということは十分反省すべきところだと思います。やはり初矢を全部詰める、連抜けをしない、というところを確実にできるように頭を整理して1本に集中して、また今後の試合ありますので、巻き返していきたいと思います。

 

 

―――来週までの改善方法は

 

今までのやり方に間違いはないと思っているので、これを続けて、選手それぞれが自分の射の中る理由をわかるようにして、それを確実に行う、その理由付けをしっかり行うことだと思っています。

 

 

―――来週の選抜大会に向けて

 

一昨年優勝して、昨年は準優勝という結果に終わっているので、縁起のいい大会ですので頑張ります。

 

 

 

本郷一輝(法3・慶應湘南藤沢)

 

―――今大会を振り返って

 

アリーナ経験者がこれまでと比べると少なくて、大学入ってから全関やインカレを経験している人が3人しかいなくてそれでも全員が一回は4を出しているので、その中でアリーナ経験のない選手が中てられたのは良かったと思います。

 

 

―――チームの課題は

 

会で中ると思うまで伸び続けて離さない、もっと粘り強さを持つことです。あとはメンタルを強くすることだと思います。

 

 

―――自身は12射皆中という結果でしたが自身の出来を100点満点で表すとしたら

 

射型的に納得のいかない部分があるので85点です。的中的には100点です。

 

 

―――来週の選抜大会に向けて

 

 

一昨年は優勝、昨年は準優勝という縁起の良い大会なので、優勝できるように頑張りたいです。

 

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