慶大は1勝3敗、2部リーグ4位の位置で迎えたリーグ最終戦。相手は昨年度2部5位の立大だ。バンタム級の井上慈元(総3・広陵)がKO勝ちを挙げるなど熱いプレーを見せたが、第6試合までで3−3と勝敗は最終試合の結果次第に。ここで登場した今リーグ2度目の出場となる北岡秀石(経2・清風)が、重さのあるパンチで相手を圧倒し見事ポイント勝ちすると、慶大は4−3でこの試合を制した。
第71回関東大学ボクシングリーグ戦 第5節 vs立大
7月14日(土) 11:30試合開始 @後楽園ホール
階級 | 勝敗 | 慶大選手名 |
| 相手選手名 |
LF | ○ | 古山皓介(環2・新潟江南) | 5ー0 (30-26,30-26,29-27,30-26,29-27) | 田嶋柊太
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F | ● | 桑満隆生(文2・慶應) | RSC 2R2’02 | 増田陸
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B | ○ | 井上慈元(総3・広陵)
| KO 2R1’24 | 吉住栄輝
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L | ● | 松木健太(総1・鎌倉学園)
| 0ー5 (28-29,28-29,28-29,28-29,27-30) | 宮西恭平
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LW | ○ | 森瑞季(経4・福島成蹊) | 3-2 (10-9,10-9,9-10,10-9,9-10) ※負傷により1Rのみ | 木戸口謙辰
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W | ● | 武智琉馬(環1・新田)
| 0ー5 (27-30,27-30,28-29,27-30,28-29) | 松永麟太郎
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M | ○ | 北岡秀石(経2・清風)
| 5ー0 (30-27,30-27,29-28,30-27,29-28) | 新木大介
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第1試合のライトフライ級は古山皓介(環2・新潟江南)が登場。接近戦で、互いに攻撃を与え合うも、古山の細かい左右パンチが少しずつ相手のダメージとなる。2R以降はジャブで様子見しつつ冷静な戦いを見せると、最後3Rは右ストレートが効き、結果この試合をポイントで制した。
勢いそのままに迎えた第2試合。フライ級で戦うのは桑満隆生(文2・慶應)だ。落ち着いたプレーで試合を開始したが、サウスポーの相手による強烈な左ストレートに苦しみ、1R2分17秒で1度目のダウンを取られてしまう。そして2Rも、リーチの長い相手の攻撃を避けることができず、2分26秒に取られた2度目のダウンをもって、勝利を献上してしまった。
取り戻したい第3試合のバンタム級に出場するは、井上慈元(総3・広陵)。開始から相手攻撃を華麗にかわし、鋭い右ストレートが相手に着実に命中していく。流れを引き寄せて迎えた2Rは、幾度と重たいパンチを繰り広げ、相手がよろけるような場面も見られた。そして2R1分24秒、井上の右ストレートが引き金となり見事KO勝ちを獲得。会場は大いに盛り上がった。
続く第4試合を戦うは、ライト級の松木健太(総1・鎌倉学園)。1、2Rは、相手にそのリーチの長さで距離を取られ、なかなかパンチを当てることができない。しかし、勢いある右フックなど相手攻撃をまともに受け、体力を奪われた状態で戦った3Rは、果敢に距離を詰めるも攻撃を決めきることができず、後半は守りに徹するほかなかった。そして悔しくもこの第4試合は相手に勝利を譲る結果に。2−2で一進一退な試合展開を見せる。
第5試合はライトウェルター級の森瑞季主将(経4・福島成蹊)が出場。ジャブで相手を伺いつつ、左右パンチが相手に着実に当たっていく。ところが1R中盤に森が負傷。この後1R3分2秒までのポイント数で勝負は決まり、森がポイントで勝利した。
ここでも勝っておきたい第6試合。出場するはウェルター級の武智琉馬(環1・新田)だ。序盤から低い姿勢で攻めるが、相手のワンツーとボディに苦しめられやや劣勢に。そして2R1分43秒にはダウンを取られてしまい追い込まれる。3Rには接近戦を繰り広げるも有効打に欠き、攻撃を受けるばかりになってしまった。結果、ポイントで敗北を喫した。慶大の勝利は第7試合に託される。
運命の第7試合。ここを任されたのは、ミドル級の北岡秀石(経2・清風)。サウスポーを生かした、左ストレートが冴え渡る。力強いパンチで優位に立つと、2Rも相手に攻撃の隙を与えることなく、ひたすら重さのあるストレートで圧倒する。観客もヒートアップした3Rは、互いに体力を消耗した様子を見せるが、北岡の右フックが効き、相手にダメージを与え続ける。その結果、この試合を制し、慶大は4−3で勝利した。見事リーグ最終戦を勝利で飾った。
これまでにないほどの大きな声援が、選手たちを後押しし熱いプレーが連発した今回の試合。これで今リーグは終了したが、試合後、「日体大に勝つという目標は達成できませんでしたが、どの試合も濃いもので、大学始めとAO、塾高の子達が混ざって非常に頑張って来た成果だなと思います。」と森主将は部員たちを讃えた。2年連続の2部Aクラス入りとはならなかったが、この目標もまた、来年に引き継がれていくだろう。現在3年生の井上は今後について、「来年は最後の年で後がないので、全身全霊で戦っていきたいと思います。」と来年への意気込みを述べた。連携の取れたチームで、来年こそAクラスへ返り咲く姿を見せてくれると信じている。
(記事:津田侑奈/写真:佐野ちあき)
以下、選手コメント
井上慈元(総3・広陵)
——今日のプレーを振り返って
倒せたので良かったですが、1Rから微妙な感じだったので、そこは反省して直していきたいです。
——KO勝ちでしたが
高校生の時はあったのですが、大学に入ってからは初めてだったので嬉しかったです。
——プラン通りにプレーできましたか
しっかり左を突いて、ボディで攻めようと思っていたのですが、なかなか当てさせてくれなかったので、そこはフェイントとか色々駆使してどんどん行けばよかったなと今は後悔してます。
——今日の試合までにどんなことに取り組んできましたか
意識的に人より多く練習しようと思って、人が休んでる間に、一生懸命10キロ以上走ったり、タイヤを叩いたり、パンチを突けるための練習は取り組んで来たつもりです。
——声援は力になりましたか
声援もそうなんですけど、今自分の地元が雨で大変になっているので、ボクシングができる喜びとか感謝を胸にしていたのが、力になりましたね。
——今リーグを振り返って
(個人で)全勝できたのですが、相手もそれほど強くなかったので、勝って当たり前という気持ちでやって来ました。来年は最後の年で後がないので、全身全霊で戦っていきたいと思います。
——今後はどんな取り組みをしていきたいですか
チーム戦なので、自分だけが強くても仕方がないため、みんなが強くなるようにチームの連携作りを頑張っていきたいと思います。
北岡秀石(経2・清風)
——本日の試合を振り返って
相手の身体のほうが大きかったので、上下に動いてワンツーなどでパンチを散らして攻撃をしかけました。1R目ではそれがうまくいったんですけど、2、3Rではだんだん崩れて来て、あまり良くない試合の流れになってしまったんですけど、そのなかでもパンチを当てることができたので、よかったです。ただ、やろうとしていたことが十分にできなかったのが、今後の改善点であると思います。リーグ最終戦の勝敗が決まるところで、勝てたのはよかったです。
——3-3で順番が回って来たときの心境は
自分中でも今回は3-3で回って来る可能性があると思ってたので、きちんと気持ち整えました。ただ、途中で気持ちが高ぶりすぎて良いボクシングが出来なかったというところはあります。
——今日の勝因は
1Rから2Rのはじめまでは、自分で距離保ちつつ左ストレートを当てていくことができたので、そこが勝因であると思います。
—今後の目標
今年はリーグ戦2戦しか出場できなかったので、出場の機会を増やしたいです。また強い選手と対戦することになっても、勝てる試合をしていきたいです。