第32回関東大学女子サッカーリーグが開幕。初戦の相手はディフェンディングチャンピオンの日体大となった。試合は序盤から日体大が下馬評通りの力を見せ、慶大は思うようにゲームを支配できない。すると34分にミドルシュートを決められ失点。1点ビハインドで前半を折り返す。しかし後半は一転して慶大ペース。71分に山本華乃(理2・横須賀シーガルズ)がゴールを決めると、90分にも山本が得点し一気に逆転に成功。しかし90+3分に失点し、そのまま試合終了。開幕戦は勝ち点1を獲得するに止まった。
第32回関東大学女子サッカーリーグ 第1節 vs日本体育大学
2018/08/26(日)16:00KO @慶應義塾下田グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学2-2日本体育大学
【得点者】
0-1 34分 大坪菜 (日本体育大学)
1-1 71分 山本華乃 (慶應義塾大学)
2-1 90分 山本華乃 (慶應義塾大学)
2-2 90+3分 橋谷優里 (日本体育大学)
◇慶大出場選手
GK 志鎌奈津美(環4・常盤木学園) |
DF 足立智佳(環2・大阪桐蔭) |
DF 加藤楓琳(総3・常盤木学園) |
DF 奥本くるみ(環3・浦和レッズレディースユース) |
DF 工藤真子(総3・日テレ・メニーナ) |
MF 松木里緒(環3・常盤木学園)→85分 勝木日南子(総3・大和) |
MF 小川愛(総2・神村学園) |
MF 中島菜々子(総4・十文字)Ⓒ |
MF 佐藤幸恵(総2・十文字) |
FW 鈴木紗理(総2・十文字) |
FW 山本華乃(理2・横須賀シーガルズ) |
8月も下旬に入り、今年も大学リーグが始まった。今季はインカレベスト4をチーム目標に掲げている中、是が非でも結果が欲しいところだ。初戦は、最初にして最後となるホーム・下田グラウンドに昨年の優勝チームである日本体育大学を迎えての一戦となった。スターティングメンバーは今季ここまでと変わらず、成熟した連携を武器に勝利を目指す。
残暑の中始まった試合は、前半から日体大が女王たる所以を見せつける展開となった。まずは13分、中央をドリブルで運ばれるとそのままサイドに展開され最後はシュートを許してしまう。慶大はいつものように後方からのビルドアップを試みるも、相手の前線からのプレスに苦しみなかなか良いかたちが作れない。すると34分、先に日体大に得点を許してしまう。素早いプレスでボールを奪われると右サイドで細かいパスを繋がれると、最後はシュートを決められて失点。試合の流れを引き寄せられないうちにビハインドを負う展開となってしまう。その後も試合展開は変わらず、慶大は45、45+3分に山本華乃(理2・横須賀シーガルズ)がシュートを放つも得点には至らず。前半はそのまま0-1で折り返した。
後半、「硬さがとれた」と伊藤監督が言ったように、前半とは打って変わって慶大が試合の主導権を握る。開始早々の47分、山本の縦パスの落としから最後は佐藤幸恵(総2・十文字)がドリブルで持ち上がりミドルシュート。これは相手GKに防がれるもいきなりチャンスを作ると、55分には工藤真子(総3・日テレ・メニーナ)のクロスのこぼれを拾った鈴木紗理(総2・十文字)がPA内で相手をかわしシュートを放つ。これも相手GKの攻守で阻まれるが、慶大が縦への積極的なパスから徐々にゴールに迫り始める。そして71分には待望の同点弾が生まれる。後方からのロングパスに反応した山本が体を張ってCKを獲得すると、鈴木が蹴ったボールに山本が頭で合わせゴール。攻勢に出ていた慶大が勢いそのままに得点し試合を振り出しに戻した。その後も慶大のペースは変わらず、81、86分にはそれぞれシュートチャンスを迎えるも得点には一歩届かず。そして試合も終盤に差し掛かった90分。右サイドの佐藤から出た裏へのパスに反応した山本が相手DFと競り合いながらもGKとの1対1を冷静なループ気味のシュートで沈め、ついに慶大が逆転に成功する。しかしその後は負けられない昨季女王の日体大が猛攻。何とか凌ぎたい慶大だったが90+3分にCKを与えると最後は頭で合わせられ失点。勝利まであと一歩のところで再び同点とされると、試合はそのまま終了。結果、大学リーグ開幕戦は2-2の痛み分けとなった。
試合後、伊藤洋平監督は今節を「勝ち点2を失った」とも「貴重な勝ち点1」とも表現したが、まさにその通りの試合だった。慶大は昨季2部から入れ替え戦を勝ち抜き、今季1部での戦いに挑んでいる。一方、相手の日体大は昨季の1部優勝チーム。力の差は当然あると言っていいだろう。その中で勝ち点1を獲得できたというのは慶大にとっては良い結果とも言えるだろう。しかしながらこの試合だけを見れば前半こそ日体大にペースを握られたものの、後半は終始慶大ペースで一時は山本の2ゴールで逆転に成功した中、最後の最後で追いつかれてしまった。つまり、勝ち試合で勝ち切ることができなかったとも言える。しかしこれは伊藤監督も言うように、「凄い成長」だと言い換えることもできる。格上だと思われていた相手に対して勝ち点3を獲得していてもおかしくなかった。今季慶大はインカレベスト4を目標として大学リーグに臨んでいる中で、昨季インカレベスト8の日体大はいずれ勝たなくてはならない相手になるだろう。そういったチームにあと一歩のところまで戦えたということは確実にチームの成長の証だ。今後大学リーグを戦い抜いた先でインカレに出場できた時、慶大はどれだけの試合ができるのか。まずはインカレ出場に向けて次節以降の3連戦に照準を合わせたいところだ。
(記事:岩見拓哉 写真:高橋春乃)
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以下、試合後コメント
伊藤洋平監督
――試合を振り返って
そうですね、正直言って勝てた試合でしたし試合もコントロールできていたので、まあ勝ち点2を失ったかなという感じで、中でやっていた選手たちもそういう気持ちだと思います。でもそれは凄い成長だと思います。
――今日でリーグ戦ではホームでの最後の試合となったが
そうですね、やっぱり本当にこれだけの人たちが来てくださるというのは大学リーグの中でも珍しいと思うし、そういう力が後半の最後に運動量が落ちなかったというところに繋がったと思いますし、そういった思いが伝わるような試合を、もうホームではできないですけど、これからもやっていきたいなと思います。
――前半は相手のプレスに苦しむ場面もあったが後半はどのように修正したか
まあ硬さがとれたというか、もう行くしかないという気持ちもあったと思うんですけど、相手のツートップに対してキーパーももうちょっとプレスを回避するようにフォローをしてあげたりとか、ボランチも相手のツートップが行けないようなポジション取りをしていこうということを修正しました。
――攻撃の部分は
ビルドアップの出発点が空いてきたのでそこから先は芋づる式にスペースが空いてきたという感じです。
――相手は強豪校の日体大だったがこの勝ち点1はプラスにも捉えられるか
そうですね。もちろん誰もが慶應が負けると思っていたと思いますし、そういう意味でも貴重な勝ち点1だと思います。
――2得点をあげた山本選手について
これまで練習試合でもゴールが全然奪えなくてかなりプレッシャーを感じていたと思うんですけど、1点は入ればああいう感じでどんどん取れる選手なので、今後にも期待したいです。
――次節に向けて
次節は東京国際大で3連戦なので、相手の対策もしながらコンディション管理も大事になってくるので、サッカースタイルは変えることなく微調整しながら次こそ勝ち点3を取りたいと思います。
中島菜々子(総4・十文字)主将
――試合を振り返って
率直に勝ち切りたかったなっていう欲は出ました。でも自分たちが先制されてから火がついたって感じだったので、そこはまだまだ自分たちの甘さなのかなって思いました。
――関東リーグから2週間、どのように準備してきたか
あの後から国体のメンバーも結構抜けたりしてて、直前までなかなか全員が揃うっていうことがなかったんですけど、自分たちができることっていうか、得点パターンも増えていったりとかっていうところで、自分たちが攻撃的に戦っていくっていうところでの準備はたくさんしました。
――前半は相手に先制を許したが、守備面での課題は
やっぱり前半は大学リーグ初戦っていうこともあって、みんな硬めに入ってたというか、どこかしら緊張感はあって、もっと自分たちのペースでボールを持ってる時間を増やせれば守備の面でももっとピンチは減らせたと思うし、自分たちの攻撃の部分が改善することができれば、全然守備ってところも変えていくことはできたかなと思います。
――惜しくも勝利とはならなかったが、後半は逆転するシーンもあった
後半は結構自分たちのペースでボールも持てていたし、低い位置で相手がすごい掛けてくる中でも、勇気を持ってパスにつなげたこととか、昨年の大学リーグ優勝チーム相手にそれができたってことはやっぱり自信になったと思うし、結構後半とかギリギリに点を取れることが前期も多かったので、そこは最後まで信じ続けて戦うことができたかなと思います。
――ホームの下田グラウンドでの最後の試合だったが
もうこの時期にラストが来ちゃってたというのは、気付いてはいたんですけど本当に寂しくて、やっぱり4年間の色々な思いが詰まってたし、今日は絶対勝ちたいなっていうのは思ってましたけど、ここ下田で最後までたくさんの声援を送っていただくことができて本当に良かったなと思います。
――次節に向けて
今日の勝ち点1っていうのを先につなげていくためにも次節必ず、次こそは勝ち点3を取りにいけるように全員で頑張っていきたいと思います。
山本華乃(理2・横須賀シーガルズ)
――試合を振り返って
関東リーグでは最下位になってしまったんですけど、大学リーグが始まってここからが本当の勝負ということで、本当は勝ちたかったですけど、チーム一丸となって戦った結果でスタートとしては悪くないスタートだと思います。
――今日の開幕戦にはどのような気持ちで入ったか
今日は下田ではラストゲームでしたし、この前の関東リーグでは自分が決められなくて負けてしまった分、今日は絶対に自分が決めてやろうという気持ちで試合に入りました。
――相手は強豪校の日体大だったが意識していたことはあるか
最近は本当に練習でもシュートが入らなくて、今日はいっぱいイメージトレーニングをして、試合に入ったら何も考えずに思いっきりやろうということは考えていました。
――今日は2ゴールを挙げたが自身の得点シーンを振り返って
1点目は本当にドンピシャのボールが来たので、自分の長所でもある長身というところを生かして思い切り跳んでゴールできたので本当に良かったです。2点目も裏に良いボールが来て、あのシュートは昨日からずっとイメージしていたのでイメージ通り入って良かったです。
――次節に向けて
今日引き分けたというのを次節は生かして、次は勝ち切れるようにインカレ出場に向けてまずは頑張っていきたいと思います。