【ラグビー】勝負所でのミスに苦しみ悔しい敗戦/関東大学ジュニア選手権vs東海大Jr.

ラグビー

慶大の戦いがスタートした


「自分たちのやりたいことができなかった」――試合後、選手たちは口々にそう語った。対抗戦に先だって行われた関東大学ジュニア選手権の第1戦。前半7分、慶大は東海大に先制点を許してしまう。前半26分に
No.8北村裕輝(経2・慶應)のトライで追い付くも、その後は相手にリードを奪われ続ける展開に。後半でもその流れを断ち切れず、19-40でノーサイド。勝負所でのミスが響いて攻めきることができず、悔しい黒星スタートとなった。

 

得点

慶大

 

日体大

前半

後半

 

前半

後半

3

T

2

3

G

1

 

 

PG

 

 

 

DG

 

 

28

21

小計

10

12

49

合計

22

 

 

得点

慶大

 

東海大

前半

後半

 

前半

後半

T

G

PG

DG

12

小計

19

21

19

合計

40

 

平成30年関東大学ジュニア選手権vs東海大Jr.

 

9月8日(土) 13:00K.O. @慶應義塾大学日吉グラウンド

 

T=北村、中山、安西

G=南2

 

ポジション

 先発メンバー

 交代選手

1.PR

有賀 光生(総3・國學院久我山)

→後半38分 田中 慶伸(総1・桐蔭学園)

2.HO

山本 英晴(商3・慶應)

 

3.PR

大山 祥平(経2・慶應)

→後半32分 坂田 拓海(経4・慶應志木)

4.LO

植竹 創(商4・湘南)

 

5.LO

佐藤 航大(理4・國學院久我山)

→後半38分 田中 芳樹(政4・慶應)

6.FL

辻本 大河(法4・慶應)

→後半22分 濱野 剛己(総2・桐蔭学園)

7.FL

齊藤 柊(環4・獨協埼玉)

 

8.No8

北村 裕輝(経2・慶應)

 

9.SH

若林 俊介(政2・慶應)

 

10.SO

南 翔大(総4・常翔学園)

 

11.WTB

大木 魁(環2・桐蔭学園)

 

12.CTB

三木 亮弥(総2・京都成章)

→後半3分 鎌形 正汰(商2・慶應)

13.CTB

沖 洸成(総2・尾道)

 

14.WTB

中山 和政(総4・桐蔭学園)

 

15.FB

安西 浩昭(政3・慶應)

 

 

 

Bチームの公式戦である、関東大学ジュニア選手権。チームとしての勝利を目指すと同時に、選手たちにとっては対抗戦のメンバー入りに向けて自らをアピールする場でもある。初戦の相手は東海大。夏季の練習試合では14-52で敗北を喫している。そのリベンジを果たしたい慶大のスターターには、春季大会での出場経験がある選手たちが多く名を連ねた。

 

試合は東海大のキックオフで始まった。前半5分、相手ボールのスクラムで劣勢に立たされると、そのまま押し込まれて失点。大事な先制点を与えてしまう。その後も東海大の猛攻が続いたが、LO植竹創(商4・湘南)が好タックルで防ぐなど慶大も必死のディフェンスで対応。すると25分、敵陣インゴール前におけるスクラムで相手のペナルティーを誘うことに成功する。するとそこで慶大はクイックスタートを選び、No.8北村が抜け出す。トライを決め、7-7の同点に追いついた。

 

だがその直後、慶大にとって試練の時間がやってくる。LO佐藤航大(理4・國學院久我山)が危険なタックルによりシンビンとなると、慶大は数的不利に。FWが1人減ったことによってスクラムでもさらに苦戦を強いられるなど、流れは徐々に東海大の方へと傾いていってしまう。

 

天気雨がぱらぱらと降りだした35分、相手BK陣に立て続けに突破を許し被トライ。慶大の必死のディフェンスが届かない場面が多く見られた。悪い流れを断ち切れないまま、38分にもスクラムから押し込まれて追加点を献上。前半終了間際に敵陣深くまでパスをつないだが、インゴール目前で慶大が痛恨のペナルティー。7-19で試合を折り返す。

 

迎えた後半。相手の変わらぬ猛攻に対してLO佐藤航が鋭いタックルで応戦するなど、互いに譲らない展開が続く。すると後半13分、東海大の攻撃の一瞬の隙をついてボールを奪うと、SH若林俊介(政2・慶應)が前方へ絶妙なキック。それをWTB中山和政(総4・桐蔭学園)が押さえ込み、慶大のホームグラウンドである試合会場は大きく盛り上がる。SO南翔大(総4・常翔学園)も難しい角度のキックを成功させ、14-19とした。その後も、途中出場の鎌形正汰(商2・慶應)がボールキャリーで良い動きを見せるなど、慶大ボールの時間が続く。早く東海大に追いつきたいところではあったが、相手インゴール手前でのミスに苦しみ、なかなか得点に結びつけることができない。30分に敵陣深くでフェーズを重ね、抜け出したFB安西浩昭(政3・慶應)が右方向からトライを決めるも、反撃はここまで。その後は東海大に立て続けに得点を許し、19-40で試合終了。初勝利は次戦に持ち越しとなった。

次戦の戦いに期待だ

山中湖・網走での夏合宿を経て迎えた秋の初戦。「正直自分たちがやってきたものを出すことができれば絶対に勝てる試合だった」(WTB中山)だけに、勝負所でミスが多発したことが悔やまれる。また、今回はスクラムで相手に圧倒される場面が多く見られた。直接失点につながったケースもあり、早急に改善して次に臨みたいところだ。

 

だが、「自分たちのゴールはここではなくて、1月12日の決勝の舞台で優勝するときにグラウンドに立つことです」。そうSO南が語るように、全ては「大学日本一」という夢を実現させる瞬間、その場所に立っているため――。彼らはこれからも進化を続けていく。

まずはそれに向けての一歩として、次戦での勝利を期待したい。

 

(記事:川下侑美/写真:重川航太朗、松嶋菜々美)

 

 

次戦

(対抗戦) 9月15日(土)vs日体大

12:30K.O. @秋葉台公園球技場

 

(ジュニア戦) 9月23日(日)vs明大Jr.

15:00K.O. @慶應義塾大学日吉グラウンド

 

 

以下、コメント

 

SO南翔大(総4・常翔学園)ゲームキャプテン

――今日の試合を振り返って

やろうとしていることは明確だったのですが、前半からミスが重なり相手に流れを渡してしまいました。後半は修正できたのですが、取りどころで取りきれないという点が最後の点差につながってしまったと思います。

 

――「やろうとしていたこと」とは

とにかく敵陣に入って上手くエリアをとり、しっかりとディフェンスをするという内容です。ですが、前半はセンターライン付近でノックオンやパスミスなどが多くなってしまいました。そういったところで流れを持っていかれてしまったと思います。

 

――今日のゲームプランは

夏に「win the race」というスローガンのもとでやってきたことを出そう、相手に走り勝って全ての面で勝とうと話していました。

 

――ゲームキャプテンとして意識していたことは

特別意識していたことはありませんでしたが、苦しい状況でもしっかりと声を掛けながらやっていこうと思っていました。

 

――ご自身のキックについて

練習してきたことを出すだけという気持ちで臨みました。3本中2本という結果でしたが、決めるべきところで決めることができてよかったです。

 

――夏の練習の成果を出すことはできましたか

完全に出しきれたというわけではありませんでした。いつも「自分の力を100%出そう」という気持ちで臨んでいるのですが、いざ試合になるとその難しさを痛感します。これからもっと頑張っていきます。

 

――今後に向けて

自分たちのゴールはここではなくて、1月12日の決勝の舞台で優勝するときにグラウンドに立つことです。それに向かって一歩ずつでも進んでいくことだけだと思っています。

 

 

LO植竹創(商4・湘南)

――今日の試合を振り返って

総じて自分たちのやりたいことが出せなくて、後半の勝負どころで自分たちでミスしてしまったりして、取れる試合を落としてしまったという感じです。

 

――チームとしてやりたかったこととは

相手が広いアタックをしてくるので、それに対するディフェンスからプレッシャーをかけてリズムを作って、フォワードのセットプレーから得点していくことでした。ですが、特にモールのところで崩されたり、中盤で自分たちがノックオンをして、リズムが作れなくて、相手のやりたいようにやられてしまったなと思います。

 

――前半ミスが多かったように思えましたが、相手のプレッシャーもかなりあったのでしょうか

相手のプレッシャーはあまりなかったので、自分たちで自滅した感じですね。

 

――後半に入るタイミングで戦術面での変更はありましたか

それは特になかったです。後半の入りはすごくテンポが良くて、自分たちのやってきたことを素直に出せば難しい相手ではないと思っていたので、フォーカスは変えずに精度を高めようと話していました。

 

――東海大のアタックやスクラムはいかがでしたか

自分たちもきつい練習をしてきたつもりでしたけど、やはり相手の方が上手で、そこは悔しいです。

 

――夏に強化してきたことはこの試合ではいかがでしたか

フォーカスとしてはブレイクダウンの接点に素早く寄るということをやってきました。今日もフォーカスしていて、そこの部分では良かったと思うのですが、自分たちのキーでなくてはならないディフェンスが悪かったなと思います。

 

――まだこれからといった感じでしょうか

手応えはそれなりにあるので、それ以外のディフェンスのスピードであったり、個人のボールキャリーのスキルがまだ足りないのかなと思います。

 

――対抗戦も含めて秋の初戦でしたが、チームの雰囲気はいかがでしたか

主将も副将も今日に向けて持っていくぞという雰囲気を作ってくれていて、チーム全体として大事な初戦の入り口という意識はありました。気持ちはすごく入っていたので、負けたのが悔しいです。

 

――今後に向けて

ジュニア戦はもうずっと出ていて、4年生が引っ張っていかなければいけないと思います。またジュニア戦が終わりではないので、対抗戦で活躍できるように。なんとかして日本一になりたいので、ここで止まることなくもっと激しくやっていきたいと思います。

 

 

WTB中山和政(総4・桐蔭学園)

——今日の試合を振り返って

正直自分たちがやってきたものを出すことができれば絶対に勝てる試合でしたが、全部自分たちのミスなどでこういう点差で負けてしまったということはすごく不甲斐なく思っています。

 

——出足の早いタックルが部分部分で見受けられましたが、実感としてはどうですか

はい、ずっと夏からwin the raceという相手より出足を早くしようということをテーマにやってきてそれが成果として出てきていますが、最後のタックルでミスをしてしまったり、ノミネートのミスなど細かい部分で、結局最後に行かれてしまっていると思うので、まだまだ自分たちには精度を上げる余地はあるのかなと思います。

 

——後半のトライの場面を振りかえって

win the raceというのはアタックでもテーマにしていて、ディフェンスからアタックに切り替わった時に相手より出足を早くしようということで、あの時もちょうどこちらにアタックが切り替わった瞬間に、裏が空いていたのが見えたので、スクラムハーフに裏に蹴ってくれと言いました。相手もばてていて、出足も遅かったので、あそこは成果が出たトライかなと思います。

 

——スタミナの面でも結構変化が出ていますか

そうですね。だいぶ夏に走りこんだので、スタミナの部分も上がってるはずです。

 

——ラストシーズンの目標は

目標は絶対に一つだけで、絶対に日本一を今年こそはとりたいと思っています。いい部分もあると思うし、こういう試合では悪い部分がわかるという部分はある意味貴重な経験でもあると思うので、1月12日の大学選手権決勝に向けてこれからもっと精度を上げていきたいと思います。

 

 

No.8北村裕輝 (経2・慶應)

――今日の試合を振り返って

夏合宿で東海大学と練習試合をしたとき、フォワードのセットプレー、スクラムとラインアウトのモールのところでやられて点差がついてしまったのですが、今回もその二つの部分で自分たちの形を出すことができませんでした。また、個人個人のプレーのミスが出た点も点差がついてしまった原因だと考えています。

 

――スクラム・ラインアウトの出来について

スクラムは、低く組み続けるということを目標としているのですが、相手に押されて苦しくなったときに姿勢が浮いて自分たちのスクラムを組めなく、相手に押し切られてしまいました。ラインアウトのモールは、前半はディフェンスに入るときのコミュニケーションが足りず押されてしまい、後半はそこを修正できましたがその後の打ち込みが弱く最後はトライを取られてしまいました。

 

――トライについて

あの場面は自分たちのフォワードがスクラムでペナルティーを取って、自分は空いているところに走っただけだったので、フォワードのスクラムのトライだったと思います。

 

――今後に向けて

個人的には、今回Bチームの試合だったのですが、秋にAチームの試合にでるためもっと良いパフォーマンスを出していかないといけないと考えています。チームとしては、あと一歩のところで細かいスキルのミスやタックルのミス、フォワードのセットプレーのミスがあるので、それを減らしていければ次の相手には勝っていけると思います。

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