春季リーグでは昨年の5位から順位を一つを落とし、6位で終えることとなった慶大ホッケー部女子。夏を経て、課題として見えた得点力の底上げやチームとしての成長は見えるのか。目標である関東リーグ上位を目指し、勝負の秋が始まる。今回は開幕前インタビューとして副将である荒川理佳子(経4・慶應女子)と雑賀水紀(経4・慶應女子)にお話を伺った。
(取材日:9月11日)
今でも思い出すと悔しい
――まずは他己紹介をお願いします
荒川:雑賀水紀です。顔がパンダに似ているので、「やんやん」と呼ばれています(笑)。フォワードをやっていて、努力を欠かさない人です。ずっと運動部ではなくて、大学から運動部に入ったそうなのですけど、毎朝練習していたり、毎日最後まで残って練習していたりして今スタメンで出ていて、そういう面ですごく尊敬しています。
雑賀: 荒川理佳子です。みんなからは「りかこ」と呼ばれています。ポジションはミッドフィールダーで、守りにも重要な役割を果たしていますし、攻めの起点にもなる選手です。理佳子は、1年生の頃からリーダーシップがあって、みんなが気づかないこともいち早く気づいて率先して動ける人でした。試合中はみんなに声かけなどしてくれるのですが、コートを一歩離れれば本当に可愛くて明るくて、愛されキャラです(笑)。
――春季リーグを振り返っていかがでしたか
荒川:春は6位ということで、結果としては私たちの目標には届きませんでしたし、経験したことのないような順位になってしまったので、今でも思い出すと悔しいです。
雑賀:本当にその通りです。早稲田には引き分けですごいいい試合ができたのに、最後立教に負けてしまって、どちらかというと格下や同格の相手に対して、自分たちのプレーが出来なかったり、安易なプレーが増えてしまったのが課題だと思いました。
――早大相手に無失点など守備の部分では粘りも見られましたが
荒川:今年は早稲田もとても強いというわけではないというのもあって、0点に抑えることができたと思います。ですが、その前の山学(山梨学院大)戦の時に前半2Qは1失点だったのに残りの2Qで8失点してしまいました。早稲田戦の方が気持ちで守るということはできていたのかなと思います。
――逆に攻撃の部分では振り返っていかがでしょうか
雑賀:4年の山崎(ほのか=商4・慶應女子)が超エースで、横市(横浜市立大)戦も1-0で勝ったのですが、彼女が自分でリスタートしてサークル入ってシュートを打ってという形で、戦術的なところではなくて、いざという時に点を決められる選手がいるのは、うちのチームの強みかなと思います。
――リーグ戦を通して成長できた部分などはありましたか
荒川:去年は4年生がずっと試合に出ていたので、試合経験のある選手が少ないチームだったのですが、3年生や2年生の試合に出る機会が増えて、経験を積めたというのが秋に繋がっているところは多いかなと思います。
雑賀:本当にそう思います(笑)。
――どういった点で下級生の成長を感じましたか
荒川:本当に上手い子が多くて、助かっている部分が多いです。SFCで中高とサッカーをやっていた子が3人くらいいて、その子たちなどはポジショニングや動きが分かるぶん、頼もしいですし、やっていると私たちが思いつかないプレーをしてくれます。ホッケーに慣れてきたことで、すごくうまくなってきているなと思います。
――ご自身のプレーを振り返るといかがでしょうか
雑賀:自分はフォワードなので、相手のディフェンスに対してプレスをかけなければいけないのですが、そこでミスをしてはいけないという思いはかなり強かったです。守備の面で走って、しっかりとプレスをかけるようにしていました。攻めでは、本当はもっと点を決めたかったですし、ボールをもっと積極的に受けにいきたかったので、秋はもっと積極的なプレーがしたいなと思います。
荒川:春はあまりうまくいかないことが多くて、3年の秋の方がのびのびできていたかなと思います。最上級生になって初めての試合で下級生もたくさん試合に出ている中で、自分が守りに徹してしまう部分がありました。あまり自分が前に行くという意識を持てなかったので、秋は周りを見ながら自分が動けるようになりたいなと思います。
オンとオフの切り替えは意識している(荒川)
後輩に寄り添える副将でありたい(雑賀)
――お二人が副将になった経緯は
荒川:監督と4年が1対1で面談をして、アンケートを取って、結果として私たちが推薦された感じです。
雑賀:代替わりのタイミングで面談があるのですけど、誰が推薦してくれたのかとかは分からないですが、監督から電話がかかってきて告げられました。
――告げられた時はどう思いましたか
雑賀:理佳子はたぶん「だろうな」と思ったんじゃないかなと(笑)。
荒川:思ってないです(笑)。
雑賀:私はびっくりしましたね(笑)。運動部に入ったこともなかったですし、リーダーのような経験は無かったので、驚きました。
――副将を務める上で意識していることなどはありますか
荒川:私は副将というようなキャラではないと思っているのですけど、オンとオフの切り替えは意識するようにしています。コートの上では自分にも他人にも厳しくというのを意識しているのですが、コートを出た時に後輩としっかりコミュニケーションを取ったり、明るく話したりというのは意識しています。
雑賀:私は3年の春とかもなかなかスタメンで出れなくて、辛い思いをしてきた分、そういう思いをしている後輩に寄り添えるような副将でありたいなと思っていて、そういうふうに行動しています。
――お二人の目から見て、三宅美紅主将(経4・慶應湘南藤沢)はどういう存在ですか
荒川・雑賀:すごい(笑)。
雑賀:すごいストイックで、実力も圧倒的です。コート内では自分にも厳しいですし。他人にも厳しいですけど(笑)。
荒川:安心感がありますね。
雑賀:ディフェンスでも安定したプレーをしてくれますし、威厳もありますね(笑)。
荒川:怖い時もあるけどね(笑)。
雑賀:美紅の威厳があるので、4年生全体の信頼を得られている部分もあるので、感謝しかないですね(笑)。
――副将のお二人が協力して何かをすることはありますか
雑賀:キャラが違う部分があるので、自然と役割分担できているところはあると思います。
荒川:美紅(三宅)がリーダーシップがあって、みんなを引っ張っているので、私たち二人は俯瞰して見ています。その中で、やんやん(雑賀)は努力とかして背中で見せるタイプなのですが、私はいろいろとごちゃごちゃ言っていることが多いです(笑)。
雑賀:そんなことはないよ(笑)。(荒川は)みんなが思っていることを代表して言ってくれている感じです。あとは、美紅がディフェンスで、理佳子がミッドで、私がフォワードなので、ポジション的なところでも役割は分担できているのかなと思います。
Bインカレに勝って優勝できて勢いがついた
――この夏はどういったことを重点的に取り組んできましたか
雑賀:プレスの部分ですかね。
荒川:あとは、パスで崩す攻撃を8月ころから掲げてきました。今までは、ロングボールでフォワードに通して、一発勝負みたいなところがあったのですが、パスで細かくつなぐホッケーを重点的にやってきました。
――Bインカレやここまでの練習試合などでの手応えはいかがですか
雑賀:まさにBインカレの同志社戦ではプレスが相手に上手くかかって、相手が右攻めが好きだということが分かっていたので、そこでしつこくプレスをかけて、相手を焦らせることができたと思います。フォワードとしては、プレスはうまくいったかなと思います。
荒川:パスで繋ぐのは、同志社戦では上手くできた部分はあったのですが、その前の立教との練習試合ではまた0-1で負けてしまったので、どうしてもリスクを伴う形ではありますし、上手くいかない部分もあって不安な部分はあります。
――現在のチームの雰囲気は
雑賀:いいよね?(笑)
荒川:うん。同志社に勝ったことでチームとしても個人としても自信を持てた部分は多いと感じていて、勝って優勝できたことで勢いがついたところはあると思います。
雑賀:春に負けていなかったらBインカレは無かったのですけど、そういった点ではポジティブに捉えていて、逆に出場出来てよかったと思っています。
――4年の代の仲などはいかがですか
雑賀:結構個性が強いですね(笑)。仲もいいよね?(笑)
荒川:うん。
雑賀:部活の同期だからとかでもなく、友達としてもずっと付き合っていきたいなと思う人も多いですし、ホッケーに出会えたのもそうですけど、そういった同期を得られたのも一生の宝だなと思えるくらいです。
荒川:私も同じです!(笑)
強い代だったと言われる代になりたい
――秋季リーグはどういったリーグ戦にしていきたいですか
荒川:もちろん農大(東京農業大)に勝って、上位に行くことが目標で成し遂げたいと思っています。どちらかというと、少し上の相手にいい試合をできることは多いのですが、格下の相手などにいい試合をできていないので、まずはしっかりと横市に勝って、農大に勝っていきたいと思っています。
雑賀:同志社戦ではコーチからも「よく走れていた」というふうに言われたので、同格や格下の相手に対して足を動かして、走って勝つというのを意識したいです。
――目標を達成するために必要なことは何だと考えていますか
荒川:農大は強い選手が二人いて、そこにパスを集めて持ってくるチームだと思うので、全員で攻めて全員で守ってというところが大事だと思います。そういった点では、ミッドフィールダーのマークの強さだったり、フォワードのバックプレスが大事になってくるのかなと思います。
雑賀:それも含めて、マイボールにこだわることは意識したいと思います。ボールをコートの中で失って、カウンターになってしまう部分が結構あるので、絶対にこのボールを前につなぐとか失わないという気持ちを持って、プレーできればいいなと思います。
――リーグ戦でカギになる選手は
荒川:私は3年のディフェンスの西本明日美(政3・慶應湘南藤沢)です。彼女はこの春から試合に出ているのですが、美紅と並んでボールが強いですし、チームの攻めの起点になっている選手です。それと、彼女も努力を欠かさない選手で、現状に甘んじず上を目指していると思うので、秋のリーグを通しての成長にも期待しています。
雑賀:私は2年のミッドフィールダーの花田ともみ(政2・慶應湘南藤沢)です。ミッドフィールダーに4年生が理佳子しかいなくて、そういう中で2,3年生のミッドフィールダーの活躍が大事になってくると思います。SFCのサッカー部出身でもともと足も速くて、すごくセンスもあって、相手の意表を突くプレーもできるので、彼女がもっとゴール前まで上がってプレーできるようになれば、相手の脅威になるのではないかと思います。もっとぐいぐいやってほしいです(笑)。
――個人としては秋季リーグでどういったプレーをしたいですか
雑賀:得点したい、という気持ちが本当に強いですね。Bインカレでも山崎が2点決めてくれたのですが、自分は決められなくて、その部分で悔しかったので、点が決められなかったという悔しさはないようにしたいです。あとは、もっと体力をつけて秋は60分間走り切れるようにしたいです。
荒川:私はプレーのいい時と悪い時の差が激しいタイプだと思うので、秋は安定してどのプレーが適切かを判断してプレーできるようにしたいのと、ロングボールを打つのが好きなので、強いボールを打って、右サイドから左サイドに持っていくようなプレーがしたいです。あとは、レバシュートを決めたいです(笑)。ほのか(山崎)の次に打っていると思うのですけど、一本も入ったことがないので、決めたいなという野望はあります(笑)。
――自分がこういうプレーをすれば勝てるというものはありますか
荒川:私は中盤にいることが多いので、周りを見て右からのボールをしっかりと左につないだり、強いパスでサイド展開をできればチャンスになる部分はあるかなと思います。
雑賀:去年から仲間を信じて走るということは心に留めていて、「ここ!」という時にゴール前に全速力で上がって、チャンスを作りたいなと思います。
――11月には早慶戦が控えますが
荒川:早慶戦は絶対に勝ちたいです。去年は駒沢でやって、しっかり抑えていたなかで、1点入れられて負けてしまって、本当に悔しかったです。今年も駒沢でグラウンドの状態とか、早稲田のメンバーとかを考えても慶應にチャンスはあると思いますし、全員で死ぬまで走り切って勝ちたいです。
雑賀:私も早慶戦に懸ける思いはかなり強いです。今もイメトレみたいなのをしています(笑)。私が最後の10秒前に決めて、ケイスポさんが「引退10秒前、副将雑賀のシュート!」と書いてくれるところまでイメージしてるくらいです(笑)。それくらい早慶戦というのは特別な思いがあります。
荒川:10秒前はひやひやするから、もう少し早く決めてほしい(笑)。
雑賀:そうだね(笑)。
――ラストシーズンとなりますが、どういった形で締めくくりたいですか
荒川:私は最終的に結果が全てだと思っているので、今まで大変なこととかもありましたけど、最後に結果が残れば全てが報われると言いますか、本当にホッケー部に入って良かったと思えると思います。秋シーズンは細かいことで結果にこだわって終えたいなと思います。
雑賀:4年生の最後で思うところはいろいろありますけど、最後に大事になるのは、しっかりと走ることやトラップすることといった基本的なところだと思います。そういった基礎的なところで後悔をするのは嫌なので、当たり前のことはできるようなチームになって、結果を残せればいいかなと思います。
――最後に秋季リーグに向けて意気込みをお願いします
荒川:最後のシーズンなので、試合中でも試合以外の練習でもチームのためにできることを全てやって、最後に後悔が無いような結果で終わりたいです!
雑賀:春はダメでしたけど、秋は挽回して、後輩や監督やコーチから強い代だったと言われるような代になりたいです!
――お忙しい中ありがとうございました!
(取材:重川航太朗/写真:澤田夏美)
関東学生ホッケー秋季リーグ 慶大日程 | |||
日付 | 開始時間 | 対戦相手 | 会場 |
9月15日(土) | 11:15 | 横浜市立大 | 慶大日吉グラウンド |
9月29日(土) | 13:00 | 駿河台大 | 駿河台大学ホッケー場 |
10月7日(日) | 14:45 | 東京農業大 | 慶大日吉グラウンド |
10月28日(日) | 未定 | 未定 | 駿河台大学ホッケー場 |
11月10日(土) | 未定 | 未定 | 駒沢オリンピック公園総合運動場第1球技場 |