インカレへの出場をかけた戦いが繰り広げられた。女子7.8級クラスには2名が出場。鈴木星佳(総3・慶應湘南藤沢)はジャンプでの転倒があったものの17位に入り、3年連続となるインカレ出場を決めた。小堀瑛美(環2・千葉県立千葉)はミスなく演技をまとめたが、インカレ出場枠には一歩届かず。女子5級クラスでは土屋有葵(経2・慶應女子)、佐々木花音(文3・相模原中等教育)がワンツーフィニッシュを果たした。
11月10日・11日 第12回東日本学生フィギュアスケート選手権大会
@東大和スケートセンター
☆大会結果
クラス | 選手名 | 点数 | 順位 | 学部学年・出身高校 | 団体成績 |
女子5級 | 土屋有葵 | 56.52点 | 優勝 | 経2 慶應女子 | 1位 |
| 佐々木花音 | 52.64点 | 2位 | 文3 相模原中等教育 | |
| 水野明保 | 46.72点 | 5位 | 環1 国府台女子学院 | |
女子6級 | 花城桜子 | 51.32点 | 19位 | 法2 那覇国際 | 6位 |
| 猪川乃絵瑠 | 47.38点 | 29位 | 経2 桐蔭学園 | |
| 湯浅加彩 | 46.39点 | 31位 | 総1 智辯学園奈良カレッジ | |
女子7.8級 | 鈴木星佳 | 69.67点 | 17位 | 総3 慶應湘南藤沢 | 6位 |
| 小堀瑛美 | 67.10点 | 20位 | 環2 千葉県立千葉 | |
男子5.6級 | 橋本將太 | 58.03点 | 3位 | 政4 慶應 | 3位 |
大会最初に行われたのは女子6級クラス。46名もの選手が出場した中、インカレに進むことができるのは17名。慶大勢の最高位は花城桜子(法2・那覇国際)の19位となり、惜しくもインカレへの出場権を獲得することはできなかった。
最初に登場したのは1年生の湯浅加彩(総1・智辯学園奈良カレッジ)。『四季』の重厚感のあるメロディーに合わせて演技が始まる。ジャンプでの大きなミスはなかったものの、「自分が思ったより回ってなかった」というスピンやステップで高いレベルを取ることができなかった。それでも太田由希奈さん振り付けの、お気に入りのプログラムを最後まで丁寧に滑り切った。
猪川乃絵瑠(経2・桐蔭学園)は『ウェストサイドストーリー』の華やかな曲調に乗せて、小柄さを生かした軽やかな動きでプログラムを滑り切った。冒頭からダブルアクセルやダブルフリップからのコンビネーションジャンプを着氷させるが、回転不足などによりなかなか加点をもらえるジャンプを決めることができない。また、得意なスピンも「全然得点源になっていなかった」とミスが出てしまい、反省点の見つかる演技になった。
最後に登場したのは花城。「緊張に食われた」影響もあってか、冒頭のダブルアクセルはダウングレードの判定となってしまう。しかしその他のジャンプは転倒せず、演技をまとめた。『My Favorite Things』の切ないメロディーで始まり、中盤からはジャズの曲調で盛り上がりを見せる。リズミカルな動きが多く、「もともと表現が好き」という花城の良さが生きたプログラムだ。昨年出場したインカレへの出場は叶わず悔しい結果となったが、今後はジャンプだけでなく、持ち前の表現力もさらに磨きをかけていってほしい。
男子5・6級クラスには、橋本將太(政4・慶應)が出場した。春に怪我した右足の影響は今も続いており、「もう治らない状態まできていて、今も毎週注射をやっている」と話す。その中でも、冒頭のトリプルサルコウを見事に決め、勢いよく演技をスタートさせる。3つ目のジャンプで転倒はあったものの、その後のジャンプに目立ったミスはなかった。静かな曲調ながら壮大さもある音楽に合わせ、1つ1つの動作を丁寧にこなしていった。「プログラムコンポーネンツが出るようになった」と、表現面での評価にも自信を見せ、結果は3位。目標の表彰台入りを果たした。高校から始めたフィギュアスケートも次の試合であるインカレが最後の試合となる。インカレでは「全てを出し切れるように頑張りたい」と意気込みを語ってくれた。
女子7級クラスには2名が出場。まず登場した小堀は、冒頭のトリプルトウループ+ダブルトウループのコンビネーションジャンプを決め勢いに乗る。2つ目のトリプルサルコウも着氷。さらには全てのスピンでレベル4を獲得するなど、その後も大きなミスなく演技をまとめた。「自信を持ってジャンプを跳ぶ」ことを目標に練習を重ねてきた小堀。インカレ出場とはならなかったが、その目標を達成し大きな収穫を得ることできた。
続いて鈴木の演技。最初のアクセルジャンプで回転が抜けてしまうものの、2つ目のトリプルサルコウ+ダブルトウループのコンビネーションジャンプは綺麗に着氷しGOEでもプラスの評価を得る。後半のジャンプでは転倒もあったが、情感豊かなメロディに乗せて伸びやかに滑り切った。10月に行われた東京選手権では体の不調に苦しみ、思うような演技ができなかった鈴木。今大会ではミスはあったものの、演技をまとめることができた。17位でインカレ出場を決め、今後に弾みをつけた。
女子5級クラスには3名が出場。まず登場したのは土屋有葵(経2・慶應女子)だ。5月の関東学生フィギュアスケート選手権大会では優勝している土屋だが、今大会も安定した演技を披露し、1位の座を守った。全てのジャンプで加点をもらい、『East of Eden』の曲に合わせて滑らかなスケートを披露した。ステップでは動きの緩急を使い、曲の世界観を作り上げる。完成度の高い演技だったが、最後のスピンでビールマンの姿勢にできないというミスが出た。本人も「スピンがプログラムに入らなかったことがすごく悔しい」と振り返る。ほかにも「細かい部分がまだまだ」とし、ステップやスピンにも改善の余地が見られた。完璧な演技を目指す土屋のインカレでの活躍に期待だ。
続いて佐々木花音(文3・相模原中等教育)が登場。映画『天空の城ラピュタ』の曲にのせて、序盤のステップで会場を魅了する。その後も徐々に盛り上がる音楽に合わせジャンプを次々と決めていった。今大会に向けて重点的に練習してきたというスピンでは、最後の足換えコンビネーションスピンで最高難度のレベル4を獲得。試合後には「4月から出た大会の中で1番まとめた演技をすることができた」と充実感をうかがわせた。結果としても2位に入り、土屋とのワンツーフィニッシュという好成績を残した。出場が決まったインカレでは「今回以上の出来のプログラムを滑れるように」していきたい。
続く水野明保(環1・国府台女子学院)。「どうしても入れたかった」という最初のコンビネーションジャンプを成功させると、勢いそのままに全てのジャンプを着氷。表情豊かにプログラムを滑り切った。インカレへの出場は叶わなかったが「もっと満足できるレベルを上げていきたい」と、次なる目標を見据えている。今後はスピン、ステップにも磨きをかけ、完成度の高い演技を目指す。
(記事・写真:伊藤史織、相川環、高井真衣)
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以下、選手コメント
鈴木星佳(総3・慶應湘南藤沢)
――演技を振り返って
今の自分の状態からしたら練習通りというか、今まで練習でやってきたことが、いい意味でも悪い意味でもそのまま出てしまったっていう感じです。
――10月に行われた東京ブロックの結果はどう感じましたか
東京ブロックの時は体の調整がうまくいかなくて、練習できない状態で自信が持てずに臨んでああいう結果になってしまいました。思い切っていけなかったことですごく悔しい思いをしたので、今回は調子が悪いとかそういう中でも思い切りやることはやって後悔しないようにしようと思って臨みました。
――体の調子が悪いというのは
大学に入ってから股関節が痛いときと痛くないときがあって、先天的なもので治ることはないというかそういう状態になってしまっています。その怪我とうまく付き合うというのがずっと続いていて、2年目は結構苦労したりしたんですけど、3年生になってトレーニングとか減量で、自分でコントロールできるようになってきていました。でも(東京ブロックの)3週間前くらいになって急に痛くなってしまって、練習できないみたいな状態でした。良かったり悪かったりが続く感じです。
――今大会の前は、調子はいかがでしたか
ブロックが終わってからは痛くて練習できないということがなかったので、ブロックの時よりナーバスな気持ちではなかったです。練習はできていたので。
――今大会に向けて練習してきたことは
気持ちの面で、ジャンプの調子は良かったり悪かったりなんですけど、その中でも最後まで思い切って跳ぶという気持ちがすごく大事だとブロックで思いました。なのでそれだけ考えて淡々と練習しようと思ってやりました。
――インカレへ向けての意気込みを
やっぱり練習できる状態にいるっていうのが一番大事だと思うので、自分の体のケアとかをしっかりして、痛くならないようにしたいです。それからジャンプが今シーズンは安定してないので精度を少しでもあがることと、全体的にプログラムも全部スピードつけてやっていけたらいいなと思ってます。
小堀瑛美(環2・千葉県立千葉)
――演技を振り返って
試合になると練習で跳べているジャンプを同じ感覚で跳ぶことがいつも出来ていなくてよく失敗していたんですけど、今日はスケートを始めてから初めて3回転などが練習と同じように跳べて、大きな収穫かなと思います。
――前の試合から特に練習してきたことは
試合で不安にならないように、練習でいいジャンプが跳べるようにして自信持って臨めたらいいなと思って練習してきました。
――今大会での具体的な目標は
インカレに出たいって気持ちはあるんですけど、それよりも自信を持って不安にならないようにジャンプを跳ぼうと思って、それが今日出来たので良かったです。
――今後の大会に向けて意気込みを
今日と同じように自信を持ってジャンプを跳んで、さらに落ち着いてスピンやステップとか他のところにも気を配っていけたらいいなと思います。
橋本將太(政4・慶應)
――演技を振り返って
今できることはできたかなというのが、今の感想です。元々怪我を春にしていて、どうしても中々スケートの練習ができない状態が続いて、今回もできないジャンプがある中で挑みました。その中でも一つ転倒があったんですが、目標だった表彰台に戻ることができたので、そこは自分の中で良かったところです。
――ジャンプの調子は
元々ジャンプを跳び始めたのが、ここ2、3週間前で、結構調子を持ってくるが大変だったんですが、その中でも跳べたので良かったです。
――怪我の状態はいかがですか
もう治らない状態まできているらしくて、今も毎週注射をやっています。1月のインカレに男子は行けることが確定してたので、そこに1番標準を合わせて、今は休みつつ練習しつつ頑張ってます。
――今大会に向けて練習してきたことは
スケーティングとかちょっとした振り付けは以前よりも結構気をつけるようになったかなと。今日の試合の結果をみたら、プログラムコンポーネンツがでるようになったので嬉しかったです。
――インカレに向けての意気込みを
僕の最後の試合になるので、今まで高校から慶應でやってきたんですが、全てを出し切れるように頑張りたいと思います。
花城桜子(法2・那覇国際)
――演技を振り返って
すごく緊張に食われたという感じです。ノーミスの演技はできなかったんですけど、最小限、転倒は無しで抑えられて良かったかなと思います。
――プログラムで見てほしいところは
踊る場面がたくさんあって、そうじゃなくても、もともと表現が好きなのでいろんな部分で見せられるようにはしています。昔のカタリナ・ビットさんほどではないんですけど、止まって踊る部分とかが多いのでそういうところでも好きな演技だなと思ってもらえるようにしてます。
――今大会に向けて練習してきたことは
2年生に上がってから去年できたジャンプとかも少し不安定になってしまって、たくさん不安がありました。まずは練習量でジャンプのできるできないの不安を解消できるようにとにかく量をこなしていたという感じです。
――今日の試合でのジャンプの出来は
ちょうどこの大会までの2ヶ月くらいの間に大会が2個あって、その時は演技中に降りたと思っても転んじゃったりちゃんと力が入らなかった部分があるんですけど、そういう感覚が少し減って今回はちゃんと立てたかなと思います。
――今後の大会に向けて
まだジャンプの不安定さだったり、ダブルアクセルもまだ戻せてないのでちゃんと回転不足を無くしたり、一個一個の技術を磨いていきたいと思います。
猪川乃絵瑠(経2・桐蔭学園)
――演技を振り返って
最低限のジャンプとかスピンが入ったので、まあとりあえず、最低限はよかったのかなと思います。ただまだジャンプにミスがあったりとか、スピンが得意なはずなのに全然得点源になっていなかったので、そこらへんを改善できればいいなと思います。
――このプログラムの見どころは
前からずっと滑りたいと思っていたウェストサイドストーリーで、特にステップの部分を頑張ってきたんですけど、結構後半の方で体力なくてヘトヘトになってしまったので、もしもう一回滑る機会があるのであれば、もっとそこを見せ場にできるように頑張っていきたいなと思います。
――今大会に向けて練習してきたことは
去年からもう一回スケートをやろうと思って、とりあえずジャンプを戻すのに必死で、ジャンプが戻ったところでも全然プログラムに入らなくて、結構悔しい思いをしてたので、今回最低限まとめられたのでよかったと思います。
――今後の大会に向けて
ずっと言ってるんですが、ジャンプが大きなミスなく入れられるようにしたいというのと、あとスピンがレベルと加点がしっかり取れるように頑張っていきたいと思います。
湯浅加彩(総1・智辯学園奈良カレッジ)
――演技を振り返って
ジャンプはいつも練習してるのより、まあまあいい感じだと。スピンが、ビデオを見直すと自分が思ったより回ってなかったりして反省点があります。
――このプログラムの見どころは
太田由希奈さんに振り付けていただいて、すごく気に入っています。高校の時から使っているので、細かい手の動きなどそういうところは気をつけています。
――今大会に向けて練習してきたことは
ジャンプ一つ一つも大事なんですけど、ジャンプ跳んで次スピンといった流れといったつなぎの部分は、結構気をつけて試合前は練習していました。
――今後の大会に向けて
今回ジャンプは確実にできるものを選んでやったんですが、もっと構成も難しくして、スピンの今回の課題なども改善して臨みたいと思います。
土屋有葵(経2・慶應女子)
――演技を振り返って
スピンがプログラムに入らなかったことがすごく悔しいです。あとステップも最後ぐらついちゃったり最後まで思い切り滑れなかったことが悔しいかなと思います。
――最後のスピンでのミス以外はノーミスの演技に見えました
ジャンプは一応全部決まったって感じではあったんですけど、スピンもバランス崩しちゃったりして細かい部分がまだまだだなって自分でも思ってます。
――今大会に向けて練習してきたことは
自分はスピンでミスしがちなので、その練習に結構時間を費やしたつもりだったんですけど、まだまだだなって思いました。
――インカレに向けて
最後までプログラムが滑り切れるように体力を付けることと、細かいところで点を落とさないように頑張りたいと思います。
佐々木花音(文3・相模原中等教育)
――演技を振り返って
曲を変えて4月からずっと大会に出てきたのですが、その中では1番まとめた演技をすることができました。細かいミスはありましたが、全体としてはよかったなと思います。
――今大会に向けて特に練習してきたことは
スピンをミスしてしまうことが何回かあったので、スピンは絶対にミスしないという気持ちで、ここ1ヶ月くらいはスピンを重点的に練習してきました。
――今大会の目標は何でしたか
スピンをミスしないことと、ジャンプをパンクせずに全部締めるというのを、具体的な目標にしていました。
――インカレに向けて
今回以上の出来のプログラムを滑れるように一生懸命練習していきたいと思います。
水野明保(環1・国府台女子学院)
――演技を振り返って
ジャンプはとりあえず全部締めて入れることができたので良かったです。
――今大会までに練習してきたことは
今シーズン始まってからの試合で最初のコンビネーションジャンプを入れられてなくて、どうしても入れたかったので、最初のジャンプを絶対に決めようと思ってそこをメインに練習してきました。
――今後に向けて練習したいことは
レベル4が取れるようなスピン、ステップをしないと点数にならないので頑張りたいです。
――今後の大会に向けて意気込みをお願いします
今回は自分で満足したんですけど、もっと満足できるレベルを上げていきたいです。