10月24日から11月4日まで行われた三菱全日本テニス選手権。慶大からは、福田真大(商3・慶應SFC)、今村昌倫(環2・清風)、羽澤慎治(環1・西宮甲英)、平田歩(総1・岡山学芸館)ら4選手が出場。
ダブルスでは、羽澤がジュニア時代に組んでいた清水悠太(三菱電機)とともに上杉(海斗=平成30年総卒・現江崎グリコ)・片山(翔=伊予銀行)組を倒すなど、準優勝を果たした。また、福田・今村組は、WCとしての出場であったが、快進撃を見せ、ベスト8に進出。
一方、シングルスでは、羽澤がベスト8まで勝ち進んだ。さらに、今村は、今季のインカレ王者である望月勇希(中大3年)に勝利するなど、ベスト16に進出。しかし、現役の女子部員で本戦に残った平田は、無念の1回戦負けとなった。
今回は、大会に出場した4選手に話を伺った。
(取材日・11月9日)
福田真大(商3・慶應SFC)
――王座が終わってから、全日本選手権に向けてどういう準備をしてきましたか
僕はダブルスしかなかったので、少し休みました。王座終わってから気持ちを切らさないようにしました。全日本選手権を勝つことで今年も変わってくると思ったので、念入りに準備をしました。
――ダブルスを振り返って
負けた試合が印象的でした。上杉(海斗=平成30年総卒・現江崎グリコ)さんは、結構動く選手です。自分としては、それより先に動かないといけないと思いました。序盤は、自分から積極的に動けました。しかし、終盤は、足が止まってしまい、押されてしまいました。
――上杉選手との試合では、ファーストセットとセカンドセットでタイブレークまでもつれましたが
第1セットのタイブレークは、4-6から巻き返せて、取れました。第2セットのタイブレークは、最初から突き放されてしまい、自分たちも集中力が切れてしまいました。そこをもう少し踏ん張れば良かったと思います。
――上杉選手の印象は
凄かったです。特に巻き返す力が凄かったです。あと、自分たちが落ちるところでパフォーマンスを上げてくるところは、上杉さんにあって、自分たちにはなかったです。
――試合後に上杉選手からどういう言葉をかけられましたか
「強かったな」と言われました。率直に嬉しかったです。しかし、勝てた試合だと少し思ったので、そこは悔しいです。
――大会通して感じた強みは
リターンゲームと今村が後衛で自分が前衛のときでのプレーは通用すると感じました。あとは、僕ら二人が前衛にいるときの形と自分のサービスゲームをどう強くするかが課題です。
――今村選手と組んで1年以上経つが、今村選手の印象は
二人で仲良くプレーしています。時には厳しく話し合ったりするので、良い関係だと思います。1年以上も組んでいるので、今村の動きは予想できます。
――シングルスでは慶應の選手が二人ベスト16以上に残ったが、この結果をどのように捉えていますか
1年間通して早慶戦で勝ったのは、羽澤と今村です。この二人は軸になると思います。他の選手も彼らを目標にして、頑張ってほしいです。
――羽澤選手がシングルスでベスト8、ダブルスで準優勝したが、彼の活躍はどのように映っていますか
凄く刺激を受けました。僕らが負ける相手に簡単に勝っていたので、凄いと思いますが、悔しい気持ちもあります。羽澤のプレーを観察して、これからのプレーをやっていきたいです。シングルスもどこがいいのか悪いのかを見ながらやっていきたいです。
――今後に向けての意気込みは
インカレインドアで優勝できるように頑張っていきたいです。チームとしては、王座優勝を目標にやっていきたいです。
今村昌倫(環2・清風)
――王座終わってからの準備について
王座終わってから疲れが溜まっていたので、そんなに追い込まなかったです。結構テニス自体も調子が良かったので、テニスの向上というよりは、体を休めながら調整をメインにやってきました。
――シングルスを振り返って
一回戦の相手が守谷(総一郎=Team REC)選手でした。高3のときは簡単に負けてしまった相手です。リーグから王座にかけて自分のテニスというのが確立できてきました。2回戦の望月(勇希=中大3年)戦では、今まで勝ったことがなかったですけど、相手も緊張していて、状態は良くなかったので、勝つチャンスはあると思いました。自分の調子が良くて、勝てて良かったです。
――インカレ王者の望月選手に勝利しましたが、その試合を振り返って
積極的に打ってくるイメージがありました。しかし、対戦したときは、それほど積極的に打ってきませんでした。消極的なプレーをしていたので、それに合わさず、積極的なプレーを最初から最後まで続けました。
――予選からのスタートでしたが
試合数が多かったので、体力的にきつかったです。
――関口周一(Team REC)選手に敗れましたが、その対戦で感じたこととは
実力で負けている印象はなかったです。しかし、重要なところでの集中力の上げ方が違っていたので、そこで一回りも二回りも上だと感じました。そこがプロ選手と学生の違いだと思いました。
――シングルスで掴んだ手応えは
自分の武器であるストロークというのが通用するというのを感じました。それに加えてこの一年間強化してきたサーブというのが通用したので、自信がつきました。
――一方の課題は
ストロークで追い込んでも、最後はネットプレーで取り切れないといけないと感じました。
積極的に前に行けなかったので、今後は積極的に前に出れるように練習はしていきたいです。
――ダブルスを振り返って
王座から調子が良くて、いい状態で来てました。福田さんとコミュニケーションを取り、型というのができています。その役割がしっかりできているのが僕らの強いダブルスです。
――ダブルスの準々決勝で上杉海斗(平成30年総卒・現江崎グリコ)選手のペアと対戦しましたが、上杉選手の印象について
大学でプレーしているときもすごくうまかったです。格上だと思っていましたが、上杉さんが疲れていたというのもあって、自分たちも勝てると思いました。僕のストロークでしっかり相手も崩せました。福田さんも前衛の動きで相手が嫌がるようなプレーをしていました。自分たちの型がはまっていたので、通用すると思いました。
――福田主将との連携について
凄くかみ合っているので、連携がいいです(笑)。
――ダブルスで感じた手応えは
僕のストロークと福田主将の前衛という形だと強い相手でも通用すると感じました。
――一方の課題は
僕が前衛で福田さんが後衛のときの動き方やポイントの取り方が確立していなかったです。そこを福田さんと話し合いながら修正していきたいです。
――勝負所でのプレー以外でのプロ選手と大学生の違いは
基礎の部分が大きく違います。大学生は簡単なミスが多かったりします。しかし、プロは決めるところで決め、簡単なミスはしないです。丁寧にプレーするので、自分としては1ポイントも手が抜けなかったです。
――地元関西でのプレーについて
地元の人が多く来てくれました。また、知っている人も多かったので、プレーしていて楽しかったです(笑)。
――羽澤選手の活躍はどのように映っていますか
普通に凄いと思いました(笑)。
――今後に向けての意気込みは
次の試合はインカレインドアです。いい状態でプレーできているので、しっかり優勝できるように頑張っていきたいです。
羽澤慎治(環1・西宮甲英)
――シングルスベスト8、ダブルス準優勝で大会を終えて、率直な感想は
どちらもシードはついていたんですけどそこよりも上の結果は出せたので、結果も悪くなかったですし、テニスも段々と良くなってきていることがプロ相手にも実感できたので、そこが良かったと思います。
――10月半ばの王座を終えてから、この大会に向けての準備は
王座はプレッシャーも感じていて、硬くなってしまいテニス自体があまり良くなかったです。しかし、全日本はとにかく自分の力を出すだけだと思って、しっかりと状態を上げられるよう、リラックスするように心がけました。
――2年目となった今大会。どのような思いで臨みましたか
去年は高校生で右も左もあまりよくわからないまま、勢いだけで勝ち上がっていった感じがあったので、今年はよりどっしりと戦いたいと思って2年目は挑みました。
――昨年の自分からは成長が感じられた部分は
前に出ることが自分の持ち味なんですけど、そのバリエーションが結構増えたり、体が大きくなってパワーがついたことで、前に出るだけではなくてストロークだけで決めたり、相手を追い込めるパターンが増えたと思います。
――シングルスを振り返って
今回初めてシードがついて、1回戦がなくて2回戦からとなりました。初戦は緊張していて王座のときのように力が入りがちだったんですけど、初戦以降はリラックスして自分の良いプレーを出せていたのかなと思います。でも、上杉海斗選手との試合のセカンドセット以降は相手にじっくりやられ、自分のミスが増えてしまったり、集中が切れてしまったりというところがあったので、そういうところを続けられていけるようにするのが課題だと感じます。
――ダブルスを振り返って
ペアが僕と同い年でプロになった清水悠太(三菱電機)選手だったのですが、高校までずっと一緒に練習していて、今回久しぶりに会いました。でも、いざダブルスをしてみるとすぐにかみ合って、お互いの良さが決勝まではしっかりと出せていたのかなと思います。本当はタイトルが欲しかったのですが、そう甘くはないなと感じました。
――二人の持ち味とは
清水選手はストロークが上手くて、僕が前で動いてポイントを取るという感じですね。清水選手が後ろで作って、僕が前で決めるというパターンであったり、僕がサーブのときに追い込んで、前で決めてもらうという形だったりが良かったのかなと思います。
――残念ながら負けてしまった決勝戦を振り返って
お客さんもいるセンターコートでの決勝戦ということで、緊張した状態で入りました。ファーストはあっさりと取られてしまい、セカンドはいいテニスができていたんですけど、結果的に気持ちで相手に越されて負けてしまったという感じでした。悔しかったです。
――力の差を感じた点は
決勝の舞台で力を発揮するというところで、相手の方が上だったと思います。気迫、技術的な面ではないところで相手に上回られたかなと感じています。
――大会を通して手応えを感じた点は
ダブルスは決勝に行くまで全戦ストレートで勝っていたり、シングルスも上杉さんとやったファーストセットは結構良いテニスが出来ていました。全体的にサーブが良くて、そこで試合の良い流れをつけられて、ストロークにもそれが乗り移るという、結構良い循環でできていたので、良かったと思います。
――一方で課題を感じたことは
一回良くなかったりすると、それが続いてしまったり、なかなか流れを断ち切ることができないところがあるので、そこを早くメンタル的に気持ちを上げたり、早くそれを断ち切ることが課題だと思います。
――学生大会とプロの大会の雰囲気の違いは
元気があるというか、ノリのいい部分が学生の良いところだと思いますけど、プロはもう少し雰囲気が引き締まっている印象を受けました。
――次の学生大会はインカレインドアとなります
シングルスに絞って今回出場することにしたので、タイトルを狙えるように頑張りたいと思います。
――最後にこれからに向けての意気込み
まずはインカレインドアでしっかりと全国のタイトルを獲って、新しい年に向けていい流れを作れるように頑張りたいと思います。
平田歩(総1・岡山学芸館)
――大会を終えて率直な感想は
全日本ということでプロの方の試合を見て自分の足りない部分を知ることができたので、次のステップに繋がる機会だったかなと思います。
――初出場でしたがどのような思いで臨みましたか
チャレンジャー精神で、自分のできることを出し切ろうと思って挑みました。でも、当たった選手が自分の1個下の選手で、あまりチャレンジャーで行けなかったので、そこは後悔しています。
――初戦の試合。相手はジュニア選手でしたが印象は
国際大会にも参戦している経験豊富な選手でした。ファーストセットは取りましたけど、そこから集中が切れてしまい、相手の粘り強いテニスにどんどん負けていったという感じです。
――今大会はWCでの出場となりました。出場が決まったのはいつ頃でしたか
大会の2週間前ぐらいに本戦のWCが決まりました。嬉しいというより驚いたという方が大きかったです。元々予選のWCでの出場は決まっていたのですが、本戦になってゆっくり準備ができるなと思いました。
――会場の雰囲気について
一般のお客さんも多かったので楽しい感じもありましたが、プレイヤーズラウンジに入るとピリついた雰囲気で、自分まで気が引き締まるような感じがしました。
――学生大会との違いを感じた点は
プロの方は勝たないと生活に影響するので、気迫とオーラが違いました。これだけのハングリー精神があれば、学生大会でももっと上に行けるのではないかと思います。
――大会を通して何か得られたこととは
今まで見たことのなかった日本のプロの選手の試合を見て、ゲームの持ち運び方、試合の雰囲気を感じることができたので、大学生では経験できない、トップに行くために必要なものを感じることができたと思います。
――これからに向けて
夏のインカレはベスト4で悔しい思いをしたので、4年で出ない選手も多いインカレインドアで優勝できるように頑張りたいと思います。
――お忙しい中、ありがとうございました!
(取材:萬代理人・堀口綾乃/写真:高井真衣・鈴木英郎)