多くの人はある組織の中心になったとき、どのように組織を引っ張ればいいのか、部活であれば部員全員に同じ方向を向かせるために何をすればいいのかなど、リーダーシップについて悩むことが多いだろう。そのリーダーシップの真髄を體育會生に教えてくれるプログラムがLEAPである。私たちは6月18日(月)に行われたLEAPのセッションに参加し、取材させていただいた。
LEAPはLeadership Education Athlete Programの略であり、その目的は、「『国の経済発展に貢献するため財を盛大に積んで散じよ』と実学を説いた福沢諭吉先生の教えを受け、やがては社会人として組織を管理し、リーダーシップを発揮する立場になるであろう體育會高学年に対し社会実学研修を行い社会に貢献し得る人物を輩出する」ことだ。また、プログラムの狙いは「卒業して突然社会組織人となる戸惑いを無くし予め準備の良い人生のスタートが切れるよう『研修による疑似体験』で、部活にも応用しつつ卒業後に備える」ことと「リーダーシップ/マネージメント・スキル習得で、相乗効果を生み出す、より有効な戦略創出が期待され、強い知的體育會が形成される」ことである。基本的には體育會生のみに開かれており、残念ながら現時点において一般の塾生は参加できない。LEAPは発足から今年で17年目を迎え、今年の事務局長であるラクロス部男子の佐々木拓実(商3)を中心とした45人ほどの運営サイドと70人近い講師で成り立っている。
LEAPのセッションには学生講師が教える部活動編、社会人のOB講師が教える社会組織編、完結編の三種類があり、リーダーシップ/マネージメントの基本機能を充たす10のスキルを学ぶ。そのスキルとは、創造性開発力、計画力、組織化力、時間管理力、権限委譲力、統制力、問題解決力、コミュニケーション力、動機付け力、リーダーシップ力である。各セッションでは、講師による講義だけでなく、ケーススタディなどを通して講義で扱った内容を「実践」し、理解を深めていく。LEAPの授業を通して、「リーダーシップっていうと皆さん身を構えてしまうところがあるので、そこを全員が培えるスキルだよ、と思ってもらいたい」(佐々木)という。またさまざまな體育會生が受講しているため、違う體育會生と交流し、普段なかなか気付くことの難しい様々な課題が見つかるという。
受講生たちはプログラムの内容に充実感を感じているようだ。多くの受講生から「LEAPで学んだことを自分の部にしっかり伝えたい」という声も聞けた。プログラムを通して、上級生として部を、チームを引っ張る責任感が芽生えているように感じる。
画期的なプログラムであるLEAP。しかし、課題は認知度が低いことである。「勝ちために必要なスキルとしてLEAPが選択肢としてあって、それを受講したいという人が自然と現れてこちらも高い意欲をもつ学生と講師でお互いを高め合う。福澤先生の言葉を借りると『半学半教』を体現して、どんどん体育会を強くできたら良いなと思う」(佐々木)と活動の輪を広げるための今後の展望を述べた。
リーダーシップについて学ぶ機会は決して多くはなく、それを学べるLEAPは貴重な場であり、體育會生は是非参加してほしいプログラムである。また、受講生たちがこのプログラムで学んだことを部に還元し、部の強化に努めることが「強い」體育會を作ることに繋がるだろう。
(記事:萬代理人、取材:染谷優真、萬代理人)