【ラグビー】本当の戦いスタート!大学選手権初戦を突破/第55回全国大学選手権大会3回戦 VS京産大

ラグビー

試合終了後に、スタンドと共に喜びを分かち合った

 大学日本一を決める大学選手権が始まった。これまで作り上げてきた「自分たちのラグビー」の集大成となる舞台だ。迎えた京産大との初戦、1点差まで詰め寄られる苦しい時間帯もあったが、終始リードする試合展開で初戦を突破。次は対抗戦で敗れた早大と再び相見えることとなった。

 

第55回全国大学選手権大会3回戦 VS京産大

12月16日(日)12:05K .O .  @キンチョウスタジアム

 

得点

慶大

 

京産大

前半

後半

 

前半

後半

PG

DG

21

22

小計

12

13

43

合計

25

 

 

得点者(慶大のみ)

T=古田、川合3、宮本瑛、細田

G=古田5

PG=古田

ポジション

先発メンバー

交代選手

1.PR

細田隼都(商4・慶應)

 

2.HO

中本慶太郎(経4・慶應)

 

3.PR

大山祥平(経2・慶應)

 

4.LO

相部開哉(政2・慶應)

 

5.LO

辻雄康(文4・慶應)

 

6.FL

川合秀和(総3・國學院久我山)

→後半31分 佐藤武蔵(経4・慶應)

7.FL

山本凱(経1・慶應)

 

8.No.8

山中侃(商4・慶應)

 

9.SH

江嵜真悟(商4・小倉)

 

10.SO

古田京(医4・慶應)

 

11.WTB

宮本瑛介(経4・慶應)

 

12.CTB

栗原由太(環3・桐蔭学園)

 

13.CTB

三木亮弥(総2・京都成章)

→後半36分 南翔大(総4・常翔学園)

14.WTB

小原錫満(総4・東海大仰星)

 

15.FB

宮本恭介(総2・慶應)

→後半8分 丹治辰碩(政4・慶應)

 

 

先制トライを決めた主将の古田

 
 開始早々、PR大山祥平(経2・慶應)が相手ディフェンスの間を抜け出しゴール前へ。しかし簡単に先制とはいかず、相手に粘られた後に敵陣ゴール前でノックオン。京産大はFW陣のセットプレーに定評があり、最初のスクラムに注目が集まる。「関東では組まないような感じ」(金沢篤HC)のスクラムに苦戦し、二度の組み直しを経てコラプシングをとられてしまう。続く相手ラインアウトからモールの中でボールを奪うと、22メートルライン付近からゲインを切ったSO古田京(医4・慶應)がトライを決め、先制点を奪った。

慶大の攻撃を前に、京産大も負けじと攻め上がってくる。体格では劣っていながら、フィジカルの強い相手をフォワード陣が1人で止めることができず、キックパスで裏をかかれて相手センターにトライを許してしまう。

ハイタッチをする、栗原(左)と宮本瑛(右)

だが、取られたら取り返す。15分、相手のキックを受けたFB宮本恭右(環2・慶應)が鮮やかにゲインを切ると、右サイドでの攻防からパスを受けたFL川合秀和(総3・國學院久我山)が一気にゴールラインを破る。さらに21分、CTB栗原由太(環3・桐蔭学園)から切り返しのパスを受けたWTB宮本瑛介(経4・慶應)がラインブレイクを成功させグラウンディング。対抗戦で9割以上の成功率を誇った古田のコンバージョンキックも冴え渡り、相手を突き放すことに成功した。

 

前半も終盤に差し掛かった頃、ディフェンスの間を抜かれ相手フルバックにロングランを許してしまう。そして自陣でのペナルティから相手はゴールラインの目の前で得意のスクラム勝負を挑んできた。そこからラストワンプレー、約1分30秒に及ぶ攻防から最後は右に展開され失トライ。点差ではリードしていたものの、ペナルティの多さや精度の高い相手のセットプレーが目立った前半だった。

先発復帰を果たした中本

 迎えた後半は苦しい時間帯が続いた。開始3分、自陣中央からペナルティゴールを決められると、続いて左から右へ広く展開され、自陣ゴール目前でオフサイドを取られてしまう。ラインアウトからそのままモールで押し込まれ、1点差に詰め寄られてしまう。さらにディフェンス陣の間をすり抜けられ、またも右サイドインゴール前でのラインアウト。今度は左に展開されるが、相手のペナルティでマイボールスクラムを獲得。なんとか窮地を切り抜け、逆転は許さなかった。

 

 流れを取り返したい慶大は、宮本瑛が左サイドに大きくゲインを切り、ボールは途中出場のFB丹治辰碩(政4・慶應)のもとへ。しかしこれを丹治がノックオン。相手ゴール前でのスクラムとなるが、ここは相手のペナルティを誘発。今度はラインアウトモールで押し込みトライ。難しい角度から古田がコンバージョンキックを決め、試合の主導権を奪回。24分には再び左サイドのラインアウトモールからトライを挙げ、相手を突き放した。

ペナルティゴールを決め、さらに得点を追加して迎えた34分に自陣左サイドインゴール前のラインアウトから右へと広く展開され、トライを許してしまう。だが試合終了間際にPR細田隼都(商4・慶應)のトライと古田のキックで得点を返した。

 

一時は詰め寄られても、すぐに突き放す地力が光った。慣れない場所、慣れない相手との試合だったが、これまでの課題だった接戦をものにしたことが大きい。そして大学選手権は負けたら終わりのトーナメント戦だ。内容より結果が重視されるが、準々決勝となる次戦以降はやはりひとつひとつのプレーの精度を高めていきたい。

モールが今後の試合の鍵になりそうだ

次なる相手は宿敵・早大。先月の対抗戦で対戦した際には、ラストワンプレー、1トライ1ゴールで同点という場面でミスが出てしまい敗れた。思えば、帝京大戦でも5点差と肉薄しながらラインアウトが安定せず敗戦。悪い思い出は数えればきりがないが、過去ばかり振り返っても仕方がない。今回の試合終盤の勢いそのままに、試合間隔の空いた早大相手に前半から畳み掛けたいところだ。2週間ほど間の空く対抗戦とは違い、6日後に試合がある。同じ相手に二度も負けるわけにはいかない。短い時間で厳しさもあるが、彼らの修正力の高さで乗り越えたい。

 

 

 (記事:竹内大志/写真:田中壱規、菊池輝)

 

 

次戦 12月22日(土)@秩父宮ラグビー場

VS早稲田大

12:05K.O.

 

 

 

 

以下コメント

(共同記者会見)

——今日のゲームの印象を

金沢HC:今日の試合は、京都産業大学の強みであるスクラムとモールのところでFWが非常に踏ん張ってくれて、むしろ慶應がプレッシャーをかけられたのが一番の勝因かなと思います。いくつかペナルティもありましたが、大学選手権トーナメントで勝ったことは素晴らしいことだと思います。

 

SO古田京(医4・慶應):自分たちの120%の力を出そうと試合に臨みました。やはりタフな時間が来ましたが、僕たちはその時間を予想していたので踏ん張って糧にしようという気持ちで臨みました。その時間を超えられたことが、自分たちにとって大きなプラスになったと思います。次は中5日で早稲田戦なのでリベンジしたいと思います。

 

——京都産業大学のスクラムについてはどのような印象を持ちましたか

金沢HC:関東では組まないような感じのスクラムですが、事前に自分たちで分析していたので、受けた感じは想定通りでした。そういう意味でもうまく対応できたと思います。

 

——苦しい時間帯を切り抜けるために何か修正をしたのか

古田:反則をして流れを悪くする場面があったので、そういうところにいつも以上に気を使いながら、それ以外は自分たちのラグビーをしただけだと思います。

 

——粘りが大きかったのですか

古田:流れの悪い時にどう断ち切るかというところを対抗戦が終わってからこだわってきたので、まさにやってきたことが出たので良かったと思います。

 

——関東と関西の違いはありましたか

古田:僕たちは自分のオプションを持ちながらアタックすることを目指していますが、京都産業大学はそれぞれユニットにこだわったアタックをしてくる印象を持ちました。

 

——次戦の早稲田戦に向けて

古田:ディフェンスだったら前に出るディフェンス、アタックだったらボールをつなぐアタックというのを金沢HCと4年間やってきたので、細かい部分もありますが、まずは大きな部分でそういうところを出して勝ちたいと思います。

 

金沢HC:スタイルはやはり変わらないので、勝つラグビーをしたいと思います。それは自分たちが窮地に陥った時に、自分たちのスタイルを出せるかというところにかかってくると思うので、そういう準備をずっとしてきましたし、それをしっかり出したいです。

 

 

LO辻雄康(文4・慶應)

――試合を振り返って

相手の3つの柱の、キックとモールとスクラムの部分で、相手を倒して自分たちの流れを作るところから始まりました。

最初の流れでいいスクラムもありましたが、ペナルティなどに繋がってしまったりして、そこで一点差を迎えるような試合になってしまいました。

でも後半にスクラムを組んでいくうちに、自分たちのスクラムを修正して、前の3人が頑張ってくれて、そこからスクラムを起点とすることができました。その結果、慶應の流れになってきました。相手のモールを常に防ぎ続けていましたし、自分たちが練習してきたモールで2トライ取れて、そこから確実に流れが変わったのでFWは頑張ったなと思います。

 

――後半の序盤は攻め込まれる場面が続きましたが、チームとしてどんな話し合いや雰囲気作りを行っていましたか

自分たちのミスから悪い流れがきていると話していたので、そこはまず修正をしました。

自分たちのラグビーをやり続けることで相手に勝っているという印象はあったので、自分たちのアタックはミスの部分を修正して、ディフェンスはオフサイドの部分をもう一回修正して、ペナルティと最後のアタックのボールセキュリティーのところを気をつけようという話をしました。

 

――その時間帯に焦りなどはありませんでしたか

いや、焦っていました。

焦っていましたが、練習してきたことをやり続ければ流れを変えられたので、そこは結果的に良かった部分です。

 

――逆に自信に繋がったということでしょうか

そうですね。

 

――早慶戦に向けて一言

全員の気持ちを背負って勝ちます。

 

 

HO中本慶太郎(経4・慶應)

――対抗戦が終わってからはどんな練習を

京産大はセットプレーが強いチームだということで、そこに重点を置いてきました。

 

――どんなプランで臨みましたか

まずはそのセットプレーで確実に勝ち切ることと、相手の前に上がってくるディフェンスに対して、オフェンスでぶち当たっていくという意識をしていました。

 

――今日の試合はどうでしたか

前半は相手が前に出てくる分、隙間があったのでそこにつけいって効率よく得点を重ねることができましたが、後半は流れが悪くなってしまいました。結果として、そこを乗り切れたのがよかったと思います。

 

――警戒していた相手のセットプレーに関しては

練習したきた分しっかりと対応できて、こちらのやることができたと思います。

 

――自軍のラインアウトについては

かなり研究されていて、自分たちのサインがブレイクされている部分もあり、真横にギリギリのディフェンスをしてきたので、かなりプレッシャーのかかるラインアウトが多かったです。来週までに反省して、サインも見直すべきだと感じました。

 

――スクラムについて

関西と関東ではスクラムが違いました。相手が下に下にと低くぶつかってくるスクラムだったので、慣れて均衡を保つまでが大変でした。

 

――関東、関西でスクラムは違うものなのですか

関東はかなり大きな選手が多くて、フィットした時に落ちるということがあまりありませんが、京産大は前3枚が小柄な人だったので、低く組もうとするあまり下に向かって行ったのだと思います。

 

――次はまた秩父宮で早大相手となりました

やはり1回負けているので、その借りを返すために1週間しっかりと練習していきたいです。

 

――特に強化していきたい部分は

対抗戦で当たった時はフォワードのアタックが通用しなかったので、そこを強めていきたいです。

 

 

FB丹治辰碩(政4・慶應)

――今日の試合を振り返って

京産大の強みであるセットプレーに対して、慶大のフォワードがよく頑張ってくれました。何回かタフなシチュエーションがありましたが、そこを乗り越えられて良かったです。

 

――途中出場でしたが

競った展開で出場しました。自分がチャンスを多く作って、チームに勢いをつけたかったですが、自分の中で空回りして、反省しています。

 

――関西でのプレーでしたが

特に何かを感じることがなかったです。普段通りのプレーをするように心がけました。

 

――準々決勝での意気込は

対抗戦で早大に負けたので、しっかりリベンジを果たせるように、自分たちのラグビーを出していきたいです。

 

 

WTB宮本瑛介(経4・慶應)

――今日の試合はどのような意気込みで臨みましたか

去年とは違って、負けたらラグビー人生が終わってしまう中だったので、緊張感はありました。ですが、それをなるべく押し殺して、強い気持ちを持って自分たちのラグビーをしようというメンタルで臨みました。

 

――チームの雰囲気などは

コミュケーションをしっかり取ろうとやってきて、この2週間は質と量ともに向上してきていて、そこに関しては今日も追い込まれたところから流れを手繰り寄せられたので、良かったかなと思います。

 

――京産大の印象は

モール、スクラムとキックを中心に攻撃をしてくるチームと知っていたので、僕はキックの処理などが自分の責任になると思っていました。そこはミスもすることなく、着実にゲインもできたと思います。

 

――改めて試合展開を振り返って

タフな時間帯が来ることはある程度分かっていましたが、それでもひやひやしました。ですが、あそこから突き放せたというのは今までの慶應と違って、接戦をものにできたのは大きな収穫だなと思います。

 

――前半にCTB栗原由太(環3・桐蔭学園)選手から切り返しのパスを受けてのトライがありました

関東の大学に比べると、向こうのディフェンスに空きがあるという印象があったので、自分が入れば抜けるなというのもあって狙っていました。決まって良かったです。

 

――後半には流れを変えるゲインもありました

フォワードがゲインで繋いでくれたボールなので、こっちとしてもなんとかしてゲインをしなきゃという責任感もありました。ですが、トライは取れなかったので、次WTB丹治辰碩(政4・慶應)などともコミュケーションを取って、きれいにトライを取れればと思います。

 

――今回は最後の大学選手権になりますが

本当に最後なので自分の全てを出し切って、いい舞台も用意してもらったので、頑張りたいです。

 

――次は早慶戦になります

いつも通り変わらず、同じ相手に2回も負けるわけにはいかないので、応援してくれる方のためにも結果で恩返しできるように、これからまた1週間頑張りたいと思います。

 

 

FL川合秀和(総3・國學院久我山)

——試合を振り返って

危ない部分はありましたが、最後まで自分たちのスタイルを貫けたことが勝利につながったと思います。

 

——後半1点差まで詰め寄られた場面もありましたが

チームとして常に冷静に次になにをするかなど、フォワードだったらスクラムやセットプレーでどうやって相手に対して自分たちのスタイルを貫くか、どうやって自分たちの力を出すか、というのを意識してチーム全員で話し合うようにしていました。これで悪い流れを断ち切ることができたのかなと思います。

 

——この試合で3本のトライを決められていますが、そのうちの前半でのトライについて

この試合からは負けられない試合で、自分の強みはアタックなので、自分でトライを取ってチームにいい流れをと思って死ぬ気で取りに行きました。

 

——後半の2本のトライはモールからのトライでした

自分たちフォワードが練習してきたモールという強みをしっかり相手にぶつけることができて、フォワードとして取れた最高のトライでした。フォワードに感謝しています。

 

——セットプレーの出来はいかがでしたか

すごく良かったと思います。京産大の強みはモールとスクラムだったので、僕たちもそれにどうドミナントするかというところで、全員が意思を統一して押せたスクラムだったので、慶応のスタイルをしっかりとぶつけることができて良かったです。

 

——次戦に向けての意気込み

前回早稲田には負けているのですが、それで得た経験もありますし、今回の試合で得たものとして相手がどうであれ自分たちのスタイルを貫くというものがあります。早稲田戦でも、自分たちのスタイルに自信を持ち自分たちの力を全力で発揮したうえで、もし負けたら負けたですし、それができれば勝てるという自信があるので、しっかりと自分たちの力を出し切って早稲田戦も勝ちたいと思います。

 

 

CTB栗原由太(環3・桐蔭学園)

――今日の試合を振り返って

逆境や僅差の試合で負ける試合が多かったので、流れを取り戻す場面でコミュニケーションを密にとることを意識してやってきました。案の定、今日の試合でも流れの悪い時間が来て、その時に落ちることなく修正して自分たちでできたという点は収穫のある試合でした。

 

――笑顔が多く見えた印象を受けました

そうですね、あまり暗い顔をしていても意味ないので。僕自身はラグビーを楽しむというモットーを持ってやっているので、それを体現しようと率先して笑うようにはしていました。

 

――アウェイでの開催ではありましたが、やりづらさはありましたか

部員全員で闘っているので、みんなが声を出してくれて、アウェイ感をほとんど感じることなくできました。部員のみんなに感謝します。

 

――試合の中で意識した点はありますか

今まで外側を生かせていなかったので、今回は外に放るようにして、縦に行ければ行くという形でやっていました。少しずつ形になってきた手応えはあります。

 

――次戦に向けての意気込みをお願いします

一度負けた相手には負けられないので勝ちたいと思います。

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