【野球】15対0の大差で2連勝!王者の風格漂う圧巻の試合運びで優勝へ弾みをつける 東大②

野球戦評

5月5日(日)東京六大学春季リーグ戦 東大2回戦 @明治神宮球場

初回に3点本塁打を放った嶋田。今季は好調だ。

初回、先発・木澤尚文(商3・慶應)が不安定な立ち上がりを見せたが、悪い流れを吹き飛ばすかのように好調な慶大打線は嶋田翔(環3・樹徳)の本塁打も飛び出し1回に4点の先制に成功。3回には正木智也(政2・慶應)も本塁打を放ち、中村健人(環4・中京大中京)が猛打賞、4打点の活躍ぶりで、柳町達(商4・慶應)は通算100安打まで残すところをあと1本とした。投手陣は木澤から佐藤宏樹(環3・大館鳳鳴)津留﨑大成(商4・慶應)森田晃介(商2・慶應)増居翔太(総1・彦根東)が東大打線に1点も与えない見事な完封リレーを見せ、15対0という大差で令和最初のカードを圧勝で飾った。

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東大0000000000
慶大41222004X15

東大バッテリー:●小林大、大久保、田中啓、坂口、平山、柳川ー大音、松岡 

慶大バッテリー:木澤、佐藤、○津留﨑、森田晃、増居ー郡司、福井

 

慶大本塁打:嶋田2号3ラン(1回)、正木2号2ラン(3回)

 ポジション選手名(学部学年・出身高校)
1[5]87柳町達(商4・慶應)
2[9]若林将平(環2・履正社)
5下山悠介(商1・慶應)
3[8]9中村健人(環4・中京大中京)
4[2]3郡司裕也(環4・仙台育英)
5[ 7 ]正木智也(政2・慶應)
1津留﨑大成(商4・慶應)
2福井章吾(環2・大阪桐蔭)
6[3]嶋田翔(環3・樹徳)
1森田晃介(商2・慶應)
H杉本京平(理4・中央中等教)
1増居翔太(総1・彦根東)
7[4]小原和樹(環4・盛岡三)
H鶴岡嵩大(環3・桐蔭学園)
4二宮隆太朗(商4・慶應湘南藤沢)
8[6]瀬戸西純(政3・慶應)
9[1]木澤尚文(商3・慶應)
1佐藤宏樹(環3・大館鳳鳴)
H山本晃大(総1・浦和学院)
8渡部遼人(環2・桐光学園)

ゴールデンウィークも終盤に差し掛かったこの日は5月5日、こどもの日。試合前、いつもは学生コーチがノックをしているが、今日は慶大Familyの父である大久保監督自らがノックをして試合に臨んだ。

 

初回、先発の木澤が不安な立ち上がりを見せる。先頭打者に悪送球で振り逃げを成功されると、続く打者に頭部直撃となる死球を浴びせてしまう。選手の治療のため試合は一時中断し、再開してからもなかなか投球が安定しない木澤だったが、何とか後続の打者を抑え、初回先制のピンチを凌いだ。立ち上がりの悪い流れを変えたのは打線だった。ここ最近の試合では相手に先制されることの多かった慶大だが、1死一、二塁から4番・郡司裕也(環4・仙台育英)がフルカウントから粘ってレフト前にボールを運び、主将の一打で久しぶりの先制に成功した。なおも2死から、好調の嶋田が左翼席へ力強い一本を放ち、この回4点の先制点を挙げた。

先制となる適時打を放った郡司

打線の援護をもらった木澤は2回表、満塁のピンチを招くも後ろの打者を打ち取り東大に得点を与えない。その裏、瀬戸西純(政3・慶應)がヒットで出塁すると、柳町も四球を選び、1死一、二塁のチャンスから中村がライトへの適時打を放って、1点の追加に成功した。3回、投球も安定してきた木澤がテンポよく相手を3人で抑えると、またしても慶大打線が東大を捉える。郡司が四球で出塁すると、5番・正木は初球、逆方向の右中間へ痛烈な一発を放ち2点を追加。東大にこの回だけで3人の投手を使わせた。

2点本塁打を放った正木

4回も先発・木澤が危なげなく打者を3人に抑え、あっという間に慶大の攻撃へと移る。コンスタントに点を積み重ねている慶大は、先頭の柳町が右中間に二塁打を放ち、リーグ戦通算100安打まであと2本とする。続く下山悠介(商1・慶應)が右飛を放ち柳町を三塁へ進めると、安定感抜群のクリーンナップ、中村がライトへの適時打でランナーを返す。さらに2死一、二塁から嶋田がレフトへ二塁打を放ち、またしても2点を追加した。

木澤は立ち上がり不安定ながらも4回を無失点で切り抜けた

5回からは速球の左腕・佐藤が登板。今日は150キロ台のストレートはなかったものの、安定感のある投球で東大打線を封じた。その裏、2死から柳町が100安打まで残すところあと1本となる中前安打で出塁。会場は大きな拍手に包まれた。すると、下山からもリーグ戦初となる安打が飛び出し、おめでたい打席が続く。そして2死一、三塁から迎えるバッターは中村。ここまで2打席連続で打点を挙げている勝負強さを見事発揮し、左中間へ鋭い当たりを放ち、走者を一掃した。

 

6回から登板したのは、昨日見事な投球を見せた津留﨑。6回、7回を3人で抑え、これには大久保監督も「昨日今日とテンポ良く投げてくれた」と評価した。慶大打線も6回、7回は東大投手に打ち取られ、柳町の5打席目では「力が入った」と、100安打となるヒットを見ることはできなかった。8回からは次世代を担う慶大バッテリー、森田と福井章吾(環2・大阪桐蔭)が登場した。リーグ戦では初めて捕手として出場した福井は、試合後に「緊張しました」と語ったものの、風格ある落ち着いたリードを見せ、森田もこの回を無失点で抑えた。

 

その裏、打撃でも福井のセンスが光る。先頭・郡司が四球で出塁すると、続く福井があわやホームランかと思うほどのセンターへの大きな当たりで郡司をホームへ返し、昨日に続いて好調なバッティングを見せた。さらには代打・杉本京平(理4・中央中等教)が出塁し1死一、三塁から、前進守備で前に出ていたセンター方向へ瀬戸西が放った打球が二塁打となり、キャッチャーの悪送球も重なって瀬戸西が一気にホームへ帰還。この回一挙4得点で15点の差をつけ、神宮は完全に慶大の独壇場と化した。9回表、最後に登場したのは、ルーキー・増居。もはや神宮のマウンドにも慣れた様子で、打者3人を三振で仕留め、見事にこの試合を締めた。

 

まさに完勝で気持ちよく勝ち点を獲得できた今日の試合。投手陣が東大に一点も与えない見事な完封リレーを見せてくれたことに加え、打撃ではクリーンナップが見事に役割を果たし、正木、福井、下山など下級生の活躍も頼もしい限りであった。次の明大戦は実質的な天王山となる。注目は柳町の通算100安打達成、そして明大打線を封じ込める髙橋亮吾(総4・慶應湘南藤沢)、佐藤、木澤、津留﨑という150キロカルテットの活躍にも期待がかかる。今までよりもはるかに厳しい戦いとなることは間違いないが、慶大の幅広い選手層を最大限に生かし、完全優勝に王手をかけてほしいところだ。

(記事:澤田夏美 写真:川下侑美、小嶋華)

 

◆打撃成績

   12345678
1[5] 87柳町死球四球右中2中安二ゴロ併殺打
2[9]若林中飛右飛
5下山右飛右安空三振
3[8]9中村四球右安①右安①左中2②遊ゴロ
4[2]3郡司左安①四球四球四球
5[7]正木一邪飛右本②逃三振
1津留﨑
2福井左中2①
6[3]嶋田左本③四球左2①左飛
1森田晃
杉本遊失
1増居
7[4]小原逃三振空三振遊ゴロ死球
鶴岡右飛
4二宮
8[6]瀬戸西左安右飛空三振中飛左2②
9[1]木澤投犠打中飛
1佐藤
山本晃二ゴロ
8渡部遼二飛四球

◆投手成績 

 投球回数打者数球数安打三振四死球失点自責
木澤4176616300
佐藤142301100
津留﨑262502000
森田晃151722000
増居131503000

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

――今日の試合を振り返って

初回のピンチを切り抜けて、あとは守りの方では危なげなく投手が力を出してくれたかなと思います。打線の方も初回から嶋田のホームランと途中の正木のホームランと、あとは良い形で点数は取れました。

 

――試合前に珍しく監督がノックを打っていました

こどもの日だからね(笑)。子どもみたいなもんだから(笑)。

 

――投手陣は無失点に抑えました

昨日今日と津留﨑がテンポよく投げてくれたかなと思います。

 

――打線も好調でした

上位が、1、3番、で郡司がもう少し調子を上げて欲しいけど、そして5、6番と好調なのが4人くらいいるので打線としては大きいかなと思います。

 

――今日は多くの選手を起用しました

明治戦に向けて束になって戦う意味でも急に試合に出すよりは試合に出場させておいた方が良いと思って使いました。

 

――明治戦に向けて意気込みをお願いします

勝った方が優勝に近づくというのは分かっているので、全力で勝ち点を取りたいと思います。

 

郡司裕也主将(環4・仙台育英)

――15対0と大勝を収めました。どんな試合でしたか

試合前に監督から相手に一点も許すなという風に言われていたので、それをピッチャー陣が達成出来たのが良かったと思います。

 

――ご自身も初回に先制の適時打を放ちました

一本出て良かったですが、まだまだ打率も低くて状態も上がっていないのですが、なんとかチャンスで回ってきたら一本打つという強い集中力を持っていきたいと思います。

 

――投手陣も5人が無失点に抑えました

初回、僕のミスもありばたついた場面もあったのですが、ランナー出してから粘ってくれたので。僕はもっとみんな出来ると思っているので、明大戦に向けて僕が上げられるようにしていきたいと思います。

 

――勝ち点3を挙げました。ここまでのリーグ戦を振り返って

今の所は順調にきていると思うのですが、次の明治戦がかなり大事な一戦になると思うので2週間準備していくしかないです。

 

――次は明大戦です。どのような対策をしていきますか

やはり、森下を打ち崩さないことには始まらないと思うので、どうやって打ち崩すかをしっかり考えるのと、打線もあなどれないと思うので、ピッチャー陣の調子を上げることを重点的にやっていこうと思います。

 

――今後に向けて一言

次の明治戦が天王山として大事な一戦になると思うので、負けては明治が優勝するくらいの気持ちで挑みたいと思います。

 

柳町達副将(商4・慶應)

――今日の試合を振り返って

初回は守備がばたついてしまったのですが、そこから立て直して相手に流れをやらない試合を出来たと思います。

 

――チームの打線の調子はいかがですか

つながりというところが良く出てきていると思います。

 

――ご自身も2安打放ちました。調子の方は

しっかりボールを見えているので、悪くはないですね。

 

――通算100本安打まであと1としました

今日も99安打の状態で2打席あったのですが、力が入って緊張してました。

 

――次の明治戦の打席はどんな思いで立ちますか

森下投手という好投手を前にするので、1本というより何が何でも塁に出るということを心がけてやっていきたいと思います。

 

――明大戦に向けた対策としてはどのようなことをされますか

キャプテン・森下投手をどう打つかがカギになると思うので、そこをしっかり対策してやっていきたいと思います。

 

――これまでのリーグ戦を振り返って

僕自身も良い感じで来れてますし、チームも良い流れで勝ててますので、この流れでやっていけたらなと思います。

 

――今後の意気込みをお願いします

ここからの2カードが1番大変だと思うのでもう一回気を引き締めてやっていきたいと思います。

 

中村健人選手(環4・中京大中京)

――今日の試合を振り返って

最初ばたついたところもありましたが、15点取り無失点で抑えることができ、自分達の野球に持っていく事が出来て良かったです。

 

――3安打4打点と当たっていましたが、ご自身の打席を振り返っ

フォアボールなどでランナーが溜まったところで自分のところに回ってきたので、(ランナーを返す)役割をしっかり果たせて良かったです。

 

――センターでのスタメンとなりましたが、心境の変化はありましたか

外野手は常にどのポジションも守れるようにやっているので、変化はなく守れました。

 

――連勝となりましたが、チーム全体の雰囲気はいかがでしょうか

まだ、明治、早稲田戦が残っていて、明治戦では天王山となると思いますし、早稲田戦では2連勝したいという目標を持ってやってきているので、(連勝によって)更に勢いがついたと思います。

 

――次の明治戦に向けて一言お願いします

準備期間がしっかりあるのでみっちりやって、森下投手、伊勢投手を打てるようにやっていきたいと思います。

 

嶋田翔(環3・樹徳)

――試合を終えた率直な感想を

今のところ順調に勝ち点を取ることができているので、この調子のまましっかりと明大戦に臨んでいきたいと思います。

 

――今日は本塁打を含むマルチ安打でした

このカードに向けてのテーマが「正確に強く振る」ということでした。法大戦が終わったあとの2日間も「緩いボールを強く打つ」ということを意識して練習してきたので、それが今回の結果につながったのではと思います。

 

――最近の打撃好調の要因は

去年は三振が多かったので、まずはバットに正確に強く当てることを冬から意識していました。最近はその成果がしっかりと出てきていると思います。

 

――守備の際、今日先発の木澤投手に声を掛ける場面が多く見られました

同級生ですし、木澤には本当に頑張ってほしいと思っています。声掛け自体はどの投手にもしていますが、今日は木澤が序盤から少し荒れていたので「少しでも楽に投げられれば」という思いで声を掛けていました。

 

――次の明大戦に向けて意気込みを

ロースコアの戦いになるとは思いますが、森下投手を前にチャンスで1本打つことができればチームに流れを持ってこれるはずです。引き続きしっかりと対策をして、いい形で入れるようにしたいです。

 

正木智也(政2・慶應)

――今日の試合を振り返って

守備ではなるべく点を取られないように、攻撃ではなるべく打って圧倒して勝とうという中でその通りとなり、良い試合だったと思います。

 

――3回のホームラン、打席に入る前にどんなことを考えていましたか

チームが先制できて、いい流れで来ていたので、その流れに乗っていけるように、自分のバッティングでもっと良くしていけるようにと思って打席に入りました。

 

――今シーズン、好調を維持している要因はなんですか

基本的なことですが、ストライクを打ってボールを見逃すことが出来て、そのストライクの球をしっかり捉えられてるかなと思います。

 

――優勝の鍵となる次カードの明大戦に対する意気込みをお願いします

厳しい試合になるとは思いますが、自分たちの野球をすれば絶対に良い試合になると思うので、この2週間でしっかりと準備して良い状態で入れるようにしたいと思います。

 

福井章吾(環2・大阪桐蔭)
ーー今日の試合を振り返って
先制しようと今日は入り、最初は苦しい展開になってしまいましたが、全員で何とか1点を取ろうという気持ちで初回先制できたので良かったです。後半はしっかり集中して0点に抑えられたので、投手陣は良かったと思います。

ーーリーグ戦では初めての捕手での出場となりました
結構緊張しました。頭が真っ白になるとかではないですけど、動きの部分で違和感というか、「あれ、こんな感じなんや」と思って最初の1回はめっちゃ緊張しましたが、最終回は自分のペースでできました。改めて郡司さんはすごいなと痛感しました。

ーーマスク越しに見る神宮の景色はどうでした
応援が色々な角度から来るので、踊っているような、落ち着かないような、でも落ち着いてやらなくちゃいけないなと自分に言い聞かせていました。楽しかったですね。

ーーバットでもチームに貢献しました
バッティングの調子が良く、とにかく来た球を振っていくという気持ちを持ってやっているので、そう思っている結果が長打になるというのはやっていることを出せているかなと思います。打つことがやっぱりチームに一番貢献できると思うので、引き続き打ってチームに貢献したいと思います。

ーー明治戦に向けて意気込みをお願いします
これから学校が始まったりで、練習時間の確保がなかなか難しくなりますが、自分でどれだけ2週間調整してベストで明治戦に入れるかだと思うので、しっかり気持ちと体をコントロールして入れるようにしたいと思います

 

下山悠介(商1・慶應)

――今日の試合を振り返って

すごく点も取れて無失点に抑えられたので、いい試合だったと思います。

 

――5回にリーグ戦初安打となる右前安打を放ちました

初ヒットを打ちたい気持ちはありましたが、その場面で自分のスイングをしっかり出すということを心がけて打席に入ったので、いいスイングができたと思います。

 

―六大学野球リーグ戦での2試合目となりました、高校野球との違いは

レベルが大学野球の方が高く、雰囲気も結構違います。

 

――次の明大戦に向けて

1週空くのですけど、体調も万全に整えてしっかり勝ち点を取れるように頑張っていきたいと思います。

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