【ラクロス(女子)】見せられなかった慶應のラクロス 早慶戦で3年ぶりの敗北を喫す/第27回早慶ラクロス定期戦

女子ラクロス
試合終了後、落胆する選手たち

試合終了後、落胆する選手たち

6000人を超える観客が押し寄せた日吉陸上競技場に、勝利の若き血が響くことはなかった。早慶戦3連覇をかけたこの試合、慶大はMF溝口友梨奈(経3・慶應女子)の得点で先制するも、流れに乗りきれず以降は手痛い3連続失点を許す。後半戦ではMF日野美咲(商3・慶應女子)やMF井上ゆり子(経3・慶應湘南藤沢)が得点し早大の背中を追うも、勝ち越すことはできなかった。スコア3-5で敗れ、無念にも今年の早慶戦優勝は早大に明け渡した。

 

5月19日(日)第27回早慶ラクロス定期戦 VS早大

@日吉陸上競技場

 

◇得点◇

◇スタメン◇

 

梅雨入り前の晴れた空の下、白いユニフォームをまとった慶大の選手たちが今年もこの伝統の一戦に臨んだ。春の六大学戦では6-7で惜しくも敗れた早大を相手に、陸の王者・慶大が母校のプライドを持って熱い戦いを繰り広げた。

試合は慶大の攻撃から始まった。素早いパス回しで相手ゴールを囲い、AT陣を中心にシュートを仕掛けていくが、どれもゴールには至らず。その後ポゼッションを早大に奪われるも、新戦力のDF鈴川英(経2・慶應女子)がグラウンドボールをさらい、再び自陣へとボールを運んだ。攻撃を続けること6分、ここで相手ファウルを受けたMF溝口友梨奈(経3・慶應女子)がフリーシュートを決め、待望の先制に成功する。このまま流れに乗りたいところだが、その後のシュートは不発が続く。停滞気味の慶大に対し正確なパス回しで攻撃時間を延ばしていく早大。G西村佳子(政4・東京女学館)が決死のセーブでゴールを守るも、1Q終盤に早大のフリーシュートが決まり、スコアを並べられてしまった。

好守が光ったDF鈴川

続く2Qでは早大の猛攻が慶大ゴールを襲う。西村が「大事な中を守れなかった」と振り返るよう、ディフェンス内部に空いたスペースを突かれ、開始1分と4分に立て続けに2失点を喫する。これには負けじと好機を作り出しシュートを狙うが、決め手に欠き得点には繋げられなかった。先制点からの次点が出ないまま、1-3の2点ビハインドで前半戦を終えることとなった。

ドローやシュートで存在感を見せつけたMF日野

何とか巻き返したい後半戦。3Qは序盤からゴールを狙われる危機に見舞われるも、交代で入ったG青山芽生(政4・慶應湘南藤沢)が好セーブを続け、この局面を耐え抜く。すると7分、日野が相手Gの足元を狙った意表を突くシュートを決め、ここで待望の2得点目を獲得。勢いに乗る慶大はその後も針山怜子(文4・慶應NY)が一人で敵陣に切り込みシュートするも、ゴールは割れず。あと1点が追いつけずに、ビハインドのまま3Qを終えた。

DF陣を引っ張るG西村(左)とDF平井(右=商4・慶應女子)

いよいよ迎えた最終Q。序盤は逃げきりたい早大の猛攻が続いた。再びフィールドに戻ったG西村が一度はセーブするも、二度目は耐えきれずに失点。ここで火のついた慶大陣は決死のディフェンスでポゼッションを奪い、ゴールに向かう。幾度のシュートが弾かれるも8分、ついにAT井上ゆり子(経3・慶應湘南藤沢)が苦しい体勢からシュートを決めた。残り時間7分でスコア3-4。この展開にスタンドも大きな盛り上がりを見せるが、10分に相手のフリーシュートが決まり、再び2点差へ。最後まで畳みかける慶大陣だが、この日はゴールが遠かった。差を詰められぬまま試合終了を告げる笛がフィールドに響き、慶大の敗北が決まった。3年ぶりの勝利に沸く早大の選手らの傍らで、ただ悔しさを噛みしめる慶大勢であった。

早慶戦3連覇はかなわなかった

「これが現時点でのチームの実力です」。試合後、荒井理沙主将(経4・慶應女子)は涙をこらえながらこう語った。シュート数で言えば早大に引けを取らなかったかもしれない。しかし、好機を生かせない歯痒いシーンが多く、慶大の持ち味である得点力を発揮することができなかった。今季6戦あったうち、慶大が勝利した試合はいまだ1つと、現状として勝ちが足りない。「これが実力だということは受け止めて、あと3カ月後のリーグ戦に向けて、基礎的なところを一からやり直していきたい」。荒井主将がこう語るよう、まずはこの結果を受け止め、今後は一歩ずつ個のレベルアップを図らなくてはならない。成長の夏を経て、秋リーグでは自信に満ちた慶大ラクロスが見られることを願ってやまない。

(記事:堀口綾乃 写真:五十右瑛士、菊池輝)

 

 

◇以下、選手コメント◇

 

荒井理沙主将(経4・慶應女子)

――試合を振り返って

これが現時点でのチームの実力です。六大学戦を負けて、勝つという経験をチームとしてできていなくて。だから、この早慶戦で“勝ち”を経験することを目指そうと頑張ってきたんですけど、早慶戦で突然上手くなることはなくて。だからこれが実力だということは受け止めて、あと3カ月後のリーグ戦に向けて、基礎的なところを一からやり直していきたいです。

 

――慶大の攻撃面を振り返って

やりたいことができなかったわけではないけど、それでも点数に繋がらなかったり、最後のシュートの決めの甘さが出て、ポールに跳ね返ってしまったり、それこそ最後に決めきる力がなかったと、自分たちの基礎的なシュート力をしっかりとやっていかなければならないと感じました。そして、慶應と早稲田で3-5のロースコアに終わってしまったことについては、10人制になって点数が取りやすくなったにも関わらずそれしか点数を決められない私たちも早稲田も真摯に受け止めて、得点力のある面白い試合にしていかなければいけないと感じました。

 

――今大会で得たものは

六大学戦に比べたらこれをやろうと決めてできるようになったけど、その形はあっても得点には繋がらないという部分があるので、最後の詰めの甘さは直していくべきだと感じました。でもお互いに誰のどこが強い、などの攻め方の共通認識を持つことはできました。

 

――秋のリーグへ向けて

10人制だとさらにオフェンス有利になってしまうからこそ、もっと10点以上取れるような試合にしていきたいのですが、今はそれができないというチーム力を受け止めて、しっかりと基礎的な個の力を高めていき、チームとしても共通認識を持って、シュートをしっかりと決めきれる攻めができるように一からやり直していきたいです。

 

 

西村佳子(政4・東京女学館)

――試合を振り返って

悔しいけど、あのフィールドでできたプレーはできたプレーだし、できなかったことは私たちにはできなかったプレーだと思います。大久保監督も仰っていましたが、そこに「こうすればよかった」や「こうしたら勝てた」という言い訳はできないから、これを受け止めなくてはいけないと思います。でも、悔しいです。

 

――慶大の守備面を振り返って

結構粘った方だと思います。ディフェンスもだし、ゴーリーの私と芽生(青山=政4・慶應湘南藤沢)含め、粘った方だとは思いますが、中で起きたダウンボールの寄りや途中外目になってしまって大事な中を守れなかった部分はまだまだ改善ができるかなと思いました。

 

――早大のDF陣の印象は

試合前と感じていた印象とは違いはなくて、想定内でした。

 

――リーグ戦に向けて

ディフェンスはダウンボールの寄りやどうやって守るのかという点をもっと詰めなくてはいけないと感じました。攻撃面では点を取る、というところです。ラクロスは点を取るスポーツなので、点を取った方がお客さんも楽しめるし、どうやってチームとして点を取るのか、そこに個人としてはどういう技術が必要なのかを詰めていきたいです。

 

 

井上ゆり子(経3・慶應湘南藤沢)

――どのような気持ちで今日の試合に臨みましたか

六大戦からあまり良い流れでチームが来てなくて、チームに必要なのは「勝ち」という結果だったので、試合内容に関係なく絶対に勝つために貪欲に、泥臭くプレーしようと試合に臨みました。

 

――試合を振り返って

試合の入りがチームの課題でしたが、そこに関しては、みんなが落ち着いて、理想通りに入ることができました。しかし、第1Qで掴みかけた波を相手に持っていかれて、第2、3Qと試合を左右する決定的な部分を全部ワセダに持っていかれてしまいました。泥臭さや、ハードワークがテーマだったので、そこに関しては悔いが残る試合です。

 

――ご自身のゴールシーンを振り返って

アタックのポジションだったので、仕掛けて点を取ろうということを目標にして入ったんですけど、ワセダのディフェンスが自分に上げてきているのが分かったので、そのシーンに関しては自分の右のスペースに相手がいないなと思って(シュートを)うちました。シュートコースが甘くてヒヤヒヤしたんですけど、入って良かったです(笑)。

 

――早慶戦はどのような雰囲気でしたか

去年は全く緊張せずに、勝っている試合に出させてもらっているという感覚で出場したんですけど、今年は総力戦ということで、自分もしっかりしなくちゃいけないなと思った早慶戦でした。始まる前は緊張したんですけど、始まってしまえば周りを見渡すとすごい応援の人数だとか、音楽が流れていたりして、一番楽しいなと思いました。

 

――これからに向けての意気込みをお願いします

練習内容云々とか、個人の技術云々とかもあるんですけど、試合になったら負けられない戦いがここから始まるので、悪い流れを断ち切って、リーグ戦は今日以上に勝ちに貪欲に、個人がスキルアップしていきたいと思います。

 

 

溝口友梨奈(経3・慶應女子)

――今日の試合を振り返って

実力の差がはっきりと出た試合だったと思いました。途中で点差を縮めたときも、流れを慶應側にもっていくことが出来ずに、そのまま点差を広げられて負けてしまったという感じです。

 

――早慶戦に向けて意識したことは

あくまでリーグ戦の一環として今日の試合を大事に戦おうと意識しました。また、就活中の4年生に代わって、この早慶戦までの間は幹部としてチームをまとめて引っ張っていく立場だったので個人としての活躍ももちろんなんですけど、チームとして絶対に勝とうという意識で臨みました。

 

――先制の得点を挙げましたが

得点を挙げた場面はフリーシュートだったんですけど、今までフリーシュートにあまり自信がなくて、最近その練習をしっかりとやってきました。だから、試合では自分を信じてやるしかないという気持ちでシュートを放つことが出来たので、入って良かったです。

 

――秋のリーグ戦に向けて意気込みをお願いします

今日の試合で個人としてもチームとしてもたくさんの課題が出たので、その課題に向き合って練習していくことで、チームの中でレベルアップを図っていき、秋の早慶戦並びにリーグ戦は負けないように頑張っていきたいと思います。

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