大躍進を遂げた関東学生テニストーナメント大会(春関)から間もなく、今年も伝統の一戦が幕を開けた。慶大は初日のダブルスを1-1で折り返すと、続くシングルスでは1・2年選手が躍動。平田歩(総2・岡山学芸館)がフルセットの末に4勝目を挙げた瞬間、慶大の勝利が確定した。春の早慶戦勝利は21年ぶりと歴史的快挙を成し遂げた。
慶大 |
| 早大 |
D1 ○佐藤・永田 | 2{6-4、6-2}0 | 清水・石川 |
D2 ●末野・平田 | 1{4-6,6-3,3-6}2 | 下地・吉岡 |
S1 ○佐藤 | 2{6-2,6-2}0 | 清水 |
S2 ○平田 | 2{6-3,6(3)-7,6-3}1 | 吉岡 |
S3 ○永田 | 2{6-3,7-6(4)}0 | 田中 |
S4 ○末野 | 2{6-4,6(6)-7,6-3}1 | 松本 |
S5 ●向井 | 1{6-1,4-6,5-7}2 | 押川 |
合計5 | – | 2 |
第102回早慶対抗庭球試合
2019年5月11日・12日@早稲田大学東伏見テニスコート
102回目を迎える伝統の一戦が今年も幕を開けた。部員全員の悲願を背負い、慶大からは5名の選手が出場。両校コート外からも熱い声援が飛び交い、まさにチーム一体の総力戦が繰り広げられた。
ダブルス(5月11日)
慶大1-1早大
「自信を持って2-0で取る」(中村礼主将=総4・須坂)と意気込み臨んだ初日のダブルス戦、今年のD1を背負ったのは春関優勝ダブルスの佐藤南帆(環1・日出)・永田杏里(総1・南山)組だ。初の早慶戦の舞台に少々緊張したか、いつも通りの勢いは見られないものの、相手のミスが続いた3ゲーム目をブレークすると、そのまま順調にサービスゲームをキープしていき第1セットを先取する。続くセットでは流れをつかんだ1年コンビが一気にギアを上げ、正確なショットと素早い攻撃で相手を突き放していく。幾度のデュースに苦しんだもののこのセットを6-2に抑え、慶大の1勝目を持ち帰った。
D2には末野聡子(総2・芦屋学園)・平田歩(総2・岡山学芸館)ペアが登場。スタートから一進一退の試合を続ける中、ミスの続いた9ゲーム目をブレークされるとそのまま第1セットを奪われてしまう。しかし、第2セットは強気のボールで相手を崩し、6-3で試合をイーブンに持ち込む。迎えたファイナルセット、得意のストロークからラリーをしていく2人だが6ゲーム目と8ゲーム目のデュースを落とすと、流れを掴むことができなかった。3-6でこのセットを落とし、悔しくも1勝を早大に明け渡した。
シングルス(5月12日)
慶大4-1早大
1-1で迎えた2日目のシングルス戦。最初にS5で登場したのは今回の出場選手の中で唯一の4年、向井マリア(環4・城南学園)だ。安定感あるラリーからチャンスボールを着実に決めていく向井は6-1で順調に第1セットを奪い取る。このまま勢いに乗りたい第2セットだったが、長いラリーに粘り負けるとそこから相手のペースに持ち込まれ失速。4-6でセットを落とし、試合はファイナルセットへ突入する。互いにキープを続ける中、8ゲーム目をブレークした向井が一歩リードするも、相手選手も強気なプレーで挽回を図る。勢いに押された向井は徐々にペースを乱し、5-3から4連続でゲームを奪われ試合終了。涙の敗戦となった。
S4の末野は序盤から力強いストロークで打ち合うラリー戦を展開する。互いにゲームを取り合う中、終盤にギアを上げた末野が相手を突き放し6-4でセットを先取する。勢いそのままに第2セットを4-1まで進めるも、勝ち急ぐあまりにミスが出始め気づけば試合はタイブレークへ突入。序盤はリードしていた末野だが5連続失点が響き、このセットを落とすこととなる。後のなくなったファイナルセット、焦らずラリーを続けていくと徐々に試合は末野へ傾き始める。ミスをしても最後まで自分のペースを貫き、見事この試合を制し勝利を持ち帰った。
S3での出場となった永田は深めのボールでラリーを続け、立ち上がりに苦しむ相手を突き放していく。ネット前での強さも見せつけた永田は第1セットを6-3で奪うも、第2セットはミスが出始め失速。一時は1-4までリードを許してしまうも、ここからスライスを織り交ぜながら粘り強くラリーを続けると、徐々にペースを取り戻していき、何とかタイブレークにまで持ち込んだ。緊迫したこの局面、永田は強烈なフォアハンドやセンターライン際に決まるサービスなどでエースを決めるとゲームの主導権を奪い返した。スコア7-4でタイブレークを制し、ストレート勝利をもぎ取った。
3-2と慶大が王手をかける中、4勝目を挙げたのはS2の平田だった。「ミスしてもいいから最後まで攻めていこう」と臨んだこの試合、その言葉通り平田は序盤から果敢にストロークを打ち込んでいき、相手を圧倒。6-3で第1セットを奪い取るも、激しい打ち合いの中タイブレークまでもつれた第2セットはあと一歩のところで落としてしまう。勝負のファイナルセット、互いにサービスゲームをキープする流れの中、平田は第8ゲームのブレークに成功。するとここで流れをつかんだか、最後のゲームは15-40から怒涛の4連続得点を決めて試合終了。その瞬間、慶大の早慶戦勝利が決まり、平田はこの日一番のガッツポーズを見せた。
両校の部員全員の見守る中行われた両校のエース対決は春関決勝と同じく、佐藤と清水映里(早大)の対戦となった。両者キープを続けて3-2で迎えた6ゲーム目、リターンエースやドロップショットなど圧巻のプレーを見せた佐藤がブレークに成功し、ここで流れを奪う。勢いそのままに第1セットを6-2で先取すると続くセットでもペースを落とさない。熾烈なデュース戦となった第7ゲームを競り取ると、残るゲームも優位に進め、見事圧勝。早大エースを再びストレートで下し、早慶戦の最終戦を勝利で飾った。
終わってみれば5-2と、圧倒的な実力差を見せつけて勝利した今回の早慶戦。春の早慶戦勝利は平成10年以来の歴史的大勝利となった。佐藤、永田の大型ルーキーの2人はもちろん、昨年の早慶戦で雪辱を味わった平田、末野の2年選手が大健闘を見せ、大きな成長を感じさせた。そんな1・2年選手の躍動を称えつつも、中村礼主将(総4・須坂)は「上級生が這い上がって引っ張っていかなくてはいけないと思う」と下級生中心であるチームの現状についてこう述べた。次の団体戦は秋のリーグ戦、ラストイヤーに燃える上級生選手の今後に期待が懸かる。
(記事:堀口綾乃 写真:國本葉月、高井真衣、堀口綾乃)
記事の掲載が遅くなり申し訳ございません。
◆選手コメント
中村礼主将(総4・須坂)
――今のお気持ちは
春の早慶戦で勝つことは何十年ぶりだと思うので、歴史を変えられたことが嬉しいのと同時に、今まで私たちがやってきたことがずっと結果にならなくてどう自信に繋げていいかと悩む時期が何年も続いていたので、その成果としてこうして結果が見えたことはすごく自信にもなったので嬉しく思います。
――初日のダブルスを1-1で終えられて
自信を持って2-0で取ると言って戦った試合だったので。今までダブルスで結果を出せなくて、それをどうしても変えなくてはならないという風に取り組んで臨んだ半年間の結果だったので、どちらかと言うと1-1でイーブンの状態だけど悔しさが残る状態でした。厳しい言葉もかけられたりしたのですが、今日に向けて良い悔しさを持てたのではないかと思います。
――本日のシングルスを振り返って
末野(聡子=総2・芦屋学園)と平田(歩=総2・岡山学芸館)は去年出て負けた試合もあったので、今年は自分の力で競った試合をものにしたことは大きかったのではないかと思っています。そこが勝ってくれたことで全体の結果にも繋がったので、それが良かったかなと思います。でもやっぱりS5で上級生の向井(マリア=環4・城南学園)が出たと思うんですけど、そこも取りたかったです。下級生だけのチームだけじゃなくて、上級生が這い上がって引っ張っていかなくてはいけないと思うので、その結果を変えるためにあと半年間、リーグまでに頑張りたいと思います。
――春関を終えてすぐの早慶戦となりましたが
春関で優勝者を出して終えられたことは私たちの自信になりました。逆に短かったので、変な時間がなくて「やるしかない」という気持ちになれたことは良かったです。でもやっぱり大会を連続で行っているので、試合が連続になってしまった人は体力面でキツイところがあったので、そこは何とか工夫するように努力していきます。
――今回の早慶戦で得た収穫は
簡単に言うと自信だと思っています。早稲田も最後まで簡単に勝たせてくれなくて、本当に今まで日本一を取ってきたチームなんだなという風に感じさせられました。そこを苦戦しながらもなんとか乗り切ってこられたことは新チームとしてすごく自信になったと思うので、次に繋がる良いきっかけとなる試合だったのではないかと思います。
――次の団体戦は秋のリーグ戦となりますが、そこへ向けて
目標は1ミリも変わらず優勝することなので、それに対して燃えることと、早稲田は本当に強いチームだと改めて感じたので、ここから絶対に這い上がってくるというか、もっとチーム力を上げて挑んでくるだろうと思っているので、やっぱり私たちはその上を行かなくてはいけないです。でもやっぱり私たちはまだ日本一を取ったことのない立場で、チャレンジャーということには変わらないので、何事も前向きに、絶対に勝ちに行くんだという気持ちで取りに行きたいと思っています。
平田歩(総2・岡山学芸館)
――今のお気持ちは
ほっとしたというか、やっと早慶戦で1勝できたかなという感じです。
――試合を振り返って
昨日のダブルスでどうしても一歩引いてしまったところがあったので、今日はミスしてもいいから最後まで攻めていこうというのを徹底してやっていました。ミスは多かったですけど、その中でも自分の攻めの姿勢というのを崩せずにできたのでそれが勝因になったのかなと思います。
――春関を終えてからの短い期間でどのように調整して臨みましたか
逆に春関があったからこそモチベーションを維持できたのかなと思います。
――1年目の早慶戦と今回を比べて異なる点は
去年はS5で出たときに自滅していって、ひどい負け方をしたんですけど、それに比べて今年は2年生になったこともあって、自分が引っ張っていくという強い思いがあったからこそファイナルも崩れずにできて、その点は成長したかなと思います。
――夏のインカレへ向けて
春関はあと一歩及ばず負けてしまいました。インカレではもちろん後輩の佐藤(南帆=環1・日出)が圧倒的な強さを持っているんですけど、そこに必死で食らいついていく気持ちで、目標は優勝に定めてここから頑張っていきたいと思います。