【相撲】強敵相手に奮闘!予選に沈むも「実りのある大会」に/全日本大学選抜相撲金沢大会

相撲

2013年以来の金沢大会出場となった

6年ぶりに慶大相撲部が金沢の地を踏んだ。全国から16校が集まった今大会、慶大はAクラスの強豪校を相手に敗戦が重なり、予選結果1勝3点で悔しくも決勝トーナメント進出を逃した。しかし、予選2回戦で長年負け越していた明大から3-2で勝利を挙げる大健闘を見せると、その後に行われた個人戦では長谷川貴規(総2・木造)がベスト32に入るなど、収穫の多い大会となった。

第9回全日本大学選抜相撲金沢大会
7月14日(日)9:00~@石川県卯辰山相撲場

 

団体戦

◇慶大出場選手◇ 
先鋒 長谷川貴規(総2・木造)
二陣 胡華興(薬4・慶應義塾)
中堅 長谷川大起(総4・木造) 
副将 北原英嗣(政3・慶應義塾) 
大将 中村隼輔(商1・慶應義塾)

◇予選トーナメント◇
<1回戦>
慶大 0対5 日大
長谷川貴●(すくい投げ)○石岡
胡●(寄り倒し)○川副
長谷川大●(押し出し)○沢田
北原●(上手投げ)○イェルシン
中村隼●(寄り倒し)○竹内

<2回戦>
慶大 3対2 明大
長谷川貴○(押し出し)●松村
胡●(寄り倒し)○藤原
長谷川大●(寄り倒し)○東
北原○(上手投げ)●篠田
中村隼○(下手投げ)●八幡

<3回戦>
慶大 0対5 東農大
長谷川貴●(引き落とし)○白山
胡●(寄り倒し)○丸山
長谷川大●(押し出し)日下
北原●(押し出し)志賀
中村隼●(押し出し)佐藤

結果:1勝3点12位

 

この日、卯辰山相撲場には東日本から11校、西日本から5校、計16校の選手らが集結した。まず行われた団体戦では決勝トーナメント進出8校を決めるべく、3回の予選が行われた。慶大は先鋒に長谷川貴、大将に中村隼を置くなど東日本大会と大きく布陣を変え、この大舞台に臨んだ。

前大会から大きく布陣を変えて臨んだ

予選1回戦の相手は今大会3連覇中の強豪・日大。慶大は初戦から苦戦を強いられた。先鋒・長谷川貴が立ち合いからまわしを取られ、すくい投げに終わると、続く胡も体格ある相手にあっけなく寄り倒される。ここで主将・長谷川大が土俵に上がるが、相手の力強い突っ張りに押し出され、星を奪うことはできなかった。残る副将・北原、大将・中村隼も土俵際で粘りを見せたが、敵わず。ほろ苦い5敗スタートとなった。

粘りを見せるも倒れる中村隼

2回戦の相手は明大。まず先鋒の長谷川貴が素早い押し出しで今大会初勝利を挙げ勢いを作ると、二陣の胡、中堅の長谷川大の2人も、敗れはしたものの土俵際まで粘りを見せる。そして圧巻は中堅・北原だった。立ち合いから下手で相手のまわしを取ると組み合ったままこう着状態が続く。両者譲らない一進一退の攻防はおよそ1分間に渡り最後は北原が右手一本で寄り倒し激しい熱戦に勝利した。迎えた大将戦は非常に動きのある一番となった。立ち合いから中村隼が力ある押し込みで相手を土俵際に追い込むが、あと一押しのところでかわされてしまう。 それでも果敢に技を仕掛けて、下手投げで2回戦勝ち越しを決め、決勝進出に望みを繋いだ。

死闘を制した北原

勝負をかけた3回戦は東農大との対戦。先鋒・長谷川貴は立ち合いから果敢に前へ前へと押していくも、土俵際で相手にかわされ形勢逆転。最後は引き落としをくらい悔しい黒星を喫する。次いで登場した二陣・胡は格上相手に踏ん張りを見せるがこれも力及ばず。残る長谷川大、北原も相手の勢いある相撲に圧倒され、押し出されてしまう。最後の中村隼は相手の攻撃をかわしながら下手から攻めていくが、最後は力で押し出された。
以上の結果、慶大は1勝3勝の12位におわり、団体戦の挑戦は幕を閉じた。

二陣・胡も奮闘した

個人戦

◇トーナメント◇
<1回戦>
胡●(突き出し)山科(拓大)
石井●(押し出し)石崎(日体大)
長谷川大●(突き出し)納谷(中大)
北原(不戦勝)●山下(立命大)
長谷川貴(押し倒し)●浅田(早大)
中村一●(不戦敗)竹林(同大)
中村隼●(寄り切り)川田(金学大)

<2回戦>
北原●(押し倒し)田中(中大)
長谷川貴(寄り倒し)●齋藤(中大)

<3回戦>
長谷川貴●(送り出し)勝呂(拓大)

 

個人戦には団体戦を戦った5人に加え、石井良(経4・慶應義塾)、中村一稀(経4・慶應義塾)を合わせた7人がエントリーした。しかし体格のある相手を前になかなか勝利をつかみ取ることができず苦戦を強いられる。惜敗が続く中で孤軍奮闘の活躍を見せた長谷川貴が得意の速攻を見せ、押し倒しで相手を下す。不戦勝で勝ち上がった北原とともに2回戦へと駒を進めた。

満を持して登場した北原の2回戦。立ち合いから相手の力強いぶつかりに押された北原は相手の意表を突いて足取りを試みるも、体勢の崩れたところを押し倒され、勝利とはならず。一方、長谷川貴はまたしても速攻で相手をはね飛ばし、見事ベスト32入りを果たした。

強豪ひしめく3回戦に勝ち上がった長谷川貴の一番は立ち会いから相手の激しい突っ張りに苦しむ。緩急をつけた攻めを展開され、最後は送り出しで勝負を決められた。悔しい敗戦となったが、全国上位の相手に対し、足を止めることなく最後まで前に出る長谷川貴らしい相撲を魅せた。

自分の相撲でベスト32入りを果たした

 

最終的に団体戦は東日本大会から4つ順位を落とすこととなったが、結果だけで今大会は語れない。5敗に終わった日大戦や東農大戦でも、もう一押しの試合がいくつも見られた。さらに、予選2回戦では長年負け越していた明大から勝利を奪う、見事な下克上を果たした。個人戦でも長谷川貴がベスト32に残るなど、奈良総監督の言うよう「課題も含めて実りのある大会だった」ことに間違いはない。今大会での結果を前向きにとらえ、続く東日本学生相撲個人体重別選手権大会では個々が更なる躍進を遂げてくれると期待したい。

記事・写真:堀口綾乃、栗栖翔竜)

◇選手コメント◇

奈良総監督

――今大会の団体戦を振り返って
よく戦ってくれたと思います。惜しい試合もいくつかあって。初戦の日本大学さん、それから3戦目の東京農大さんにもチャンスのある場面はたくさんあったので、残念な部分もあるんですけど、2戦目の明治さんからは何十年かぶりに勝利を取りまして。課題も含めて実りのある大会だったと思います。

――Aクラスの強豪校との対戦から手ごたえを感じた点は
今のレギュラーのうち4人はそれほど体格で引けを取らなくて、すでに他の大会でAクラスに勝っている選手も多いので、違和感はほとんどないです。それでも、団体戦は5人でやるので、やっぱりオーダーの面もありまして。運も含めて、そこの組み合わせが上手くいけば実力プラスの面も出ますし、上手くいかなければ上に上がってはいけない、それも含めて実力かな、というところです。

――今大会に向けてどのような練習をされてきましたか
大学間では出稽古をよくしているのですが、この大会前は実業団である日本通運の相撲部さんに出稽古に行きました。非常にそれはプラスになったと思います。

――今後の課題は
上向いてはいると思うんですが、部員がそんなに多くはないので。そこのバックアップや、けがをしない体づくりなどをしていかないとと感じています。人材の層がまだ薄いことが課題ですね。

――8月の全日本大学選抜相撲十和田大会に向けて
引き続き出稽古をして、普段とは違う相手と当たらせていきたいと思います。やっぱり人数が少ないので、同じ人数でやるとマンネリ化してしまうので。あとは質問から少し外れますが、私たちの部は色々な競技の部と合同稽古をしています。空手部、レスリング部、ラグビー部など、それによってお互いの競技の良さを知って、それぞれの部にビルトインしていくことを目指しています。そういった体育会同士の関わりも大切にしていきたいですね。

 

北原英嗣(政3・慶應義塾)

――金沢の舞台はいかがでしたか
初めての舞台ということもあり、緊張もありました。天候も悪く、満足いくアップもできないままどうなるのかというところもありました。そうですね、満足のいく結果ではなかったのですが、とりあえず1勝できたことはよかったと思います。

--明大戦を振り返って
珍しく長谷川主将が負けてしまって、私が負けたらチームも負けてしまう場面だったので、絶対に負けられないぞという気持ちで臨みました。いつもだったら急いでしまうところを、しっかりと急がずに勝てたかなと思います。

――Aクラスの強豪校と言われる大学との対戦はいかがでしたか
当然のことですが、我々よりも多く稽古をしている選手が多く、稽古量や体格も負けていて、もっと稽古をしなくてはと感じました。

――今日は東日本と大きく布陣を変えて臨まれましたが
最終的な目標をインカレに置いたときに、どういった布陣がチームとして力が出るのかということを考えながら色々と試しています。

――個人戦を振り返って
とても強い相手でした。でも、今まで3回対戦した中で一番感触がありました。今までは相手にならなかったのですが、もっと頑張れば手に届くと感じるくらいには成長できました。

――全体12位という結果について
東日本ではベスト8で、西日本から5校参加しての12位なので、もっと稽古をしなくてはならないと感じました。東日本から今大会にかけて、他の大学はもっと稽古をしてきていると感じました。

――東日本学生相撲個人体重別選手権大会に向けて
個人戦なので、気負わずに思い切りやりたいと思います。団体戦の十和田大会やインカレに繋がるような相撲を取りたいと思います。

 

長谷川貴規(総2・木造)

――東日本学生相撲選手権大会から今大会までの期間どのような練習をされましたか
5週間は長いようで短くできることには限界があったので、前回の大会で得た反省を修正することに力を入れていました。

――団体戦初戦の相手は、大会3連覇中の日大。先鋒として振り返って
先鋒は勝ち負けも大事ですが、それ以上に部に勢いをもたらさなければならないポジション。その中で初戦は体が動き切らず、勢いを作ることができませんでした。

――2戦目の明治戦は立ち合いから素早い動きで圧倒しました
理想の相撲、先鋒らしい戦い方ができました。勝ち点を挙げたことで勢いがついたと思います。

――次回、8月の十和田大会へ向けて収穫も多かったのでは
今大会でも動きの修正点が見つかりました。7月21日(日)には個人戦(東日本学生相撲個人体重別選手権大会)も控えており期間も短いので、今大会で見えた課題をしっかり克服して戦っていきたいです。

――3回戦まで勝ち進んだ個人戦を振り返って
全ての取り組みでこれまでやってきたことを出せました。練習していた戦い方ができたのは良かったです。3回戦では負けてはしまいましたが、内容のあるいい相撲ができました。全国トップレベルの相手に前に出る相撲ができたのは大きいですし、動きも良かったのでこれを次は勝ちに繋げていけるようにどうすればいいか考えていきたいです。

――東日本大会では精神面に課題があるとお話しされていましたが、今大会ではどうでしたか
東日本大会と比べて、気合いをしっかり入れなおすことができたので1回戦から相手に強くぶつかっていけたと思います。 団体戦の後すぐに気持ちを切り替えたことで安定して相撲が取れたと思います。

――来週の大会に向けて意気込みを
1週間ではできることが限られるが、取り組みに向けた気持ちの作り方を意識した上で、今日の負けを経験として生かせるように練習していきたいです。先輩方をはじめ多くの部員に盛り上げてもらえる分、勝ち点を挙げてチームに貢献していきたいと思います。

 

中村隼輔(経1・慶應義塾)

――金沢の舞台はいかがでしたか
予選からやってきて、強豪校も集まるところで試合させてもらったことは大きな経験になると思います。1年生なので思い切ってやろうと挑んだ大会で、その中でも2-2で回ってきた明大戦が一番印象に残っています。明大戦で勝てたことは自分の中でもよかったと感じています。反省点としては、他の大学との取り組みも勝てないわけではなかったので、もっと体重を増やすなどできることもあったということです。

――特に差を感じた点は
大学では体重が大体平均120〜130キロぐらいで自分は圧倒的に体の面で弱いなと思うので、体重の増加が第一です。小柄だと技術がないと勝てないと思っているので、技術面を磨かなくてはいけないと感じました。

――今大会は大将を務めました
1年で大将を任されることはあまりないと思うんですけど、やっぱりその中で先輩方が「お前ならできる」と思ってくれたから出してくれたと思っているので、2-2で勝てたことは自分の中でホッとしている部分があります。

――今大会に向けて取り組まれたことは
フィジカル面で負ける部分があるので、そこで負けないように。それは自分一人でもできることなので、フィジカル面で筋トレなどの頻度を増やしたりして挑んでいきました。

――個人戦を振り返って
団体予選のときに足を痛めてしまい、立会いで思い切り踏み込むことができなかったことが悔しいと思っています。

――次の体重別へ向けて
100キロ未満と体重で唯一区切られている大会で、体格差は同じだと思っているので、その中で自分の技術面が重要になってくると思います。そこを上手く発揮して全国出場まで行けたらなと思います。

――今後に向けて
こういった大会の機会は少ないと思うので、一番一番大切に、向上心を持って取り組んでいきたいと思いま

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