10月20日(日)東京六大学野球秋季リーグ戦 明大2回戦 @神宮球場
秋季リーグ戦もすでに折り返し地点を過ぎ、優勝を争う大学も絞られてきたなか迎えた大一番。慶大は春季リーグ戦でも苦しめられた六大学NO.1右腕・森下から執念で勝利をもぎ取り優勝を大きく近づけた。
その立役者となった橋本典之(環2・出雲)は「まだ実感はない」と何度も繰り返しながら喜びを噛み締めていた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
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明大 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1X | 2 |
試合は投手戦の様相を呈していた。明大先発・森下、慶大先発・森田晃介(商2・慶應)両投手とも1失点を許しながらも一歩も譲らない展開。周囲は暗くなり、神宮球場のナイター照明が灯る中、試合は膠着したまま9回裏、慶大の攻撃へ。2死から小原和樹(環4・盛岡三)が左翼への二塁打を放つと瀬戸西純(政3・慶應)は申告敬遠で2死一、二塁でサヨナラのチャンスを迎える。そこで大久保監督は迷いなく橋本典を代打に送った。決めればサヨナラ、凡退すれば延長という状況の中で打席に立った橋本典。しかし、森下を相手に狙っていたという直球もなかなか捉えきることができず早々に追い込まれてしまう。「最後は運だな」と振り切った変化球。飛んだ打球は浅めに守っていた中堅手の頭上を越えサヨナラ二塁打となった。2時間40分にわたる熱戦を橋本典の一撃で劇的に締めくくった。
それでも本人は「飛んでくれた方向が良かっただけ」とあくまで謙虚に振り返る。チームに勝利をもたらしたヒーローとなりながらも地に足ついた言動が彼の勝負強さにつながっているのかもしれない。
彼が信条として掲げているのは「質実剛健」。素朴に、真面目に、強く逞しく。飾り気がなく誠実で、強くしっかりしているということを意味する言葉だ。これは「できることを精一杯やる」という彼のプレースタイルからも十分に窺えるものだ。サヨナラ打を放ったこの日も彼は自分が決めるという欲は持っていなかった。「後ろにつないでいこうという意識だけでやった」。これがサヨナラ打という最高のかたちで結果として現れた。
次はいよいよ早慶戦。完全優勝が掛かった戦いとなるが、「自分のその日その日のベストプレーを全力で出来たらなと思います。」と橋本典の意気込みは変わらない。大仕事を成し遂げた喜びを静かに噛み締めながらも早慶戦へ気を引き締めていた。
(記事:相川環)
◆橋本典コメント
橋本典之(環2・出雲)
――サヨナラを決めた今の率直なお気持ちを教えて下さい
結構時間が経ったんですけど、まだ実感がなくて。でも自分が決めたという事実は変わらないので素直に嬉しいです。
――ご自身ではあの打席をどのように振り返りますか
真っ直ぐを狙っていたんですけど捉えきれず追い込まれて最後は運だなと思っていたんですけど、上手くバットに当たって飛んでくれた方向が良かっただけかなと思います。
――試合後にはどのような言葉をかけられましたか
感謝の言葉を結構頂いたのでそれだけのことをやったのかなという実感はないですけど嬉しい気持ちが出てきます。
――サヨナラのチャンスを任されてどのような気持ちで打席に入りましたか
サヨナラのチャンスとはあまり考えずに後ろにつないでいこうという意識だけでやったのが上手くいったのかなと思います。
――森下投手を相手に何か意識したことは
真っ直ぐも速いし変化球もキレキレで全部対応なんて出来ないので球種を絞って割り切って振っていこうというイメージで立ちました。
――今季は代打での出場機会が多く、その度にきちんと役割を果たしている印象です
今年の春も全然ダメで5打数0安打で決めないとチームの人に申し訳ないなという気持ちも強かったので、強気でやってやるぞという気持ちを全面に出して打てたのが良かったかなと思います。
――明大に2連勝しチームにとっても大きな勝利となりました
ここまで上手くいくとは本当に思っていなくていつかは負けるけどへこたれないぞという気持ちを持っていたんですけど上手くいっていて。でも早慶戦で2連敗する可能性も無きにしも非ずなのでそこは気を引き締めていつも通り、いい流れではあると思うので出来ることを精一杯やるというのを必ずやっていこうと思います。
――次の早慶戦に向けて意気込みをお願いします
自分のその日その日のベストプレーを全力で出来たらなと思います。