【野球】郡司優勝弾!大久保Family、最高の形で終幕 第五十回記念 明治神宮大会 決勝 関大戦

野球戦評

11月20日(水) 第五十回記念 明治神宮大会 決勝 関大戦

悲願の日本一だ

悲願の日本一達成の瞬間だった。初回から郡司裕也(環4・仙台育英)の2ラン本塁打で先制すると、8回には主将・郡司の2点適時二塁打と瀬戸西純(政3・慶應)の2点適時三塁打で追加点を挙げるなど打線が8点を挙げた。投げては先発のエース・髙橋佑樹(環4・川越東)が8回の先頭打者に安打を許すまでのパーフェクトを含む、9回被安打3無四球と最後にして最高の投球を見せ、完璧な試合運びで19年ぶり4度目の優勝を飾った。

 123456789
慶大2000000428
関大0000000000

関大バッテリー:森、肥後、高野―久保田

慶大バッテリー:○髙橋佑―郡司

慶大本塁打:郡司1号2ラン(1回)

◆慶大出場選手

 ポジション選手名(学部学年・出身高校)
1[9]中村健人(環4・中京大中京)
2[5]下山悠介(商1・慶應)
3[8]7柳町達(商4・慶應)
4[2]郡司裕也(環4・仙台育英)
5[7]正木智也(政2・慶應)
橋本典之(環2・出雲)
R8渡部遼人(環2・桐光学園)
6[4]小原和樹(環4・盛岡三)
7[3]綿引達也(商2・慶應)
8[6]瀬戸西純(政3・慶應)
9[1]髙橋佑樹(環4・川越東)

勝てば日本一。決勝戦の神宮には平日の昼にもかかわらず約8000人の観衆が集い、慶大対関大の火蓋が切られた。試合は初回から慶大優勢となる。2番・下山悠介(商1・慶應)が中前安打で出塁すると、4番・郡司が関大先発・森の内角の直球を振り抜いた。放った打球は逆風を押し除けて、左翼スタンドへと突き刺さり、貴重な先制点を挙げた。

秋季リーグ戦に続き、郡司の優勝弾が飛び出た

2点の援護を受け、決勝戦のマウンドを託されたのはエース・髙橋佑。髙橋佑は磨き上げた緩急を駆使した自身の投球スタイルと女房役・郡司のリードを最大限に使い関大打線を全く寄せつけない投球を見せた。その後、7回まで髙橋佑は関大に出塁すら許さない投球を続け、対する打線も関大先発・森の前に郡司の本塁打以降は押さえ込まれ、こう着状態が続く。

決勝戦の先発はエース・髙橋佑だった

次に試合が動いたのは8回表。下山が内野安打で出塁すると、柳町達(商4・慶應)も中前安打を放ち無死一、二塁の場面を演出する。関大はここで投手交代。森に変え、右手投げの肥後を投入した。迎えるは主将・郡司。3球目が暴投となり、二、三塁とすると暴投後の初球、外角のスライダーにバットを上手く合わせ打球は右前に落ち、2点適時二塁打となる。なおも好機は続き、代打・橋本典之(環2・出雲)の四球と小原和樹(環4・盛岡三)の犠打で二、三塁とすると、今大会好調の瀬戸西が振り抜いた打球は前進守備の中堅手の頭上を超え、試合を決める2点適時三塁打となり、点差を6点に広げた。最終回にも渡部遼人(環2・桐光学園)が適時二塁打を放ち、2点の追加に成功した。

瀬戸西はこの大会大活躍だった。来年はチームを引っ張る存在となる

8―0と大量リードの中で迎えた9回裏のマウンドには髙橋佑が上がる。遊ゴロ、空三振と2死まで追い込むと、最後の打者を中飛に打ち取り試合終了。記念すべき第五十回目の明治神宮大会で19年ぶりの日本一を収めた。

最強で最高のバッテリーだった

「日本一になりたい」。今年のチーム発足以来常に目標に掲げていたことがついに実現した。秋季リーグ戦では圧巻の9連勝を収めリーグ戦優勝を成し遂げると、この明治神宮大会でも2回戦の東海大札幌戦でコールド勝ち、準決勝の城西国際大でも6―1と快勝を収めるなど、一戦一戦で堅実に得点を重ね、この秋の成績は12勝2敗と誰もが認める強力なチームとなった。大久保監督が今季限りでの退任発表をして以降は「大久保監督を胴上げしたい」とその一心で戦い抜き、念願の監督胴上げを実現できた。

念願の大久保監督胴上げだ

郡司を主将、大久保監督を監督としての慶大野球部はこの日をもって最後となった。来年度は堀井哲也氏を監督に迎え、新監督と新主将のもと新たな慶大野球部が始動する。日本一の景色を見た3年生以下のメンバーは「俺たちも日本一に」と強い意気込みを持って再び神宮に戻ってくるに違いない。主将・郡司裕也、監督・大久保秀昭の今年のチームが残した財産と来年からの新たな風が合わさることで、必ずや今年のチームを超越していくはずだ。

(記事:小林歩、写真:染谷優真、菊池輝、左近美月、小林歩)

◆打撃成績

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1[9]中村健見三振左飛二ゴロ二飛中飛
2[5] 下山中安空三振中飛遊安見三振
3[8]7柳町空三振三ゴロ一ゴロ中安中安
4[2]郡司左本②二飛見三振右安②四球
5[7]正木右飛遊飛空三振
橋本典四球
R8渡部遼右中2②
6[4]小原遊ゴロ遊失遊失投犠打
7[3]綿引四球三直捕邪飛二ゴロ
8[6]瀬戸西一犠打二飛中安中3②
9[1]髙橋佑空三振四球一ゴロ空三振

◆投手成績

 投球回数打者数球数安打三振四死球失点自責
髙橋佑92912538000

◆監督・選手コメント(囲み取材より抜粋)

大久保秀昭監督

――胴上げの感想は

めちゃくちゃ嬉しかったな

 

――完勝でした

きっかけを作ったのは郡司の逆風をついてのホームラン、あれは大きかったかな。

 

――完封の髙橋佑選手をどう見ていましたか

1年の時から成長したなと、見ていました。

 

――郡司選手はいかがでしたか

この神宮大会もそうですけど、どんどん上手くなっていったなと思います。プロの世界に行ってもまだまだ成長できると思います。

 

柳町達副将(商4・慶應)

――日本一という結果に関して

いやもう本当に4年間しっかりやってきた結果が報われたなと思います。

 

――今日の打撃に関して

前半の打席はあまり宜しくない打席が続いたのですが、そこでヒット1本出た時は本当に後ろに絶対つないでやるという思いで(打席に)立った結果がヒットになってくれたので。しっかりと気持ちを前面に出してやっていけたらなと思っています。

 

――相手先発の森投手に関して

真っ直ぐとカットボールをしっかり丁寧に投げ込んできたので、なかなか糸口がつかめずという感じでした。

 

――4年間を振り返って

本当に長くて内容の濃い色々な経験ができた4年間だったなと思っています。本当にこの経験を次のステージに活かせたらなと思っています。

 

――次のステージに向けて

(プロ野球に)入ってからだとは思うのですが、本当にプロで活躍できるように。練習の大切さを知ったので、その練習でしっかり成長していければなと思います。

 

小原和樹(環4・盛岡三)

――最後の打席振り返って

三振ではあったのですが思い切り振れたので。その前のバントもチームの得点につながるバントができたのでよかったです。

 

――守備については

前日から郡司にお前のところに打たせるぞと、部屋も一緒なので言われていて僕も全部くるものだと思っていたので、全部しっかり丁寧にさばけました。守備位置は髙橋佑樹が投げるごとに変えていて、もちろん打者によっては1スイング目を見ながら守備位置を変えたりしていました。

 

――大久保監督に教わったことは

大久保監督の目指す野球というのは選手としてだけではなく人として成長できるもので、人としてどうあるべきなというのを教わりました。

 

――今後アナウンサーとしてどんなことを伝えたいですか

僕がレギュラーとるまでにすごく苦労したというのがあって。観客の皆さんはグラウンドのプレーしか見られなくて僕らが影ですごい努力をしたということをわからなくて。取材を通す中でその選手がプレーを完成するためにどれだけ頑張ってきたのかということを伝えるのが、選手も嬉しいですしそれを伝えられる実況をしたいです。

 

中村健人(環4・中京大中京)

――優勝して実感はいかがですか

実感があるようなないような、特別なことは何もなくてやれることをやっていたら勝てていたなという感じですね。

 

――郡司選手がタイムリーを打った時ベンチから飛び出していました

あのまま試合をしていたらどうなるか分からないくらいの感覚があって、次の1点入るかなというところで僕がなかなかチャンスメイクできなかったので試合的にもすごく嬉しかったです。

 

――自分の役割をどのように認識していましたか

1番で起用していただくことが多かったので打った打たないも大事ですけど打席の中で弱気な姿を見せないことや打ち取られても元気よく帰ってくること、打ったあとは人一倍雰囲気を盛り上げることを常にやってこれたかなと思います。

 

――今後の目標は

プロの世界に挑戦するという目標は見失わず、社会人野球は難しく高いレベルだと思っていますし自分磨きを毎日毎日していかなきゃいけないなと思います。

 

髙橋佑樹(環4・川越東)

――今のお気持ちは

本当に嬉しいです。

 

――今日はどんなことを気をつけて試合に入りましたか

2年生の森田(晃)と2人で試合をするつもりで投げたので、最初から飛ばして、序盤で余計な失点をしないように全力で行きました。

 

――大学生活でもかなりよい投球だったと思います

最高と言っていいんじゃないですかね。

 

――コントロール、緩急の使い方、投球術など持てるものを全部出し切った投球に見えました

全国大会なのでデータの量が少ない中で、必死にデータ班が情報を集めてくれたので、それをしっかり理解して噛み砕いてリードしてくれた郡司の配球が本当に見事だったと思います。

 

――今日の素晴らしい投球の要因は

これまでの野球人生で決勝の舞台で勝ったことがほとんどなかったので、中学高校大学と優勝が懸かった試合で僕が投げると負けていたので、今日勝つためにこれまで負け続けてきたんだと思って、強い気持ちを持って投げました。

 

――完全試合まであとアウト6つという場面で初めて安打を許した時のお気持ちは

あーやっちゃったーと思いましたけど、その前の回に結構点差が開いたので、もうこのランナーは気にしないでいいかなと思いながら投げていて、意外とマウンドでは冷静でいられたかなと思います。完全試合どうこうでテンションが下がったりとかはしてないです。

 

――完全試合を阻んだものは

自分の甘えだと思います。

 

――今後の抱負は

都市対抗(野球大会)で優勝できるように頑張ります。

 

瀬戸西純(政3・慶應)

――日本一へのプレッシャーは

悪い意味でのプレッシャーっていうのは無くて、良い緊張感を感じながら試合には入れたと思います。

大久保監督の慶應野球をちゃんとやれば負けないだろうって自信はあったので、それに徹することができました。

 

――大久保監督から一番教わったことは

バックアップであったりアウトが成立するまで抜かないであったり、誰でもできるところをしっかりやろうって言うのは常日頃から言っていて、球際のプレーであったり良いプレーが生まれる理由もそういったところにあるのかなと思います。

 

――来年は引っ張っていく立場になります

戦力的には上位打線だったり安定したピッチャーが抜けるってことで多少不安はありますが、下級生にも頼もしい選手はいっぱいいますし、その選手たちも先輩方のおかげで毎年優勝争いのかかった緊張感ある中でのリーグ戦を経験させていただいているので、そういった強みっていうのはほかのチームにはないんじゃないかなって思っています。そこを生かして下級生の力も借りてしっかりしたチームを作っていけば、大きな問題はないんじゃないかなって思います。

 

――大久保監督からもらった一番大きな教えは

本当に色々なことを監督から教えていただいたんですけど、自分で考える力っていうのが身についたというか、ただやらされる野球ではなく、自分で考えて成長して、本当に行き詰まっている時にふと助言してくれて、その距離感っていうのが絶妙でした。ひとりの自立したプレイヤーとして扱ってくれて、のびのびとやらせていただきましたし、きっちりとやるところとのメリハリがついていました。

 

――胴上げはいかがでしたか

なんとしても胴上げしたいって気持ちで決勝戦って、優勝して監督を胴上げできて、感謝の気持ちですし、本当に良かったです。

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