全日本インカレまであと6日。本日は、清水柊吾(総3・広島城北)、樫村大仁(環3・茨城高専)、そして降小雨(商1・慶應)のMB3人による座談会をお届けする。同じポジションの3人が語るそれぞれの持ち味、そして全日本インカレへ懸ける思いとは。ぜひご覧ください。
(※この取材は11月18日(月)に行いました。)
お互いの印象
――まずは右隣の人を紹介してください
樫村 彼の名前は清水柊吾です。環境情報学部…
清水 いや、総合政策(笑)。
樫村 あ、違った(笑)。アイドルファンですね。得意なプレーは、跳躍を生かしたクイック。以上です。
清水 彼は、1年生の降小雨くんですね。学部どこだっけ?
降 商学部ですね。
清水 商学部。第一印象は「あ、俺多分こいつちょっと苦手だわ」っていう感じで。今はそんなことないですけどね!
降 (笑)
清水 今後が楽しみな選手です。
降 樫村大仁先輩です。どんな人かっていうと「師匠」みたいな感じで…
樫村 (拍手)
降 まあそれは2人ともなんですけど!バレーボールもそうだし、人間性もそうだし。自分が目標としなければならない人だと思います。
――慶應義塾高は練習場所が同じこともあると思いますが、降さんが高校時代からお互いお知り合いだったんですか
樫村 一応。お互いかはわからないですけど、認識はしていましたね。
清水 認識はしてたね。
――当時の印象と変わりましたか
樫村 基本は変わらないですね。塾高生というか、高校生は、勢いがあったんですね。
清水 悪い方ね(笑)。
樫村 悪い方の勢いがあって。それが大学になったらちょっとおとなしくなったなって。それはまあ塾高生全体の傾向なんですけど。まあ祝太郎(吉田祝太郎=政3・慶應)とかも、見ればわかるんですけどね。
清水 さっき「最初は苦手だった」って言ったのも、そのなんか「圧」が…(笑)。
降 圧があった(笑)!?
清水 圧があったけど、意外とこいつめっちゃ真面目なんで。そういうプレー、練習を見て、「あ、先輩頑張らないとな」っていうのがあったので。そこで、「あ、こいつは悪いやつじゃない」と。
樫村 (笑)
――選手として、お互いのどんなところがすごいと思いますか
樫村 じゃあまずは柊吾。やっぱりジャンプ力じゃないですか、彼の特徴は。僕とか小雨は割とパワープレーというか。高さとか、小雨は切れとか速さなんですけど、柊吾は、やっぱりこの3人の中では一番クイックのバリエーションがあって。サイドに頼らなくても1枚で切れる能力があるところが、一番良いところだと思います。
降 柊吾さんは、滞空力がすごくて。見ていて「めっちゃ飛んでるな」って思う。さっき樫村さんもおっしゃっていたんですけど、色々なバリエーションに富んだ攻撃は、自分にはできない。あと、なんだろう、ミドルなんですけど、あんまりミドルっぽくないというか。色々なことできる。っていう部分は、自分にないところだなって思います。
清水 じゃあ、次は小雨。彼は、非常にバランスが良い選手ですね、色々な意味で。クイックも、自分より打つコースの幅が全然広いですし、体幹とかもしっかりしていて。多分それがブロックにもちゃんと生かされているし、別にサイドが打てないわけでもないし、サーブもまあ強いし、ディグが上がらないわけでもないし。非常にバランスが良い選手ですね!
樫村 お前むかつくなぁ(笑)。
清水 いや、結構俺本当に思ってる。
樫村 僕が降を見ていて一番思うのが、やっぱり身体能力が高いなっていうところ。身体能力に関しては全然僕より高くて。ブロックの寄りの速さとか。(手の)出し方とか細かい技術は、まだ甘いところがあるんですけど、単純なアジリティーとかはすごく良いものを持っているって感じていて。だから、それを生かすために、僕がちゃんと持っているものを教えれば、こいつはすごい化けると思っているので。僕がちゃんと伝えていきたいと思います。
清水 (降に)照れるなよ(笑)。
――では最後に樫村さんについて
清水 そうですね、彼は高いです。以上です。
樫村 (笑)
清水 でも本当に、チームの中で誰よりも高いですし、クイックもブロックも、すごく信用できるし。1年のころからずっと試合に出ている分、一番経験もあるし、それこそJAPANで海外とかとやっていて。その経験っていうのが、すごく僕らにとってもありがたいなっていうふうに思っています。
降 樫村さんは、打点の高さとか、高さの部分に関しては、多分ほぼほぼこれから3年間やっても勝てないと思うくらいすごい。あとは、やっぱり色々なものを経験してきているので、特徴とちょっと離れちゃうと思うんですけど、説得力があるというか。基本的にアドバイスしていただいたことは全部受け入れるスタンスなんですけど、(樫村の指摘は)理にかなっているし、自分のできていないところを、それを最初からだめだっていうんじゃなくて、ちゃんと理詰めで、たとえば「そうなる気持ちは分かるけど、でもここはこうしなきゃいけないんだよ」っていうふうに丁寧に説明してくれる。まあ誰に言われても言われたらやろうって思うんですけど、(樫村は)ちゃんと見てくれているんだなっていうふうに思いますね。自分のプレーだけじゃなくて、下級生のプレーまで見てアドバイスしてくれるんだなって思いますね。
清水 謙虚だね!
MBとして
――他のポジションも経験されていると思いますが、MBの魅力・面白さを語るとすると?
清水 前もあったねー(笑)。
樫村 あったあった(笑)。
清水 ミドルの良さ、みたいなの!
――昨年の対談で、お二人には「MBあるある」を伺いましたね
樫村 魅力というか、単純にブロックする回数とかスパイクに入る回数とかが多いので、それがちゃんとうまくはまったときは、すごく楽しいと思います。ブロックたくさん止まったとか、スパイクたくさん決めたとかいうときは単純に。まあどのポジションもそうだと思いますけどね(笑)。それが楽しいんじゃないかなって思いますね。
清水 (降に)何かある?
降 他に?魅力ですか?
清水 ミドルあるある。
降 ミドルあるある(笑)?あるあるはちょっと思いつかないですね(笑)。レシーブが上がらないとか…
清水 そういうことになるよね(笑)!
樫村 あるあるは悪い方なんですよね。たとえば、パス返らないと仕事がないから声出すしかないとかね。
降 たしかに、良い方向のあるあるはないっすね。
清水 ミドルの面白いところでしょ…?
樫村 サイドとかって、ボールを見て自分で選択するイメージが僕の中であるんですけど、ミドルは結構なんか突き詰めていけばある程度境地に達するというか。上がってきたのをすぐ落とすとか、ブロックも、こういう場合はこういうステップを踏むとか。それが、単純に体が無意識に動くようになると、結構楽しいかなっていうふうに思います。
清水 クイックって、一番選手ごとにめっちゃ違いがあるプレーなんじゃないかなって思っていて。たとえば、(樫村を指さしながら)「高い」とか、(降を指さしながら)「幅が広い+高い」とか。早稲田の村山選手(村山豪=早大3年)とかはもう「とにかく速い」みたいな。めっちゃゆっくりで思いっきりコース打ってくる人もいれば、奥打ち徹底している人とか。そういうのは、サイドにはない…魅力なのかはわからないですけど、ミドルの特徴だと思います。
――初歩的な質問ですが、ブロックのワンタッチって痛くないんですか
樫村 痛いです。
清水 痛いときもあります。
樫村 痛いときもあります。だって僕、骨出ました。
降 僕も折れました!
樫村 秋リーグ第2戦・山梨大戦、僕救急車で運ばれました(笑)。
清水 これ、ミドルあるあるなんじゃない?ブロックでけがをする。
樫村 ブロックでけがする人って、ブロック下手だと思うんですよね!
清水 あー、自己紹介。
樫村 だと思うんですよ。出し方が悪い。逆に、ちゃんと綺麗に出していたら、気持ちいいって感じる。
清水 わかる。
樫村 レシーブもそうですね。ちゃんと重心の位置で捉えられたらぱって上がるだけなのに、違うところに上がると痛みがくるっていう。ブロックも同じで。
――ブロックのとき、目をつむってしまわないんですか
降 ものによるかもしれない、俺。
樫村 え?
降 つむらないときはつむらないよ。
樫村 つむらないでしょ。
降 つむるよ!近いやつとか。
樫村 基本は、つむらない人の方が止まる。ちゃんと最後までボールを追えるから。どうしてもやっぱり煽っちゃう人とかは、最後顔も入っちゃって、距離が近いから、目を閉じちゃうこともある。
降 そういうことだ。普通に怖いもん、ボール。
樫村 意外と止まったりする、それでも。
降 出るから。
――「ブロックが武器です」って言えるために必要な要素って具体的に何でしょうか?
降 難しい…
清水 それはもうね、樫村大先生が一番よく知っていると思うよ(笑)。
樫村 ブロックは、時と場合によるんですよね。自分で止められるときもある。ネット際にボールが上がったときは、ボールを手で囲めるから、打っても下にしか落ちない。でも、ほかは相手がたまたま当ててくれたから止まる、みたいな。だから、自分で止められるボールと、ちゃんと(手を)出していて結果的に相手が当ててくれて止まるっていう2パターンがあって。1つ目のその近いボールを自分で囲むっていうのは、ちゃんとボールを最後まで見て、囲んじゃうっていうそのスピードがあれば止まっちゃう。2つ目に関しては、そこにいたるまでちゃんと形を出しておくっていうことが大事だから。その基本のステップと手の出しとか細かいところを、最善尽くすじゃないけど、やっていけば、止まる確率が上がるっていう。最初にミドルの魅力で言ったけど、突き詰めてやるしか、自分の武器はブロックですとは言えないかなって思います。
降 …樫村さん理詰めで話すから難しいと思うんですけど、まあ僕たちバレーやっているので「ああ、そうだな」って思います。もうちょっと簡単に言うんだったら…自分の要素言っていいっすか。
清水 全然良いよ。
樫村 自分の理論言えばいいじゃん。
降 自分の理論だったら…とにかく上がったボールに反応する。相手のパスとか条件とかでちょっとは変わってきちゃうんですけど、僕が意識しているのは、上がったらもうとにかくそこにばって行って、隣の人に合わせて。自分の形があるんですね、自分のその「ここまでは止まる」みたいな。それを速く作って、相手を見て待っているんですよ。それで打ってきたら、「はい、止めた~」みたいな。
樫村 基本は同じだよね、だから。
清水 わかりやすいね。
降 パッて速くいって、止める。自分の速さを出して。自分、ブロックが武器だって言いたいですね。
清水 良いと思う。
――クイックって本当に一瞬で終わってしまいますが、ブロック見えているんですか
清水 トスによりますね。例えば「めっちゃ速く、トスが上がった瞬間に打つ」みたいなクイックだと、見る余裕はない。正直、コミット(ブロック)来て思い切り囲まれたら、止まっちゃう。(相手ブロッカーが)跳んでいるのが見えたら、フェイントとか色々あるんですけど。基本的に僕はゆっくりなトスが多いので、それは割と見えます。
樫村 ゆっくりのときは、見えますね!
Team Malki
――入替戦が終わってから、チームでどんなことを話し合いましたか
清水 1回、3年生でミーティングしたことがあって。結論で言うと、「もっと自分にも周りに厳しく練習しよう」「声を出して、駄目なところはしっかり駄目って言って、逆に良いところはしっかり良いって言う」っていうふうにやろうってなって。まあ正直、入替戦の後2~3日くらいは、メンタルが結構えぐっていたので、それをなんとか練習には影響させないように、しっかりやっていましたね。
――今年のチームはどんなチームですか
樫村 Team Malkiは、攻撃型のチームですね。守備力は見てもらったらわかるんですけど、無いに等しい…(笑)
清水 (笑)
樫村 無いですね…でも、2部だけど、1部含めても東海に次ぐくらいの平均身長があるので、高さが武器ではあると思うんですよ。オポ(OP)とマルキさん(マルキナシム主将=総4・川越東)も、ミドルも高くて、みたいな。ブロックとスパイクでなんとかするチームだと思います。
清水 これは1年間を通して?
樫村 他人に紹介する前提でしょ?
清水 Team Nassimはですね…この3年間で一番、良くも悪くも色々あったチーム。典型的なのはやっぱり、吉田がセッターからサイドになったり、マルキさんがオポやったり。けがもあったし。そういう意味では、色々あったなって。悪かったときもあるし、良かったときもあるし。最終的には今の形でまとまってしっかりやれているので、そこも含めて色々あった…これがTeam Nassimなんじゃないかなって思います。降、ないの?
降 いや俺1年しかいないし…
清水 いや、いいでしょ!
降 えー…
清水 塾高と比べてでもいいし。
降 あ、塾高と比べて?それは言えますよ。もうめちゃくちゃやりやすい!自分が好きなようにバレーさせてもらえるというか。僕、試合中は自分の感情を出すタイプなんですけど、高校のときは学年とかもあって責任とかが伴っていたから、自分のエンジンあんまり回しすぎちゃいけないなとか思ったりしていて。でも、大学はヒートアップしすぎてもこうやって抑えてくれる先輩もいるし、へこんでいるとき、自分が上手くいかないっていうときにも、的確なアドバイスをくれる人がこの2人をはじめ、たくさんいる。試合に出たら出たで、自分よりもっと場数を踏んでいて頼りになる先輩がたくさんいる。すごくそこはやりやすいなって思っていて。もうちょとこのチームでやりたいんですけど、あと1週間くらいで終わっちゃうので、そこはちょっと悲しいんですね。
全日本インカレへ
――ボールが変わりました。何かプレーに影響は出ていますか。
樫村 それは出てます。
降 出てますね。
清水 サーブです。
樫村 回転系は打ちやすいんですけど、フローターが…
清水 俺は打ちにくい。
樫村 打ちにくいというか…僕の予想ですけど、新しいボールは溝が浅いから空気抵抗が無さ過ぎて、伸びちゃうんですよ。落ちなくて、変化しなくて。スピードボールだったらある程度強いんですけど、フローターは伸びちゃってアウトになる確率が高くなっちゃったなって。
降 そうですね。僕は、「自分の一番の武器は?」って聞かれたらブロックよりもサーブって言いたいくらい、サーブが好きで。前のボールは、無回転で打つとすごくブレて取りづらくて。結構ブレイク率良いですよね、僕のサーブ。なんですけど、あっちのボール(新球)にしてからは、同じ感じで打っていてもそもそも入らない、みたいな。だからちょっと嫌いになりそうですね(苦笑)。
清水 僕はフローターはやめたので、割とすぐ切り替えて。ジャンプすごく打ちやすいので、そこに関しては良かったかなと。
――現在、チームの状況は
清水 目標があったほうが、チームってまとまるじゃないですか。だから今すごく一枚岩になって練習できているんじゃないかなって思いますね。全カレ中は、まあトーナメントだし、色々とテンションの上がり下がりがあると思うんですけど、それこそ初心に戻って。そこでこそ一枚岩になり、やっていこうとみんな意気込んでいます。
――全日本インカレに向けて意気込みを
樫村 チームとしての目標は「センターコート」ってみんなで決めたので、そこを目指すのは間違いないです。自分自身の意気込みとしては、「毎回自分の練習してきたプレーを出す」っていうことが、自分の中で決めていることなので、そこは変えないで。いつも通りブロックとかスパイクを徹底するっていうことを目標に頑張りたいと思います。
清水 全日本インカレ…
樫村 (降に)柊吾、最後にしようぜ。
降 あー、じゃあ!
清水 なんでだよ(笑)!真面目なこと言おうとしたのに!
降 僕は、1年目だから全日本インカレ出たことないし、どういう大会かとか、どういう思いを懸けてとか、そういうのはあんまりわからないんですけど、いつもお世話になっている4年生の最後の試合だから、そこは最後勝たせてあげたいです。あとは、試合たくさんあるので、自分は体力が続く限り…足攣っちゃったりして代わったりするんですけど、自分の体力が続く限り、できるだけのことを。全部、プレーもそうだし、プレー以外のこともそうだし。自分の体力が続いてコートに立っていられる限りは、できる限りのことを出し尽くしたいなと思います。
清水 全カレは、この前もちょっと早慶明のあとのインタビューでも少し言ったんですけど、毎年言っているけど、それでも、4年生のために。特に今までの代で一番つながりが深いというか、一緒にいる時間が長かったので。4年生が今年1年間で苦労しているところとかっていうのは、多分一番近くで見てきたので。そこにしっかり結果っていう形で、恩返しじゃないけど、そういうのができるようにやる。それが、来年、自分たちの代にもつながってくると思うので、そこはしっかり思いを持ってやりたいです。それと、ご覧の通りミドルは3人、コートに立てるのは2人なので、いつ誰が出てもいいように、しっかりと。自分が出たところで自分の一番の力を出し切れるように、っていうのは、残り数日の練習で全然変わってくると思うので、そこを。120点を本番に出せるような残り1週間くらいの練習にしていきたいなっていうふうに思います。
――ありがとうございました!
(取材:藤澤薫 写真:船田千紗)
◇プロフィール◇
清水柊吾(しみず・しゅうご)
1998年12月12日生まれ/総合政策学部3年/広島城北高出身/身長187センチ/最高到達点330センチ/MB/背番号12
樫村大仁(かしむら・ひろひと)
1999年1月15日生まれ/環境情報学部3年/茨城工業高等専門学校出身/身長196センチ/最高到達点345センチ/MB/背番号19
降小雨(じゃん・こさめ)
2000年10月19日生まれ/商学部1年/慶應義塾高出身/身長192センチ/最高到達点340センチ/MB/背番号9
◇バックナンバー◇