12月22日(日)、慶大蹴球部の今年度最後の試合が行われた。帝京大を相手に敗れたものの、4年生が奮闘した。今回は、その試合後のインタビュー、そして引退にあたってのコメントを、3回に分けて4年生27人全員分お届けする。
今回は、BK(バックス)陣9名。ポジション表記は22日の試合のもの。
主将:CTB栗原由太(くりはら・ゆうた=環4・桐蔭学園)
──試合を終えて
楽しかったです。「慶應でやってきた4年間をみんなで出し切ろう」という話をして挑みました。随所で慶應の売りであるディフェンスを出すことができたと思います。今までやってきたことをしっかりと出せているなと思いましたし、あれだけの人数の4年生が出ている試合は初めてなので、とても楽しかったです。
──4年間を振り返って
特に何かをなし得ることができなかったので、そこはやはり悔しい思いが強いです。4年間を振り返るとあっという間で、まだまだそれぞれの1年で足りなかったものがあったなと思います。常に高みを目指してやり続けることの大切さを学びました。
──同期の皆さんへ伝えたいことはありますか
4年間本当にありがとうございました。みんなの理想通りの主将になれていたのかはわかりませんが、それでもしっかりついてきてくれて一緒に戦ってくれたことに感謝したいです。最後みんなで試合に出てプレーできて楽しかったので、一緒に過ごした4年間を生かして次も頑張りたいと思います。
──後輩の皆さんへ伝えたいことは
何事も全力でやってほしいです。円陣でも話したのですが、たとえラグビーがうまくなくても、何かが足りていなくても、一つ気持ちの部分で「頑張ってやる」ということを表すことが大きな武器になると思います。バカにしてくる人もいるかもしれませんが、「頑張っている人がかっこ悪い」みたいな風潮自体がいちばんダサいと思うので、頑張っている人をどんどん増やして、みんなが全力でラグビーを楽しんでほしいです。
BK3リーダー:高木一成(たかぎ・かずなり=商4・慶應)
──今日の試合をご覧になっていかがでしたか
僕は出ることができなかったのですが、同期たちがとてもいいプレーをしてくれていたので、とても良かったです。
──この4年間を振り返って
けがが多かったので悔いは残りますが、全力でできました。あとは「勝ち切る」という部分に関しては僕たちの代ではできなかったので、後輩たちにはそこを突き詰めて頑張ってほしいなと思います。
──ここまで一緒に頑張ってきた同期の皆さんへ
いろいろありましたが、いい代だったなと思います。ありがとうという気持ちでいっぱいです。
──最後に、後輩の皆さんへのメッセージを
悔いの残らないように1日1日を過ごしてほしいです。彼らが日本一になるところを僕たちも見たいので、応援しています。僕もラグビーを続けていくので、お互い努力しながら頑張っていきたいと思います。
WTB安西浩昭(あんざい・ひろあき=政4・慶應)
――本日が4年間で最後の試合となりました。どんなことを思いながら試合に臨みましたか
最後のシーズンは思うようにいかないこともありました。でも、こうして4年生と一緒にできる最後の試合で、自分が後輩に残せるものは何かな、と考えていました。
それは練習でやってきたことを出すこと、慶應の強みである「魂のラグビー」を体現することなのかな、ということを考えながら試合に臨みました。
――その「魂のラグビー」はどのくらい体現できたとお考えでしょうか
自分としてもチームとしても、自信を持って「できた」と言えると思います。結果として、今日の試合も勝ちにこだわっていたんですけど、(勝利という)結果は出ませんでした。
でもそこで折れずに、どれだけ負けていても、どれだけ追い込まれていても、泥臭いラグビーをやることが「魂のラグビー」です。そこは自分としてもチームとしても体現できたのかと思いますね。
――後輩の方々に向けてひとこと
後輩たちには、本当に結果を出してほしいです。結局結果が全てだと思います。僕たちは負けて、大学選手権に出場できなくて…。そうしたらやっぱり負けた代ということになってしまいます。(後輩たちは)勝った代だと言われるように、最後胸を張っていいチームだったと言えるように頑張ってほしいと思います。
――最後に、4年間をともに過ごした同期の皆さんに向けて一言お願いします
きつい時も一緒に頑張ってくれてありがとう、と言いたいです。同期が頑張っている姿を見てきたからこそ、自分も頑張れた部分がありました。特に最後のシーズンはつらかったんですけど、周りの4年生が声を出して引っ張っている姿を見て、自分もやらなきゃいけないな、と思えました。最高の同期に巡り会えてよかったです。
SH上村龍舞(かみむら・りゅうま=環4・國學院栃木)
――試合を終えて
楽しかったです。4年生全員と試合に出られるのが初めてだったので、楽しもうという気持ちで試合に臨み、実際に楽しかったです。
――4年間を振り返っていかがですか
あっという間でしたけど、振り返ってみると色々あったなと思います。
――同期の皆さんに向けて伝えたいことはありますか
これから次のステージでみんな頑張ると思うので、たまに会ったりして、思い出話でもしましょう。
――後輩の皆さんに向けては
日本一とってください。
CTB木村朝哉(きむら・ともや=商4・慶應志木)
――随所に活躍が目立っていました。試合を振り返って
同期、仲間とできる最後の試合だったので、全部出し尽くして今まで4年間積み上げてきたものを見せようと思って頑張りました。
――この4年間を振り返って
3年まではCチームまでにいることが多く、怪我も多くて苦しかったのですが、自分はウェイトに力を入れて自分の生命線としようとして頑張ろうとしました。それを信じ続けられたから4年生の時にAチームでも何試合か出させてもらえたので、自分の武器を作る大切さを知りました。
――同期の皆さんへの思いはありますか
本当に感謝しかないです。自分一人では4年間乗り越えられなかったと思いますし、これからも関係は続いていくと思うので、離れてもたまに集まって楽しく過ごせたらなと思います。
――後輩への思いと期待をお願いします
僕たちの代は結果が出せませんでしたが、若い選手もいっぱい出てきてくれました。そういった選手が秩父宮で活躍する姿を楽しみにしたいと思います。来年以降は自分自身も一ファンとして、期待します。
WTB荘清志郎(しょう・せいしろう=総4・慶應NY)
――本日の試合にはどんな思いで試合に臨みましたか
公式戦とかも出場機会がほとんどなくて、試合に出場できる場面も少なかった最後の年でした。なので、試合に出る機会がもらえたことも嬉しかったですし、精いっぱい楽しんで4年間積み上げてきたものを出したいな、と思ってプレーしていました。
――そういった思いで臨んだ試合でしたが、振り返っていかがでしょうか
負けたのは負けたことで悔しいです。でも、今できる事は全部やって、ラグビー自体も楽しめましたし、自分としては悔いなくやりきれたかなと思います。
――4年生はこれで引退となります。後輩の方々に向けて何かメッセージをお願いします
今年は不甲斐ない結果を残してしまって、難しいシーズンになりました。それでも来年以降、後輩たちには日本一をとってもらえるように頑張ってもらえればな、と思います。
――最後に、4年間戦ってきた同期に向けて一言お願いします
4年間まずはありがとう、ってとこですね。僕自身ムラがあるというか、気分が落ちてやる気がない時期がありました。でもそういう時に厳しく言ってくれたからこそ、最後まで続けることができたのかな、と思っています。一緒にできてよかったです。
SH高野倉健生(たかのくら・けんき=商4・慶應志木)
――この試合を振り返って
結果的には負けてしまいましたが、この試合は結果よりも楽しむとか、後輩たちに何かを残すということが大事だと思っていましたし、とても楽しんでプレーできたので良かったです。
――4年間を振り返って
個人的にもけが等が多く、悔しい思いをする期間が長かったです。最後のシーズンも個人的には試合に出られそうで出られなかったり、チームでも結果が出なかったりと苦しいことが多かったのですが、最後4年生主体でジュニア選手権の入替戦や、今日の試合をみんなで楽しくできたということで、集大成とすることができたかなと思います。
――慶大蹴球部への思い
大学に入って日本で一番歴史のあるチームに入り、伝統というものも感じましたし、そういった中でプレーができたというのは誇りに思います。
――同期の皆さんへの思い
一時期はまとまりがないかなということもあったのですが、最後の筑波戦ではみんな泣いたりしていたように、いいチームになれたし、最後にはみんなでまとまって試合に出て、いい試合ができるチームになれて良かったなと思います。
――後輩の方々への思いと期待
後輩たちは大きな声で応援してくれてとても力になりました。自分たちは結果というものが残せませんでしたが、後輩たちが日本一になることで自分たちが何か残せたかなと思えるはずなので、日本一を目指して頑張ってほしいです。
SO田中優太郎(たなか・ゆうたろう=経4・慶應)
――試合を終えて
4年生で出る試合ということで楽しみにしていました。結果は伴いませんでしたが、とても楽しめました。
――この1年を振り返って
春は評価されずに苦しんで、夏からもがき始めてジュニア選手権に出られるようにまでなるなど、認められた選手になれたので、4年生のこの1年間でも成長を実感できる、実りある1年だったなと思います。
――同期の皆さんに伝えたいことはありますか
家族以上に時間をともにしてきた人たちで、かけがえのない存在になっています。くじけそうになった時も同期が活躍している姿を見て自分のモチベーションになったりもしたので、選手・スタッフ関係なく、同期のみんなには感謝の言葉を伝えたいです。
――後輩の皆さんに向けては
慶應の強みって、やはり全員の低いプレー、泥臭いところだと思っていて、それで(対抗戦の)帝京戦も勝てたと思っています。そこを春は見失っていて、秋に見つめ直してああいう結果が出た(対抗戦での帝京大戦勝利は9季ぶり)ので、慶應の伝統の「低く、泥臭く」という部分を磨きあげてやってくれればいい結果が出ると思うので、しっかり1年間頑張ってほしいと思います
WTB矢部雄亮(やべ・ゆうすけ=法4・慶應)
――試合を終えて
自分自身あまり上のチームの試合に出られなかったので、最後に見せ場をつくってもらえて嬉しかったです。自分は前半だけだと決まっていたので、40分間力を出し切ろうと思っていました。いいタックルもできたので、自分としては悔いのない試合になりました。
――4年間を振り返って
けがが多くてつらい時もありましたし、なかなか上のチームに上がれない時期も続きましたが、仲間がいたからやってこられたということが4年間を振り返って思うことです。仲間、同期に感謝ですね。
――同期の皆さんへ伝えたいことはありますか
ありがとうの一言に尽きます。つらい時も助けてもらいましたし、喜びや楽しさを共有できて良かったです。本当に幸せ者だなと思います。
――後輩の皆さんへ向けてはありますか
4年間やってきて、何を残せたかは明確にはわからないのですが、自分がやってきたことを最後にタックルで出せたりとか、自分の姿勢みたいなものを見てもらって心に残ってくれたらなと思います。
その他のコメントはこちらから
4年生コメント集 “CHRONICLE” FW陣
4年生コメント集 “CHRONICLE” 学生スタッフ
この試合をもって4年生は引退を迎えた。今年、初のワールドカップ開催に伴って列島はラグビーブームに包まれたが、日本ラグビーのルーツ・慶大蹴球部は苦しい戦いが続いた。春季大会で挙げた勝ち星はわずか1つ。そして秋の対抗戦では5位に沈み、22年ぶりに大学選手権出場を逃した。それでも、11月30日(土)の最終戦では帝京大を相手に9季ぶりとなる勝利を挙げ、ジュニア選手権入替戦では4年生中心の布陣で筑波大を退けてカテゴリー1残留を決めた。確かに、結果だけ見れば「勝てなかったチーム」かもしれない。しかし、伝統校の誇りにかけて挑戦を続ける黒黄戦士の雄姿は、見る者を魅了した。
そして、そのバトンは後輩たちに託された。栗原ヘッドコーチの現役時代以来となる日本一へ、新たな戦いはすでに始まっている。
(編集:竹内大志 写真:竹内大志、野田快)