慶應スポーツ新聞会

【ラグビー】栗原組、有終の美飾る/関東大学対抗戦⑦VS帝京大

秩父宮で迎える最後の試合だ

関東大学対抗戦Aグループ vs帝京大

慶大29-24帝京大

11月30日(土)11:30K.O.

@秩父宮ラグビー場

 

 

 

 

「やっと僕たちがしたかったラグビーができた気がした」―。試合後、CTB栗原由太主将(環4・桐蔭学園)はこう語った。先制点こそ帝京大に献上したものの、No.8濱野剛己(総3・桐蔭学園)、FL川合秀和(総4・國學院久我山)のトライで逆転し、着実に得点を積み重ねて差を広げた黒黄ジャージ・慶大。後半に入ってもその勢いは衰えない。FW・BK陣が一体となったディフェンスで相手の猛攻を凌ぎ切り、29-24でノーサイド。帝京大を相手に9年ぶりの勝利を挙げ、2019年度の対抗戦を白星で締めくくった。

T=濱野、川合2、原田2
G=中楠2

快晴の秩父宮ラグビー場。試合は帝京大のキックオフで始まった。

 

序盤から主導権を握りたい慶大。だが先制点を挙げたのは帝京大だった。3分、自陣ゴール手前での相手ボールスクラムからFW陣で攻め切られ被トライ。慶大は出鼻をくじかれる。

しかし黒黄も反撃に出る。9分、相手のパスミスにより敵陣ゴール前5mでのマイボールスクラムを獲得すると、No.8濱野がボールを持ち出してインゴールに飛び込みトライ。簡単には流れを渡さない。

今年からAチームに定着した濱野のトライで反撃を開始した

両者譲らぬ一進一退の攻防が続く中、慶大の粘り強さがついに実を結ぶ時が来た。23分、FB沖洸成(総3・尾道)が右サイドで大きくゲインを切ると、その後はFW陣を中心に攻め込んでいく。帝京大の強力なディフェンスを前に苦戦しながらも“愚直に”フェーズを重ねていき、最後はFL川合副将がトライ。スタンドからは大歓声が響く。SO中楠一期(総1・國學院久我山)のコンバージョンキックも決まり、慶大は12-7と逆転に成功した。その後も黒黄軍団の勢いは止まらない。31分、敵陣22mライン付近でターンオーバーに成功すると、密集から抜け出したFL川合副将が独走しインゴール中央で再びトライ。これまで献身的なプレーでチームを支え続けてきた副将の活躍が光った。SO中楠のゴールも決まり19-7に。慶大はこのままリードを保ち、試合を折り返した。

「何か後輩たちに残さないといけない」と臨んだ試合で2トライを決めた川合

前半の良い流れそのままに、後半も開始から慶大がグラウンドを支配。開始直後にFL川合が相手のペナルティーを誘うと、SO中楠のペナルティーキックで敵陣ゴール手前へ。3分、この日初めてのマイボールラインアウトからモールで押し込むと、最後はHO原田衛(総2・桐蔭学園)がインゴールに飛び込み、24-7と差を大きく広げる。

その後11分に相手FW陣に粘られてインゴール中央付近にトライを許すも、慶大はすぐさま反撃に出て敵陣に攻め込む。15分に再び敵陣インゴール手前からのマイボールラインアウトを成功させると、モールで押し込みまたもHO原田のトライで29-14とした。

後半の原田の2トライで突き放した

しかし、相手は強豪の帝京大。慶大はここから怒涛の反撃に苦しむこととなる。16分には右サイドを相手WTBに駆け上がられて失トライ。続く21分にも今度は左サイドから相手WTBにビックゲインを許してしまう。トライを決められ、これで29-24。慶大は悪い流れをなかなか断ち切ることができない。

続く28分には痛恨のペナルティー。帝京大が慶大インゴール前まで襲い掛かったが、相手のノックオンにより自陣ゴール前でのマイボールスクラムを獲得した。ここで、ブースターとして登録されていたCTB栗原主将がグラウンドへ。会場は彼を大きな拍手で迎え入れる。スクラムで出したボールを蹴りだしてこのピンチを脱した慶大は、その後も帝京大の攻撃を必死のディフェンスで凌ぎ続けた。

 

40分を過ぎ、告げられたロスタイムは2分。帝京大の猛攻が止まらない中、慶大もこれまで徹底してきた「指差しノミネート」を改めて全員で徹底しながら応戦していく。

あと30秒。自陣深くではあるものの、慶大の選手たちは着実にマイボールをキープし続ける。そして42分が経過し、最後はSO中楠が外へ蹴り出して試合終了。大きくどよめいて沸く秩父宮ラグビー場、喜びを爆発させて抱き合うグラウンドの選手たちやスタンドの部員たち、観客たちから響く大きな拍手-。慶大は帝京大を相手に対抗戦で9年ぶりの勝利を挙げた。

9年ぶりの勝利が決まった瞬間

登録メンバー23人中、22人が試合に出場。まさに総力戦、“全員ラグビー”でつかみ取った勝利だった。地道かつ大胆なアタックはもちろん、決死のディフェンスが光ったこの日の慶大。帝京大がボールを持って激しい攻撃に出た時間帯でも、LO川端隼人(理4・國學院久我山)やCTB三木亮弥(総3・京都成章)、WTB宮本恭右(環3・慶應)など、FW・BK陣問わずチーム全員が全力のディフェンスで体を張り続けた。まさにこれが“熱く、泥臭く、低く、そして何度でも立ち上がって戦う”、慶大伝統のラグビー。栗原組最後の対抗戦で、彼らはこれを見事に体現した。

挨拶を交わす選手たち。栗原主将(写真右端)のテーピングには、けがで出場できなかった高木一成(商4・慶應)の名が書かれていた

創部120周年。慶大蹴球部はメモリアルイヤーに新指揮官として栗原徹HCを招き、チームは変わった。“暗黙の了解”を豪快に破って魅力あふれる留学生を招き入れ、戦術やチームカラーも変化。しかし成績は思うようには奮わず、結果として22年ぶりに大学選手権出場を逃してしまった。

また、優秀な若手が台頭していく中で、世間から「今後に向けて」という言葉を多用された今年のチーム。その陰で、上級生たちは学年間の意識の差のマネジメントに悩み続けた。変化や葛藤を乗り越えようともがきながら、慶大において自らの4年間全てをラグビーに捧げ、仲間たちと共に戦い抜いた選手・スタッフ陣。「いくら苦しい練習、状況、経験をしてきても、最後勝つことでそれが全部報われる。慶應でラグビーができて、この仲間たちと出会えてよかった」(CTB栗原主将)―。苦しかった1年間。その中でも、最後まで誇りを胸に、全力で、必死に戦い続けた。彼らは間違いなく、黒黄の歴史の大切な1ページを担った者たちだ。

そして、その歴史はまた新たな世代へと受け継がれていく。「4年生の思いも背負って戦っていきたい」(CTB三木)。来年こそ、悲願の日本一達成へ—。黒黄軍団の戦いはこれからも続いていく。

 

(記事:川下侑美 写真:竹内大志、野田快)

試合後の選手コメント集はこちらから

「やっと僕たちがしたかったラグビーができた」 帝京大戦試合後コメント集

 

以下出場メンバー、星取表

◇出場メンバー

Starter

1.PR(プロップ) 有賀光生(総4・國學院久我山)

2.HO(フッカー) 原田衛(総2・桐蔭学園)

3.PR(プロップ) 大山祥平(経3・慶應)

4.LO(ロック) 川端隼人(理4・國學院久我山)

5.LO(ロック) 今野勇久(総1・桐蔭学園)

6.FL(フランカー) 川合秀和(総4・國學院久我山)

7.FL(フランカー) 山本凱(経2・慶應)

8.No.8(ナンバーエイト) 濱野剛己(総3・桐蔭学園)

9.SH(スクラムハーフ) 上村龍舞(環4・國學院栃木)

10.SO(スタンドオフ) 中楠一期(総1・國學院久我山)

11.WTB(ウィング) 佐々木隼(総1・桐蔭学園)

12.CTB(センター) 鎌形正汰(商3・慶應)

13.CTB(センター) 三木亮弥(環3・京都成章)

14.WTB(ウィング) 宮本恭右(総3・慶應)

15.FB(フルバック) 沖洸成(総3・尾道)

Booster

16. 安田裕貴(政4・慶應)

17. 松岡勇樹(法1・慶應)

18. 室星太郎(総4・静岡聖光学院)

19. 池田勇希(商3・熊谷)

20. 大谷陸(政3・慶應)

21. 鬼木崇(法1・修猷館)

22. 栗原由太(環4・桐蔭学園)

23. 辻田拓史(法1・慶應)

選手変更
64分 今野勇久→19池田勇希

64分 有賀光生→16安田裕貴

65分 佐々木隼→21鬼木 崇

71分 大山祥平→18室星太郎

71分 鎌形正汰→22栗原由太

74分 濱野剛己→20大谷 陸

80分 原田 衛→17松岡勇樹

◇星取表

 明治大早稲田大帝京大筑波大日本体育大慶應義塾大青山学院大成蹊大勝敗順位
明治大 36○740○1759○33103○040○363○12139○57勝
早稲田大7●36 34○3252○868○1017○1092○0120○06勝1敗
帝京大17●4032●34 24○2259○3024●2980○778○74勝3敗
筑波大33●598●5222●24 46○2317○1459○2187○194勝3敗
日本体育大0●10310●6830●5923●46 30○2737○1887○123勝4敗
慶應義塾大3●4010●1729○2414●1727●30 35○3101○03勝4敗
青山学院大12●630●927●8021●5918●373●35 21○171勝6敗
成蹊大5●1390●1207●7819●8712●870●10117●21 7敗

関東大学対抗戦から大学選手権に出場できるのは上位4校。12月1日(日)、伝統の早明戦で全勝対決を制した明大が4年ぶりの対抗戦優勝を飾り、それに敗れた早大が2位。慶大、明大、早大に敗れた帝京大は9連覇を逃す形となった。慶大を7年ぶりに破った筑波大は帝京大と勝敗で並んでいる。しかし直接対決で敗れているため、大学選手権に出場する際に帝京大は3位、筑波大は4位の扱いとなる。同じく勝敗の並ぶ日体大と慶大が5位で並び、その下に1勝6敗の青学大、7敗の成蹊大が続く。

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