学生日本一を決める日本学生氷上選手権大会が釧路で行われた。大会1日目には、女子4、5、6級、男子3・4級、5・6級の試合に慶大から6名の選手が出場した。女子5級クラスでは、土屋有葵(経3・慶應女子)が昨年に続き優勝。インカレ初出場、男子5・6級の田村周彦(法法1・桐朋)が2位に入る活躍を見せた。
1月5~7日 第92回日本学生氷上選手権大会
@日本製紙アイスアリーナ
☆大会結果
クラス | 選手名 | 学部学年・出身校 | 点数 | 順位 |
女子4級 | 岡本愛美 | 総3・Mira Costa | 38.70点 | 4位 |
女子5級 | 土屋有葵 | 経3・慶應女子 | 52.04点 | 1位 |
| 佐々木花音 | 文4・県立相模原中等教育 | 41.75点 | 13位 |
女子6級 | 花城桜子 | 法法3・県立那覇国際 | 58.78点 | 12位 |
男子3・4級 | 佐藤優人 | 法政3・慶應 | 35.59点 | 6位 |
男子5・6級 | 田村周彦 | 法法1・桐朋 | 59.25点 | 2位 |
4級女子には慶大から岡本愛美(総3・Mira Costa)が出場。インカレの予選である東インカレでは優勝を果たしている岡本だったが、 その後もともと抱えていた足の痛みが悪化。それでも東インカレから構成を上げた演技を見せた。演技冒頭、3連続ジャンプを綺麗に着氷。しかし、続くダブルループでは転倒してしまう。その後は東インカレでは構成に入れなかったダブルフリップを含めたジャンプをまとめ切り4位入賞となった。足の甲の痛みの影響で約1ヶ月間滑ることができない期間がありジャンプは本調子ではなかったが、表現面ではそれを感じさせないスケールの大きい伸びやかな滑りを見せた。今後は足の回復を最優先に、バレンタインカップに向け調整を行なう。
女子5級クラス、まず登場したのは、最後のインカレとなる佐々木花音(文4・県立相模原中等教育)。6分間練習でも何度も確認していた冒頭のダブルアクセルは、シングルアクセルとなってしまい着氷が乱れてしまう。その焦りから、続くジャンプでもミスが続く。それでも、後半にコンビネーションジャンプや3連続ジャンプを決めるなど、練習の成果を見せる。演技最後のステップでは、ジャンプの失敗を感じさせないステップを披露。本人は「全然覚えてない」と振り返ったが、観客にはインカレにかけてきた彼女の思いが伝わるステップだった。演技終了後、悔しさのあまり涙が止まらなかった。彼女が思い描いていた最後のインカレでの演技ではなかったかもしれない。それでも、最後まで気持ちを切らさずに「オペラ座の怪人」を演じきった彼女の姿は、観客の心に美しく残るだろう。
続いて登場したのは、昨年のインカレ覇者である土屋有葵(経3・慶應女子)。冒頭のダブルサルコウ、ダブルループ、ダブルトーループの3連続ジャンプは、2本目がシングルループとなってしまう。続くダブルアクセルは両足ながら着氷させた。元々構成には入れていなかったが、冒頭の3連続ジャンプの失敗から「チャレンジしたい」という思いが出てきて、とっさの判断でダブルアクセルに変更したとのことだ。その後は、大きなミスなく安定した美しい演技を披露し、結果は優勝。女子5級クラスでインカレ2連覇を果たした。追われる立場ながら、毎回安定した演技を披露し、好成績を収めてきた。そんな彼女のラストイヤーとなる来シーズンの目標は6級取得。「もし6級に上がれてインカレに出られなかったとしても、6級に挑戦しないということの方が、多分悔いが大きくなる」と向上心を見せる彼女。インカレ女王の挑戦はまだまだ続く。
男子3・4級クラスには佐藤優人が出場。12月に行われた試合で悔しい思いをした佐藤。インカレには「絶対に今日だけは良い演技をしよう」という思いでリンクに立つ。曲は、彼のトレードマークにもなってきた「Seven Nation Army」だ。冒頭のジャンプを成功させ流れに乗る。その後もジャンプ、スピン共にミスなく演技をまとめた。特徴的な振り付けには、観客から大きな歓声も上がった。演技終了後には、ガッツポーズも飛び出す。演技前、監督から「インカレには魔物がいる」と言われ緊張していたという佐藤。その緊張感の中、演技をまとめ6位入賞を果たした。来シーズンはラストイヤー。更なるジャンプなどの技術向上と共に、彼らしい演技を楽しみにしたい。
5級男子にはインカレ初出場である田村周彦(法法1・桐朋)が登場。「気分を新しくして自分らしく滑れるように」とシーズン途中での変更となった新しいプログラムを今大会でも披露した。まず最初のダブルアクセルからのコンビネーションジャンプを成功。さらに3連続ジャンプなど前半のジャンプを全て決めると、中盤のステップシークエンスではタンゴ調の曲を表現した踊りで歓声を浴びる。後半のジャンプでわずかに乱れが出たものの、完成度の高い演技で初出場ながら2位に入った。それでも演技後には「全体的にまとめることは出来ていなかった」と自身の課題を冷静に分析。今後はトリプルジャンプを構成に入れることも視野に入れ、さらに質を高めた演技を目指す。
この日最後に行われた6級女子のクラスに出場したのは花城桜子(法法3・県立那覇国際)。去年は東インカレを通過出来ず出場が叶わなかったインカレ。どの試合も東インカレやインカレを意識していたという念願の舞台で演技を披露した。まず冒頭のダブルアクセルは両足での着氷。その後は3つのコンビネーションジャンプを含めて全て着氷させ、ジャンプを大きなミスなくまとめ切った。また、体を大きく使った音楽に合った滑りでも観客を大いに惹きつけた。3年生の花城は来年がラストシーズンとなる。「インカレにまた出たい」と常にインカレを目標に置いている花城が、1年後のこの大会でも晴々しい笑顔を見せてくれることを願っている。
(記事・写真:相川環、高井真衣)
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以下、選手インタビュー
岡本愛美(総3・Mira Costa)
――今日の演技を振り返って
今日は東インカレでは結構よく出来てスピンとかも全部入ったのでそのまま練習しようかなと思ったんですけど、足の痛みが悪くなって1ヶ月くらいスケートが出来なくなっちゃったので練習の回数も減って、そのせいか昨日まで出来ていたことが今日出来なくなっちゃったので悔しいところは結構あるんですけど、あと1年あるので頑張っていきたいなと思います。
――足の痛みはどのようなものですか
足の甲が1年前くらいからずっと痛くて、医者に見てもらってもなかなか良くならなかったです。
――今回は前の試合より構成を上げました
1つダブルを増やしてスピンもポジションを1つ足したんですけど点数は上がらなくて少し残念でした。
――今日の演技では特にどんなところを意識して滑りましたか
今日は特にジャンプやスピンのエレメンツの方を思いっきりということを意識していて、関カレや東インカレは次があって東インカレでうまく出来ないとインカレに行けないというのがあったので結構セーブしていたんですけど、今日はインカレなので精一杯思いっきりやろうと思って滑りました。
――次の試合に向けて
次の試合までには足を少し休めて痛くないように、まずは足を治すことが一番です。
佐々木花音(文4・県立相模原中等教育)
――今日の演技を振り返って
このプログラムを滑るのが今日で最後の予定だったので、「最後」と思いすぎた結果、最初のアクセルで普段の調子が良かっただけに狂ってしまって、ちょっと抜け気味みなって焦っちゃって、そのままそれが続いちゃったという感じです。楽しんで滑りたい、と思っていたのですが、結果的にずっと焦って分かんなくなっちゃったので、内容云々というよりも楽しく滑るっていう目標が達成できなかったのが残念でした。
――演技後、涙されていましたが
恥ずかしいですね(笑)。ここ1か月くらいは、本当にインカレのことだけをずっとみて練習していていました。普段の曲かけとかでも、1ミス程度で抑えれることが多くて、それだけ本番でもノーミスを目指していたし、そういう内容ができるくらい調子は良かったので、それが全然ダメダメの内容になってしまったのがとにかく悔しかったです。あと、自分が思い描いていた引退試合みたいなものができなかったのがすごく悔しかったです。また、応援してくれる方もすごくいたのですが、そういった方たちの期待って言ったら少し大げさなのですが、支えてくれる人たちに感謝を込めて滑るつもりだったのが、それどころじゃないくらいの内容になってしまって、とにかく悔しいという気持ちでした。
――ステップはどういった気持ちで踏みましたか
正直ステップ一番最後で全然覚えてないです。実は、結構曲に遅れちゃってて、どうしようという気持ちもありつつ、でももうすでに悔しい、半泣き状態でステップを踏んでたのですが、自分なりに気持ちを込めて滑ろうと思っていました。ある意味そういうところでは普段の練習通りにはできたのかな、とは思います。ちゃんと覚えていないのですが(笑)。
――最後のインカレを終えて、いかがですか
運よく3年連続出場できて、今回が一番結果が悪かったのですが、インカレはやはりほとんどの大学生が目指している大きな舞台で、一年通して自分が出るなかで一番大きな大会で、特別な緊張感だったり、というのはずっとあったなと思います。そういった試合に3年間連続で出られたことは、自分の人生の中でも糧になるというか、すごくいい経験になったと思います。インカレでよい演技を3年連続できなかったのですが、去年はたまたま2位になって、逆に今年はぼろぼろって悔しい思いをして、2年生の時はけがをしている状態で出ていたので、毎年違う状態で滑って、違う気持ちで終えたというのは、ある意味ではよかったのかなと思います。
――引退試合は?
2月末の私大戦に出ないつもりだったのですが、今回の結果があまりにも悔しいので、リベンジをしようかしないか、というところです。もしかしたら私大戦になるかもしれないのですが、一応バレンタインカップが引退試合という気持ちではいます。
――今日で公式戦は最後でしたが、4年間出場された公式戦を振り返っていかがですか
東インカレ4回、インカレ3回出ることができて、良い演技ができた時もあれば、悔しい結果になった時もあって、全部の試合で、成長はできたのではないかなと自分では思っています。どんな内容でも、課題とか、良かった点はあるし、今回もダメダメだったって思っているけど、きっと良かったところもあって。これだけ前半に抜けても後半頑張れたのは、今までの試合一つ一つの振り返りと反省の積み重ねだと思っています。東インカレとインカレに出場してきて、自分なりにスケート面でも、人間的などこかの面でも、少しは成長できたのではないかなって思っています。社会人になったらもう公式戦でることはなしですし、スケートからも離れてしまうのですが、こんなに悔しい思いをすることも今後あるか分からないので、こういう経験ができたのは本当に良かったなって思います。
土屋有葵(経3・慶應女子)
――今日の演技を振り返って
今日の演技は全体的にミスの多いプログラムになっちゃったかなというのが自分の中であります。最初の滑りからつっかかっちゃって、それに慌てちゃったのか、自分の中で試合ではいつも決めたいなって思っているスリーコンビも乱れちゃって、そのままその流れが続いたったかなという印象です。
――ダブルアクセルに挑戦されましたが、元々構成には入れていましたか
ダブルアクセルはやりたいなって思いながら、完璧にはまだ練習でも跳べている状態ではないので、本当に最後の最後まで迷っていました。シングルでもいいかなと思っていたのですが、スリーコンビが決まらなくて、「もういいや」と思って、チャレンジしたいなという思いが強くなって、その一瞬で決めました。今までの練習でやってきたので、いつかは入れなきゃいけないと思っていました。練習ではもう少しましなダブルアクセルが跳べていたので、もうちょっとまとめたかったなっていうのがあるのですが、チャレンジできてよかったかなと思います。
――1本目のスピンでバランスを少し崩されましたが
焦っちゃたのか、自分でもよく分からないのですが、演技はじまる前にキャメル(スピン)確認したので大丈夫かなと思いつつ、やはりちょっと上手くいかなかったです。
――インカレ2連覇、ここ2年間で負けなしですが、いかがですか
今回勝ったのは、本当に予想外すぎて、自分でもびっくりしているのですが、いつも自分の中で毎回優勝できるわけではないとは思っています。追われるプレッシャーっていうのは毎回大きいのですが、その緊張感の中で、今日は別ですが、コンスタントに良い演技ができていて、ここ2年間は良い感じなのかなと思っています。
――2連覇に関してはいかかですか
2連覇は普通にうれしいです。今回の内容で優勝できたのは、あれ?っていうのと、演技内容的には悔いが残ってしまったのですが、2連覇は素直に嬉しいです。
――次はラストシーズンですが、目標などはありますか
ラストシーズンで一番に目標にしているのが、6級で試合に出ることです。もし6級に上がれてインカレに出られなかったとしても、6級に挑戦しないということの方が、多分悔いが大きくなるので、一番の目標は6級取ることです。
佐藤優人(法政3・慶應)
――今日の演技を振り返って
前の試合の交流戦でひどい演技をしてしまって、2019年で良いと思えた試合が1つもなかったので、絶対に今日だけは良い演技をしようという思いでいたので、最低限のことができて、まとめられたので、すごくよかったです。
――最後ガッツポーズされていましたが
試合が始まる前に監督が、インカレには魔物がいる、雰囲気には呑まれるな、本番の前までは良かったのに、本番で崩れることもある、という話があったので、ちょっと緊張しました。それだけあって、本番でまとめられたのが非常に良かったです。去年のインカレで、去年4年生の竹居先輩が、本番で本当に1番良い出来を持ってきて3位に入るというのをまじかで見てきたので、同じようなことを、完璧ではなかったですけども、そのようなことができたので嬉しかったです。
――直前までスピンの確認を入念にされていましたが
スピンが減点源なので。スピンで取りこぼすと、上に行けないどころか、自分の点数も良くならないのは間違いないので。ジャンプと違って、転んだりすると1点も入らないので、入念に確認しました。それが今回、結果に繋がったのが良かったです。
――今回の順位と点数については
あ、入賞してましたよね、びっくりしました。自分よりジャンプとしてはレベルの高いジャンプを跳ぶ人がいる中で、6位に入ったということは驚いています。ただ、前回自分がボロボロだったなと思っていた試合の点数よりも0.06点しか上がっていなかった、もちろん下の点数は毎回水物で、毎回ばらつきはあるといってもそうだったので、まだまだ改善の余地、点数を上げられる余地はあると思います。
――このプログラムはいつまでの予定ですか
しつこいですか?(笑)。3月に私大戦という試合があるのでそこで終わりにしようかと思っています。なので、2月のバレンタインカップと3月の私大戦の2回で終わりにして。ちなみにさっき、コーチとはその次の曲について話をしていて、ほぼ決まっています。お楽しみにしてください。
――次はラストイヤーですが、どのように過ごしたいとか目標はありますか
基本的な僕の考えとしては、あまり自分の引退では泣いてほしくない。てこんの演技面白かったな、楽しかったな、で終わらせたいので、あまり言うと曲のヒントになっちゃうのですが。そういう風に思ってもらうには、まずジャンプ、スピン、スケーティング、ステップ、全部揃えていかないといけないので、今日届かなかった部分、できなかった部分をできるようにして、今できないことをできるようにしていく中で、質の良い演技ができるように頑張ります。
田村周彦(法法1・桐明)
――今日の演技を振り返って
この前の交流戦の反省を活かして、例えばコンビネーションをきちんと付けるとかそういったところは上手く行ったんですけど逆に全体的にまとめることはちょっと出来てなかったかなという感じなので課題はあります。
――課題というのは具体的に
いつもジャンプでもスピンでも単発で練習して出来てるようなことも曲の中で出来てないというのが目立つので、それぞれの要素の確率を上げていって安定してできるようになればと思います。
――新しいプログラムは交流戦でシーズン途中の変更でしたがその理由は
今まで使っていたのが高校生のときのものなのでまた気分を新しくして自分らしく滑れるようにというところで曲を変えました。
――新しいプログラムの見て欲しいところなど
2箇所止まって踊るところがあるんですけど、スケートなので滑っているところもしっかり見て頂ければと思うんですけど、その中でもアクセントになる部分があるのでそこにご注目頂ければと思います。
――初のインカレで2位となりましたがそれについては
結果としては嬉しいんですけど、やっぱり自分の演技としてはちょっとこれで2位というのは申し訳ないという印象があるので結果は結果として嬉しいんですけどもう少し質を高められたらというのはあります。
――今後の目標などは
目標は大きくはジャンプでトリプルジャンプを1つ成功させるというのがかなり前からの目標だったのでそこは継続して、1年後またこの場に来てこれてそこでトリプルをきちんと1本入れられるようにというのが目標です。
――次の試合に向けて
まずプログラムそのものは変えないかたちで質のいい安定した演技を出来るように努力していきたいと思います。
花城桜子(法法3・県立那覇国際)
――今日の演技を振り返って
転倒がなかったのと久しぶりにアクセルをダブルにした中で転倒がなかったのはまとめられていい演技だったのかなとは思うんですけどところどころ悔しいところや取りこぼしがあったのでそれはこれから直したいと思いました。
――昨年出場できなかったインカレでの演技でしたがそのあたりの意識などは
去年ボーダーで落ちてすごく悔しくてどの試合も東インカレやインカレのことを意識しながら、練習も結果的に通過出来たから頑張れたのかなとは思います。
――今日の演技の中で特に意識したことはありますか
何があっても気を抜かないように最後まで考えながら滑るというのは意識しました。
――表現面での意識はありましたか
楽しく滑っておいでとコーチからも監督からも言われたのであと今年度最後の試合なので技術的にどんなことがあっても楽しく最後まで気持ちを切らさずにアピールとかを存分にして楽しんで滑ろうと思っていました。
――今年度を振り返って
一番嬉しかったのは東インカレを通過して今回のインカレに出れたことなんですけど、3年目なんですけどダブルアクセルがまだ戻せてないので、ラストシーズンではダブルアクセルやトリプルも曲に入れられるくらい実力の底上げをしたいと思います。
――ラストシーズンへ向けて
悔いのないように、なんといってもインカレにまた出たいので、たぶんこのままの実力だとまた新しい1年生が入ってきたりして結構厳しいことになるので、自分の実力を上げつつ最後まで悔いのない終わり方が出来るように日々の練習を頑張ります。