本来なら東京六大学春季リーグの開幕日であった4月11日。試合は延期となりましたが、慶應スポーツでは開幕前取材を行い、慶大野球部の選手の様子をお届けします。
第1回は桐光学園から入部した注目の右腕・谷村然選手(環1・桐光学園)にお話を伺いました。
ーー「もっとできたのではないか」という高校時代ーー
ーー桐光学園を選んだ理由は
中学の頃から野球だけでなく勉強もしっかりやれよとずっと教わってきたので、高校でもそうやっていきたいなと考えたときに、桐光学園は勉強にも力入れていると聞いたことがあったので、そこが選んだ決め手だったのかなと思います。
ーースーパー1年生として注目されることに対するプレッシャーはありましたか
凄くありましたね。期待されればされるほど結果も出さないといけないと思ったり、新聞とかニュースで名前が出たり、最近だとSNSとかも普及しているので、そういうところで自分のことが書かれていたりして、凄く注目されているんだなと意識したりして、苦しいというか、きつかったですね。
ーー同学年で同ポジションの冨田冬馬(青学大)と常に比較されることをどう思っていましたか
周りの人が思っている通りなのかなと思います。お互いに意識し合って、あいつにだけは負けないぞ、自分が一番になるんだといつも思いながらやっていて、その中にもやはりチームメイトなので、勝つためにはお互い指摘しあったり、トレーニングとかも声を掛け合ったり励まし合ったりしながら一緒に頑張ってきて、本当に良い意味でお互いをライバルとして認め合えていたのかなと思います。
ーー高校時代に対戦して印象に残っている選手は
印象に残っているバッターは今は先輩に当たる正木智也(政3・慶應)さんと、横浜高校の増田珠(福岡ソフトバンク)選手が凄く印象に残っています。1年生で高校に入ったばかりでいきなり夏を任されて横浜スタジアムで投げて、それぞれのチームの一番良いバッターということで、打席の中でも他のバッターとは違う独特の雰囲気というか、振りの力強さだったりとかもマウンド越しに感じますし、増田選手は特に余裕があったり、純粋に野球を楽しんでいるようなところも見てて伝わってきて、こういう人がプロに行くんだなと感じました。
ーー慶應義塾高校との試合で特に覚えていることは
高2の時の北神奈川の決勝戦ですかね。そのときは研究もされていたと思うんですけど、自分のベストボールが結構簡単にパンパンと打たれて、やはり高校野球は難しいんだなということを感じたのがその試合だったので、とても印象に残っています。
ーー高校時代は悔しい思い出の方が多かったのではないかと思いますが、3年間を振り返っていかがですか
結果から見てやはり不完全燃焼というのが一番なんですけど、それ以上にもっと出来たのではないかというのがあります。過ぎてしまったことだからこそ思うんですけど、もっと出来たんじゃないかなというのは今でも思いますね。
ーー文武両道ーー
ーー慶大を志した理由は
一番は高校でも勉強も野球もというようにやっていて、スポーツ推薦で大学行ってというのも良かったとは思うんですけど、それだと自分に甘えが出るというか、野球だけみたいになってしまう気がしたので、スポーツ推薦が無くて入るのは難しいんですけど、そうやって苦労した方が野球だけじゃなくて勉強の方もしっかりと身が入ってやっていけるのかなと思ったので慶應にしたというのがひとつです。あとは高校の先輩で渡部遼人(環3・桐光学園)さんが正木さんと同じ代でいて、遼人さんが高校に戻った時に話を聞かせてもらっていて、凄くいいチームだと。野球に対して考えていることもレベルが高くて、チームの雰囲気も他の大学の人に聞く話よりも上の人がいばったりもしないで純粋にチームとして勝っていくためにということを考えて動いていると聞いたので、そういう集団で高いレベルでやっていきたいなというのもあったので慶應に進みました。
ーー野球と勉強の両立は簡単なことではないと思うのですが、もともと勉強は得意でしたか
自分のクラスがスポーツクラスで、みんな高校で推薦で入ってスポーツをやってる人たちのクラスでだったんですけど、その中でも指折りくらいですかね。自慢じゃないんですけど。自分なりには結構頑張ってきたつもりでした。
ーー引退から受験までの短い期間でどのような意識で勉強に臨みましたか
今までの趣味だったりとか息抜きみたいな感じで過ごしていた時間を5分でも10分でも削って勉強に充てたり、時間の使い方は凄く意識しました。
ーー野呂雅之監督は早大の出身ですが、何かかけられた言葉はありますか
冗談交じりで早稲田行って欲しかったけどなみたいなことは言われたんですけど、快く送り出していただけました。
ーー実際に入部してから渡部遼選手にかけられた言葉はありますか
あまり縮こまったりせずに自分のやりたいことをやっても全然何も言われない。自分の考えてることをどんどん言って、その方が先輩とも打ち解けられると思うし、考えを共有できたり、その中で自分の頭の中のレベルアップだったり実践スキルも吸収していったりというのが出来ると思うから、そこはしっかりやっていった方が良いよと声をかけてもらいました。
ーー高校時代はライバルだった廣瀬隆太(商1・慶應)選手や善波力(商1・慶應)選手、吉川海斗(法1・慶應)選手がチームメイトになることをどう思っていますか
最初に慶應に決める時にそういうことがあるというのはわかっていたので、そんなに抵抗はないですね。ただあの時はやってくれたなみたいなのは少しあるので、良い話のネタになっています。
ーー堀井哲也監督はどんな監督ですか
積極的に監督さんの方から選手一人ひとりに声をかけてくださっていて、放置されてないんだな、ちゃんと見てもらってるんだなというふうに感じます。
ーー六大学野球に対するイメージは
歴史が長いというのが一言で言うとあるので、伝統であったりとか格式や品のある、そういった部分も野球だけでなく求められてくるのではないかと思うので、一人の人間としての立ち振る舞いというのも意識していきたいなと個人的には思っています。
ーー六大学で対戦してみたい選手はいますか
立教の中川颯(コミュ4・桐光学園)さんです。中川さんも高校が桐光で自分は直接は関わりはないんですけど、投げ合ってみたいですね。
ーー明大・山田陸人(法2・桐光学園)選手、立大・中川選手など桐光学園の先輩は意識していますか
そうですね、やはり高校の先輩だったりは意識はしたりしますね。
ーー1年から公式戦に絡んでいきたいーー
ーー自分の思う長所と短所はどのようなところですか
長所は自分の基本線は真っ直ぐだと思うので、真っ直ぐでどんどん勝負していくというのが長所であり、短所もまた真っ直ぐ一辺倒になって、いちにのさんで打たれてしまうことがよくあるので、そこは変化球とかバランスとかもしっかり考えながらやっていきたいなと思っています。
ーー参考や目標にしている投手はいますか
憧れというか、個人的に凄く好きな選手は前田健太(ミネソタ・ツインズ)選手で、参考にしています。
ーーオフの日はどのような過ごし方をしていますか
オフは大体あまり部屋から出ないですね。結構インドアで、ちょっと本読んだりテレビ見たりとかをしています。
ーーこれからの大学生活の中で楽しみなこと、不安なことはありますか
楽しみなのはSFCでAO入試を抜けてきた個性的な人たちがどんな人なのかなというのが凄く楽しみで、不安なことはちゃんと単位取れるかなというのが結構心配ですね。せっかく親にいかせてもらっているので、ちゃんとしっかり勉強もできたらいいなと思っています。
ーー今年の目標は
今年1年は最初の年なので、まずは絶対に怪我をしないということを野球では一番にやっていきたいと思います。その中でリーグ戦であったりフレッシュであったり、公式戦にも絡んでいけるように、レベルアップもしっかりやっていきたいと思っています。
ーー最後に意気込みをお願いします
3年後、4年生になった時に慶應といえば谷村でしょというような選手になれたら良いなと思います。
ーーありがとうございました!
(この取材は3月12日に実施しました。)
(取材:林亮佑、写真:小林由和)