延期となっていた東京六大学春季リーグが8月10日に開幕する。
それに先立ち、慶應スポーツでは開幕前インタビューを実施した。
第6回は今年度主将を務める瀬戸西純選手(政4・慶應)にお話を伺った。
「あいつがやっているから俺もやろうと思ってもらえる主将」。目指すのは、自分の発言や行動によって周りにいい影響を与えられる主将だと瀬戸西は話す。2年春からスタメン出場し、堅実な守備を披露してきた。また、昨秋の早大1回戦での適時三塁打といった重要な場面での勝負強さも光る。後輩ともよく話し憧れの先輩と慕われる瀬戸西は、普段の取り組みでもチームをけん引していると言えるだろう。
そんな瀬戸西も、1年次は大学レベルの練習についていくだけで精一杯だった。転機となったのは、2017年明治神宮野球大会初戦。照屋塁元主将(H30環卒・現Honda鈴鹿)が足首のけがにより戦線から離脱し、当時1年の瀬戸西が遊撃手としてスタメン出場することになった。しかし結果は1打数無安打。慶大は1―5で敗北し、日本一の夢はついえた。「まだまだ力が足りていないということを気付かされた」。自分の無力さを痛感したと瀬戸西は振り返る。その経験があったからこそ、それまで以上に努力を重ねた。自分がしなければならないことを考えた上で、そこに向かって取り組む。その取り組みの1つとしてあげられるのは、普段から「いかに実戦に近づけるか」を意識して練習することだ。例えばノックを受ける際には無死二、三塁のように1つのミスが失点につながるような状況を想定している。常に実戦を考えて練習を重ねているため、試合でも素早く対応できるのだ。どんな状況になったとしても、自分がチームの力になれないという悔しさを二度と味わわないために。瀬戸西のところに打たせれば大丈夫と思わせるような安心感は、日々の練習の成果に他ならない。
自分に厳しく、常に上を目指す。真面目な瀬戸西の練習姿勢は、慶大野球部に良い刺激を与えていることだろう。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で思うように活動ができない状況だ。それでも瀬戸西は今できることをやろうとチームを鼓舞し続けた。練習・試合中のプレーでも、言葉でも、チームを支える。それが瀬戸西の目標とする姿である。主将として臨む最初のリーグ戦。目指すは全勝、リーグ戦優勝だ。瀬戸西率いる新たな慶大の戦いが始まる。
(この取材は7月22日にオンラインで実施しました。)
(記事:小嶋華)