8月10日(金)~8月18日(火)東京六大学春季リーグ戦 @明治神宮野球場
従来のリーグ戦と異なり1試合総当たり戦となった今季。慶大は全勝で最終戦の法大戦を迎えたが、同じく全勝だった法大に敗れて連覇を目前で逃し2位に終わった。この異例シーズンでの各大学の戦い方、そして慶大の今季の戦いぶりを振り返る。
◆異例の春季リーグ戦
新型コロナウイルスの影響で一時は開催も危ぶまれた東京六大学春季リーグ戦が閉幕した。夏場の開催に加え、従来と異なる1試合総当たり制というのは各大学に調整の点でも戦略の点でも大きく影響を与えただろう。今季のリーグ平均打率は0.243、昨春のリーグ平均打率が0.246ということを考えると選手たちは例年と同じように順応していたことが分かる。戦略面では投手運用と延長戦での戦い方がポイントとなった。
約1週間で5戦を戦うという過密日程が組まれ、各大学が先発投手を3人用意しなければならなかった。法大が鈴木昭汰(キャ4・常総学院)、高田孝一(法4・平塚学園)、三浦銀二(キャ3・福岡大大濠)、山下輝(経営3・木更津総合)という150キロカルテットを中心とした厚い投手力を生かして優勝したことからも、今季投手力が重要だったということが分かる。
タイブレークは結局3戦(早法戦、明法戦、早慶戦)行われたが、先頭打者に犠打をさせて1死二、三塁の状況を作り出す戦法が目立った。秋季リーグ戦についての詳細はまだ決まっておらず、来季もタイブレーク制が導入される可能性もある。各大学の来季のタイブレークでの戦略に変化があるのかということにも注目してもらいたい。
◆今季の慶大
慶大からは福井章吾(環3・大阪桐蔭)、瀬戸西純(政4・慶應)、新美貫太(政3・慶應)の3名がベストナインを受賞した。(いずれも初受賞)この中でも特筆すべきなのは新美の活躍であろう。もともとベンチだった新美だが、2戦目の立大戦で途中出場すると二塁打を放ちスタメンに定着。早大戦では大学ナンバーワン左腕の早川隆久(スポ4・木更津総合)から先制本塁打を放った。守りでは逆転の走者を完璧な送球で刺すという場面もあり、チームに必要不可欠な選手へと成長した。
今季慶大はエース・木澤尚文(商4・慶應)を中心に投手陣が踏ん張りながら経験豊富な打線がチャンスを確実に得点につなげる粘り強い戦いで4連勝したものの、全勝対決となった最終戦の法大戦で投手陣が力尽き優勝を逃してしまった。しかし来季は従来のリーグ戦のような日程となる。今季、様々な場面で登板した増居翔太(総2・彦根東)と怪我から復帰した関根智輝(環4・城東)を中継ぎに専念させることができ、盤石の投手陣となるのは間違いない。打撃陣もベストナインを獲得した3選手に加えて昨秋にベストナインを獲得した下山悠介(商2・慶應)、正木智也(政3・慶應)が控えており彼らが復調することで慶大打線の破壊力はより増すであろう。
今年は各大学の実力が拮抗している。そのため秋季リーグまでのこの1か月の調整期間が鍵となるのは間違いない。
◆ベストナイン
・捕手 福井 初(10票)
・遊撃手 瀬戸西 初(満票)
・外野手 新美 初(12票)
◆順位表
順位 | 大学名 | 試合数 | 勝 | 負 | 分 | 勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 法大 | 5 | 4 | 1 | 0 | .800 |
2 | 慶大 | 5 | 4 | 1 | 0 | .800 |
3 | 早大 | 5 | 3 | 2 | 0 | .600 |
3 | 立大 | 5 | 3 | 2 | 0 | .600 |
5 | 明大 | 5 | 1 | 4 | 0 | .200 |
6 | 東大 | 5 | 0 | 5 | 0 | .000 |
(記事:國本葉月)