前期最終戦を迎えた慶大を迎え撃つのは宿敵・早大。リーグ戦での対戦は実に4年ぶりとなったこの一戦。序盤から早大ペースで試合が進み、決定機を何度かつくられるもの田原智司(環4・静岡学園)が好セーブを連発し得点を許さなかった。均衡状態が続く後半42分、橋本健人 (総3・横浜FCユース)が直接FKを沈め先制。慶大が1-0でそのまま逃げ切り4年ぶりの早慶戦を勝利で飾った。
2020/9/19(土)15:00ko @RKUフットボールフィールド
【スコア】
慶應義塾大学 1-0 早稲田大学
【得点者】
1ー0 87分 橋本健人(慶應義塾大学)
◇慶大出場選手
GK田原智司(環4・静岡学園)
DF酒井綜一郎(政3・慶應義塾)
DF日川優太(商3・高崎)
DF東山航大(総4・柏レイソルユース)→56分 内桶峻(政4・國學院久我山)
DF谷本竜一(総3・FCトリプレッタユース)
DF橋本健人(総3・横浜FCユース)
MF田嶋凛太郎(総3・暁星)
MF小山内慎一郎(総3・青森山田)→80分 石原大暉(文4・杉並学院)
MF新津裕也(文3・上田)→47分 中畝楓流(法4・桐蔭学園)
FW山田敦久(政4・桐蔭学園)→74分 松岡瑠夢(総4・FC東京ユース)
FW齊藤滉(商2・FC町田ゼルビアユース)→57分 古川紘平(政2・学習院)
ついに運命の一戦がやってきた。毎年夏に開催されていた早慶サッカー定期戦の開催が不透明の中、今シーズン初の早慶戦。定期戦では2011年以来の勝利を目指すも、幾度となくワセダの壁に跳ね返されてきた。荒鷲軍団が今季も目標の一つに掲げる「早慶戦勝利」を懸け、リーグ最多得点を誇る早大攻撃陣に対してフォーメーションを5-3-2に変更。苦戦が予想される中、試合開始のホイッスルが鳴った。
前線から早大がボールをキープしワイドに展開されるも、アーリークロスやセンタリングをDF陣がしっかり対応してクリア。対する慶大はロングフィードを多用しながら早大DF陣の背後を狙うも跳ね返され、前半のシュートは相手のトラップミスから橋本が放った1本のみ。それでも今季初スタメンの齋藤滉(商2・FC町田ゼルビアユース)が裏への抜け出しから惜しいシーンを演出するなど相手ゴールを常にうかがう。試合開始直後、早大のFKからゴール前での競り合いでボールを収めた相手のシュートはクロスバー直撃。42分には早大のCKでマークを外されドンピシャで合わせられるも田原が好セーブを見せ2度の決定機を凌ぎ失点を許さなかった。
後半開始直後の48分、左サイドを展開されクロスを頭で合わせられるも田原がビッグセーブを見せる。田原が弾いたボールはまたしてもクロスバーに直撃し先制を免れる。55分、ゴール前にスルーパスを通されるも田原がシュートを止めゴールを死守。後半で5枚のカードを使いオフェンスへの強度を図り、徐々にリズムを作り出すも早大ゴールの壁は厚い。スコアレスでの試合終了の予感が漂い始めた87分、途中出場の内桶峻(政4・國學院久我山)がセットプレーの流れからPA前絶好の位置で倒されFKを獲得。この試合最大のチャンスでキッカーはもちろん橋本。左足で振りぬいたボールはゴール左隅に吸い込まれ待望の先制点。早大の猛攻を最後まで凌ぎ悲願の勝ち点3を獲得した。
「内容は完敗でした」(淺海監督)と語るように、早大のセットプレーは16本・シュート数は12本を数えた。確かに前後半を通じて苦しい時間帯が続き、やりたいサッカーはできなかった。それでも最後まで闘い続けた慶大イレブンは強豪ひしめく1部リーグの中でも確実に成長していることを証明して見せた。今日の勝利は勝ち点3以上に大きな意味を持つだろう。
(記事:小林由和 写真:林亮佑)
淺海友峰監督
ーーどのようなゲームプランで臨みましたか
早大が先週できなかったので試合感だったりというところで前半なんとかチャンスを作りたいなと思ってチャレンジする布陣で臨んだんですけど、やはり強くて全然やりたいことやらせてもらえなくて、後半もう引かざるを得なかったんですけど、運もありましたけど内容は完敗でしたけど、最後体張る部分だったりずっと取り組んできたことなのでそこをしっかり出してくれたかなと思います。
ーー監督として臨む早慶戦は気持ちに違いは
私自身はあまり変わらなくて学生の時はもちろん変わったんですけど、ただ今の学生を見ていてもすごく週初めから奮い立つものがあったみたいで、普段よりも気持ちの部分では奮い立つものを感じた一週間でした。
ーーFWの齋藤が登録後即スタメンでした
前の方の選手は今年結構頑張ってくれていて、いい選手が多くて、怪我の復帰直後なんですけど動きがすごく良かったので必ず裏に抜けるとかポイント入るとか彼の良さがあったので今日思い切って、この前負けたということもあってやらせてもらいました。
ーー最後はフリーキックで試合を決めました
あれは橋本の個人の技術のところはあるんですけど、その前のファールをもらえたシーン、しっかり予測してボールを拾えた11番の内桶のところだったりというのはしっかりチャレンジできていたところだと思うので、そこも含めて評価したいなと思っています。
ーー後半から攻撃的な選手の投入が見られましたが
後半風下だったということもあって、あとは相手の前線の良い選手が後半に力を発揮するんじゃないかなというところがあったので、後ろ5枚にしてどうカウンター行くかというところで攻撃的な選手を入れたという感じです。
ーー最後に決めた橋本に対する評価は
(内定先の)レノファ山口さんに預かっていただいてコンディション的にはきついと思うんですけどそこですごく学んで育ててくださって、彼自身も両方のチームで貢献したいという気持ちを持ってくれているので、そういうメンタリティというのは素晴らしいなと思っています。
ーー今年は早慶定期戦が難しい中で8連敗していたがリーグ戦での早慶戦にかける思いは
学生はあったと思います。自分たちでミーティングしていましたし、ただ去年も定期戦で力が入りすぎていた部分があったので私としては力を抜いて。いつも入れまくってるんですけど、今週は少し力を抜くくらいの感覚でやらせてもらいました。
ーーリーグ戦としての早慶戦は4年ぶりでした
こういういいライバル、ライバルと言っても相手の方が上だと思いますけど、そこに追いつける、そこと毎年リーグ戦でできるというのは私たちもレベルを引っ張ってもらえる部分があると思うので、そういう意味では本当にありがたいです。
ーー前期の評価は
私は学生の時に関東2部でしかやったことがなくて、コーチとして戻った時も2部の時に戻ったので1部を現場としては知らないんですね、映像とかでは見ていましたけど。1部の舞台は想定して臨むんですけどその想定を超えてくる大学が多いので、簡単じゃないなという印象ですね。
ーーその中でも勝敗は4勝4敗でタイですがどうですか
よくやっていると思います。頑張っていると思います。ボールを持ててないですし色々な見方だったり意見あると思うんですけど、今いる選手で出来ることを100%やってくれていると思います。ただ、去年と比べると今年の子たちは優しい部分があるので、勝負に徹する部分というのを後期に向けてもっとやっていかなければならないと思っています。
橋本健人(総3・横浜FCユース)
ーー試合を振り返って
勝てたことが本当にうれしいです。
ーーFK時の心境は
FKを仲間が貰ったタイミングで「やるしかない」というか気持ちで蹴ろうと思いました。
ーーイメージ通りでしたか
日頃から練習しているので、自信を持って蹴れました。
ーーリーグ戦では4年ぶりのマッチアップになりました
リーグ戦の中の1試合ですが特別な想いもありますし、勝利できたことで勝ち点3を積み上げられたのは大きいです。