前節の玉川大戦を接戦で勝ち切った慶大。迎えた決勝戦の相手は昨年2部リーグで対戦経験のある山梨学院大だ。留学生を擁しており、高さのあるチームにどのような策を講じたのか。そして3部リーグで優勝を収め、早慶戦、来年のチームへと弾みをつけることはできたのだろうか。
2020/11/28(土) @ひだかアリーナ | |||||
オータムカップ2020第3節vs山梨学院大 | |||||
| 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 |
慶大 | 20 | 22 | 11 | 16 | 69 |
山梨学院大 | 31 | 28 | 39 | 18 | 116 |
◆慶大スターティングメンバ―◆ | |||||
| #4甲谷勇平(環4・東山) | ||||
| #6 寺部勇佑(環4・洛南) | ||||
#7 岩片悠馬(環4・広尾学園) | |||||
#12水谷祐葵(環2・四日市工業) | |||||
| #17山本康瑛(政1・長崎西) |
試合開始早々、2本の3ポイントを決められてしまうが、水谷祐葵(環2・四日市工業)のミドルショットや山本康瑛(政1・長崎西)のドライブから地道に得点を重ねる。しかし、徐々に相手に圧倒され、思うようにボールを運べない慶大。オフェンスで焦りが見られミスが続いてしまう。得点が入らない時間が続く第1Q終了間際、山下卓馬(政2・静岡城北)が3ポイントを沈め、20−31でこのQを終えた。
第2Q、ディフェンスから流れを掴もうと高さを持つ相手の外国籍選手にも体を張り、リバウンドに必死に食らいつく慶大。相手の精度の高い3ポイントに苦しめられるも、熊野俊介(理1・湘南)を中心にセカンドチャンスから得点を重ね、蛇谷幸紀(環2・近大附属)と甲谷勇平(環4・東山)もゴール下からのシュートで点差を徐々に詰めていく。しかし、タイムアウト後に体勢を立て直した相手に連続3ポイントを許してしまい、勢いを止められぬまま、さらにスコアを離されて42―59で前半を折り返した。
第3Q、先制点こそ相手に奪われるものの、山下が3ポイントを決め返す。その後、両チームボールへの執着から激しく攻防が入れ替わる時間帯が続き、ベンチからは「我慢」の声が飛ぶ。リングに嫌われる場面が続く中、プレッシャーのかかる場面で山本純平(商4・慶應志木)はフリースローを決める。ディフェンスでも懸命にリバウンドに絡むも山梨学院大の高さに苦しみ、さらなる加点を許してしまう。慶大は攻め気を持って藤井陽右(政4・慶應)、蛇谷、山下がシュートを試みるが得点にはつながらず、ボールコントロールの甘さからスティールを許し連続得点を奪われる。最後は甲谷が意地のミドルシュートを決めるものの、53-98で第3Qを終えた。
最後の10分、迎えた第4Q。開始直後には岩片悠馬(環4・広尾学園)と熊野が積極的にリバウンドに絡み、オフェンスの流れをつなぎとめると、甲谷、山本(康)がレイアップで連続得点、山本(純)も2本のフリースローを決めきる。その後、両者の粘り強いディフェンスでフリースローを与え合う時間が続く。後半、甲谷、津野地宥樹(政4・慶應志木)はゴール下から得点を決め最後まで攻めの姿勢を持ち続けるが、開き過ぎた得点を埋めることは出来ず、69-116でオータムリーグ準優勝に終わった。
相手の高さと正確な3ポイントに苦しんだ慶大は準優勝という悔しさの残る結果となった。しかし、シーズンを通して、攻守に関わらず各々がチャンスを生かそうと奮闘する姿が印象に残り、なにより彼らの「勝ち切る」という強い気持ちが1点を引き寄せたのだ。今回のオータムカップで感じた気持ちを来たる早慶戦にぶつけて、最後まで慶大らしいバスケットボールを貫いてほしい。
(記事:船田萌恵、佐藤有・写真:船田萌恵)
甲谷勇平(環4・東山)
――今シーズンについて
活動を自粛していた時期は自分たちに果たしてどれぐらいの実力があるかわからないまま練習していましたが、今大会で自分たちの力がどれぐらいなのかを把握することができたので、とても収穫の多い大会でした。
――初戦でおっしゃっていた「全員バスケ」について、振り返ってみていかがでしたか
全員バスケは良い方向に働く時もあれば悪い方向に働くこともあると気付くことができました。良い方向の時は1人1人が自分がやってやるぞと責任を持ってプレーすることができるんですけど、悪い方向に全員バスケが働いてしまうと、他責になってしまって、他人に任せてしまうことがあるということです。これは今後のチーム課題として改善していきたいと思います。
――途中に競る試合が多いなかで、チームにかけていた言葉
今まで自分たちがやってきたことを再確認するような声かけを心がけていました。あとは出来るだけ落ち着けるように、冗談を言ったりしていました。
――シーズンを通してチームとして(または個人として)成長できた点
走力の面ではチームとしてさらに磨きがかかったと思っています。後は試合経験を積めたことも大きいです。どのようなアプローチで試合に臨めばいいパフォーマンスができるのかを1人1人が掴んでくれたと思うので、次につながる大会でした。
――早慶戦に向けて
このオータムカップで良いところも悪いところも分かったので、良いところは伸ばして、悪いところは改善していきます。
後は気持ちです。2020チームの最後の試合として早慶戦という最高の舞台が用意されているので、感謝の気持ちを忘れずに、全てをかけて早稲田大学にぶつかっていきたいと思います。
山本純平(商4・慶應志木)
――今日の試合を振り返って
目標にしていた3部優勝を目の前で逃したことがとても悔しいです。相手の3ポイントの確率が良かったとは言え、しっかり対応できなかったところは今後の課題だと感じました。
――リードを広げられていく中でのチーム全体の雰囲気
終始どうすれば逆転できるかを考えて、ベンチを中心に声が飛んでいて、雰囲気は悪くなかったと思います。
――ご自身の後半での積極的なディフェンスについて
自分の役割は、誰よりもディフェンスプレッシャーをかけて、相手のミスを誘うことなので、それに「徹」しました。また、チームの諦めていない雰囲気に自分も感化されて普段以上に頑張ることができました。
――早慶戦に向けて
今回の敗北をバネにして、早慶戦に向けて全力で準備していきたいです。
山下卓馬(政2・静岡城北)
――苦しい時間帯が長く続く中での自身のプレーについて
練習に復帰したばかりの試合だったので、最初はとても緊張しました。ルーズボール、リバウンドをまだ徹底できてない部分があったのでそこは、次に活かせるようにしたいです。
――コーチなどからかけられた言葉
失敗を恐れずにどんどんいけと言われました。
――インサイドと3ポイントでのシュートの中で意識していたこと
3ポイントは、普段の練習で打っていたのでいつも通り打とうと思っていました。インサイドは、ブロックされないことを意識しました。
――相手の3ポイントが当たっていましたが、ディフェンスで特に気をつけていたところ
センターの選手が、留学生を守っていたので、できるだけ裏をやられないようにカバーを意識していましたが、そのあとの3ポイントへの対応がうまくいかなかったです。
――早慶戦に向けて
早慶戦は、4年生にとっての最後の試合です。今までお世話になった分、恩返しがしっかりできるように下級生が支えて、あと3週間悔いのないように練習に取り組んでいきます。