遂に迎えた今季最終戦。負ければ即降格という極限状態で早大・駒大を立て続けに撃破し、勢いに乗る慶大は同じく降格圏に沈む拓大と対戦した。中2日とコンディションが不安視される中、始まった一戦は拓大ペースで試合が進んでいく。14分に先制を許した慶大は効果的な攻撃を演出できず、前半は拓大がゲームをコントロールする展開に。後半は序盤から猛攻を仕掛けるも得点を奪えずにいると、72分に追加点を許し残留の道が険しくなる。直後に橋本健人(総4・横浜FCユース)のゴールで1点を返し、最後まで戦い抜くも追い上げは叶わなかった。この敗戦により慶大の2部降格が決まり、TEAM2021の活動は終わりを告げることとなった。
2021/10/30(土)14:00ko
【スコア】
慶應義塾大学1―2拓殖大学
【得点者】
0-1 12分 浅倉廉(拓殖大学)
0-2 72分 山中麗央(拓殖大学)
1-2 75分 橋本健人(慶應義塾大学)
◇慶大出場選手
GK 村上健(政1・國學院久我山) |
DF 酒井綜一郎(政4・慶應) |
DF 小林誉貴(商4・清水東) |
DF 谷本竜一(総4・FCトリプレッタユース)→63分 村上哲(経4・駒大高) |
MF 山田大敬(総4・京都サンガF.C.U-18)→73分 田村祐二郎(環3・藤枝東) |
MF 山本献 (商2・國學院久我山)→83分 日川優太(商4・高崎) |
MF 松本雄太(商4・國學院久我山)→HT 平田賢汰(法4・慶應) |
MF 小山内慎一郎(総4・青森山田) |
MF 橋本健人(総4・横浜FCユース) |
FW 新津裕也(文4・上田)→HT 飯塚亮貴(法4・慶應) |
FW 宮本稜大(商3・國學院久我山) |
残留かはたまた降格かーー運命を左右するラストゲームが幕を開ける。先週の日曜日に行われた早大戦、今週の水曜日に行われた駒大戦との激闘を制した慶大は土壇場で底力を発揮していた。そして迎えた今節。中2日で3連戦とハードな戦いとなったが、選手たちなら必ず最後の試練を乗り越えてくれる。最後まで走り続けるサッカーを最終節でも体現し、奇跡の残留を賭けた一戦は今キックオフした。
前半は拓大が試合を優位に進める場面が目立った。4分に山本献(商2・國學院久我山)が強烈なファーストシュートを放って以降自陣でボールを回される時間が続いた。14分、裏を狙われたボールのクリアを拾われると左サイドへ展開される。中央でフリーになっていた浅倉廉(国際2・静岡学園)がクロスに合わせて放ったシュートが、ゴール右隅に吸い込まれ早々に失点を許す。引き分け以下では残留が厳しい慶大は逆転勝利へ攻勢をかけたいところだったが、連戦の疲れからか足取りが重くセカンドボールがほとんど回収され好機を演出できない。慶大に得点機が生まれたのは27分。松本雄太(商4・國學院久我山)が前線に蹴りだしたボール処理の誤りを見逃さなかった宮本稜大(商3・國學院久我山)がボールを奪い1対1。かわしながら放ったシュートは好セーブにあい同点とはならなかった。その後は橋本を中心に左サイドから攻撃を仕掛けるも、見せ場を作ることができず、我慢の時間帯が続いた慶大は後半に全てを賭けることになった。
後がない慶大は後半に入ると積極的に前に出るサッカーで逆転を狙う。50分、CKを頭で合わせた宮本のシュートはクロスバーに直撃。その後も得点まであと一押しのところまでいくものの、ゴールネットを揺らすことはできず。両チームが見せ場を作る中、72分クロスをクリアしたボールを拾った山田大敬(総4・京都サンガF.C.U-18)がボールを奪われる。ドリブルで中央を突破され競り合いながら打たれたシュートに、村上健(政1・國學院久我山)が懸命に伸ばした手も及ばず痛恨の2点目を喫してしまう。時間がない慶大は直後、橋本のアーリークロスのセカンドボールを拾い、再びボールを受けた橋本が放ったシュートが相手に当たりコースを変えたボールが吸い込まれ1点差に。降格圏内に位置する立正大が同時刻開始のゲームで負けていたため、引き分けでも入れ替え戦に進める可能性が出てきた。両チームのワンプレーに怒号が飛び交う中、慶大はラインを上げて機会を伺うもののシュートまで持ち込めず。スコアが動くことなく迎えたホイッスルの瞬間、選手たちは一斉にその場に崩れ落ちた。
今節の敗戦を持って慶大は2部降格が決定。来季は1年での1部復帰を目指すシーズンとなる。1年を振り返れば今季初勝利が6月初旬にずれ込む等、目標に掲げたインカレ出場は遠く常に降格が頭にある中での戦いだった。「あの失点がなければ、あのシュートが決まっていれば、日程が開幕当初の予定通り進んでいたら」思うことは山程ある。特に4年生にとってはラストゲームで降格決定という残酷な結果となった。「どうしても4年生の時の成績を見られがち」(淺見監督)で、最終学年時に不甲斐ないシーズンとなってしまったことは受け入れがたいものがある。それでも橋本や主将の酒井綜一郎(政4・慶應)がレギュラーを張っていた2年時には1部昇格を果たし、昨季は1部残留に多大な貢献を果たした。そして今季は10年ぶりの定期戦勝利を成し遂げ、終盤における怒涛の追い上げで最後まで目を離せないサッカーを魅せてくれた。ピッチで4年の意地を示し続けたその勇姿は間違いなく我々の記憶に残り続けるHEROだった。3年生以下はこの悔しさをどう活かすか。来年の今頃笑顔で1部昇格を報告できるよう、荒鷲のプライドを胸に走り続けてほしい。
(記事:小林由和 写真:松田英人)
淺見友峰監督
――降格が決まりました
降格自体は選手たちの力を引き出し切ることができなかった僕の責任だなと思っていますが、学生は本当によくやってくれたので誇らしいですね。
―ー選手たちのコンディションは
気持ちは凄く作ってくれていたと思うのですが、やはりそれだけでは難しい部分は正直あって。そこのところが最後に出たのはあるかなと思います。ただ先週は一日違いはありましたけど、連戦という意味では相手も一緒なので。その中でやはり相手の方が1歩出せていましたし、いいサッカーをしていたと思うのでそれも含めて僕らの実力かなと思います。
――淺見監督が考えていた今日の試合のプランを教えていただけますか
相手も当然勝つつもりで来ているので前から来るのだろうというところで、そこのところの守備をしっかりやりつつも攻撃もリスクを冒して行かないといけなかったのですが、ボールが収まると思っていたところが収まらなくて前半は完全な相手の試合になってしまったなと思います。
――4年生にかける言葉は何かありますか
残酷なもので4年生の時にどういう成績だったかというところを見られてしまうのですが、早慶サッカー定期戦10年ぶりに勝った代ですし、2部から1部に上がった原動力になってくれましたし、去年は1部に残留できた原動力になってくれたという代なので。そこは事実としてあるので胸を張って、これからも色々難しいときはあると思うのですが特に社会人になると色々な大変なことがあると思うのですが胸を張って生きていってほしいなと思います。
――今年もコロナに振り回されたシーズンとなりましたが総括を
運はあってコロナ禍でも活動は一回もトップチームは止まってないのですよね。そういう意味ではよく自分を律して、ソッカー部と学業にすべてを費やしてくれたかなと思っています。ただ降格という事実は事実で学生は学生で受け止めてくれると思うので、そこを受け止めてこれからの人生に4年生もそうですし、3年生以下はこれからの学生生活にどう活かすかというところかなと思います。
酒井綜一郎主将(政4・慶應)
ーー今日の試合を振り返って
ハーフタイムに監督が言っていたことが全てで、前半今まで自分たちがやってきたサッカーが全くできなくてそこで喝を入れてもらって後半は自分たちのサッカーができたと思います。その点後悔はないですけど結果というのは残酷なもので後輩たちにはこの悔しさを糧に頑張って欲しいと思います。
ーー主将としての1年間振り返って
僕の同期がブログにも書いていたんですけど今年1年間は楽しいことより苦しいことの方が多くて。僕たちが後輩の時に先輩たちに伝えてもらった勝利の喜びを僕たちが後輩に多く伝えられなかったとは思うんですけどその中でも早慶戦であったり最後の意地を見せれた部分はあると思うので苦しい時間の方が多かったですけど充実した濃い1年だったと思います。
ーー4年間振り返って
本当にあっという間でした、僕たちの代はクセの強いメンバーが集まっているので、まとめるのも大変でしたけどそれぞれの個性があるなかで僕たちにしかできない表現をこの4年間で出来たんじゃないかと思います。
ーー後輩へメッセージ
最初に悔いはない、とは言ったんですけどやっぱり先輩が残してくれた1部という舞台を後輩に引き継げなかったことに関して申し訳ないの一言で、この苦しさ、悔しさを本当に忘れちゃダメで、それを2部という舞台でしっかり発揮して欲しいです。応援してます。
ーー最後に1年間応援してくださった皆様にメッセージ
苦しい1年だったと思うんですけど、オンラインで見てくださったり、会場に足を運んでくださったり本当に多くの方々が僕たちを応援してくださっていたのはしっかり部員一同わかっているので本当にありがとうございました。