関東学生水球リーグ戦 入れ替え戦
2011/06/26 対成蹊大 @日体大
「勝とうとする気持ちがみんなにあった」。(松村主将・法4)主将のこの言葉こそが、試合のすべてを物語っていた。先週まで行われたりーグ戦で2部優勝を果たし、入れ替え戦に臨んだ慶大は、1部の成蹊大と対戦。試合は、互いに一進一退の攻防が続く中、7対7の同点のまま延長戦へ突入。今季初の延長戦となるも、前半に相澤(理3)のゴールで勝ち越しに成功すると、後半にも1点を追加。結局、9対7とした慶大が入れ替え戦を制し、見事1部昇格を決めた。
1P | 2P | 3P | 4P | 合計 | |
成蹊大 | 0 | 2 | 3 | 2 | 7 |
慶大 | 1 | 3 | 0 | 3 | 7 |
延長戦 | 1P | 2P | 合計 |
成蹊大 | 0 | 0 | 7 |
慶大 | 1 | 1 | 9 |
試合前のメンバー発表、詰めかけた観衆、そして両校の熱い応援。普段とは異なる空気で試合は始まった。最初にゴールを揺らしたのは慶大。開始2分、上位リーグで得点源となってきた阿部(経3)が中央からシュートを決め、幸先良く先制に成功する。ここから一気に畳み掛けていきたいところだったが、思うように攻め込むことができない。反対にピリオド後半になると、成蹊大に立て続けにシュートを打たれる。だが、ここは慶大の守護神・松村が再三のブロックを見せ、何とか無失点で第1ピリオドを終える。さらにリードを広げたい第2ピリオドであったが、開始早々に同点とされると、2分には右サイドから崩され逆転を許す。それでもここから巻き返せるのが今の慶大の強み。直後に相澤のこの日初ゴールで同点に追いつくと、持ち前の堅守から徐々に流れを引き寄せていく。すると残り2分となったところで、藤田(環3)が左サイドからゴールを決め勝ち越しに成功。終了間際にも竹内(経3)のロングシュートが決まり、前半戦を4対2として折り返す。
第3ピリオドでも攻め続ける慶大。このピリオド最初の失点を喫するも、2分に竹内、4分には藤田が惜しいシュートを放ち、積極的に追加点を奪いにいく。だが得点を決めきれずにいるとピリオド中盤以降、成蹊大にボールを回される時間が多くなる。すると5分、右サイドから中央へとボールが渡り、同点ゴールを決められてしまう。さらに慶大に退水者が出たこともあり、形勢は逆転。6分、ゴール前で不利な形を作られると、成蹊大のパス回しから最後は勝ち越しゴールを許してしまう。一矢報いたい慶大は、残り数秒の所で竹内が左サイドを攻め上がり、シュートを放つも惜しくもゴールの右に外れる。
1点を追う展開になった最終第4ピリオド。何とか追いつきたいところだったが、焦りからかパスが繋がらない。シュートまでなかなか持ち込むことができず、逆に成蹊大に攻め込まれる時間が続く。それでもキーパーの松村を中心に、粘り強いディフェンスで持ちこたえると、試合中盤の4分、相澤がキーパーの頭を超える技ありの同点ゴールを決める。直後に勝ち越しを許したものの、再び相澤が魅せる。ゴール前でボールを受けるとゴールに背を向けたままシュート。この鮮やかな同点ゴールで試合を再び振り出しに戻す。試合時間が少なくなる中、体力と泳ぎで上回る慶大。徐々に本来のペースを取り戻すと、残り1分半となったところで、安部の勝ち越しゴールが飛び出し、ついにリードを奪う。試合はこれで決まったかに思われたが、勝利目前となった残り30秒。一瞬の隙をつかれると、まさかの同点ゴールを決められ、試合は延長戦に突入する。
「ここまで来たら気持ちが強い方が勝つ」(松村)と臨んだ延長戦。いきなりミスから成蹊大に攻め込まれ、GKと1対1の場面を作られるも松村の好セーブで阻む。すると1分半、右の永田(環2)から中央でパス受けた相澤がシュート。これを落ち着いて相澤が決め、待望の勝ち越し点を奪う。延長後半になり、攻める成蹊大に対して激しいプレスをかける慶大。チーム一丸のディフェンスでチャンスの芽を摘み取っていく。すると試合終了間際、成蹊大はゴールキーパを攻撃に参加させるも、まさかのミスで慶大ボールに。この好機を逃さず、最終的には無人のゴールへ永田が押し込み試合を決めた。結局、延長戦では相手に得点を与えず、9対7で接戦を制した。
両チームとも激しく点を取り合い、常に1点を争う好ゲームとなったこの試合。「完全に気持ちで相手を圧倒した」(松村)というように、最後の勝負を分けたのは勝ちたいという強い気持ちだった。下位とはいえ1部のチーム相手に、十分にやりあえることを勝利という結果で証明。自分たちの水球である「堅守速攻」を武器に、ついに1部への切符をつかみ取った。次なる舞台である1部リーグではさらなら飛躍が期待される。そしてそんな慶大の今後を占うであろう大事な一戦が、来週3日に行われる早慶戦だ。早大は1部でも上位に位置し、今季もここまで好成績を残している。決して簡単な相手ではないが、「この勢いと気持ちで絶対食らいついていきたい」(松村)と意気込みを語る松村主将。今の慶大の実力、勢いを考えれば十分に勝機はある。1部の強豪に対してどこまで自分たちの水球ができるのか。慶大水球部の熱き戦いはまだまだ終わらない。
By Sho Yanagida
コメント松村主将
(今日の試合を振り返って)最高です。細かいところがいろいろあったけども、何をどうしても勝つことを今回は目標にしていたので、何もいうことない。(勝因は)完全に気持ちで相手を圧倒した。勝とうとする気持ちがみんなにあってまとまれたのが良かった。(試合の序盤では、逆転を許す展開にもなったが)簡単に勝てるような相手がなかったので覚悟はしていた。相手の流れの時にいかに我慢するかが大事であったが、3ピリで失点がかさんでしまった。けれども泳ぎでは勝っていたので4ピリでは、また追い返して絶対に勝てると思っていた。(成蹊大学の印象は)ゆったりと来るけれども、個人個人のスキルは高くて一瞬のすきをつくのがうまい。(4ピリオドで勝ち越したが、残りわずかで同点に)その前もボールを持って時間を使おうかと思ったが、永田がいっていたのでパスを出した。それに後悔はない。最後のシュートは止めたかったが、意外といいシュートが来たのでしょうがない部分もある。(延長戦を迎えるにあたって)ここまで来たら気持ちが強い方が勝つとずっと言ってきてので、自分たちの水球をやって気持ちで勝つといった。(何度もシュートを防ぐ場面があったが)最初のパスミスと後半のループっぽいシュートを入れられ痛恨の2失点だったが,最後はゴール前のシュートを止めて耐えられた。個人的な点数は低いけども勝てたので良かった。(最後はなんとかリードを守り切れたが)ずっと声をかけていたし、みんなにも声をかけさせたので、そこさえ徹底していれば気持ちはあったので入れられない自信はあった。(これまでの試合でも後ろから大きな指示を出していたが)主将でもキーパーでも一番言いやすい立場なので、ミスした後でも切り替えて声を出すようにしていた。(今後に向けて)来週に早慶戦があるので、今年の早稲田はかなり強いがこの勢いと気持ちで絶対に食らいついていきたい。
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