【連載】突撃!慶應体育会2022 vol.3 レスリング部(前編)

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慶應義塾大学体育会には現在、43の部活がある。そんな体育会各部は普段どのような雰囲気で、どのような練習を行っているのか。試合などでは見られない、体育会の知られざる日常に迫る。第3回となる今回取り上げるのはレスリング部。大学で競技を始めた選手からアジア王者まで多様な選手が所属する慶大レスリング部の練習にお邪魔し、松井滉季(4年・慶應)主将と尾﨑野々香(環2・帝京)選手に話を伺った。

慶大レスリング部の特徴

部員の約6割が大学からレスリングを始めた初心者で、残りの4割が経験者で構成されているレスリング部。経験者の中には今年のアジア選手権で優勝した尾﨑選手もいる。そんな慶大レスリング部の特徴を「多様性」だと松井主将は話す。様々なレベルの選手がいるという多様性を活かした練習メニューを考え、大学から始めた選手は上のレベルの選手を目標に練習に励み、経験者の選手もレベルを下げて練習するのではなく、初心者の選手に教えることで自分の技術を再確認し互いに切磋琢磨している。

様々な選手がいるということは、チーム全体としてはビハインドを抱えているとも言える。そのビハインドを覆すために覚悟を持って練習に取り組まなければならないという思いから、昨年からレスリング部では「覚悟」をスローガンに掲げ日々競技に向き合っている。

5月のリーグ戦の結果により悔しくも2部降格が決まってしまった慶大。現在は、入れ替え戦で負けた立教大学とリベンジマッチとなる六大学戦で勝ちきることを目標に練習を重ねている。

 

慶大レスリング部の練習は?

日吉記念館横の階段を下り、目の前に広がるテニスコートを通り過ぎたところにレスリング部が普段練習を行う日吉蝮谷レスリング道場はある。すでに夏の蒸し暑さを感じる6月初旬の土曜日、選手たちが練習を行っているレスリング道場に伺った。

9時から始まった練習。体を温めるためのダッシュ、筋肉に負荷をかける腕立て伏せ、柔軟とウォーミングアップから練習はスタート。レスリングは怪我が多いスポーツのため入念なウォーミングアップが欠かせないのだ。

打ち込みではタックルの練習をする

ウォーミングアップが終わると、打ち込みでタックルの練習を行う。打ち込みでは動作を確認しながらタックルの技術練習をする。

実践を想定し、技を仕掛ける

その後は、実践形式のスパーリングを行う。3分1セットとして選手を変えながらインターバル形式で試合により近い練習を行う。

2人で確認したことを全体に説明する

実践形式の練習が終わると、部員がマットの中心に集合。経験者と大学から始めた選手で2人1組をつくり、互いに教え合いながら技の確認をする。確認が終わると、再び集合し全体で確認したことを動きながら自分の言葉で説明する。全ての組みが説明を終えると、それぞれの組みが挙げた技のポイントを踏まえて2人組でもう一度確認を行い、この日の練習は終了した。

 

2時間ほどの全体練習では実践的な練習よりも技の確認、アウトプットに多くの時間が使われていた。練習メニューを考えている松井主将も「お互いに会話しながらわからないことを一つずつ潰していく時間をつくようにしている」という。2人組で確認したことの説明を受けて、他の組の人はわからないところがあれば質問するという姿も多く見られ、自発的に練習に取り組む姿がとても印象的だった。

動きを加えながら説明する尾﨑選手

アジア王者の尾﨑選手も「教えるのは自分の再確認にもなりますし、自分がアドバイスしたことによって少しでも強くなったら嬉しい」とアウトプットの時間は大学から始めた選手の技術向上だけでなく、経験者の選手も自分の感覚を言語化することで再確認できることがあるという。

競技を始めたばかりの選手からアジア王者まで幅広いレベルの選手が同じ環境で練習をしている慶大レスリング部。その多様なバックグラウンドの選手が互いに励まし合いながら成長し、目標に向かって「覚悟」を胸に練習に取り組んでいる。

(取材・写真:船田萌恵)

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