連覇を狙う慶大は早大に先制を許すも1点リードして前半を終える。しかし第3クオーターに3失点を喫しリードされた状態で迎えた最終クオーター、秋山雅望(環3・桐蔭学園)や川久保博子(理4・慶應女子)の活躍で一挙5点を奪い逆転。8-6で勝利し、早慶戦連覇を達成した。また、MVPには主将の川久保が選ばれた。
★ギャラリーはこちらから
7月2日(土)@富士通川崎スタジアム 第30回早慶ラクロス定期戦
♢スタメン♢
AT #74 秋山雅望(環3・桐蔭学園)
AT #61 大類奏音(政4・慶應女子)
AT #71 平井友香子(総4・同志社)
MD #22 西股莉々子(法4・慶應女子)
MD #88 川久保博子(理4・慶應女子)
MD #33 山本真菜美(総4・同志社)
DF #68 中田晴奈(法4・慶應女子)
DF #10 藤澤理彩(経3・慶應女子)
DF #60矢島玲(経4・浦和第一女子)
G #2 栗山由梨(法3・慶應女子)
♢得点♢
| 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 計 |
慶大 | 0 | 3 | 0 | 5 | 8 |
早大 | 1 | 1 | 3 | 1 | 6 |
♢慶大得点者♢
秋山雅(2Q)
山本(2Q)
西股(2Q)
秋山雅(4Q)
川久保(4Q)
秋山雅(4Q)
平井(4Q)
秋山美(4Q)
今年の早慶ラクロス定期戦が有観客で行われ、強い日差しが照り付ける川崎の富士通スタジアムには多くの観客やOB・OG、応援団が集まった。
第1クオーターは、川久保のドロー勝利により慶大のポゼッションで試合がスタート。互いに攻め込む中、川久保が前に運ぶもゴールが決まらず、早大からのカウンター攻撃を受けて先制シュートを決められてしまう。反撃を狙う慶大だったが、早大の堅いディフェンスに阻まれ、得点には結びつかないまま1点ビハインドで第2クオーターへ。
続く第2クオーターは序盤から平井友香子(総4・同志社)がシュートを放つが惜しくも決まらず。一方早大も果敢に慶大ゴールを狙うが、ゴーリー・栗山由梨(法3・慶應女子)がゴールを守る。攻守の切り替えが早い展開が続く中、秋山雅のショットで慶大を同点に追いつく。その後も秋山雅や橋本小夏(商4・大阪教育大付属高天王寺校舎)の連携で攻めるも早大の速攻に対応できずに失点。しかし、川久保のドローからゴール裏の秋山美里(1年・日大高)とパスがつながり最後は山本真菜美(総4・同志社)が決めると、その直後には西股莉々子(法4・慶應女子)がゴール左隅に決めた。3-2とリードを奪って前半を終えた。
このまま逃げたい後半戦。しかし第3クオーターは序盤に相手ゴーリーにシュートを防がれるとそこからのピンチを招き開始4分に失点。その後早大のプッシングによりチャンスとなるが主将・川久保のシュートがデンジャラスシュートと判定され、人数が不利になったところで早大に攻め切られ11分にも失点を喫する。追いつきたい慶大陣だったが、相手に流れを掴まれたまま、追加点を決められ2点ビハインドとなり3Qを終えた。
3―5と慶應のビハインドで迎えた第4クオーター。序盤から両者一歩も譲らない攻防が繰り広げられる。緊張感のある展開の中、最初に均衡を破ったのは慶大。秋山雅の得点でスコアを4―5とし、一気に流れを慶大側に引き寄せる。その後多彩な攻撃を仕掛ける慶大に次々と得点が生まれ始める。川久保の得点で同点に追いつくと、その直後には流れるようなパスワークからまたもや秋山雅が得点し、慶大はついに逆転に成功する。その後も秋山美らが追加点をあげて早大を突き放すことに成功した慶大は、第4クオーターは相手を終盤の1得点のみに抑えて試合終了。慶大が8-6でこの試合に勝利した。
♢選手コメント♢
主将・川久保博子
――今日の試合を振り返って。
穴のないディフェンスを含めて慶應の超攻撃型のラクロスっていうのを掲げてやってきましたがなかなか最初の流れを掴むまでに時間かかってしまったというのが、あの前半の課題として挙げられます。でも後半になんか点を取って流れを引き寄せらせたのは良かったと思いますし、やはり応援の方々の声もあってその勢いがさらに大きな波になって、会場一体となって流れを止めたっていうのは非常に良かったと思います。有観客ならではの楽しさが戻ってきたなと思います。
――MVPに選ばれたお気持ち。
伝統の一戦でMVPに選ばれたことは非常に嬉しく思います。個人的にも、課題と言いますか途中ミスもありました。試合展開で波を作ってしまったので、主将として今後マイナスのミスをなるべく減らして、チームにとってプラスで常に安定して力を発揮することを課題としてやっていきたいと思います。
――伝統の一戦である早慶戦に対してどのような気持ちで臨んだか。
早慶戦は小学校のころから見ていたのでやはり思い入れがあって、早慶戦はやはり独特の空気感と絶対勝つっていうお互いのプライドのぶつかり合いだと思います。さらにラストイヤーで有観客というのもあって非常に気持ちもいつも以上に入りました。
――今日の試合で一番印象に残っていること。
点を決めた後の会場一体で盛り上がるタイミングが3年前の(自分が)1年生の時のリーグ戦ぶりだったのそこは非常にうれしかったです。
最終クオーターではリードされる場面、何か部員に声をかけたか。
自分たちの強みが超攻撃型のラクロスなので点差的に負けている場面でしたけどそこは変えずに強気で行こうという声掛けをしていました。またヘッドコーチの大久保さんからも「ガンガン上げてけ」という指示があったので、みんなもそのメンタルで気持ちを引かずに攻められたと思います。
――秋のリーグ戦に向けての意気込み。
秋のリーグ戦はブロックごとで試合数も多くなるので、全体的な体力や最後まで戦い抜く力、さらに、チームの状況が悪い試合も多いと思うのでその中でもしっかり確実に勝っていく力をチームとして作って固めていき、日本一を取りたいと思います。
秋山雅望
――どんな準備をして今日の早慶戦を迎えたか。
早稲田のディフェンスをしっかりスカウティングして、それを参考にどのように攻めていくかを考え、シュートを中心に練習してきました。
――自分のプレーを振り返って。
前半で何度かシュートを外してしまい、焦っていた場面もありましたが、それでも冷静になり、落ち着いてプレーできました。得点を重ねられてよかったです。
――リードされた展開で最終クオーターを迎えた時の心境は。
去年の試合でも、負けたまま終盤を迎えることは多かったですが、そういった時にも絶対に自分が逆転させるという気持ちでやってきたので、いつも通りやるだけでした。
――秋のリーグ戦に向けて一言。
今日の試合でたくさん課題が見つかったので、そういった課題をひとつひとつリーグ戦に向けて改善していきたいと思います。
大久保宜浩ヘッドコーチ
――今日の試合を振り返って。
早慶戦は相手と自分たちの力関係に関係なく膠着した試合になることは予想していました。大きな氷が溶けてゲームが流れるまでには時間がかかったと感じるゲームでした。
――第4クオーターで逆転、選手にかけた言葉。
基本クオーターで4点くらい取るラクロスをやっているので、(第3クオーター終了時には)まだ2点差だったが、切羽詰まった感じはなかったです。第4クオーターはそういう点の取れるクオーターになるかという不安は感じていました。「攻め続けること」、「1回チャンスが訪れれば一気に点が取れるから」という話はしていました。
――今日のMVPを挙げるなら。
ゲームをコントロールしたという点でドロワーと中盤をやっていた川久保です。
――秋のリーグ戦に向けて一言
今年は点を取れるチームになってきているので、日本一を目指せると思います。ただ、今日みたいな膠着した難しいゲームもあるので、それを今日体験できました。悪い試合でも勝てるようなチーム作りをしていきたいと思っています。
大久保宜浩:慶大女子を教えて23シーズン目。ラクロスを始めたのは36年前で日本にラクロスが入ってきた時からラクロスに携わる。今年のチームについては「割と戦力揃っているチームなのでいい試合ができるかなと考えています。」と語る。
(記事:愛宕百華、伊藤優太、岡澤侑祐、長沢美伸 取材:慶應スポーツ新聞会)