【ソッカー男子】早慶サッカー定期戦特集 / 第3弾・林主務&守マネージャー対談

 
 

 

チームを支える林主務(左)と守マネージャー

早慶サッカー定期戦は試合のマッチメイクなどすべてが学生の手によって行われており、早慶両校のサッカー部にとっては大きな意味を持った試合である。そんな大イベントが成功する裏側には、チームの中でも運営として、裏方の仕事で奮闘する、主務、マネージャーの存在があることを皆さんはご存じだろうか。今回は林主務(理4)、守マネージャー(商4)にそれぞれの熱き思い、早慶戦への思い入れを語っていただいた。華やかな早慶戦の裏側にある、思いを知ることでより早慶戦が楽しめるはず。観戦の前にぜひ一度、この対談を読んでほしい!!

 

――まず初めに、お二人がソッカー部の中でどのような役割を担っているのか教えて下さい

 林 主務は主に運営の長として、運営に携わることをやっています。経理などの小さい仕事から、グランドの確保や遠征の手配、OB会での仕事などがあります。そして、その中の一つに、早慶サッカー定期戦の準備というものがあります。準備は6カ月以上かけて行っているのでこれも大きな仕事の一つかなと思います。

 守 うちのチームのマネージャはチームの運営に関っていて、試合の準備であったり、OB会の運営、HPを作ることなどもやっています。そして一番大きな仕事としてはやはり早慶定期戦の準備というものがあります。

――どんなことが大変ですか

守 終わりがないという事ですかね。色んなことを良くしていこうとしたらやれることはたくさんあると思います。ただ、これで良いやと諦めたらそこで終わってしまうのでそのバランスは難しいところですね。

林 自分は選手兼主務として今やっているのですが、入部した動機としては関東リーグに出たいとか、早慶戦に出たいというのがありました。つまり、自分はチームの運営をしたいと思って入ったわけではなかったので、モチベーションという点で難しさがあります。ただ、なんで今やれているのかなと考えると、やっぱり自分は同期のことが好きだし、自分の代は恵まれているなと思っているんです。(河井)陽介(政4)とか笠(松主将・総4)とかサッカーの実力者が多くて、今試合に出ているスタメンのメンバーを見ても、ほとんどが4年生で占められている。本当にこのチームの中心は4年生だと思うし、いまの4年は1年の時から活躍している選手が多い。そういったのを見て、本当に日本一を目指せる代なんじゃないかなと感じていたし、実際に今、日本一を目指せる環境にいるので、それは凄く自分のモチベーションになっています。

――それぞれ今のポジションになられた経緯を教えて下さい

林 3年の時に副務になったのですが、ミィーティングで決まりました。まず、自分たちが4年になったときにどういう学年、チームになっていきたいかを学年目標として定めるのでだけど、それが“尊敬しあい尊敬される学年”というものになった。まずは自分たちの代で尊敬しあう。そして自分たち一人ひとりが下から尊敬されるような人になる。それが出来れば良いチームになると考えたんです。そして、そんな中どんな人が主務になるべきかを8~9カ月くらいかけて話し合いました。そしたら、自分たちの中でやっぱり一番信頼出来る人がなるべきじゃないかなという結論になって。実際に下級生のときはたいした仕事があるわけじゃなく、雑用やサッカーの面、姿勢だけで判断することになったんだけど、その中でもきちんと出来てる人とできていない人、まわりに影響力を与えられる人とそうではない人の間には差があると思う。そういった中で自分が押された。ただ自分は最初、主務をやりたかったわけではなかったし、サッカーで上を目指したかった。だからこの部を辞めてやるとも思っていたんだよね。ただそんな中同期のみんなが本当に日本一を目指す上で俺にやって欲しいと言ってくれた。そして、そのあたりからみんなも自分たちは本当に日本一を目指すんだという行動をしてくれたので、自分もやらなきゃなと決意を固めました。

守 私は、中学高校と弓道をやっていたんですけど、高校3年のときに、主務になってインターハイ出場という目標を達成することができて、全国で3位になることができて、その時に凄くやりがいを感じることができたんです。だから私は選手としてというよりも、人を支えて勝利を一緒に喜びたいなと思いました。その上で、大学でそういった経験が出来るのは体育会のマネージャーかなと思って。その中でも4年間で今までにやったことのないことをやりたいなと思ったから、外で水を出すだけのマネージャーではなくて、チームの運営に関わる事の出来るマネージャーが良いなと考えました。いろんな部を見て回ったのですが、サッカー部は、部員の数も多くて、規模が大きい中、運営をメインでやることができたし、なにより、“マネージャーがマネージャーさんではなく、一部員として認められていた”ということに魅力を感じました。やるからには、厳しい面もあるけど、全力で4年間打ち込みたいと考えていたので。

 

4年生のマネージャーは一人だが、存在感は抜群だ

――昨年までマネージャーの人数が少なかったですよね

 

守 そうなんですよ。去年は一つ上の先輩と2人でやっていて、本当に人数が減ったなと感じていました。やることを今まで通りにやるということはできないから、効率化していったり、絶対にやらなきゃいけない事だけに集中しようと考えてやっていました。そして、わかっていたことではあったのですが、先輩が卒業していなくなって、自分1人になったときは、どうしようという気持ちがありましたね。私がやらなきゃ全てが進まないし、とぎれてしまうという危機感もあったので。その時は本当につらかったです。

――林さんの一番つらかった経験というのは

林  去年は本当に大変でしたね。運営に関わっていたメンバーで、3年だった自分は一番下だったし、与えられる仕事を自分でこなすことで精一杯でした。今、馬場(副務・商3)を見ていると、そのしたにマネージャーがいて、仕事を振り分ける環境があることが羨ましいなとは思いますよ。俺は全部自分でやっていたのにな・・・と思ったりすることもあります(笑)。そして自分は特に理工学部だったので、学業のほうも大変で。学業とサッカーと、運営の3つを全部両立させるのは大変かなとは思いますね。

 守 でも、林を隣で見ていると仕事を全部自分でやった分、覚えるスピードも早かったし、今もすべての仕事を把握しているから主務になるにあたっては良かったんじゃないかと思いますよ(笑)。

――では逆にやっていて、良かったと感じたことは

林 伝わりにくいことかもしれないんだけど、今年の順天堂大戦(結果は0―2で敗戦)。俺の誕生日だったんだよね。そこで、別にプレーが悪かったわけではなかったんだけど、戦術的な問題で増田(環1)が途中交代したんだよね。そしたらその増田が、俺のところに涙を流しながらやってきて、申し訳ないと謝ってきたんだよ。俺としては1年生なんてチームのことは全然分からないだろうし、好きなようにのびのびとサッカーをしていてくれたらそれで良いと思っていた。ただ、増田は俺が仕事をしている姿とかから、俺が後ろからチームを支えているという立場を分かってくれて、そして、自分が試合をやれているのは当たり前ではないんだと、ピッチに立つことの重みを分かってくれていたからこそ、悔しくて、そういう行動にでたと思うんだよね。4年間一緒にやってきた仲間ではなくて、入ってまだ数ケ月の人にそういうことが伝わったというのが自分は嬉しかったし、俺の中では大きなことだった。主務としての影響力って本当にあるんだなと感じた瞬間でもあったんだよね。

 守 私は4年生になって、自分らしさとは何かを考えるようになって。マネージャーをやると決めてサッカー部に入った時は自分にしか出来ないことをやりたいと思っていたんだけど、実際人数が減って、目の前の仕事をこなすことに精一杯というのが続いて、これは私じゃなくても出来るんじゃないかなとか思ったりもして悩んでいたんです。そんなときに、笠(松)とかに泣きながら話したりもしたら「プレーヤーであれば、誰かが怪我だったり、他のチームへの練習参加でいなかったとしてもチームは回っていくけど、マネージャーはそういうわけにはいかないんだから、存在意義が分かりやすいじゃん。もし彩加がいなかったらいまのサッカー部はないし、俺らも安心してサッカーが出来ないんだから」と真剣に話してくれて。私たちは4年間で本当の信頼を気付けてきたのかなと思った時に、やっていて良かったなと思いました。

――お互いを自己紹介すると

守 私はいま(林)賢一郎が主務になって良かったと思ってる。彼はチームに与える影響力が凄いあるし、きっちりと仕事をやってくれるので色々なことを安心して任せる事ができますね。

林 俺も良いこと言わなきゃな(笑)。気が強い子だなというのはありますね(笑)。自分と価値観が違うところもあるし、言いあうことが出来るのは良い事かなと思っています。お互いに溜めこまないで、言いあえる関係を築けているので。そしてなにより自分にとって、凄い大きな存在です。自分はプレイヤーとの兼任という事もあって、どこかで頼る部分があると思うので、本当に助けられていると思います。自分の支えになっているなというのを本当に感じています。

――林さんはユースチームの出身ですがどういったプレイヤーなんですか

林 俺は、戦うセンターバックかな。上手い選手ではないから、頭を使ってやっていこうと考えているし、身長があるからその長所をいかしてヘディングとかは負けないようにと思っています。でも上級生になればなるほど、自分は運営面でもプレー面でもチームを支えなきゃという思いは強まっているし、そういった責任感は強く感じるようになりましたね。あと、自分は高校3年のときに怪我をして1年半くらいサッカーが出来なかったので、今もサッカーが出来る事の幸せは凄い感じていますね。そういったところに、主務になるにあったって必要だった覚悟と繋がる部分もあるんですけどね。まあでも本当に関東リーグに出たいと言う気持ちはあるよ。そしたら本当にいままでの主務像を打ち破る事が出来るんじゃないかと思うからね。チームを支える裏方の仕事をしながらも、プレーでも貢献する選手になったら、凄いよね。そのために今頑張っているんだけど、もう残りわずかだから、やるしかないなと思って、サッカーにも取り組んでいます。

――専任になろうと迷ったことはなかったのか

林 自分がなんで主務に押されたのかなと考えると、当時のサッカーをしている自分の姿を見ていたからだと思うんだよね。たしかに1個上は専任の主務だったんだけど、別に合わせる必要はないと思ったし、俺には俺のやり方があると思ったからね。ただ主務になるにあたっては、もし本当に仕事が出来なくなったら、専任になるという覚悟はあったよ。兼任でやるからこそ与えられる影響というのはあると思っているからね。

――早慶戦に向けては、どんな仕事があるんですか

 守 OBにチケットを買ってもらいます。

林 部員はひとり50枚。OBはひとり10枚を目安に売っているんだけど、難しいよね。売るっていうのは。嫌な顔をされちゃうときもあるしね。心苦しいこともあるけど、そういったことをやっていかないと運営できないのは事実だから。そこは割り切ってやっていかないといけないと思っていますね。あとは副務がプログラムを作成するんだけど、それも大変だったかな。去年やったんだけどね。ただこの仕事は具体的に一番早く早慶戦を感じられる仕事だと思うんだよね。早慶戦の写真を集めたり、早慶戦に関する文章を書いたりしていくうちに、早慶戦が近付いているんだなと感じていくと思う。

――いつごろから準備を始められるんですか

 林 プログラム作成は2月の中旬くらいから。それは12月くらいからだね。

守 6月くらいにようやくチケットとかが出来上がると、一気に準備が忙しくなるんですよ。

――深澤さん(理卒)の後ろ姿が乗っていたと思うんですけど、ポスター作製なんかもありますよね

林 いま物議をかもしだしていて(笑)。卒業した去年の4年を使うのはセンスがないと馬場(副務)はしょっちゅう言われているよ(笑)。でも、それを決めるのは作る人だけの特権だからやりたいようにやれば良いと思うんだけど、みんな文句言っているよ(笑)。

――守さんが一番印象に残っている仕事はなんですか

守 やっぱりチケットかな。10枚買って下さいと葉書だったり、電話でお願いするんだけど、「良いよ良いよ」と言って買ってくれるOBの方々が沢山いて。そして、そんなときに「いつも結果は見てるからね」とか言ってくれる方もいたりしてそういったところで、本当に皆さんと繋がっているんだなと感じますよね。だからこそ、そういった人たちのためにも、早慶戦を成功させたいなと思います。

 

運営面でもサッカーの面でもチームを引っ張っている

――3回早慶戦を経験していると思いますがいかがでしたか

 

林 勝つと負けるじゃ全然違うよね。形式的な事をいえば、塾長賞大会に呼ばれるかどうかという問題がある。それは年末にあるんだけど、早慶戦に勝つと絶対に呼ばれるんだよ。もしくは日本一。そういった部活が集まるんだよね。そして何より、定期戦だけど、なんか違うよね。国立でやるということもだし、運営していく上で本当に多くの人に支えられているんだと言う事を実感できるから。だからこそ、期待にこたえたいよね。特に試合に来れなかった人にとっては結果が全てというか、勝利という結果を届ける事で喜ばせてあげられると思うから。あとは、勝った後の喜びは計り知れないという思いがあるよね。

守 私が1年の時は逆転負けしてしまったんだけど、運営として半年前から作り上げた大会だったからその達成感を感じることができた。試合に負けたことは悔しかったんだけど、早慶戦に向けて頑張ってきて良かったなと思ったし、楽しかったなと感じる事が出来た。でも2年のときに勝利したあとの喜びは本当に大きくて。勝つと負けるじゃ違うなというか、1回勝ちの気分を味わうともう負けられないなと思いますね。あとは学校の友達とかが、終わったあとに私にメールをくれたりして、本当に楽しかったと言ってくれたりするので、そういった意味でも、やっぱり早慶戦は特別だなと感じますね。

――それぞれのMVP予想というか、イチオシ選手みたいなのを教えて欲しいんですけど

守 4年生。

林 本当にそれは思う。最後だからね。

守 絶対にみんな何かしてくれると思う。

 林 あとは1年生かな。自分たちと似ているなと思うし。(田中)奏一(環4)も1年の時に点決めたからね。1年生は本当に伸び伸びと出来ると思うから。国立の舞台を楽しんで欲しいよね。

 守 あとは今まで出たことのない人がベンチに入るんじゃないかなと思います。もしそんな人がいて、試合に出たとしたらその人に注目して欲しい。

――松田選手(経4)とかですよね

守 そうそう。

林 慶應の強みだと思うからね。4年間努力する事が重要だと本当に表わしてくれている。自分たちの代は1年の時から試合に出ている人が多かったけど、そういう(松田選手は4年になってトップチームのピッチに初めて立った)存在もいるんだと表わしてくれたよね。自分たちのチームは選手をかき集めているわけではないから、強いチームを作るためには、一人ひとりが何をしなきゃいけないかを考えて、行動しているわけで。松田はリサーチとして、チームの裏方の仕事をやりながらも、サッカーに対して全力を注いだ結果、試合に出ることが出来たと思う。このチームにとって本当に重要なことだと思うし、本当に嬉しい事だったよね。試合中だったけど感極まるところだった。

――それでは、最後の早慶戦に向けて意気込みをお願いします

林 3連勝する事が出来たら、新たな歴史の1ページを作ることが出来ると思う。自分達は日本一になりたいとずっと言い続けてきたし、歴史に名を刻みたいねと1年のときからずっと言ってきた。早慶戦3連勝することで、ひとつその目標が達成されると思うので、絶対に勝利したいし、その為に自分が出来ることを、考えながら行動して、勝利に結び付けられたらと思います。

守 私も、3連勝していままで慶應が成し遂げたことのないことをこの代で成し遂げたいという気持ちがあります。でそれプラス4年目の早慶戦という事で、早慶戦の大きさや期待というのが凄い良く分かっているので、来てくれた人皆に興奮して感動してもらえるような大会を作り上げたいなと思っています、それはもちろん勝った、負けたじゃなくて、早稲田の人にもそれを思って欲しいから、そういった大会を作り上げられるように、頑張りたいですね。それが勝利に結びつけば更に嬉しいです。

By Yutaka Okumura

コメント

タイトルとURLをコピーしました