第86回早慶バレーボール定期戦(早慶戦)が7月30日に開催される。早慶戦直前対談第2回は、U18男子日本代表(ユース代表)に選出され、共に世界と戦った早大・山田大貴(スポ3・清水桜が丘)と慶大・松本喜輝(環3・九州産業)。お互いに実力を認め合い、良きライバル関係である二人にお話を伺った。
※この取材は早稲田スポーツ新聞会と合同で7月3日に行われたものです。
――初めて会ったのはいつですか、以前ユース代表でご一緒されたとお聞きしましたが
山田 覚えてる?
松本 え、分かんない(笑)。高1?高2?
山田 高1の冬の合宿だったかな。僕は全国の選手とか知らなかったので、「こんなに強いサウスポーいるんだ」ってその時に思いました。
松本 僕も全国とか出ていなくて代表の合宿に呼ばれたのも初めてだったので、誰も知らない状態でした。
――ユースでのエピソードはありますか
松本 1番驚いたのは、イランに行ったら急に大貴(山田)が「(試合に)出られない」って言われたことですかね。
山田 そうそう。喜輝(松本)も最初の方は試合に出ていたのですが…。調子悪かった?(笑)
松本 うん、調子悪かった(笑)。
山田 大会の前にも海外で練習試合があって、その時喜輝はサーブもスパイクも調子が良かったので、オポジット任されていたのですが、本大会で調子が悪くなり外されてしまって…。ユースに関してはお互い消化不良という感じですかね。
――試合以外での思い出はありますか
山田 なんかもう記憶ないな。
松本 そうなんだよね。4年前?だし。
山田 僕自身としては試合に出られない状況っていうのが辛くて。高2の時は、まだ自分の気持ちをうまくコントロールすることができなくて、殻に籠(こも)っている状態でした。楽しい気分とは言えなかったですね。
――お互いの第一印象は
山田・松本 (顔を見合わせる)
――以前から今のように仲が良かったのですか
松本 そんなことはない気がします。
山田 選ばれてからかな? 最初はいっぱい人がいたので、そこからどんどん絞られていって人数が少なくなってからだと思います。
――では今のお互いの印象は
山田 厄介です、シンプルに(笑)。
松本 それはお互いにです(笑)。
山田 バレーボーラーとしてですが、対峙(たいじ)したときに喜輝に(調子に)乗られると嫌です。ちょっと悪く言うなら、暴れん坊みたいな(笑)。乗り始めたら暴れまわるじゃないですか。敵だと厄介ですね。
松本 大貴は打点が高すぎて、ブロックが届かないです。去年の早慶戦で大貴と初めて大学で戦ったのですが、途中から(ブロックが)届かなすぎて諦めていて(笑)。触れないので後ろのレシーブに任せていました。
――会場で交流されたりするのですか
山田 春リーグ(春季関東大学リーグ戦)は慶應と同じタイミング(の試合が)あんまりなかったよね?
松本 多分なかった。
山田 試合前は自分たちも集中しなければいけないので話しはしないのですが、この前同じ会場だったときは、喋りながら一緒に帰りました。
松本 たまたまバスが一緒でね。
山田 そう、お互いのチームの話なんかしたりしてね。
――自分自身のチーム内でのキャラクターを教えてください
山田 うわっ、むず。
松本 自分は、慶應で言う『アイスエイジ枠』です。慶應は各学年1人ずつ『アイスエイジ枠』がいて、ふざけて笑いを取りにいっても、みんなシーンって感じで何事もなかったかのように次に行くっていう(笑)。
山田 自分で言うのそれ。僕はなんだろうな、難しい。
松本 大貴はいじられてそうだけどな。
山田 関係性としてはトップオブいじられキャラが吏玖(伊藤吏玖、スポ3・駿台学園)。その下に僕がいて、だから僕は吏玖しかいじれないっていう(笑)。
――山田選手自身はいじられる方が多いということでしょうか
山田 そうですね。最近ちょっかいかけてくるのは前田凌吾(スポ1・清風)です。あいつめちゃくちゃバカです(笑)。
松本 (前田の)ユーモアがすごそう。
山田 (前田は)関西出身なので、しょうもないことをずっとしてきます。
松本 うちの大槻晟己(総3・清風)もそんな感じですね。清風魂さすが(笑)。
――オフの期間は何をされていましたか
山田 あれ何してたんだろう。やばい思い出せない(笑)。
松本 寝てた?(笑)
山田 いや、そんなことはない(笑)。バレー部じゃない先輩とご飯に行ったり、サークルの方たちとバレーしたり、スポーツでリフレッシュしましたね。
松本 自分は東日本インカレ(東日本大学選手権)が終わって2日間休みがあって…。
山田 2日間?そんなのオフじゃないよ。
松本 長期オフはまた別で入替戦が終わったあとにある(笑)。普段は夜練習があってご飯に行けないので、休みの日は友達とご飯に行きました。
山田 あ!あと僕はビーチバレーをしました。お台場で小さめの大会があってそれに出ました。
――誰と出たのですか
山田 まず、水町泰杜(スポ3・鎮西)と馬渕純(スポ2・岐阜商)のペアが出て、ここが本命です。ネタ枠で僕と吏玖が出ました。
松本 ネタ枠(笑)。
――アンケートで松本選手は絵を描くことが趣味だと伺ったのですが、今この場で絵を描いてくださったり…
山田 絵を描くことが趣味?!
松本 え、無理です(笑)。
山田 普段どういう絵を描いているかによるよ?
松本 この前描いたものを見せようかな。
山田 やばいもの、描いてるんじゃないの?
松本 んなわけないだろ(笑)。
山田 あ!可愛いじゃん、ヒトカゲ。
松本 マネージャーでiPadを持ってきている人がいて、練習終わりに暇すぎてメモのところに絵を描いていたんですよ。ただそれだけです(笑)。
――3年生となり上級生になりましたが、意識の面で何か変化はありましたか
山田 先に喜輝の方から聞きましょうや。1年生からエース張ってるんですから!
松本 (笑)。1年生の時から最後トスを上げてもらうことが多かったのですが、去年一昨年と比べると、自分でやらなきゃいけないっていう気持ちがより強くなったのかなと思います。下級生も多く試合に出ていますし、みんながつないでくれたボールを最後自分に託してくれているので、それをしっかり決め切りたいなと思っています。
山田 僕はスタメンで試合に出たのが今年の春リーグからで、正直最初は上級生だからどうこうじゃなくて、自分のできることだけをやろうって感じでした。ですが試合を経るごとにトスも集まってくるし、自分がチームを勢いづけたいな、得点してチームを乗らせたいな、自分はそういう役割だろうなと自覚してきました。
――東日本インカレまでで手応えを感じている部分は
松本 チームとして初めて関東1部(関東大学リーグ戦男子1部)の舞台で戦ってみて、去年戦っていた2部とのレベルの差を感じましたね。今回の春リーグや東日本インカレで意識していたのは、自分の力がどれだけ1部相手に通用するのかというところです。自分の中では及第点ではあるのかなと思っています。
山田 先にそんなこと言われたらね? 困っちゃうなあ。
松本 いやいや(笑)。
山田 自分の力が通用したなと感じたのはやはりスパイクですかね。高さは常日頃から監督(松井泰二監督、平3人卒・八千代)から「意識しろ」と言われていて。試合で経験して自分の高さがこんなに武器になるのだということを感じました。
――逆にまだまだ伸ばせるなというところはありますか
山田 (指を折りながら)たくさんあるぞ~これ。まずレシーブですね。僕はアウトサイドヒッターなので、レシーブをしなければならないです。これが嫌なんですよ(笑)。嫌っていうかまだ自信がないというか。安定しきれていないところがあるので、そこをもう少しなんとかできれば、他のプレーも心を乱されずにできるのかなと思います。試合中はスパイクの写真だけを撮ってください、お願いします(笑)。
松本 僕はサーブやスパイクをもう少し安定させたいなと思っています。「攻めていい」とは言われているのですが、それでもやはりミスが目立つ部分があるので。僕はオポジットというポジションであまりレシーブには参加しないのですが、1部の他のオポジットの選手を見ているとどの選手もレシーブがうまいので、僕ももう少しレシーブ拾えるようになりたいと思います。
山田 「ミスを気にしないで攻めていいよ」って言われるとミスするよね。
松本 それめちゃくちゃ分かる(笑)。
山田 「ミスするな」って言われてもミスするんだけどね。
松本 結局、ミスる(笑)。
山田 「ミスしないミスしない…。うわ、ミスった!」みたいな(笑)。
松本 決めにいったらね。
山田 バレーボールは本当にメンタルスポーツだと思います。
――ミス以外でもブロックに捕まったときなどメンタルが左右されることはありますか
山田 僕はブロックされること自体が少ないというか、そういう打ち方を心掛けているので。でもブロックされたときは「うわ、ブロックされた…」じゃなくて、「こういうブロックされるんだ」くらいの気持ちですかね。
松本 自分も「まあ仕方ないかな」くらいの気持ちですね。上に打ってもブロックに捕まったりするので、そういう時は割り切って次に切り替えるようにしています。
山田 サイドは打数も多いし、一度止められただけでその後もへこたれてるとね。
松本 うん、もたないもたない。
――お互いのここが「すごい」、「うらやましい」と思う部分を教えてください
山田 パワーです。ブロックを吹っ飛ばせるんですよ、うらやましいですね。あと喜輝は、スイングがすごく速い。対峙(たいじ)して分かったのですが、トスが速いんじゃなくて喜輝自身のスイングが速くて。ブロッカーとしてはタイミングが合わなくて弾かれてしまいます。僕にはないパワフルさとスイングの速さがうらやましいと思います。
松本 やはり高さですかね。自分も対峙(たいじ)していて分かるのですが、どれだけ全力で飛んでも届かないときがあるので(笑)。その打点で打つスパイクってどんな景色なのかなって気になります。自分は1部相手だと囲まれることが多いので、ブロックを使って打ったりするのですが、大貴は常に上からを意識して打っているのでその高さがうらやましいです。
――山田選手はアンケートで、慶應で意識する選手に松本選手をあげられていましたが、それを聞いて松本選手はいかがですか
松本 この間リーグ戦で試合したときも大貴とマッチアップすることが多くて、僕もお互い点取り屋としてライバルなのかなと思っています。
山田 はい、ライバルです(笑)。
――早慶戦に対して特別な思いはありますか
山田 そうですね。やはり伝統ある一戦ということで、OBの方もたくさん見に来てくださるだろうし、その中でいかに早稲田らしさを見せられるかというところを大事にしていきたいと思っています。
松本 学校としてどの部活も早慶戦に対しての思いが強いので、OBの方や応援してくださる方に感謝の気持ちをもって良い試合が見せられたらなと思います。
――お互いのチームの印象は
松本 早稲田は各世代のスター選手が集まっている印象があって、どの選手も高校時代から活躍している有名な選手が多いです。そういった中で全員の個人的なレベルが飛びぬけているチームなのかなと思います。
山田 リーグ戦でも早慶戦でも慶應は早稲田とやるとき、気合の入れ方が違うのを感じて。ねえ、絶対特別に気合入れてるよね?(笑)
松本 あのね、この前のリーグ戦で早稲田と対戦する時もコーチがすごかったんだよ(笑)。
山田 やっぱりそう? だから雰囲気とかで気合が入っているのが伝わってきますね。慶應の一人一人の選手を見ると強みや個性がそれぞれあって、それがはまったら怖いなと思います。不安というか、こちらも相当な覚悟を持って挑まないといけないなと思います。
――早慶戦のポイントや見どころは
松本 僕たちは早慶戦に懸ける思いが強い方だと思うので、慶應の雰囲気や勢いがポイントかなと思います。
山田 学生らしいエネルギーのあるプレーですかね。早稲田アリーナにいる人全員に若さある熱気をお届けしたいと思います。
――自分のプレーで注目してほしいところは
松本 自分か(笑)。そうですね、終盤トスを任されることが多いので、そこでいかに決め切れているかというところを見てほしいです。
――早慶戦への意気込みをお願いします!
山田 「勝つ!」でもいいのかな(笑)。
松本 シンプルにね(笑)。
山田 早慶戦は早稲田が連覇しているということで、その連勝を伸ばせるようにすることと、個人としても活躍したいなと思います。
松本 勝利もそうですが、それ以上に早慶戦で得られるものがたくさんあると思うので、そういう経験も大事にしつつ勝ちを獲りにいきたいと思います。
山田 え、なんか僕が勝利至上主義みたいになってるじゃん(笑)。
松本 いいよ、そのままで(笑)。
――最後に、応援してくださる方々へのメッセージをお願いします!
山田 「僕の爽やかな笑顔に注目!」って言っていいですか?
松本 顔写真と一緒に使われるよ(笑)。
山田 各方面から怒られそうだな、やめよう(笑)。
山田・松本 いつも応援ありがとうございます。早慶戦での僕たちのプレー楽しみにしていてください!!
――ありがとうございました!
(取材:早稲田スポーツ新聞会 山田彩愛/慶應スポーツ新聞会 田中瑠莉佳)
◇プロフィール◇
山田大貴(やまだ・だいき)
2001年8月7日生まれ/早稲田大学スポーツ科学部3年/清水桜が丘高/身長191センチ/最高到達点345センチ/OH/背番号10
趣味はドラマ、映画鑑賞。最近は『SPEC』というドラマにハマっているそうです。得点後の爽やかな笑顔にも注目です!
松本喜輝(まつもと・よしてる)
2002年2月9日生まれ/慶應義塾大学環境情報学部3年/九州産業大学附属九州産業高/身長186センチ/最高到達点339センチ/OP/背番号2
小学1年生のときからふくろうのぬいぐるみを大事にしており、良き相棒だそうです!
★早慶戦の場所と日程
場所 早稲田アリーナ
日時 7月30日(土)
タイムスケジュール
12:30 会場
13:00 開会式
13:30 女子戦
15:00 パフォーマンス(早慶応援部、ショッカーズ)
16:00 男子戦
17:30 閉会式
★明日(7月28日)は女子主将対談(中澤恵×金子奈津実)をお届けします!お楽しみに!