【野球】萩尾の執念の一発も勝利には結びつかず、勝ち点の行方は第3戦へ持ち越しへ 明大②

野球戦評

10月16日(日)東京六大学野球秋季リーグ戦 明大2回戦 @明治神宮野球場

天王山となった明大との大事なカードの初戦を見事にものにし、この流れのまま第2回戦も勝利し勝ち点獲得へつなげたかった慶大。しかし初回から明大先発の1年生投手久野悠斗(商1・報徳学園)を前に三者連続三振など、5回の下山悠介(商4・慶應)のチーム初安打まで出塁さえさせてもらえない苦しい展開となる。投手陣が粘りを見せるも、明大3点リードで迎えた最終回、二死から萩尾匡也(環4・文徳)の劇的同点本塁打で試合は振り出しに。しかしその裏、2死一、二塁から蓑尾海斗(文4・日南学園)にサヨナラの適時打を浴び惜しくも敗戦。勝ち点の行方は第3戦へと持ち越しとなった。

 
慶大
明大1X

慶大バッテリー:外丸、渡部淳、橋本達、●浮橋-宮崎

明大バッテリー:久野、髙山、石原、下江、○千葉-蓑尾

 

慶大本塁打:萩尾4号3ラン(9回同点・下江)

明大本塁打:

 

◆慶大出場選手

打順守備位置名前(学部学年・出身校)
[4]古川智也(環4・広島新庄)
[6] 朝日晴人(環4・彦根東)
橋本達弥(環4・長田)
栗林泰三(環3・桐蔭学園)
浮橋幸太(総2・富岡西)
[3]廣瀬隆太(商3・慶應)
[8]萩尾匡也(環4・文徳)
[9]山本晃大(総4・浦和学院)
[5]下山悠介(商4・慶應)
[7]宮尾将(商4・慶應)
[2]宮崎恭輔(環3・國學院久我山)
[1]外丸東眞(環1・前橋育英)
渡部淳一(政4・慶應)
斎藤快太(商2・前橋)
本間颯太朗(総2・慶應)
齋藤來音(環3・静岡)
古野幹(理2・岸和田)

ドラフト前最後の週末ともあり第1試合から大勢の観客が埋まり、今までにない熱気に包まれた神宮球場。慶大は昨日の第1回戦、明大に秋季初めての黒星を突き付け、春季果たせなかった優勝へ向けて、勝ち点獲得に大手をかけた。春と同じく、初戦は勝利、その後の2戦を明大に主導権を握られた慶大が、この第2回戦にかける思いは計り知れない。しかし、そんな慶大ナインの前に、明大の1年生先発・久野悠斗(商1・報徳学園)が大きく立ちはだかった。

立ち上がりを攻めたい慶大の初回の攻撃。ここ数試合、打撃絶好調の1番古川智也(環4・広島新庄)、春は首位打者も争った2番朝日晴人(環4・彦根東)、慶大が誇る主砲廣瀬隆太(商3・慶應)が、なんと三者連続三振に斬って取られてしまう。次の回、このカード初戦で三冠王に名乗りを挙げた先頭の萩尾も空振りの三振に。四者連続の三振と、上位打線がことごとく仕事をさせてもらえない。その後も久野の完璧な投球は続き、4回まで1塁を踏むことすらできなかった。

一方慶大の先発も1年生投手、外丸東眞(環1・前橋育英)。毎回、強打者揃いの明大打線相手に出塁は許しながらも、牽制刺などを含む粘りの投球を続け、味方の援護を待つ。しかし4回、一死から明大4番上田希理翔(国日3・愛産大三河)に右中間を割る3塁打を打たれピンチを招くと、続く宮田知弥(商1・横浜)に左適時打を浴び、貴重な先制点を入れられてしまう。その直後、慶大は二死から主将の下山悠介にチーム初安打が生まれ、5回に初めて出塁に成功。捕手が球をこぼす間に下山は2塁に進むも、後続が倒れすぐに同点に追いつくことは阻まれる。

下山がチーム初安打を放つも、後続が続かなかった

するとその裏、外丸は明大の8、9番に連続安打を許し、一死1、3塁の場面で降板。ピンチの場面で大事なマウンドを託されたのは渡部淳一(政4・慶應)。初球から1塁走者に盗塁を決められ一死2、3塁とピンチを広げられるも、落ち着いた投球で後続を抑え、僅か6球で慶大の窮地を救った。6回にも、渡部は安打や死球などで得点圏に走者を置くも、続く代打を三振に仕留め、追加得点は許さず無失点で切り抜ける。

しかし7回、我らが守護神、橋本達弥(環4・長田)が明大打線に捕まる。先頭に失策も絡むボテボテの内野安打で出塁されると、現在リーグ2位の打率を誇る1番村松開人(情コミ4・静岡)の犠打がセーフに。続く打者には四球を与え、無死満塁の絶体絶命の場面で迎えたのは、春季首位打者の宗山塁(商2・広陵)。初球を叩いた右への打球は犠飛となり、明大は1点を追加。続く上田の打席で1塁走者が盗塁を決め、一死2、3塁と手に汗握る状況の中、2球で追い込んだもののその後しぶとく右へ適時打を運ばれ、さらに1点を失う。その後二死満塁と再びピンチを招くも、続く打者を三振で抑え、それ以上の得点を許さない。しかしその後も慶大はチャンスを活かせないまま、3点ビハインドで最終回の攻撃へと突入する。

萩尾はここ2戦で9打点をマークしている

後がない慶大は9回、代打の切り札本間颯太朗(総2・慶應)が左安打を放ち、先頭で出塁。続く古川も内野安打で無死1、2塁とチャンスを広げる。しかし代打の栗林泰三(環3・桐蔭学園)、廣瀬が凡退し、あと残り一死で試合終了という場面。三塁側が緊迫した空気で見守る中、打席には今季本塁打1位タイの萩尾。慶大の思いを背負った彼の豪快な一振りは、バックスクリーンへ。慶大スタンドを歓喜の渦に引き入れる劇的な3点本塁打で、土壇場で試合を振り出しに戻す。

その裏を任されたのは今季初登板の浮橋幸太(総3・富岡西)。先頭に四球を与えさよならの走者を出すと、続く宗山が犠打を決めた後、上田を申告敬遠で1死一、二塁。一発さよならの場面、山田陸人(法4・桐光学園)を空振り三振に斬るも、続く蓑尾に初球をうまく合わせられ、左翼手の頭上を越える適時打となり試合終了。惜しくも敗戦し、勝ち点の行方は明日の第3戦へと持ち越しとなった。

最後は浮橋が力尽き、連勝とはならなかった

慶大は初回から久野を前に出塁すらできないもどかしい展開が続くも、数少ないチャンスで決めきれず、あと1点に泣く試合となった。慶大の合計安打は5本と、明大に比べ半分以下だったことも明大優位の試合だったことを示唆している。この試合でも毎回安打を記録するなど強打者が揃う明大打線を前に粘りを見せた投手陣の力投は素晴らしいものであった。それに加え、最終回に劇的な本塁打を放ち、このカード2戦連続本塁打、かつ三冠王を目前にした萩尾の明日への期待が高まる一方で、下山の復活の兆しも見えつつある。リーグ優勝という景色への切符は、明日の第3回戦の勝利が絶対条件だ。両校負けられない意地のぶつかり合いとなる明日の試合、必ず勝利を掴み取ってくれることを祈るばかりである。

(記事:佐藤光、写真:北村可奈、吉岡洲)

 

◆選手コメント

萩尾匡也選手(環4・文徳)

勝ちきれなかったことは悔しいですが、明日に繋がる一本になったと思います。明日は勝てるようにいい準備をしたいと思います。

ーー通算10号本塁打の感想は?

この1年で9本打てたことは本当に成長できている証だと思います。まだまだ満足せず成長していきたいと思います。

下山悠介主将(商4・慶應)

最後まで粘りましたが一歩及びませんでした。しかし、一度同点に追いついたことは必ず明日に繋がると思います。
明日は、泥臭く繋いで粘ってなんとしても勝利をもぎ取ります。
明日も応援の程よろしくお願いいたします。

◆打撃成績

   
[4]古川空三振二ゴロ投ゴロ投安
[6] 朝日空三振遊ゴロ一ゴロ
橋本達
栗林二飛
浮橋
[3]廣瀬見三振三ゴロ見三振右飛
[8]萩尾見三振見三振右飛中本③
[9]山本遊ゴロ二ゴロ左飛死球
[5]下山見三振中安二ゴロ遊ゴロ
[7]宮尾三ゴロ遊飛空三振
[2]宮崎左飛右安見三振
[1]外丸二ゴロ
渡部淳捕犠打
斎藤快
本間中安
齋藤來
古野

◆投手成績

 投球回数打者数球数安打三振四死球失点自責
外丸4 1/3198170011
渡部淳1 2/372311100
橋本達2113722221
浮橋0 2/351411211

タイトルとURLをコピーしました