【連載】突撃!慶應体育会2022 vol.5 端艇部カヌー部門(前編)

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慶應義塾体育会には現在、43の部活がある。そんな体育会各部は普段どのような雰囲気で、どのような練習を行っているのか。試合などでは見られない、体育会の知られざる日常に迫る。第5回となる今回取り上げるのは端艇部カヌー部門。戸田の合宿所で生活し、朝早くから競技に取り組んでいるカヌー部門の練習にお邪魔した。

綺麗にカヌーを並べる

朝早くからの練習

日吉からは1時間、JR埼京線戸田公園駅を降りて、戸田ボートレース場方面へ15分ほど歩くと、河川敷の先に荒川が見える。カヌー部門の練習場所だ。合宿所はボート部門と同じでボートレース場のすぐ横にあるため、そこからカヌーを担いで、川まで運んでいる。

カヌーを運ぶ部員

実際にカヌーに乗って練習するのは朝早い時間、授業が始まる前である。1限がある学生は5時から、2限以降にある学生は6時30分に練習開始だ。記者が6時30分に練習場に着いた時は、5時から練習を始めた部員たちがちょうど川から上がってくるタイミングだった。肌寒い10月の早朝、雨の中冷たい川の水に濡れながら1時間以上漕ぎ続けた選手たちだが、寒さをものともしない様子だった。練習の様子をビデオで撮影していたマネージャーもこのタイミングで交代する。

秋冬の練習メニュー

川に入る前、選手たちは自分のカヌーの前方に付いている時計を調整していた。川に出てしまえば時間を確認することができないので、事前に合わせて、メニュー通りに練習をこなせるようにしているのだ。

前方にはタイマーが付いている

川に入り、アップをした後はひたすらみんなで漕ぎ続ける。新チームが始まったこの時期は、6分漕ぎ続けるメニューを8本行う練習に取り組んでいる。カヌー部門がメインターゲットとしている種目は1000mであり、レース時間は4分ほどである。カヌー競技の中でも距離が長い種目である1000mに慣れるために、それ以上の時間を同じ速度で漕ぎ続ける練習をしているという。練習中にはマネージャーがビデオを回している。後に自分のフォームなどを確認する時に大きく役に立っており、インプット、アウトプットを繰り返して練習に取り組んでいる。

練習は2グループに実力で分かれて行っている。約2カ月に1回あるタイムトライアルや大会の結果を見て「乗艇係」が振り分けている。そしてグループ内での動きはそろっていた。カヌーは基本は自分一人の競技で、つらい時には手を抜くこともできてしまう。しかし、動きを合わせることで「みんなが頑張っているから頑張ろう」と前を向くことができる。

2グループに分かれて練習

そろった動き

川から上がると、カヌーを並べて軽くミーティングを行っていた。練習後も重いカヌーを担いで艇庫へ戻って行く。カヌー部門はこのような練習を週に5~6回行っている。

練習後もカヌーを担いで川から上がる

カヌー競技は自分との戦いである。しかし成長のためには互いに切磋琢磨し合うチームメイトが必要だ。共に戦う仲間の存在が、選手一人一人を強くするのである。

(記事、取材:長沢美伸)

明日は主将のインタビューをお届けします!

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