9月から始まった秋季リーグ戦もついに最終戦を迎えた。前日の青山学院大との大一番に勝利し上り調子の慶大は、今試合も勝って笑顔で終わりたい。第1セットは連続サービスエースも飛び出すなど、序盤から気迫に満ちた好プレーが多く見られた。第2セットに入ってもチームは攻めの姿勢を崩さず、雰囲気も良好で試合は進み危なげなくセットを連取。以降もそれぞれが自分の持ち味で活躍し、大差で第3セットもものにした。セットカウント3-0で力の差を見せつけ勝利した慶大は、2部優勝・1部2部入替戦への出場を決めた。
2022年10月16日(日)
秋季関東大学男子2部バレーボールリーグ戦
第11戦 慶大×立正大
得点 | ||
慶大 | セット | 立正大 |
25 | 1 | 18 |
25 | 2 | 19 |
25 | 3 | 13 |
出場選手(サーブ順) | ||
ポジション | 背番号 | 名前(学部学年・出身校) |
MB | 9 | 降小雨(商4・慶應) |
S | 10 | 大槻晟己(総3・清風) |
OH | 18 | 安達龍一(環4・洲本) |
MB | 8 | 芳賀祐介(環2・札幌北) |
OP | 2 | 松本喜輝(環3・九州産業) |
OH | 3 | 渡邊大昭(商2・慶應) |
L | 12 | 内田克弥(環2・松江高専) |
途中出場 |
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OP | 5 | 山木柊(文1・慶應湘南藤沢) |
OH | 11 | 入来晃徳(環1・佐世保南) |
「やるべきことをやろう」副将・降小雨(商4・慶應)の声掛けで始まった第1セット。前日のインタビューでも選手が口をそろえて言っていたのは目の前の試合に集中するということ。慶大はその言葉通り最終戦に全力で挑み、先制点を奪うと早くもコート内を走り回る。序盤は拮抗(きっこう)した展開となるが、その均衡を破ったのは芳賀祐介(環2・札幌北)と安達龍一(環4・洲本)の二枚ブロックだった。序盤から複数回成功していたブロックだったが中盤にもたたみかけ、相手アタッカーにブロックの存在を強く意識させる。相手はブロックの上を通すしかなく、スパイクはアウトに、緩い球での返球も多くなる。このようなチャンスボールをセッター・大槻晟己(総3・清風)のトスから確実に得点につなげ、11ー8とリードをとる。慶大の勢いに拍車をかけたのが今試合スタメン出場の渡邊大昭(商2・慶應)だった。仲間の声掛け通り攻めのサーブをみせ、なんと3連続サービスエース。その後も渡邊のサーブをきっかけに2連続得点し16ー8とダブルスコアまで相手をつき放す。相手はタイムアウトをとり選手も1人交代させて流れを断ち切ろうと試みるも、なおも慶大の勢いは止まらない。レシーブ・ブロック、それぞれの選手が自分の役目を果たしてボールをつなぎ、得点へ変えていく。この勢いのまま走り抜け、25ー18と差をつけてこのセットを取ることができた。
つづく第2セット、慶大は各々の選手が持ち味を生かしたプレーを引き続き展開する。「1点目大事だぞ」という掛け声通り先制に成功すると、直後に降がコントロールの効いた球でサービスエースをとる。第1セットと同様に芳賀はブロックを決め、さらに渡邊は相手の強烈なサーブをナイスレシーブし、それをエース松本喜輝(環3・九州産業)が相手ブロックを利用した正確なスパイクで得点につなげる。その後も芳賀の2連続サービスエース、中盤には内田克弥(環2・松江高専)がストレート方向からのスパイクを片腕でレシーブするなど好プレーの連続で良い連鎖が生まれる。リードを保ち続けるなかで20点台目前の場面では降が掛け声でチームを引き締め、コート内はさらに気迫に満ちる。最後は安達龍一(環4・洲本)・大槻とつながったボールを松本がスパイク、ワンタッチを奪って25-19とまたしても相手を20点台にのせずにセットを奪った。
このセットを取り、リーグ最終戦をストレート勝利で終わりたい慶大。セット前の時間に同期の山木柊(文1・慶應湘南藤沢)と山元康生(法1・慶應)とレシーブ練習をしていた入来晃徳(環1・佐世保南)がここで出場。チームを刺激するとともにサービスエースにも成功してセット前半の連続得点に貢献する。さらに降がこのセットでも活躍をみせる。第2セットに続いてサービスエースをとり、10ー5と大きくリードした場面ではスパイクを決めて相手をさらに追い込んでいく。ダブルスコアをつけた状態でも慶大は一球一球丁寧なプレーを心掛け、ブロックアウトをとられた際にはベンチからの応援にも力が入る。セット後半でも慶大の勢いは止まらず、13ー7の場面で松本がコートの端からクロスにサイド・エンドラインいっぱいのスパイクを決めるとこれには相手も拍手を送る。一方、勝利が目前になってもチームは冷静さを兼ね備え、相手サーブもしっかりアウトと見極めつつその後も快走。引き続き降のブロック・スパイクが決まるなか、最後は芳賀のスパイクで25ー13とし、この秋有終の美を飾った。
立正大は前期の東日本バレーボール大学選手権大会(東日本インカレ)2回戦で戦い、1セットを取られた相手。この日、慶大は立正大に対して3セットを通し、大きく差をつけて勝利することができた。これは明らかな成長である。今試合に限らずとも、慶大が秋季リーグ戦を通して成長した部分は大きかった。星谷監督は春の入替戦で負けた要因を「安定感のなさ」「劣勢の場面でのメンタル」と振り返る。今リーグでは1年生も含む多くの選手が出場し、一つの目標であった“誰が出ても強い慶應”に一歩近づいたのではないか。また、相手にリードされる場面はありつつも、焦らず自分たちのプレーを貫き、セットを落とすことはほぼなかった。
2部優勝という結果は、入替戦で負けた悔しさをエネルギーに変え、チーム一丸となって努力し続けてきた確かな成果である。「1部昇格ではなく1部“復帰”へ(高倉主将)」。自分たちの戦う舞台はここではない。選手たちは入替戦のその先まで見据えている。2週間後の入替戦、試合終了のホイッスルが鳴る慶大コートには、悔し涙ではなくうれし涙が、選手たちの笑顔が溢れていることを願って――。入替戦さらにその先の全日本バレーボール大学男子選手権大会(全日本インカレ)に向けて、慶大の成長は続いていく。
(記事・写真:五関優太、田中瑠莉佳)
以下、コメント
星谷健太朗監督
――今日の試合を振り返って
リーグ最終戦ということで、無事に試合を迎えられてよかったです。出場した選手それぞれが躍動して、見ていて感動する場面も多かったので非常に素晴らしかったと思います。
――2部優勝おめでとうございます。ご心境をお聞かせください。
ありがとうございます。ここまでそもそも試合ができるかどうかというところもある中で戦い抜けて、最終的に優勝という成果、これは学生たちの努力ですけども、結果として現れたことはうれしいですし、学生を誇りに思います。
――秋季リーグ戦を全体的に振り返って
春1部にいたけれども入替戦で負けた試合というのは、やはり安定感のなさであったり、劣勢の場面で自分たちのやらなきゃいけないことができなくなってしまうメンタリティであったり、そういったところだったと思います。けれどもそれは秋リーグを通して、競る場面はありつつも皆で少しずつ意識しながら課題に取り組んで成果につながったのはよかったなと思います。この先の入替戦までにも修正できるところはありますし、舞台は整ったかなと思うので、あとはそれを出し切るだけだと思います。
――秋季リーグ戦を通して、他に成長した部分とまだ伸ばせるなという部分があれば教えてください
成長したところは組織的にやらなきゃいけないところというのが浸透してきて、それがどんな場面であれ、やり続けられたことだと思います。なおかつそれが普段スタメンとして出ている人だけではなく、チーム全体としてできるようになってきたところだと思います。課題としてはそれぞれ役割がある中で、冷静に振る舞えない場面、雰囲気や勢いに任せてしまって考えが疎かになってしまう場面、ふとした思考停止のときにミスが出ているなと思いました。それを修正していく必要があるかなと思います。
――入替戦に向けた意気込み
先程も言った通り入替戦までさらに詰めるところを詰めて成長して、やるべきことをいつも通りやって、今までの中でベストな慶應で勝利をつかみ取りたいなと思います。
高倉真古都主将(商4・慶應)
――今日の試合を振り返って
僕自身は出てないのですが、チームがしっかり(セットカウント)3-0で勝ち切れたことはすごく良かったことかなと思っています。
――2部優勝おめでとうございます。率直な感想は。
1敗はしてしまったのですが優勝という結果は、素直に喜ぶべきところは喜んで、しめなきゃいけない部分とかこれからつめていかなきゃいけない部分はしっかりつめていくべきかなという気持ちです。
――ベンチから客観的に試合を見てチームはどう映りましたか
良いサーブが入っている時というのはうちのチームは勢いを止められない相手にとって嫌なチームなのかなというのは外側から見て感じました。向こうの相手が強い場合はもちろん押されますし、というので今日は押す場面が多かったかなという印象です。ベンチからは雰囲気の部分とかを気にして見ていて、結構技術的な部分というよりかは雰囲気であったり、どういうメンタルでやっているのかなという部分を見ていたのですが、各々しっかり自立した良いメンタルで戦っているのがすごく印象的で、良かったかなと思っています。
――リーグ序盤と比べてチームに変化は?
勝敗、勝ち星を意識した試合をしていってたのかなというのをリーグ戦を通して思っていて、初週が自分たちのチーム状況で延期になって、それでちょっと遅れての大会スタートだったのですが、その時に比べたら皆の試合に対する姿勢であったり、普段の練習の態度であったりというのは良い方向に大きく変わっているのではないかと思っています。
――良い方向というのは具体的には?
試合を意識したというところなのですが、何かプレーが出た時にそれを試合でやるのかというような、まあ試合中は言わないですが、「試合でやるような練習をしよう」というような声掛けがでることはだいぶリーグ終盤になって増えてきたかなという印象を持ちましたね。
――入替戦に向けた意気込み
対戦相手がまだ確定はしていないので、どこがこようが1部復帰、昇格ではなく1部復帰。自分たちの戻るべき場所に戻るというところをあと2週間、今週と来週の練習でつめていって、またチーム全員で1部を勝ち取るためにまとまっていきたいと思います。
大槻晟己副将(総3・清風)
――今日の試合を振り返って
今日の試合は内容的な面で、自分自身のプレーとしてはそこまで良くなかったかなと思います。ただ全体を通してゲームの流れというのはうまく作れたと思っていて、というのも自分のトス以外のプレーで、例えばサーブだったりレシーブだったりとかそうした部分で大崩れしないようにゲームをコントロールできたのは良かったかなと思います。
――2部優勝おめでとうございます。率直な感想は。
一安心です。入替戦で最下位という一番良い相手と戦えるというのは、もう国際武道大にやり返せるというか、もう一回勝ち直して1部昇格というところを目指す上でやはりそれは必要だと思っているので、そこに無事たどり着けたというひとまず安心感があります。
――リーグ戦全体を振り返ってみていかがですか
なかなか波もあって苦しい時もあったのですが、チームの雰囲気のコントロールとか副将としてそこそこできたのではないかなと思っています。
――苦しかった時期は?
国士舘大戦の前の1・2週間と国士舘大戦のあたりは上がっていきつつも上がり切らず、すこしモヤモヤしていた感じもあったので、その辺りですかね。
――苦しい時期を乗り切るために副将として何を意識しましたか
練習の雰囲気をまずパリッとさせる、メリハリをつけさせるというのをやっていたのですが、それが100点だったかと言われるとまだもう少しできた部分はあったと思います。ただそこに向けて動くことはできたので、合格点かなと思います。
――リーグ戦で成長した部分は?
成長したのは、苦しい場面で途中交代とかで出場することが多かったので、そういう時にその流れに負けずに自分のプレーを出していくみたいな、そういうブレない軸を持ってプレーするというのはできるようになったと思います。逆に今日みたいな長いスパンで試合を見るという機会はなかなかなかったので、そこに関しては今後成長していかないといけないなと思います。
――加えて、チームの成長した部分は?
ひとつは、2部ということもあったのですがしっかり勝ち切るという部分は1部の時と比べてできたかなと思っています。特にあまり強くない相手に20点くらいまでのられた時もあったのですが、そこでしっかり25点取り切って勝つことができていました。あとは3セット取り切るという部分も結構できていたかなと、国士舘大戦の時は惜しかったのですがそれは成長した部分だと思いますね。
――ご自身の強みであるセンター攻撃について、今日の出来は何点ですか
今日は65点で。というのはキャッチがちょっと返ってこなかったというのもあるのですが、本数としてはそこまで多くなかったと思っています。あともうひとつは苦し紛れに使ってしまっているような雰囲気のものが多くて、こうクイックがバーンと打ち込めているようなものは少なかったので、65点くらいかなと思います。
――入替戦に向けた意気込み
やっぱりリベンジというのは絶対する側が有利で、喰い返すみたいな感じで自分たちがいかにチャレンジャーの姿勢を貫けるかということが大切だと思います。なのでそこに関して自分が一番雰囲気を引っ張る感じでやっていけたらなと思います。
渡邊大昭選手(商2・慶應)
――今日の試合を振り返って
最終戦ということもあって4年生とできる最後のリーグ戦ということで、心の底から楽しもうというのは同期内で話していて、それが結果に結びついたのかなと。みんな笑顔ですごく良かったと思います。
――連続サービスエースの手応え・感想は
練習してきた通りかなと思っていて、練習中・自主練習の時から内田選手にずっとサーブを打っていたので、それが結果として実を結んだのかなという風に思っています。
――サーブで意識したことは何かありますか
もう思い切り、自分の役目はサーブで点数を取ることなので、しっかりミスをしないとかそういうマイナスなことを考えないで、サービスエースで点をすごい取ってやるという気持ちの一心でしっかりサーブを打っていました。
――久しぶりのスタメンでしたが、どういう気持ちで臨みましたか
試合直前に言われてすごく緊張したのですが、やっぱり本当に単純に楽しかったなという気持ちで、ずっと練習中から皆が楽しくやろう、笑顔でやろうという声掛けで、楽しもうという風に思っていました。
――春の入替戦は悔しい思いをしたと思います。その時のチームと比べて今のチームは?
春リーグは1部ということもあって負けが続いて、チームとしてもやっぱり下り坂というか、気分が上がらず負けてしまったと思います。ただ今はすごくチームの雰囲気も良く、チームもひとつになって団結して良い雰囲気でやれているのかなと思っているので、その雰囲気をしっかり試合でも出せるように、下級生ながらもしっかり4年生を支えていけたらなと思っています。
――入替戦に向けた意気込み
4年生とできる試合も残りわずかということで、4年生の最後の試合である入替戦に勝利して、それで自分たちが来季は関東1部としっかり戦える力を持てるように練習していきたいと思います。
【最終順位】
1位 慶應義塾大学(10勝1敗)
2位 青山学院大学 (9勝2敗)
3位 国士舘大学 (8勝3敗、セット率 2.545)
4位 大東文化大学 (8勝3敗、セット率 1.733)
5位 中央学院大学 (7勝4敗、セット率 1.500)
6位 亜細亜大学 (7勝4敗、セット率 1.211)
7位 法政大学 (6勝5敗)
8位 明治学院大学 (3勝8敗、セット率 0.708)
9位 立教大学 (3勝8敗、セット率 0.500)
10位 山梨学院大学 (2勝9敗、セット率 0.370)
11位 平成国際大学 (2勝9敗、セット率 0.258)
12位 立正大学 (1勝10敗)
【個人賞】
・最優秀選手賞 髙倉真古都主将(商4・慶應)
・ブロック賞 芳賀祐介選手(環2・札幌北)